斎藤美奈子のレビュー一覧

  • この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた

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    紹介した本を褒めていないのが面白い。
    欠点のある作品も含めて
    時代の産物であり、大量に、
    かつ、“考えながら”読むことで
    時代が見えてくる、ということが
    感じられる本

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    2021年12月30日
  • 妊娠小説

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    センセーショナルな着眼点に、歯切れのよい語り口、それに奇想天外な分析手法、面白くないはずがない。

    でも、さすがに避妊だの中絶だのという言葉をそれこそミート級に読まされてちょっと胃もたれ気味……

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    2021年11月20日
  • 趣味は読書。

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    忖度なし文芸評論家斎藤美奈子さんが1999.7~2002.10四十数冊のベストセラー本を読書しない人に代わり読み紹介してくれる。飯島愛、梅宮アンナ、石原真理子、大橋巨泉などのほとんど忘れ去られたタレント本達。日本語練習帳、買ってはいけない、動物占いなどのブームとともに去っていったもの。大河の一滴、鉄道員、東京タワー、模倣犯海辺のカフカも、永遠の仔なども
    今後20年後残れるかは微妙そうです。

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    2021年08月19日
  • 文庫解説ワンダーランド

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    目の付け所がいいですね。赤川次郎の解説を鶴見俊輔が書いてるなんて、よほどのファンしかたどり着けない意外な情報とか、自分も読んで「何だかな〜」と感じた松本清張『点と線』は解説の平野謙や有栖川有栖がきっちり急所を指摘している事実など、思わず「そうだったか」と唸らされた。

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    2021年07月25日
  • 日本の同時代小説

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    非常に面白く、興味深かった。「同時代小説」を俯瞰的な視点で分析し、特徴を抽出することがいかに難しいか、ちょっと考えてみればすぐわかる。その困難に果敢に挑んだ本書、なるほどねえ、言われてみればその通りとうなずくことしきり、さすが斎藤美奈子さん。

    60年代から10年ごとに、売れたり話題になったりした作品をとりあげ、そこに刻印された「時代の空気」を鮮やかに読み解いていく、その切れ味に唸ってしまう。文学というのは、現実から遊離した場所で行われる営みのように思ってしまいがちだが、なんのなんの、本書を読むと、これほど「時代」の要請によって創り出されたり読まれたりするものなのかと、目から鱗が落ちる思いだっ

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    2021年04月02日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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    現代日本のさまざまな問題点を読み解くためにどんな本を読んだかという、ブックガイドも兼ねた時評集、というところがいかにも興味深い。その選書も、一方的にならず、対立する側の意見についても目配りが行き届いている。
    北朝鮮による拉致問題では、「家族会」とは別に「救う会」があるとは、この本を読むまで知らなかった。自らの不明を恥じたい。

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    2021年03月31日
  • ニッポン沈没(世の中ラボ2)

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    民主党政権、東日本震災、安部政権など、出てくる事象は過去のものだ。でも、そこに出てくる問題意識、解決に向けた姿勢、いら立ちも含めて、今も深く共感できるものだと思う。これより後の本『忖度しません』を先に読んでいるんだけど、まったく古さを感じない。今も現在進行形の話として読み進められた。面白かったし、一方で面白がってばかりでいいのか、という意識もある。本書で紹介されていた本のいくつかは、積読のまま俺の本棚にもある、読まないとなぁ。

    美味しんぼの福島エピソードとか、取り上げられた当時、俺もイタイな、とおもったものだった。あるいはエキセントリックだな、と。でも、作品を作るとは本来、エクセントリックな

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    2021年03月21日
  • 学校が教えないほんとうの政治の話

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    さすが作家。大学教授が書くような本より断然読みやすい。自分の立場を明らかにするのにも好感が持てる。右翼と左翼の意味がようやくわかった。選挙が楽しみになった。

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    2021年02月28日
  • 学校が教えないほんとうの政治の話

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    本著が想定しているであろう政治に対して自身の意見を持っていない読者の一人として、この本をきっかけに自身の政治的立場を明確にしたいなと思うことができました。政治において中立的な立場は存在せず、少なからず偏りがあるという意見には文章を通して賛成できることが多かったです。
    日々色々な情報を整理して自分がどういう環境を望んでいるのか考えつつ立場を固めていきたいなと思います。

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    2021年02月19日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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    見返しの「続・裸の王様」から笑ってしまった。で、次にまたいきなり、内田先生編の「日本の反知性主義」に厳しいご意見。確かに「日本の知識人はバカの悲しみに鈍感なところがあるからな」っていうの常々私も感じる。
    やっぱり斎藤美奈子さんいいわ、と思って最後まで読み続ける。
    次に読みたい本がたくさん見つかった。読むのが追いつかない。

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    2021年01月27日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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    ちゃんと読んで
    ちゃんと考えて
    ちゃんと自分の言葉で発信

    斎藤美奈子さんの「書評集」
    PR誌「ちくま」に連載中の「世の中ラボ」
    から出来上がった一冊

    初めから読んでも
    後から読んでも
    どこから読んでも
    すっきり はっきり
    こりゃ面白い

    自分だったら絶対に買わない本も
    (批評のために)ちゃんと取り上げてくださっているのが
    また嬉しい

    〽「本」は世に連れ 世は「本」に連れ

    「世間」を眺め渡している視点が
    さすが 斎藤美奈子流ですね

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    2021年01月26日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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    「月夜にランタン」「ニッポン沈没」に続くシリーズ三作目。「ニッポン沈没」が暗めのトーンだったのに比べて、今回は、「政治も世の中も相変わらずひどいもんだけど、それでも希望はある」という前向きな思いを感じる一冊だった。タイトルにもそれが表れていると思う。

    いつもながら取り上げられる本の幅広さに感嘆する。不愉快になるに決まっている安部ヨイショ本とか嫌韓本とかもしっかり読んで、自分の意見をはっきり述べる姿勢がすがすがしくカッコイイ。あとがきがとても良かったので、以下その抜粋。

    「言論空間が『敵と味方』『内と外』『ホームとアウェイ』に二分され、仲間うちでしか通じない言葉が増殖していく。いわば思想のタ

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    2020年12月16日
  • 文庫解説ワンダーランド

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    文庫解説に目をつけるとは!なかなか斬新な批評だった。文庫解説は誰のものというと、当然読者のためのはずだが、作者のためや自分のための解説が多いという。その取り上げ方、切り捨て方がなかなか痛快!作者の個人史に引きずられた解説や与太話に過ぎない解説も困ったものだが、こうやってこの本に取り上げられて読んでみると面白い。
    作品の社会的背景を捉え、読書の指針となる、あるいは視野を広げる解説が優れているということらしいが、これが結構難しいことらしい。だめな解説や優れた解説の書き手の名前が挙げられていて、なかなか厳しいね。
    松本清張のアリバイトリックの不備を突いた批評家がいて、「ええー、これじゃ作品自体が成り

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    2020年10月28日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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     3冊の本を元にテーマごとに現代社会を論じる。ブックガイドであり、社会評論。
     切れ味よくて読みやすい。

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    2020年10月24日
  • 戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る

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    「飽食の国に住む私たちは、食べることが大好きだ…(中略)でもほんの50数年前までは、日本も『飢えた国』のひとつだった。」
    から始まるこの本。

    食から見る戦争…というと
    悲惨な想像しかできないかもですが、
    この本はちょっと違っていて
    悲惨になっていく食生活だけど
    日々が楽しくなるような工夫で食事だけでも、
    ちょっとでも楽しいものにしよう~というような
    人々の生活が見えてくる

    戦争が始まる前から中間、そして後の食の変遷がすごい

    デコった「飛行機メンチボール、軍艦サラダ、鉄兜マッシュ」などはまだ楽しいけど、
    後半になると、もう野菜も調理しないで生で食べましょう的なことを推奨されたり、
    野草も食

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    2020年10月03日
  • 忖度しません(世の中ラボ3)

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    ネタバレ

     「世の中ラボ」をまとめたこのシリーズは、正直、日本の現代史を当事者としての生活感とともに記してくれる。歴史の書である。
     いつも思うが、要点を確実にまとめてくれる、斎藤さんの技量の高さは何より尊敬する。
     

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    2020年10月02日
  • 学校が教えないほんとうの政治の話

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    中高生向けの政治を考える本。大人が読んでも、まあ、わかりやすい。美奈子節が炸裂しまくりで、スカッとすること間違いなし。この本が出てから4年経過し、先日は真新しさのない立憲民主党という党名と代表が決定。明日は自民党総裁選...。今秋の解散・総選挙はどうなるのか? この本を読めば関心を持てることだけは間違いない。

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    2020年09月13日
  • 趣味は読書。

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    売れる本をカテゴライズして分析・レビューした小気味いい内容。思わず吹き出してしまったり、苦笑いしてしまったり...。そこまで扱き下ろす? これは持ち上げちゃうんだ...。直球と変化球の組み立てが絶妙で、読者から三振の山を築くこと必至!

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    2020年08月20日
  • 日本の同時代小説

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    1960年代〜2010年代までの小説を
    時代背景ととも分析。
    近代日本文学(〜1950年代)は「ヤワなインテリ」がいつまでも悩んでいるヘタレども。
    60年代 大学進学率上昇に伴う 知識人の凋落
    70年代 公害問題等による 記録文学の時代
    80年代 バブル経済 遊園地化する純文学
    90年代 バブル崩壊後 女性作家の台頭
    00年代 9.11.リーマンショック 戦争と格差社会
    10年代 3.11以降  絶望的ディストピア
    芥川賞受賞した芸人さんのあの作品も往年の私小説に近い自虐的なタワケ自慢と貧乏自慢と一刀両断。
    市場縮小も著しく、新しい表現による小説は
    なかなか厳しい時代のようです。

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    2020年08月01日
  • 日本の同時代小説

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    さらっと書いてるけど、これすごい本なんじゃないか?
    1960年代〜2010年代の小説を、純文学・エンタメ小説問わず数行で紹介しつつ、その潮流と背景となる出来事を解説している。必ず読んだこと(聞いたこと)がある作品が含まれている。
    最初の方はまだ文学史という気分で読めたけど、自分の読書生活と重なる90年代以降は時代の暗さや作品の痛々しさが辛かったが、解説が的確で未来の展望まで示しているのに救われた。
    これを同時代でやってのけるの、やっぱりすごくない?

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    2020年03月05日