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Posted by ブクログ
(4.6)
暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学の頃のいじめだったり、人間関係に重なる部分があった。思春期は思い出にするには輝かしいけど、実際は重くて深くて悲しいものでもある。そして果てしない性欲にも襲われる。全てが懐かしく共感できて、スイスイ読めるのもそうだが、重松さんに、また小説作家の表現力の凄さに舌を巻いた。言葉だけでは表しようのない思春期の難しい感情を物語を通して表現している奇跡のような一作だと思う。死刑囚と同じ穴の空いたような目になってしまったおまえがこれからどこまで落ちていくのか下巻が楽しみでしょうがない。
Posted by ブクログ
15歳の少年かがどった過酷な人生です。初めてこの本を読んだときには、あまりのショックで2,3日ほど何も出来なくなりました。
僕の中で、今の今まで消化できていない物語があって、本当はこうして書くだけでも気が重いのだけれども、がんばってキーを叩きます。それがこの重松清の「疾走」です。僕はこの物語を最初に読んだのは、就職が決まって荷物を新しい住所に送って何もなくなった部屋の中でした。
読み終えた直後、そのあまりのショックでしばらくの間、何もすることが出来ませんでした。主人公のシュウジが
「ねぇ、どうしてにんげんは死ぬの?」
という問いがすごく印象的で、
主人公のシュウジに対して「おまえ」という不思議な呼び掛けで全編に渡って救いようがない物語がつづられていく。そんなお話です。物語の中でシュウジのことを「おまえ」という人物も、重い重い「十字架」を背負っています。
舞台はある地方都市で『浜』で暮らす人間と『沖』で暮らすニンゲンがそれぞれいがみあって暮らしていて、主人公のシュウジが暮らす家は、優秀な兄と、腕のいい大工の父親、優しい母。そしてシュウジの四人で暮らしているのですが、「ゆめみらい」の開発などで街の様子が変わっていき、物語の中盤に、兄のシュウイチが赤犬(放火魔)になったことをきっかけとして、シュウジの家庭は一気に崩壊していきます。
その地域では放火が殺人よりも罪が重いからです。シュウジも『赤犬』の弟として、学校で凄まじいいじめに遭ってしまいます。そして、物語のヒロインであるエリも「ゆめみらい」の開発で事故に巻き込まれ、引き取られていた叔父夫婦が土地を売ったので、東京に引っ越していきます。
僕はこの話を思い出すたびにその日一日はものすごい鬱になりますが、僕にとってはマスターピースのひとつです。
Posted by ブクログ
重松清さん著作で、今まで私が読んだ本はみな、人間の良心が温かく切なく描かれた作品ばかりだった。こんな身も蓋も無い暗い話もあるのだと。。。。
でも闇の部分も語られるからこそ、温かい小説の方は、説得力のある作品になるのかもしれない。
文章が特徴的。
シュウジを「おまえ」と呼ぶ人物は誰だろう。
生まれた家が違っていたら、子どもらしい子ども時代を経て思い切り青春を味わってたであろうシュウジ。子ども時代の環境って本当に大切。
田舎の狭い世界での噂話。ウザい。
シュウジに「走る」というライフワークがあってよかった。走ることで人生好転するわけではないが気晴らしには、なる。
上巻の最後で、東京行きを決意したシュウジ。
下巻が楽しみである。
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