斎藤美奈子のレビュー一覧
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「古今東西の名作132冊をラスト一文から読み解く」
つまり、名作の書き出しの一文は有名になるのが多いですが、作品最後の一文は忘れられてしまうようだ。
例えば超有名な「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の『雪国』末尾は覚えてない・・・。また、「下痢はとうとう止まらず、汽車に乗ってからも続いていた」というラスト文、わたしは「お見合いに行く令嬢に、これ、ないんじゃないのぉ!」とよく覚えていましたけども、この『細雪』の書き出しは、「はて、何だっけ?」
斎藤さんはほんとにいろいろな切り口を見つけ出しますね。
総数132冊、おもしろい名作案内でした。(続編もある)
このような名作ガイドを読 -
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Posted by ブクログ
自分は1973年生まれの45歳。
物心ついたころから本に親しんできました。
初めて自分で買って読んだ小説は、赤川次郎の「三毛猫ホームズ」シリーズ。
小学校高学年のころだったと思います。
それから現代文学を中心に読み漁ってきました。
傾向としては、純文学が多かったように思います。
ですから、今まで読んできた小説とそれを著した作家を、しっかりと時代に位置付けて俯瞰してみたいという欲求がありました。
ただ、夏目漱石や森鴎外など近代の小説の歴史をひも解いた本はあっても、自分が読んできた小説をカバーする本はほぼありませんでした。
概ね70年代から現在までに発刊された小説です。
本書はまさに、この時代に発 -
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「赤ちゃんができたらしいの」と女が宣告し、男はうろたえるという展開が、さまざまな小説のなかでくり返し描かれてきました。ほとんどパターン化しているといってよいこのような場面を含む小説を著者は「妊娠小説」と呼び、その構造と歴史の解明をおこなっています。
森鴎外の『舞姫』と島崎藤村の『新生』によって、「どうでもいい女の問題」だった妊娠が「どうでもよくない男の問題」に昇格し、文学のテーマになったと著者はいいます。それ以前の小説に描かれていたのは、「妊娠」ではなく「堕胎」でした。しかしそれは、「生むにせよ堕ろすにせよよろしくやってもらいたい」という男にとっては「問題の解決」でしかありません。こうして著 -
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文庫の解説が大好きだ。
わけのわからない解説がついているとがっかりするし、本文に劣らぬ輝きのある解説もある。
そんな解説好きはきっと珍しくないはずだ。
本書はそんなニッチな、マニアックな、「解説」にスポットライトを当てた珍しい本。
まずは名作から。
『坊ちゃん』の解説だ。
実は読んだことがないが、「痛快な勧善懲悪劇」(13頁)という認識はあった。
しかし、だ。
それを覆す悲劇として読んだ解説があるそうだ。
奇をてらいすぎじゃないか、何でもかんでも本流に逆らえばいいってもんじゃない。
あるいは、赤シャツがうらなりからマドンナをとったのではなく、マドンナの方から赤シャツに近づいたのだとした解説も -
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なぜ学校で教えないのかが分かり易く綴られている。
だとすると、若い世代を中心に政治に関心のある人が少ないのも頷ける。
穿った見方をすれば、この種の事が学校で扱われないのは陰謀論的な国策ではないかとさえ思う。
私はイギリスのEU脱退やトランプの台頭等、名だたる先進国が罹っているポピュリズムの根底にあるのは『自分達さえ良ければ良い社会』に他ならなず、先進国どころか先祖返りではないかと思っている。
個人的には、おらが村ではなく、国でもなく、世界を見据えるのが政治家の役目だと考えているので、はからずも先進国と呼ばれるこれらの国の現状はカタストロフへの序章にしか見えない。
隣人との共存が損なわれ -
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