斎藤美奈子のレビュー一覧

  • 挑発する少女小説
    懐かしくも、新しい視点に目から鱗! それぞれを読み返したくなった! ローラはTVドラマ版しか観てなかったので印象のギャップに衝撃。
  • 日本の同時代小説
    小説は社会を映すことがよく分かった。社会風俗とその時代の代表作を結びつける筆致が巧み。これまで、小説は古典を優先してきたけど、今後は積極的に現代作家を読みたいという気持ちにさせられた。各論で言えば、私小説の系譜とポストモダン系は読む価値がないと思ったが、現代におけるプロレタリアートの系譜は読んでみた...続きを読む
  • 学校が教えないほんとうの政治の話
     若者が政治に無関心なのは「ひいいきのチームがないから」と本質をずばりと突く。じゃあ決めよう、あなたは「体制派」「反体制派」か、どっち? 
    〈「体制派」とはいまの政治を支持し「このままのやり方でいい」と思っている人たち、「反体制派」は今の政治に不満があって「別のやり方に変えたい」と考えている人たちで...続きを読む
  • 挑発する少女小説
    代表的な少女小説9作に、新しい視点から読み解く優れもの。私も全部読んだことのある物語ばかりで、そのまま主人公の少女達の幸せを願ってワクワクしながら応援していたが、目から鱗の解釈で今更ながら主人公とその背景を新たに思った。
    特に「大草原の…」のローラにはそうだったのかと目のつけどころに感心した。
  • 挑発する少女小説
    かつて夢中になった少女小説の数々、セーラやアンや、ジョーは生活を共にした気がするほど身近だし、メアリは大人になってから再読して一緒に庭の手入れをした気がしてるし、ジュディーは一緒に夏休みを過ごした!
    読み終えて、手元に『ふたりのロッテ』があったので何十年かぶりに再々読。ハイジはどうしてもあのブランコ...続きを読む
  • ニッポン沈没 世の中ラボ2
    2000年代の直近史をオバマの「Promised Land」きっかけで辿り直しているのだがどうもこの震災以降2015年ほどまでが現在の日本の崩れていくきっかけのー最も顕著になる案件が目白押しだったことが確認される。
    著者も言っている通りこの5年間が最も暗澹たるもので底を打ってるかと思えば今現在までそ...続きを読む
  • 挑発する少女小説
    ああ「みなしご」、なんと魅惑的な響き。ここにとり上げられている少女小説は、もちろん夢中で読んだクチである。その頃感じていた「そうそう!」な気持ちと、「えええ??」な気持ちの両方を切ってもらえて、大変満足する。ツッコミも痛快。面白かった。『ハイジ』や『秘密の花園』の歩けて治って大団円…にモヤモヤしてい...続きを読む
  • 挑発する少女小説
    面白くて一気読み。自分はこういうのを読みたいんだとつくづく思った。かつて熱心に読んだ少女小説。フェミ的にはどうなのよという内容が多く、まあ、あれは若気の至りというか通過儀礼というか、本気であれこれ言うものじゃないかなと思いつつ、一方では、ノスタルジーにとどまらない愛着を感じる作品がいくつもあって、ず...続きを読む
  • 忖度しません 世の中ラボ3
    斎藤美奈子の本の読み方は、私の手法とは全く違って面白い。そして、問題意識もいまの時代にフォーカスして、実に巧みな解説をする。
    6つのテーマの選定がうまい。時代の核心に触れる。とにかく、「忖度しません」と言う題名さえも素晴らしい。現在の官僚やマスコミも忖度しすぎの時代に、これまで言えるのはいい。
    6つ...続きを読む
  • 文庫解説ワンダーランド
    論壇誌や新聞の書籍解説などとは違い文庫の解説は大抵は一人なわけで、そこにおそらく緩み、油断が生じてしまう。
    ある人は作品や作者に媚びへつらい、ある人はあくまでも自己顕示欲の発露として終始する。
    つまり、どうしてもイキったりカカったりしてしまうツッコミどころ満載の不思議な風習なのであった。
    こんないじ...続きを読む
  • 文庫解説ワンダーランド
    斎藤美奈子さんが岩波の小冊子『図書』に連載した文庫解説の批評集。著者らしい毒舌やユーモアに満ちていて、軽快に読める。本領発揮だなぁ。

    文庫解説はどうあるべきかに正解はない、というのが本書の最後に書かれているが、著者自身は、国語(文学の鑑賞)よりも社会科(地理的歴史的背景)を重んじている。本が書かれ...続きを読む
  • 忖度しません 世の中ラボ3
    どこかで『災間の唄』と並び称されているのを読んで、同作に痛く感じ入った身としては、本作も是非と手に取ったもの。期待通り、存分に味わわせて頂きました。それにしても幅広く読んでいらっしゃって、小説、ノンフのみならず、新書やら専門書にまで、その読書対象は広がってるんですね。凄い。その上で提示される、現体制...続きを読む
  • 忖度しません 世の中ラボ3
    政治の話からLGBT、反知性主義、現代進行中のコロナについてまで。時事について、三冊の本を読みながら考える。真面目に考え込むところと、クスっと笑えるところの振幅が魅力的。静かに淡々と説明したかと思うと、「でもさ」といきなり切り返す。そのあたりの動きになんかしびれるね。読んでいて楽しかった。楽しかった...続きを読む
  • 忖度しません 世の中ラボ3
    斎藤美奈子の新刊は、本屋で見かけたら買うことにしている。
    で、数年放置してしまう。
    絶対読むのだから、今でなくてもいい。

    『月夜にランタン』も『ニッポン沈没』も数年放置した結果、第二次安倍政権が発足したタイミングで第一次安倍政権の突然の終焉と総括について読んだのだった。
    それはそれで面白かったけど...続きを読む
  • 日本の同時代小説
    読んでいて、非常に濃い時間を過ごし愉しかった。本好きと称しつつも、如何に偏っているかを知ったし、「読めない時期」が結構あって、意外と知らない作家、作品が多いのも解った。
    自身が「純文学は嫌い」とかねてより思っているし、今も変わらないのだがその中でも少しは読んできたつもり。純文学に有る「オープンエンド...続きを読む
  • 日本の同時代小説
    さながら近々の歴史をざっくりと見ながら、同時代の文学史をひも解いてくれるとてもわかりやすく面白い文学案内でした。確かにこういうのを待っていました!

    わたしの読書人生は1950年代の後半から始まっています。その頃は桑原武夫や伊藤整の読書入門や、もう少し詳しいのだと中村光夫の『日本の近代小説』、196...続きを読む
  • 妊娠小説
    通勤電車の中で読んでいたが、どうしてもニヤニヤしてしまい、困った。
    特にブックカバーもしていなかったので、このタイトルとニヤニヤオヤジの顔を見比べた乗客がいたら、さぞかし気味悪かったろう。

    もちろん斎藤美奈子の本には時々触れていたが。
    先日来春樹の作品群を拾い返す中で、春樹って結局中絶手術後自殺し...続きを読む
  • 学校が教えないほんとうの政治の話
    大学の講義で用いられた新書でした。

    政治に無頓着な若い世代が、政治的教養や政治への関心を持つきっかけとして、とても有用だと思われます。

    基礎的な知識について具体的な時事問題を絡めながら、非常に簡潔にわかりやすく書かれていました。筆者が本書の中で述べていたように、「中立はない」というのは確かにそう...続きを読む
  • 日本の同時代小説
    世に出ている近世(明治)以降の文学の解説本の多くは、60年代の横光利一・石原慎太郎・開高健らで終わっている。著者はその後の文芸の歴史をきちんと解説した書が見当たらないとことに奮起し、筆を執る。カバーする範囲は1960年代〜2010年代までの約60年。我々が生きてきた“同時代”の「性格」を文学で探って...続きを読む
  • 日本の同時代小説
    60年代以降の日本文学史ということで、私はまあまあリアルタイムで読んできているものが多く、臨場感モリモリだった。
    しかしこれだけ多岐多彩に渡る作品群を、まずはもちろん読み、明解に解析し、グルーピングする手腕はさすが。

    こうしてみると、私小説や不倫小説のめった斬りは爽快だし、フェミニズム文学もうまく...続きを読む