斎藤美奈子のレビュー一覧
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書評の本。
読みたいと思わせる斎藤さんの筆力に脱帽。
國分功一郎「民主主義を直感するために」(晶文社)1500円
今は体制に従っているけど、いつどうなるか分からないからな
牟田和恵「部長、その恋愛はセクハラです!」(集英社新書)900円
グレーゾーンのセクハラは、その後の対処次第でどちらにも転びます
TV Bros.編集部編「イナカ川柳」(文藝春秋)1200円
しまむらの服着て今日もしまむらへ
飯田泰之ほか「地域再生の失敗学」(光文社文庫)840円
ゆるキャラは「まちおこし」ではない
樋口耕太郎「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(光文社新書)900円
沖縄問題とは、濃縮された日 -
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1960年代から2010年代までの純文学を中心に日本文学の流れを解説している一冊。文学について論じた岩波新書の『日本の近代小説』は戦前の日本文学がメインのため、戦後の文学について論じた手軽に読める新書判の本は多くはない。そのような状況のなかで、斎藤美奈子さんがこの新書を出版した。
1960年代以降の現代日本文学は多くの流れの中で存在し、このような簡潔にわかりやすくまとめられた本がなければ、現代日本文学を俯瞰することは難しいと感じる。
この本を読んで完全に自分のなかに落とし込むことはできてはいないが、大方は現代日本文学の流れをつかむことはできたと考える。 -
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30年間の間に発表された小説、主に10年間の間に発表された小説を中心に本読みのプロである2人が対談形式で徹底的に語った一冊。世相や日本のみならず世界で起きた出来事と絡めて、日本の文学について語られるが、凡人とは見る視点が違いすぎて、終始驚かされた。
文学から日本の社会の動向がここまで分かってしまうとは、小説がフィクションだと軽視できない存在であると改めて思い知らされた。この30年で、イラク戦争や9.11、東日本大震災などの日本だけでなく世界をも変えるような出来事が文学にも大きく反映されていて、いかに私たちの生活にもこれらの出来事が影響を及ぼしているのか知ることができた。
しかし、自分が読んだこ -
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安心して読める書評集。新書を中心とした評論が2/3、小説が1/3の割合だけど、逆が良かったとかってのは、無いものねだりの部分。そう言いつつ、小説部門は既読のものが比較的多く、殆どチョイスはしなかった訳で。最近、ノンフについての自分的選択基準はハードルを上げているつもりなんだけど、それでも結構、読みたい本が見つかってしまった。気になったのは下記の諸々。
福島第一原発収束作業日記
民主主義を直感するために
野党論
決定版マインドコントロール
世界で一番最初に飢える
東大女子という生き方
ぼくは挑戦人
死ぬくらいなら会社辞めればができない
地図から消される街
やばい日本史 ◯
マンガでわかる災害の -
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ロッキング・オン社長、渋谷陽一責任編集の雑誌『SIGHT』(1991年〜2014年)の年末恒例特集として組まれていた高橋源一郎・斎藤美奈子対談の再録(2011年〜14年)、19年の『すばる』誌での対談、21年の語り下ろしを収録。
『サイト』誌上の書評対談といえば大森望と北上二郎の「読むのが怖い!」が名物企画であったが、当時の編集者曰く「取り上げられている本を一切読まなくてもおもしろい」つまり、「読み物を論評する」を超えて、「これ自体がおもしろい読み物である」というわけだが、この本にも十分当てはまる。副題にある「読んでしゃべって社会が見えた」気分にさせてくれる。
【蛇足】高橋「2009年に民 -
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試し読み
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太平洋戦争の日本とそこに住む我々の祖先を描いた映画、テレビドラマは数あるが、その食生活に焦点を当てて描いたものはあまり記憶がない。確かに、米がない、腹一杯食べたいが食べれない、人間の食べ物ではないものを無理矢理食べざるを得ない等、その結果のみドラマの背景の中で描かれることはあるが、それらの料理を作るために、どれくらい苦労して食材を調達し、料理(と呼べるか?)していたのか、それを僕は知らなかった。
両親から、色々戦中の苦しい生活について聞いてきた自分でさえ、正直この本の内容は想像をはるかに越えていた。
戦争は、人が死ぬだけではない。国民の生活レベルが著しく低下するため、その間に子供から大人に成長 -
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試し読み
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試し読み
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「SIGHT」年末恒例企画「ブックオブザイヤー」は愛読していた。雑誌が休刊してしまって残念至極。どこかでまたやってほしいなあ。高橋源一郎さんと斎藤美奈子さん、最強コンビの一つだろう(豊崎由美さんと大森望さんというのも好き)。お二人の場合、小説などを論じつつ、その作品が書かれ読まれる社会的意味に斬り込んでいくところに特徴がある。
後半の長い対談は、平成を(さらには昭和を)俯瞰する視点で話されていて、なるほどなあと思うところが多かった。確かに文学は社会の鏡であり、しかもそれは時間がたってから鮮明な像を結ぶものなのだと納得させられた。
個々の作家についての評がやはり読みどころ。言われてみれば本当