斎藤美奈子のレビュー一覧
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ネタバレ結論もいいけど、分析の過程がいちいちおもしろい。
明治以降に著された中で、
いわゆる『望まない妊娠』を扱ったものを纏めて分析・批評した本。
有名無名のいろんな作品が出てくるが、妊娠に関わる記述のみピックアップしていて、すごくドライに扱っているので妊娠に対して神秘性とか求めてる人はイラっとくるかも。
妊娠小説って基本的に男の人の優位性が滲み出るもんなのだと著者は言いたいのだと思う。
なお、最後に取り扱ったお話一覧が付いているので、読みたくなった人には便利。
いわゆる、文学の中で扱われる妊娠というのは、
(男性に取って都合の良い)道徳を説くのにとても便利というのが、
触れた小説を通して実感が -
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Posted by ブクログ
高熱の中読んだ斎藤美奈子。高熱でも読めてしまうのが斎藤美奈子のすごいところだよな。わたし、趣味は読書。なんて、これからは絶対言えない。っていうか、実際本よんでねーし。『趣味は睡眠。』っていう本でも書こうか。
斎藤美奈子の何がすげえって、これは書評じゃなくて、そんなの超えて、社会学的な分析っていうか、マーケティングっていうか、そういうレベルの本であること。何が読者に求められているのかを分類して、わかりやすく、かつ面白く書いてしまったわけ。しかし、斎藤さんが自覚的であるように、彼女の言うところの「善良な読者」は、斎藤さんの本なんか手にとらんのだというのがものがなしい。もともと斎藤さんは編集者だった -
- カート
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試し読み
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戦地に行ったのは男性だったけど、女性も「銃後」として生活のなかで戦っていた。最たるものが料理で、戦時中も生き延びた女性誌を参考に、少ない食料や燃料で、家族の栄養を補う工夫を続けていたとのこと。
戦争初期は「イケイケ」の雰囲気で、戦意を盛り上げるイベント気分の料理も掲載されていたほどだったのに、戦況が悪化するに連れて、いかに野草や茶殻を食べるかの解説が載るまでに必死になっているのが、リアルに戦争の愚かさを表していた。
そして、戦時中〜戦後の食糧難はなんとなく知っていたけど、実は戦前から、農村部では慢性的な食糧不足に苦しんでいて、都市部との貧富の差がひどかったことは、知らなかった。。
なんとなく -
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なんリベポストモダン vs なんリベフェミニズム
高橋源一郎のことはポストモダン小説を評する、どこかすっとぼけたひとだと思ってゐる。読巧者とはまったく思ってゐない。むしろズレてゐる。
池澤全集の新訳古典のときも、町田康の「宇治拾遺」訳と自分の「方丈記」訳とを比べて、なるほどそのやり方があったかと町田訳に感心してゐた。それぐらゐズレてゐる。
だいたいが、純文学で社会を知らうとするのが無理やりなのだ。純文学は、文壇村とその周辺でしか通用しない通貨みたいなもんだ。木を見て森を見ず、群盲象を評す、である。
『アンクル・トムの小屋』が、奴隷解放に貢献した偉大な通俗小説なのはまちがひない。
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作品紹介・あらすじ
2011年から令和まで、計6回おこなわれた本をめぐる対話から、日本社会が浮かび上がる。思いもよらない解釈や、意外な作品との繋がりなど、驚きと発見に満ちた、白熱の対談集!
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雑誌「SIGHT」の年末に掲載されていた「ブック・オブ・ザ・イヤー」という高橋源一郎と齋藤美奈子の対談を集めた本。タイトルには「この30年」とあるが、実際の「ブック・オブ・ザ・イヤー」は2011年から2014年、及び2019年と2021年の計6年分が掲載されている。「30年」というのは平成~令和を総括したような形で記述されていることを指しているのだと思われる。
それにしても高橋源一郎も齋