【感想・ネタバレ】妊娠小説のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年06月28日

通勤電車の中で読んでいたが、どうしてもニヤニヤしてしまい、困った。
特にブックカバーもしていなかったので、このタイトルとニヤニヤオヤジの顔を見比べた乗客がいたら、さぞかし気味悪かったろう。

もちろん斎藤美奈子の本には時々触れていたが。
先日来春樹の作品群を拾い返す中で、春樹って結局中絶手術後自殺し...続きを読むた女の子のことばかり思い返しているんだろうなあ、んで聞きかじったところによれば中絶手術ってここ数十年の話(脱線するが水子供養の歴史ってすごく短い)らしい、
など考えるうち、石原千秋「謎とき村上春樹」で本書に言及されており、猛烈に読みたくなった次第。読んでよかった。
気になっていた優生保護法の歴史と伴走するように文学史からピックアップされており、現在の興味にもきれいに合致していて、大変美味しかった。

とはいえフェミニズムの系譜だけに置くのは、ひどくもったいない本。(ちなみにここ1年ほどで流行っているチョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」の訳者斎藤真理子さんは斎藤美奈子の妹らしい。)
何よりも切れ味、皮肉、毒、軽妙さ、意地悪さ、つまり文体の芸でもあるのだ。

本書で言及された小説の3分の1くらいは読んだことがあるので、余計面白い。
鴎外ー川端ー三島ー大江ー春樹ー三田誠広ー辻仁成、と高校生前後に読んだ作家が、こんなふうに見えてくるとは。
自分の読書歴そのものも違って見えてきて、それが清々しい。

 はじめに――妊娠小説とはなにか―― 望まない妊娠を搭載。妊娠を標準装備。定義は途中で変わるかもしれない。

 Ⅰ 妊娠小説のあゆみ
 妊娠小説のあけぼの 堕胎罪の時代。第一次妊娠小説ブーム。「舞姫」のイメージ戦略。「新生」の陰謀。操作されたテキスト。妊娠の発見。
 本格妊娠小説の出現 52年体制の成立。第2次妊娠小説ブーム。「太陽の季節」のバランス感覚。「ヒロイン殺し」の真相。堕胎の再編=妊娠中絶の発見。
 純妊娠小説の台頭 花開く妊娠小説文化。第3次妊娠小説ブーと性別役割分業の促進。「闇のなかの祝祭」の思わせぶり。赤ん坊の生まれない日」のストレートパンチ。外圧とミカドの家と60年優保。70年優保とウーマンリブ。妊娠イデオロギーの導入。僕小説の興隆。
 変わりゆく妊娠小説 80年優保と水子寺。「風の歌を聴け」のトリック。「テニスボーイの憂鬱」の余剰価値。批評的妊娠小説の時代。「桃尻娘」の教訓。

 Ⅱ 妊娠小説のしくみ
 受胎告知の様式 妊娠小説との出会い。メンズ系妊娠小説の受胎告知。レディス系妊娠小説の受胎告知。受胎告知シーンの役割。
 妊娠効果の基礎知識 マイナスの物語外妊娠効果。プラスの物語外妊娠効果。物語内妊娠効果。
 ゲームの展開 スコアボード化の方法。終盤一発ぶちかまし型。中盤盛り上げ型。序盤先制逃げきり型。全篇お祭り型。
 妊娠濃度による分類 妊娠濃度の測り方。妊娠濃度2=妊娠スパイス級。妊娠濃度3~5=妊娠ミート級。妊娠濃度3=妊娠シチュー級。妊娠濃度5=妊娠ステーキ級。妊娠濃度4=妊娠ハンバーグ級。妊娠濃度1=妊娠パセリ級。妊娠濃度?=妊娠オイル級。妊娠効果による等級分類。

 Ⅲ 妊娠小説のなかみ 
 妊娠物語の類型学 メンズ系妊娠小説の物語類型【青年打撃譚】【浮気男疲労譚】【恋愛挫折譚】【中絶疑惑譚】、レディス系妊娠小説の物語類型【おぼこ娘自立譚】【母子家庭創成譚】【妊娠無情譚】【妊娠誤謬譚】。妊娠物語の法則。
 愛と幻想の選択 生みたがる女たち【許可申請型】【出産宣言型】【責任押しつけ型】。生みたがらぬ女たち【親との確執型】【愛なき性交型】。生みたがる男・生みたがらぬ男【現状維持型】【目的達成型】【現状打破型】【意思不明瞭型】。語り手たちの誤解【信頼できない語り手その1】【信頼できない語り手その2】。「生みたがる女」の謎解き。
 アニミズムの帝国 恐怖と絶望の産婦人科医院【魔物のような医者】【とんでもない看護婦】【怪物のような女医】【墓場のごとき医院】【悶絶する女】。胎児のイリュージョン【映像的な胎児】【音響的な胎児】【文学的な嬰児】【カルトな隠喩】【ポップな隠喩】。進化論という呪術。
 避妊をめぐる冒険 避妊が存在しない世界だった(異界型)。避妊を実行しなかった(避妊非実行型)。正しい避妊の知識を持っていなかった(知識不足型)。正しく避妊を実行的なかった(運用失敗型)。避妊小説の避妊感覚。

 おわりに――妊娠小説はなぜ書かれるか―― 生産者の側に強い動機づけがあったこと。消費者の側に潜在的な需要があったこと。妊娠中絶にまつわるこの国固有の文化的土壌があったこと。

 本書で取り上げた主な「妊娠小説」合計45、プラスアルファ。
 ■戦前 森鴎外「舞姫」小栗風葉「青春」鈴木三重吉「子猫」長塚節「隣室の客」水野葉舟「石塊」島崎藤村「新生」
 ■1950年代 川端康成「虹いくたび」「山の音」石川達三「薔薇と荊の畦道」石原慎太郎「太陽の季節」三島由紀夫「美徳のよろめき」大江健三郎「死者の奢り」「われらの時代」
 ■1960年代 大江健三郎「見るまえに跳べ」倉橋由美子「パルタイ」吉行淳之介「闇のなかの祝祭」水上勉「越後つついし親不知」「越前竹人形」三島由紀夫「美しい星」柴田翔「されどわれらが日々――」開高健「青い月曜日」石川達三「青春の蹉跌」
 ■1970年代 吉行淳之介「暗室」渡辺淳一「野わけ」「北都物語」萩原葉子「蕁麻の家」三田誠広「赤ん坊の生まれない日」中沢けい「海を感じる時」津島佑子「寵児」村上春樹「風の歌を聴け」
 ■1980-90年代 川西蘭「はじまりは朝」村松友視「サイゴン・ティをもう一度」立松和平「春雷」橋本治「その後の仁義なき桃尻娘」「帰ってきた桃尻娘」森瑤子「一種、ハッピーエンド」林真理子「ビデオパーティー」村上龍「テニスボーイの憂鬱」五木寛之「哀しみの女」原田宗典「雑司ヶ谷へ」高橋三千綱「掠奪の初夏」小川洋子「揚羽蝶が壊れる時」佐藤正午「個人教授」辻仁成「クラウディ」丸谷才一「女ざかり」

 あとがき
 解説 金井景子

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Posted by ブクログ 2011年11月24日

めちゃくちゃ面白い評論で笑いました。都知事の作品もぶった切りです。斎藤さんの本はどれも面白いですが、これのインパクトはすごかったです。たしかに妊娠してる小説って多いですよねえ。「風の歌を聴け」の解釈には目からウロコでした。

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Posted by ブクログ 2010年09月19日

そうか、妊娠小説であって妊娠日記ではないのね。

なんかへんな私小説を想像して読むのが遅れていた自分のばか…
デビュー作は渾身の一撃であるというのが私の主張のはずなのに。

ま、ともあれ読めて良かった!

病気小説、貧乏小説がすたれてなお、日本には「望まない妊娠」をテーマとする、妊娠小説というジャン...続きを読むルが存在する。鴎外の舞姫からムラカミハルキの風の歌を聴けまでを、料理に例え、あるいは図表化して分析し、切り刻む。この鋭い舌鋒と切れある論理。ミナコ節はもう、ここからすでに確立していたのですね。

これはもう、書評ではなく、すでに確立したエンターテイメントなのだと思う。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

斎藤美奈子氏が大好きだ。語り口の意地悪さも好きだし、引用箇所の適切さも好きだ。特に、このデビュー評論『妊娠小説』の面白さといったら……!

正直に告白すると、この本の中で俎上に上げられた小説の半分以上を私は読んでいない。読んでいないんだけど、わかる。『妊娠小説』ジャンルの存在に膝を打って喜び、『舞姫...続きを読む』の「受胎告知」シーン引用に笑い転げ、にやにやしながら最後まで一気に読んでしまう。
読んでしまった後には(まるきり思惑通りに)読む本読む本ほとんどに「妊娠小説」のレッテルを貼りたくなってしまうのだ。困ったことだ。(笑)

今では伝説レベルのデビュー書評だが、切り口、読ませ方など斎藤氏のすべてが詰まっている。ついでに言うと、後々の書評にも、この時登場した作品がかなりの数、流量されている。まあ、なんとなくモデルとして取り上げやすいタイプの作品(典型例というやつ)は決まっているのでしょう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

新しい枠組みとして「妊娠小説」を提唱してる本。それぞれの妊娠小説で、登場人物がどの時点で妊娠するのかを野球に例えてしまうところがすごい。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

文学関係の学科に行く人が大学に入る前に読んでおくと他の人に差をつけることが出来る本。もっと早く出会ってればよかったなあ。

何でかと言うと基本的な小説の読み方と言うものを教えてくれてるもので。と言うよりは小説家が行っている手練手管をとても簡潔に教えてくれているのだ実は。妊娠のことばかり書いているので...続きを読むはなくてそういう基本的かつ細かいところがしっかりしているからこの本は名著なのである。

具体的にはイメージ操作の話が一番教育的。知らないとどうしようもないんだけれど、これで案外ちゃんと教えてくれている本がないときたもんだ。

妊娠に関してはもちろんメインだからしっかりしてるんですけども、まあ一つの論系の基礎教養だと思ってインストールしておけばよし。実際面白いし、教科書としては白眉ですわ。

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Posted by ブクログ 2021年11月20日

センセーショナルな着眼点に、歯切れのよい語り口、それに奇想天外な分析手法、面白くないはずがない。

でも、さすがに避妊だの中絶だのという言葉をそれこそミート級に読まされてちょっと胃もたれ気味……

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Posted by ブクログ 2019年10月05日

「舞姫」の主人公って、妊娠した彼女を打ち捨ててひどいよね、というお話は、「舞姫」が広く知られているがゆえにある意味定番のネタとなっているところではあるが、いやいや、妊娠を取り扱った小説はまだまだあって、しかも、それぞれ味付けは違っても、「妊娠小説」という一大ジャンルを形成しているのですよ、とぶち上げ...続きを読むるこの評論、「文学はこういう風に読むものじゃない」とのお叱りを受けたというのもわからなくはない、けど面白いのである。文学オタクというのか、ジャンルを楽しんで、「おっ今度はこう来たのか!」みたいな楽しみもあってもいいよね、という気がしてくる。

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Posted by ブクログ 2018年12月27日

「赤ちゃんができたらしいの」と女が宣告し、男はうろたえるという展開が、さまざまな小説のなかでくり返し描かれてきました。ほとんどパターン化しているといってよいこのような場面を含む小説を著者は「妊娠小説」と呼び、その構造と歴史の解明をおこなっています。

森鴎外の『舞姫』と島崎藤村の『新生』によって、「...続きを読むどうでもいい女の問題」だった妊娠が「どうでもよくない男の問題」に昇格し、文学のテーマになったと著者はいいます。それ以前の小説に描かれていたのは、「妊娠」ではなく「堕胎」でした。しかしそれは、「生むにせよ堕ろすにせよよろしくやってもらいたい」という男にとっては「問題の解決」でしかありません。こうして著者は、妊娠を告げられる男の「近代的自我」の確立は『舞姫』と『新生』によって成し遂げられたといい、これは近代文学史上における「妊娠の発見」というべき事件だという主張を掲げます。

その後著者は、妊娠と堕胎をめぐる世相の動きに「妊娠小説」が連動していることを明らかにしていきます。さらに、村上春樹の『風の歌を聴け』、村上龍『テニスボーイの憂鬱』、辻仁成『クラウディ』などの現代の小説を「妊娠小説」として読み解き、それらが表面はさまざまな意匠を凝らしているにもかかわらず旧態依然とした枠組みを継承していることが明らかにされていきます。

とにかく文章が痛快で、おもしろく読みました。

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Posted by ブクログ 2016年03月31日

「紅一点論」がキツかったので敬遠してましたが、なんでもっと早く読まなかったのかと笑いながら反省。生命の神秘が物語の舞台装置として使われる様を、これでもかというほど浮き彫りにしてきます。食いもん屋直行のくだりはさすがに笑った。

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Posted by ブクログ 2012年07月18日

これは面白い。実際もっとたくさんの妊娠小説があるはずだ。
作者の斜に構えた物言いもいい。何を及び腰になってんのよ、こんなものこうやってつまめばいいのよ、簡単でしょ!? と言わんばかりに禁忌を易々と犯す感じが爽快だ。
誰もが口に出すことをタブーとしてきたからこそ小説として面白い妊娠、そして中絶(流産)...続きを読む。それをカテゴリーとして前面に押し出した発想も素晴らしい。現代でもいろいろと変容してきたはずの妊娠小説。ぜひ続編も書いてもらいたい。

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Posted by ブクログ 2012年06月27日

斎藤美奈子のデビュー作。小説の中でヒロインが妊娠をする小説を「妊娠小説」と定義づけ、より正確には「望まない妊娠」である。原点は森鴎外の「舞姫」だとしています。「太陽の季節」「死者の奢り」「青春の蹉跌」「北都物語」がメンズ系なら、「もう頬づえはつかない」「海を感じる時」はレディス系。メンズ系は女に裏切...続きを読むられる話。ヒーローの年齢により、若い男が恋人の妊娠で打撃を受ける話、中年妻子持ちの男が愛人の妊娠で疲れる話などに類型。レディス系は自身の妊娠を機に男を見限る話、などに類型。

この本を出した時、文芸誌の元編集者から「小説はそんな風に読むんじゃない」と叱られたといいます。がこの「妊娠」をキーワードにすると、それまでうっとりと甘美だった物語世界が、男と女の価値観の違いを鮮明にあぶりだす気がします。 

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Posted by ブクログ 2011年04月28日

結論もいいけど、分析の過程がいちいちおもしろい。

明治以降に著された中で、
いわゆる『望まない妊娠』を扱ったものを纏めて分析・批評した本。
有名無名のいろんな作品が出てくるが、妊娠に関わる記述のみピックアップしていて、すごくドライに扱っているので妊娠に対して神秘性とか求めてる人はイラっとくるかも。...続きを読む
妊娠小説って基本的に男の人の優位性が滲み出るもんなのだと著者は言いたいのだと思う。

なお、最後に取り扱ったお話一覧が付いているので、読みたくなった人には便利。

いわゆる、文学の中で扱われる妊娠というのは、
(男性に取って都合の良い)道徳を説くのにとても便利というのが、
触れた小説を通して実感が湧く結論だった。

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Posted by ブクログ 2011年03月07日

小説における女性の妊娠を描いて秀逸な作品。森鴎外の舞姫でエリスが最後は「はかなくなりぬ」で、終わっているが、随分都合良いなと思った記憶がある。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

この人の文体は、評論家にしては軽くて読みやすいのでありがたい。それに語り口がいさぎよくて気持ちいい。「妊娠」に注目するとこんなにも小説が似たり寄ったりになるんだなと思って、悲しかったり、おかしかったり。読んでいる小説に「妊娠」が出てきたときに、またこの本を手にとってみたい。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

『紅一点論』よりは固めだけど、笑える論説が備える鋭利さはやっぱり斎藤さん。
三島も森鴎外も村上春樹もばらしてしまえば「妊娠小説」

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

この著者の本は他のが先になってしまって、デビュー作を今頃読んだ。やっぱり名著ですね。笑えるし。
ぜんぜん関係ないんですが、「僕小説」って言葉、むかーしどこかで見た気がするんですが…もしかしてむちゃくちゃ初期のロマンJUNE? 気のせい? ああ確認したいけどもう手元にはない…というよりここでロマンJU...続きを読むNE読者であったことを告白してどうするよアタシ。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

・すっごく面白い(著者のつっこみが)んだけど、
 半分を過ぎるとくどすぎてだんだん疲れてくる
・登場してくる妊娠小説が妊娠小説としか思えなくなる
 特に舞姫。

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Posted by ブクログ 2023年12月02日

再読。
胃もたれしそうな内容を美奈子節で切って切って切りまくっています。
「妊娠」を小説ではどう扱ってきたのかを、データを用いたり分類分けしたりして評論していますが、今の著者ならもっとジェンダー論に踏み込んで妊娠を消費することについて触れる内容になっていたかもと思います。それも読んでみたいです。

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Posted by ブクログ 2017年09月05日

筆者書き下ろし渾身の妊娠小説!使用した機材は何✖何のポストイット あえて漢語を用いるなら懐妊である。 ちなみに漢字を読めない民草のためにこれを大和言葉に意訳するとおめでたである。力点 学校の成果 望まない妊娠史
黎明期 明治政府のイッパツ目が堕胎の禁止。 列強のすうぜいだった。 ハタと膝を打つ。 ...続きを読む外部観察で終わる手法か。鈴木三重吉 長塚節 土っぽい農民文学者
文芸職人ギルド 近代的自我というテクニカルターム 
意味深長だ。 ユングフロイリヒカト 中絶と堕胎は意味が異なる官製用語 犠牲者と混血化と労働力化が育児制限に キラ星のごとく
文化と鈍感 受容から参加へ 系譜を見る 刺激剤よりか劇薬 ハイブラウ   ヘミングウェイもかくやの臨場感 おかぶを奪われる ビューフォート風力階級表 アガサクリスティ  アクロイド殺人事件

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Posted by ブクログ 2015年07月04日

<わかったこと>
・小説における妊娠は話を盛り上げるためのイベントの一つ
・小説における妊娠は女の武器
・作者は登場人物を妊娠させるために苦労する
・小説における妊娠はドラマチックで生と死とか愛ゆえの離別とかのお題目に結びつけやすいしその割に手軽なので作者にとっては重宝する
・妊娠小説のパターンは少...続きを読むない
 →なぜか? 妊娠という現象自体に結果や期間の制限があるから


<思ったこと>
・やっぱ舞姫はうまく出来てる
・妊娠小説はパターンが少ないので妊娠ばかりを中心に添える小説は陳腐化する傾向にある
・妊娠は味付け程度に使う小説のほうが面白いかもしれない

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Posted by ブクログ 2013年06月11日

「妊娠小説」というジャンルを提唱して、そのテーマに沿いながら、明治文学から80年代の青春文学までの文学史を俯瞰。あざとく「われわれ」と言いつのるところとか語り口が鼻につくが、この著者にかぎっては毎度のこと。小川洋子の『妊娠カレンダー』(「妊娠小説」の集大成でおそらく最高峰)は、出版時期が前後したのか...続きを読む、言及されていない。

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Posted by ブクログ 2012年01月27日

この本が出た当時、話題になっていたのはわかっていたが、タイトルから伊藤比呂美のような世界観の小説かと誤解して敬遠していた。
その後、内容を知って読んでみた。
確かに野球のイニングや料理評などあの手この手で妊娠小説を解剖するさまは画期的だし圧巻だ。
それでもやはり男社会、男目線にもの申す結論ありきのよ...続きを読むうに感じてしまう。
わたしは、ベストセラーだろうがなんだろうがどうでもいい作家のどうでもいい作品なんぞどうでもいいと思う方だ。
むしろ、セオリーを崩すことに成功した小説があれば、例外としてでもぜひとりあげたいと思う。
つまるところ、マスに対する興味もコンプレックスもなく、マクロの多様性に目がいってしまう自分とこの本の著者との違いだろう。

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Posted by ブクログ 2011年04月21日

いろんな文学作品を妊娠を扱っているという一点において、フラットに『妊娠小説』として扱いパターン分類をしてるのですが、だから何?って気もします。もちろん、そういう見方を楽しむのもいいとは思うのですが、『妊娠小説』だから読もう。とかって思わないな。

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Posted by ブクログ 2009年12月03日

斎藤美奈子さんらしくて面白かったのですが、このテーマで一冊の本、というのは… 途中で飽きてしまいました、残念ながら。

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Posted by ブクログ 2011年09月20日

青空文庫でいろいろ昔の小説とか探しちゃいました妊娠映画もたくさんあるよなぁ映画の場合 たいてい 堕胎に失敗して女が死んじゃうんだよな 

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

2008/5/8〜5/17

「望まれない妊娠」を取り扱った小説を解説、そしてパターンなどを多種に分類するという評論(?)です。

結構おもしろかったです。
ちょっと変わったところを取り扱った感じが好きです。
そして、解説がうまいので紹介された小説全部が気になってしまうというオチつき。
ぜひ暇だった...続きを読むら手をだしてみようかとーん。

読んでよかった(*`д´)b

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

今まで認識されていなかった「妊娠小説」という分野を徹底分析!

興味深いし、表現もコミカルなものがあって面白い。けど後半失速しちゃうんだよ。なぜだろう。

語りやメタファーについてもチョコチョコ書いてあり、私みたいな小説の読めない子は大変勉強になりました。


快作?問題作?
うーん…力作と呼ぶのが...続きを読む一番しっくり来る。
なんたって著者(わたしたちと書いてあるので手伝った人がいるのだろうけど)は言及した小説すべての行数を数えてるからねぇ。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

あれもこれも、結局はそれかい!と言いたくなるほどに数多の文学作品の以下に多くが妊娠をキーワードにしているか。小説が好きな人はより面白いだろう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

初めての著作だからか、著者お得意の軽さはあんまりなくて、前半は堅い。けど、最終章の「避妊」では、美奈子炸裂してます。

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