斎藤美奈子のレビュー一覧
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日本はカルトの世界的な穴場で、カルトの世界的な吹き溜まりになっている。日本の霊感商法に類するような被害は、欧米ではほとんどない。著者がカルトと認定するのは、オウム真理教、統一教会、SPGF(旧ライフスペース)の3団体。
「マインドコントロール」紀藤正樹
日本の農業が過保護だから自給率が下がったとか、耕作放棄が増えたとか、高齢化が進んだというのは間違。アメリカは日本よりよほど補助金漬けだし、農家の所得に占める補助金率は、日本が30%程度、英仏は90%以上。
「世界で最初に飢えるのは日本」鈴木宣弘
福島第一原発の事故で多大なダメージを被った人々が、2013年に会津電力株式会社を、2017年に飯館電力株式会社を立ち上げた。太陽光発電から小水力発電、バイオマス発電へと、挑戦は続いている。
「魂の発電所」池尾伸一
近世の百姓一揆は、意外なほどに非暴力的で合理的だった。百姓は何らかの事情で生存が妨げられたときは、領主に対して訴訟を行ない、それでもだめならと徒党や強訴を行う。訴状が寺子屋の教材になるほどに、異議申し立てが頻繁に行われていた。
「百姓一揆」若尾政希
長州テロリストの発想は山縣有朋を通じて旧日本軍に伝染し、侵略戦争を引き起こし、今日にまで尾を引いた。
「明治維新という過ち」原田伊織
大坂の陣で淀殿を中心とする豊臣氏を滅ぼした徳川家康は、女性が権力を持つことを恐れて御台所を置かず、側室にも身分が低い女性を選んだ。
「〈女帝〉の日本史」原武史
記紀が編纂された時代の日本は、先進国である唐の思想を手本にしていた。記紀の天皇の系譜が男系に整えられているのは、唐皇帝の男系男子継承を模倣した結果である。男系男子絶対主義が固まったのは明治期。記紀の時代の思想を大日本帝国憲法が明文化し、軍国主義化でそれが絶対視され、戦後の新憲法や皇室典範もその呪縛から逃れられなかった。
「女系天皇」工藤隆 -
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いやー、よかった。文芸評論家の斎藤美奈子氏による政治参加とは何か、選挙に行くのが楽しくなるにはを解説する。そもそも右翼と左翼ってなに?保守とリベラルってどういうこと?というような政治参加の頻出語を日本の政治史を追いながら説明していき、また当時の日本といまの日本で状況がどう変わっているのかを紐解いている。口語体で書かれているため、かなりとっつきやすく読みやすい。また前の項目で出てきた用語を所々で振り返ってくれるので、あれ。どういう意味だっけ?と前のページに遡ってはわからなくなる新書挫折を起こしにくい作りになっている。ちくまプリマーということで本来は20~25歳を想定しているらしいけど、いくつになっても読んでほしいし、政治史の流れとか言葉の意味を改めて確認しておきたい、という人にはぴったり。また刊行当時は2016年なのだけれど2024年になって読んでみると、斎藤美奈子氏の予想が悪い方向で当たっていたりもして、いまのこの状況は見る人が見れば予想していた通り、ということなんだろうなあ。何にせよ何となく選挙に行ったり行っていなかったりしている「ゆる体制派」のような人たちに、この本が1冊でも多く届けばいいと思う
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ネタバレ面白かったし!ほんと私に代わりに読んでもたって著者独自の感想が読めて一石二鳥。
それは本来の目的じゃないにことはわかってるけど(著者もこれを読んで読んだ気にならないでほしいとあった。)
なんせ読みたい本が山のようにある私には、自分に嗜好じゃない本も紹介されてて政治や歴史や憲法、タレント本に関する感想は大いに勉強になった。
古来は女系天皇も容認されていたんだ。男系天皇は近年になってからだとか。
あと渡辺淳一(作家)や石原慎太郎らを軽くディスってるとこもおかしい。(大いに納得なので)
樹木希林が悠木千帆時代にかいた「心底ほれた」読んでみたい。 -
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斎藤美奈子の本は楽しい。
斎藤美奈子大好きだ。
この本は、週刊朝日に連載していた書評を厳選して一冊の本にしたものだ。
新書の斎藤美奈子の書き下ろしの本と違い、書評の字数が少なく見開き2ページで一冊分。なので、深掘りはしていないので軽く読める。
寝る前に少しずつ読んだ。
その中にも何冊か読みたい本があり、付箋したり注文したりした。(2013年からの連載なので書店で扱っていない場合が多い)
ホントいろんな分野の本を読んでくれてるので、ありがたい。
すでに読んでる本が出ると、斎藤美奈子さんの読み方は?とワクワク。(でも前述のように短いので書評というより本の紹介程度ではある)
最後がタレント・有名人の本なのだが、絶対に買って読まないけど、知ってる人たちのエピソードがわかってそこそこ面白く、「あなたの代わりに読みました」の題がピッタリだなと思った。
石原慎太郎への最後の言葉は笑った。
切れ味相変わらずよき。 -
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「日本国憲法って太っ腹でしょ。『国家によって侵されない自由』と、『国家にいろいろ要求する権利』の両方を認めている。まるで国民が主人で、国が家来のようです」
語気には棘があって、ちょっぴり挑戦的。書かれている内容も確かに学校では教えない。というか、表立って教えられない。政治に明るい知人から話を聞いているような感覚だった。
けれどもここまでサクサクいけたのは、自分も今の政治に思うところがあったからなのかもしれない。(きっと自分は、本書で言うところの「ゆる反体制派」なのだろう) 普段耳にする政治用語をよく理解せぬまま使っていたりと気づきも多かった他、自分ごとで政治を捉えるきっかけの一つにもなった。
中高生より大人の方がチクリ(あるいはヒヤリ?)とくるだろうが、それは真実がまるごと自分の中に浸透し始めている兆候なのだと信じたい。
本書では日本史の出来事を交えながら、体制派・反体制派、右派・左派について洗い直し、我々と政治との関係性を改めて見つめ直している。
政治家でなくても、政治には参加できる。投票だけでなく、正しい知識のインプットや自分の立ち位置(政治に何を求めるのかや派閥等)を定めたり、必要なら声を上げたって良い。
「どうしてワタシがこんな目にあわなくちゃいけないわけ?どうして彼や彼女がああいう境遇に置かれてるわけ?そう思った瞬間から、人は政治的になる。[中略]すべてのスタートは『こんちくしょう』です」
労働や社会福祉問題が「こんちくしょう」の最たる例だろう。
近年よく持ち上げられている北欧諸国の「高福祉・高負担」は、政府と国民との間に強い信頼関係がないと成り立たない。夢のような政策でも、日本では実現できない理由が必ずある。
でもベターな世界があることを知った以上、動かないという理由もない。「国益より人権のほうが上。国家より個人のほうが大切。これが近代国家の原則であり、国際社会の常識」なのだから、一人ひとりが生き延びて何が悪い。
「個人」で思い出したが、「個人と全体」についても多く触れられている。
中でも四大公害病を例に、個人の幸福を追求するとは何かを考えるくだりが揺さぶられた。こうして洗い直してみると大変理不尽な話で、被害者やご遺族は国や大企業を相手に20年、またはその倍の年月訴え続けなければならなかった。
しかしその働きかけは実を結び、環境に配慮した政策が次々と打ち出されていったのである。「個人の権利の主張は、全体を救うことにもつながる」…。ここで揺さぶられたのだった。
一方で自分が正しいと思ったことは、実行すると、どのように伝播していくのかを思索するのも大切だと思う。
「政治を考えるのに『中立』はない」と、著者は序盤で断言している。
一番いけないのは、どっちつかずでいること。でも現代の風潮は我々に「中立」を求め、政治トピックを持ち出そうものなら危険人物認定されてしまう。
しかし「中立」であることは即ち、お上のなすがままということになる。それは自分たちの生活を放棄しているってことになるのでは?と薄寒くならないだろうか。 -
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書評の本。
読みたいと思わせる斎藤さんの筆力に脱帽。
國分功一郎「民主主義を直感するために」(晶文社)1500円
今は体制に従っているけど、いつどうなるか分からないからな
牟田和恵「部長、その恋愛はセクハラです!」(集英社新書)900円
グレーゾーンのセクハラは、その後の対処次第でどちらにも転びます
TV Bros.編集部編「イナカ川柳」(文藝春秋)1200円
しまむらの服着て今日もしまむらへ
飯田泰之ほか「地域再生の失敗学」(光文社文庫)840円
ゆるキャラは「まちおこし」ではない
樋口耕太郎「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(光文社新書)900円
沖縄問題とは、濃縮された日本問題である
若杉冽「原発ホワイトアウト」(講談社文庫)700円
現在の大衆は、原始人より粗野で愚かで短絡的だ
馳星周「雪炎」(集英社文庫)860円
原発の牙城に風穴をあけてやりたいのだ
池井戸潤「民王」(角川文庫)640円
(我が国は)ミゾユーの危機にジカメンいたしており
小手毬るい「アップルソング」(ポプラ文庫)740円
私は、この醜い世界を撮りたい
渡辺淳一「愛ふたたび」(幻冬舎文庫)580円
不能だからといって、嘆き、悲しむことなんかないんだよ
垣谷美雨「うちの父が運転をやめません」(角川文庫)720円
わしは死ぬまで運転するつもりじゃ
高木亮「きりえや偽本大全」(現代書館)2000円
出された寿司を一口食べ驚愕する
井手英策ほか「大人のための社会科」(有斐閣)1500円
歴史に「もし」はないといいますが、「もし」を考えることは大切です
「あかんメール」選定委員会「あかんメール」(扶桑社)1000円
大学卒業したら一緒に相撲
塚本堅一「僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話」(KKベストセラーズ)1500円
暴れるシャブ中なんて一人もいません
蛭子能収「ひとりぼっちを笑うな」(角川oneテーマ21)800円
オンリーワンではなく、むしろワンオブゼムになりたい
栗山英樹「栗山ノート」(光文社)1300円
逆境は学びの機会として最高です -
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1960年代から2010年代までの純文学を中心に日本文学の流れを解説している一冊。文学について論じた岩波新書の『日本の近代小説』は戦前の日本文学がメインのため、戦後の文学について論じた手軽に読める新書判の本は多くはない。そのような状況のなかで、斎藤美奈子さんがこの新書を出版した。
1960年代以降の現代日本文学は多くの流れの中で存在し、このような簡潔にわかりやすくまとめられた本がなければ、現代日本文学を俯瞰することは難しいと感じる。
この本を読んで完全に自分のなかに落とし込むことはできてはいないが、大方は現代日本文学の流れをつかむことはできたと考える。 -
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30年間の間に発表された小説、主に10年間の間に発表された小説を中心に本読みのプロである2人が対談形式で徹底的に語った一冊。世相や日本のみならず世界で起きた出来事と絡めて、日本の文学について語られるが、凡人とは見る視点が違いすぎて、終始驚かされた。
文学から日本の社会の動向がここまで分かってしまうとは、小説がフィクションだと軽視できない存在であると改めて思い知らされた。この30年で、イラク戦争や9.11、東日本大震災などの日本だけでなく世界をも変えるような出来事が文学にも大きく反映されていて、いかに私たちの生活にもこれらの出来事が影響を及ぼしているのか知ることができた。
しかし、自分が読んだことがない小説に対しては、2人の対談を読んでもしっくりこない部分があったので、未読の作品は自分で読んで、改めてこの本を読み返したいと思わされた。 -
Posted by ブクログ
安心して読める書評集。新書を中心とした評論が2/3、小説が1/3の割合だけど、逆が良かったとかってのは、無いものねだりの部分。そう言いつつ、小説部門は既読のものが比較的多く、殆どチョイスはしなかった訳で。最近、ノンフについての自分的選択基準はハードルを上げているつもりなんだけど、それでも結構、読みたい本が見つかってしまった。気になったのは下記の諸々。
福島第一原発収束作業日記
民主主義を直感するために
野党論
決定版マインドコントロール
世界で一番最初に飢える
東大女子という生き方
ぼくは挑戦人
死ぬくらいなら会社辞めればができない
地図から消される街
やばい日本史 ◯
マンガでわかる災害の日本史 ◯
大人のための社会科
知っておくと役立つ街の変な日本語
老いる意味
男が介護する
おてんとうさんに申し訳ない