斎藤美奈子のレビュー一覧
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ジュニア新書でなくて新赤版~Ⅰあの名作に、この解説「坊ちゃん」(夏目漱石):敗者の文学(江藤淳・平岡敏夫)赤シャツに理あり(ねじめ正一)「伊豆の踊子」「雪国」(川端康成):処女の主題?(三島由紀夫)人生初期のこの世との和解?(竹西寛子)伊藤整の解説はタルい「走れメロス」(太宰治)太宰の徹底紹介(師匠筋の井伏鱒二)云ってみれば一億人の弟(斎藤)「放浪記」(林芙美子)の解説が迷走するのは、雑記帳の抜き書きが三度にわたって行われたからで、林も改稿に改稿を重ねている「智恵子抄」(高村光太郎):愛の詩集(光太郎死後の編者で光太郎に頭の上がらない草野心平)贖罪のうた(駒沢喜美)Ⅱ異文化よ、こんにちは「悲しみよ、こんにちは」(サガン)<パリの自宅に19歳のサガンを訪問>(訳者で34歳の朝吹登水子)「ティファニーで朝食を」(カポーティ)<ティファニーで食堂があるか質問>(訳者でNY在住の龍口直太郎)「ロング・グッドバイ」(チャンドラー)「グレート・ギャツビー」(フィッツジェラルド):男同士の恋愛小説(村上春樹)「ハムレット」(シェークスピア)テキストは錯綜、上演中に脚本の手直しもされただろうから・昔はサムライ今はサラリーマン(斎藤)「小公女」(バーネット)時代に地位を奪われても優しく下々に接するプリンセス(訳者の脇明子)フランセス・エリザ・ホジソンは二度結婚している(野上彰のあとがき)「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」(伊丹十三)1ポンド1008円という1965年の高校生にとって一大衝撃(関川夏央)「書を捨てよ、町へ出よう」(寺山修司)著書との交流をだらだらと書く翻訳家の竹内健「武士道」(新渡戸稲造)「葉隠」(山本常朝)日本人の心をもっともっと知って貰いたい(共通の感想だが、著者も盛ってるんじゃない?)Ⅲなんとなく知識人「赤頭巾ちゃん気をつけて」(庄司薫)「なんとなく、クリスタル」(田中康夫)太陽の季節を含めて事件的作品:知性のための戦い(政治学者の苅部直)()批判精神のあらわれ(文藝賞の選評で江藤淳)資本論!空疎さの批判(高橋源一郎)インテリの悩み(斎藤)「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎):思わず唸った。これはまさしく資本論入門ではないか(はったりと脱線の丸山眞男)「資本論」(マルクス)種の起源の解題(向坂逸郎)「されど われらが日々-」(柴田翔)「優しいサヨクのための嬉遊曲」共に(1955・共産党第6回全国協議会・山村工作隊の解体)解説無しには理解不能「モオツァルト・無情という事」(小林秀雄)江藤淳がすべて解説し小林の内面に寄り添おうとして内面の背後にある伝記的事実は伏せる・私小説を書くように評論を書いていた(斎藤)「Xへの手紙」(小林秀雄)「共同幻想論」(吉本隆明)評論の解説は屋上屋を架す作業(斎藤)「三四郎」(夏目漱石)これは日本の青春小説のプロトタイプ(斎藤)「友情」(武者小路実篤)三四郎の白樺派版(斎藤)Ⅳ教えて、現代文学:文庫解説の出番だぁ(斎藤)「限りなく透明に近いブルー」「半島を出よ」「コインロッカー・べービーズ」「半島を出よ」(村上龍):風俗的な騒々しさと奇妙な静けさ・自閉と破壊(三浦雅士)「点と線」「ゼロの焦点」(松本清張)トリックのキズをクサす解説刑事(デカ)の登場(斎藤)「三毛猫ホームズ」(赤川次郎):意外な犯人……。えへへ。トリックを。……。伏線は……。えへへ。すみません(ミステリーの楽しみ方を初心者に説く辻真先)「ひとひらの雪」(渡辺淳一)どの女もどの女も「もてなす」だけ「ビルマの竪琴」(竹山道雄):アジアへの視点を欠いた戦場小説(中村光夫)「二十四の瞳」(壺井栄):知識人の苦悩(窪川鶴次郎)「夏の花」:生涯をかける文学の主題も限られたものである。深いか浅いか、それのみの問題だ(大江健三郎)「火垂るの墓」(野坂昭如):無残な骨と皮の死に様を悔やむ(尾崎秀樹)「少年H」(妹尾河童)山ほどの解説・立花隆・澤地久枝・椎名誠・・・「永遠の0」(百田尚樹)僕の夢(児玉清)大人のメルヘン(斎藤):::文庫解説は「読者のため」「著者のため」「自分のため」~斎藤さんは1956年新潟生まれの文芸評論家、児童書の編集者を経て、三桁には届かないが、かなりの文庫の解説を書いていて冷や汗もの。(児童)文学に教訓染みた解説はいらない。必要なら自分のための教訓を見つけ出すだろう←そうだよね!だから解説やあとがきを私はろくに読まないのだ。伊丹十三の死についてネットで検索して宮本信子も調べちゃったし、中山千夏が未だ生きていることも確認。関川夏央も。なかなか面白い人物だね、斎藤さん。小林秀雄の女性に対する視線が甘えと侮蔑が混じって感じ悪いって。私、庄司薫は読んだけど、田中康夫は嫌悪感があって読んでない。嬉遊曲って何だ?室内管弦楽だって
引用:日本文学の伝統だ。そりゃあ愛読もされるわね。(二十四の瞳を知識人の苦悩と捉え)気分を共有することで、庶民の戦争協力責任は免責されるからである。…だんだん、「念仏」になってくるのよね。(少年Hへの違和感から) -
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岩波新書は、大学の般教の授業に相当するレベル。高校生でも社会人でも手に取れる知識や教養の入り口。高校時代そう言われて読んでいた。
新赤版になってから、くだけた内容の物が増えて、それが悪いとは思わないが、ちょっと語り口が雑誌っぽすぎるのが、最初は良くても、うーんと唸った。但し…ここに取り上げた本たちの解説が
「これ読まないと、本当にこの本は分からない?小難しいなあ…あってもなくても変わらないよ。」
と感じた経験は、私に限らず誰にもあるだろうし、それはちっとも変じゃないんだよと提示したことには意味があると思う。
わかりやすいイコール低俗
わかりにくいイコール高尚でお偉いもの
という誤った定義は、未だになんとなくはびこっているし、おエライはずの作品群も、自分なりに読みこなせれば、その時点で面白い本になりうる。やわらかい本だって、読み手の嗜好に合わなければページを閉じられるだけのこと。
解説って、1ページでも読み進めてさせるヒントだったり再読してみようかと思わせて、本を古書店に持っていくのでなく、本棚の常連にさせ、他のものも読もうかと思わせるためにあるのだから。へんてこりんな教養とか権威とか、まして
「これは俺や私には解っても、お前には分かるまい。だって作者と同じところにいるんだよ私は。」
なーんて自分自慢はいらないのだ。そこを喝破した本書は本当に痛快ではあるし、解説から、ちゃんと近代から現代にかけての文学論や教養主義に対する批評になっているのは、さすがプロのお仕事。特に、文学史的には最近の本だけど、普通の読者にはちょっと古くなった本、の分析的な読みは、地口の軽さに紛らせても、やはり鋭い。
逆に、わかりやすくて言いたいことをはっきり言っている、『わかる文学論』として本書を楽しむ時、女性雑誌っぽい、ネット語っぽいおしゃべりが、かえって邪魔になることがあって。
うわぁ、そんなに軽く喋らないでも、わかりやすい
から、その飾りを省いて下さい…。
と疲れたのも本当。
冒頭に書いたように、岩波新書が、すべての人の教養の、良き入り口としてありたいなら。この本の語り口が岩波新書と思って、他の本に手を出した時、読者が、内容もろくに見ないで本当は面白いかも知れないのに。
「あ、やべ…斎藤さんの本と違うノリ…。
やーめた…」
となりかねないから…最低限崩しすぎず、わかり易さ明快さだけは維持して欲しかった…。
教えてgooなんか、誰でも書けるんだから引き合いに出したらいかんよ。メディアリテラシーって意味では、未だ紙の本の信頼性って高いのだから…。
品下らず、明快。平易。
これ、文庫解説にも通ずるし、新書で執筆する時の
ルールでもあると思う。読者に媚びず、普通の地の文で、これを書いて欲しかった。
難解すぎるのもノーサンキュー。でもブログや2chの親戚みたいなスタンスも信じられないからよして欲しい。
頑張れ!岩波新書!
頑張れ!文庫の中の名作たち! -
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名作とベストセラーが綺羅星の如く並ぶ文庫本。その巻末に併録されている、所謂「おまけ」である解説。本書はこれを主役に据え、毒ある筆致で寸鉄釘刺す「解説の解説」書。誰しもが知っている不朽作品のあらすじと作風と時代背景をさらりと舐め、いよいよ“なっとらん解説”の中枢へ。筆法はあくまでも鋭く容赦なく遺漏なくぶった斬り。その多くの指摘は至極尤もで、作家先生ご指名の御用文芸評論家によるものも多く、解説の解説が必要とする「屋上屋を架す」ような難解極まりないものに出くわし、著者は原理主義的命題に辿り着く。「はたして、解説はだれのためのものか」。初読者への理解促進をミッションに掲げるわけでもなく、読書の愉しみをプロモートする任務を買ってでることもなく、言辞遊戯に没入する独善的文芸評論家に筆誅を喰らわす。中々痛快な本ではありますが、文芸に明るくないと、その小気味さを玩昧できないという絶対条件があることを付記しておきます。
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【目次】Ⅰ あの名作に、この解説 1 夏目漱石『坊っちゃん』 2 川端康成『伊豆の踊子』『雪国』 3 太宰治『走れメロス』 4 林芙美子『放浪記』 5 高村光太郎『智恵子抄』/Ⅱ 異文化よ、こんにちは 6 サガン『悲しみよ こんにちは』 カポーティ『ティファニーで朝食を』 7 チャンドラー『ロング・グッドバイ』 フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』 8 シェイクスピア『ハムレット』 9 バーネット『小公女』 10 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』 11 新渡戸稲造『武士道』 山本常朝『葉隠』/Ⅲ なんとなく、知識人 12 庄司薫『赤ずきんちゃん気をつけて』 田中康夫『なんとなく、クリスタル』 13 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』 マルクス『資本論』 14 柴田翔『されど われらが日々――』 島田雅彦『優しいサヨクのための嬉遊曲』 15 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』 16 小林秀雄『Xへの手紙』 吉本隆明『共同幻想論』 17 夏目漱石『三四郎』 武者小路実篤『友情』/Ⅳ 教えて、現代文学 18 村上龍『限りなく透明に近いブルー』『半島を出よ』 19 松本清張『点と線』『ゼロの焦点』 20 赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズ 21 渡辺淳一『ひとひらの雪』 22 竹山道雄『ビルマの竪琴』 壺井栄『二十四の瞳』 原民喜『夏の花』 23 野坂昭如『火垂るの墓』 妹尾河童『少年H』 百田尚樹『永遠の0』
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斎藤美奈子さんは大好きな書き手で、鋭い舌鋒が痛快だ。時事ネタより文学論のほうがより楽しめるのだが、政治への視線にも共感するところが多々ある。これは2010年から2015年6月にかけて書かれたもの。
震災・原発事故・領土問題・橋下徹・慰安婦問題・秘密保護法・嫌韓思想・集団的自衛権・ブラック企業・イスラム国…、目についたトピックを拾っていったら、どうにも暗ーい気持ちになってしまった。これでも安保法案はまだ入っていないのだ。あとがきに「あらためて通読すると、斎藤はなんだかずっと不機嫌ですね」とあるが、そりゃ不機嫌にもなるよ。著者得意の笑えるおちょくりも影を潜めるほど、状況は厳しいということだ。それでも、気分でものを言うのではなく、関連書物をきちんと読んで、自分の言葉で意見を述べているところがこの人らしい。
あとがきの終わりのほうに記されていた言葉をかみしめる。
「ひとまず私たちに必要なのは、執念深くなること、次の一手を常に考え続けていくことでしょう。あきらめた途端、声を出さなくなった途端にどうなるかは、先の戦争が示しています。安易に希望を語ることはできません。しかし私は、絶望もしていません」 -
戦下のレシピ 太平洋戦争下の食を知る
- カート
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試し読み
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戦後70年、ということでこの夏はテレビの特番やら映画やらあって、一方で政府がアレコレやっているという状況で、普段よりそっち方面への関心が高まっているおり、見つけたのがこの本。食べるものがなくて、みんな腹ペコで、筍生活で、その辺の草も食べて、みたいな断片的知識はあるけど、こうやって戦前から戦後食糧事情がなんとかまともになっていくまでをまとめた本を読むと、著者も言っているとおり戦争とは戦争で食料がなくなるのではなく、食料がなくなることが戦争なのだ、ということがはっきり理解できる。戦闘だけが戦争じゃないんだよね。銃後じゃなくてまさしく戦下なんだよね。にしても、この本で紹介されている当時のレシピはものすごい。いも、かぼちゃはまだいいよ。おからもまだまし。だんだん茶殻とかどんぐりとかじゃがいもの芽(毒でしょ)、クローバー、ゲンゴロウetc。米のかわりに配給されるのは謎の粉末とか鳥のエサみたいな雑穀。でもそんな食材?をなんとかレシピにして、当時の婦人雑誌に紹介しているんだよねえ。涙ぐましい。いつ何が起こるかわからないから、この本は大事にしておこう。
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ネタバレ<わかったこと>
・小説における妊娠は話を盛り上げるためのイベントの一つ
・小説における妊娠は女の武器
・作者は登場人物を妊娠させるために苦労する
・小説における妊娠はドラマチックで生と死とか愛ゆえの離別とかのお題目に結びつけやすいしその割に手軽なので作者にとっては重宝する
・妊娠小説のパターンは少ない
→なぜか? 妊娠という現象自体に結果や期間の制限があるから
<思ったこと>
・やっぱ舞姫はうまく出来てる
・妊娠小説はパターンが少ないので妊娠ばかりを中心に添える小説は陳腐化する傾向にある
・妊娠は味付け程度に使う小説のほうが面白いかもしれない -
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著者が、数々のベスト・セラー本を読んで、内容を紹介しつつツッコミを入れていくという本です。
五木寛之『大河の一滴』のような人生本、梅宮アンナ『「みにくいあひるの子」だった私』のようなタレント本、『話を聞かない男、地図が読めない女』などの疑似科学本など、自他ともに認める「読書家」がなかなか手にとらないような本を、一流の話術で紹介しているのですが、しかし考えてみればこれはたいへんな仕事だと思わざるをえません。もっともわたくし自身も、この手のベスト・セラーはけっこう好んで読むほうではあるのですが。そういえば、かつてナンシー関が、ふつうの視聴者は24時間テレビを見なくてもいいということにあらためて気づいて愕然とした、と書いていたことを思い出します。