斎藤美奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
斎藤美奈子さんは大好きな書き手で、鋭い舌鋒が痛快だ。時事ネタより文学論のほうがより楽しめるのだが、政治への視線にも共感するところが多々ある。これは2010年から2015年6月にかけて書かれたもの。
震災・原発事故・領土問題・橋下徹・慰安婦問題・秘密保護法・嫌韓思想・集団的自衛権・ブラック企業・イスラム国…、目についたトピックを拾っていったら、どうにも暗ーい気持ちになってしまった。これでも安保法案はまだ入っていないのだ。あとがきに「あらためて通読すると、斎藤はなんだかずっと不機嫌ですね」とあるが、そりゃ不機嫌にもなるよ。著者得意の笑えるおちょくりも影を潜めるほど、状況は厳しいということだ。それ -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
戦後70年、ということでこの夏はテレビの特番やら映画やらあって、一方で政府がアレコレやっているという状況で、普段よりそっち方面への関心が高まっているおり、見つけたのがこの本。食べるものがなくて、みんな腹ペコで、筍生活で、その辺の草も食べて、みたいな断片的知識はあるけど、こうやって戦前から戦後食糧事情がなんとかまともになっていくまでをまとめた本を読むと、著者も言っているとおり戦争とは戦争で食料がなくなるのではなく、食料がなくなることが戦争なのだ、ということがはっきり理解できる。戦闘だけが戦争じゃないんだよね。銃後じゃなくてまさしく戦下なんだよね。にしても、この本で紹介されている当時のレシピはもの
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Posted by ブクログ
ネタバレ<わかったこと>
・小説における妊娠は話を盛り上げるためのイベントの一つ
・小説における妊娠は女の武器
・作者は登場人物を妊娠させるために苦労する
・小説における妊娠はドラマチックで生と死とか愛ゆえの離別とかのお題目に結びつけやすいしその割に手軽なので作者にとっては重宝する
・妊娠小説のパターンは少ない
→なぜか? 妊娠という現象自体に結果や期間の制限があるから
<思ったこと>
・やっぱ舞姫はうまく出来てる
・妊娠小説はパターンが少ないので妊娠ばかりを中心に添える小説は陳腐化する傾向にある
・妊娠は味付け程度に使う小説のほうが面白いかもしれない -
Posted by ブクログ
著者が、数々のベスト・セラー本を読んで、内容を紹介しつつツッコミを入れていくという本です。
五木寛之『大河の一滴』のような人生本、梅宮アンナ『「みにくいあひるの子」だった私』のようなタレント本、『話を聞かない男、地図が読めない女』などの疑似科学本など、自他ともに認める「読書家」がなかなか手にとらないような本を、一流の話術で紹介しているのですが、しかし考えてみればこれはたいへんな仕事だと思わざるをえません。もっともわたくし自身も、この手のベスト・セラーはけっこう好んで読むほうではあるのですが。そういえば、かつてナンシー関が、ふつうの視聴者は24時間テレビを見なくてもいいということにあらためて気 -
Posted by ブクログ
ふだん本を読まない人が読むからベストセラーになる。だからいわゆる「本読み」は、ベストセラーを読まずに批判する。が、それでいいのか?そう思った文芸評論家・斎藤美奈子が果敢に挑みました。49冊を読み倒し、見つけたベストセラーの法則が6つ。読めば、抱腹絶倒、悲憤慷慨、そして世間の事情がわかってきます。文庫化に際し書き下ろしたのは『国家の品格』『東京タワー』など6篇。大増補版。
(裏表紙紹介文より)
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読んだことのある本は少なかったけど、軽く内容にも触れているので読みやすかったです。 *ベストセラー本をバッサリ批評するのは読んでいて面白い部分もありましたが、斎藤さんがベタ褒めする本(が存在す -
Posted by ブクログ
ネタバレこの本が出た当時、話題になっていたのはわかっていたが、タイトルから伊藤比呂美のような世界観の小説かと誤解して敬遠していた。
その後、内容を知って読んでみた。
確かに野球のイニングや料理評などあの手この手で妊娠小説を解剖するさまは画期的だし圧巻だ。
それでもやはり男社会、男目線にもの申す結論ありきのように感じてしまう。
わたしは、ベストセラーだろうがなんだろうがどうでもいい作家のどうでもいい作品なんぞどうでもいいと思う方だ。
むしろ、セオリーを崩すことに成功した小説があれば、例外としてでもぜひとりあげたいと思う。
つまるところ、マスに対する興味もコンプレックスもなく、マクロの多様性に目がいってし -
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