広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔をだしながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる……。十五歳の少年が背負った苛烈な運命を描く奇跡の衝撃作!
Posted by ブクログ 2023年03月08日
(4.6)
暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月05日
ラスト2ページがなかったら何も救いがないままだったのでは?
環境で人生って底なし沼の様に堕ちていくものなんだなと思った。シュウジの環境は厳しすぎた。
住んでいた場所が悪かったのか、生まれた親が家族が悪かったのか…悪い連鎖は止める事が出来なかった。誰も、神様だって止められなかった。
遠藤周作の「沈黙...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月18日
〈誰か一緒に生きてください〉
黒く、粘着質な液体。
あぶくがひとつ
懸命に浮かび上がろうと、もがく。
理不尽な衝撃が
何度もあぶくを砕く。
痩せ散らばった体で水面を目指す。
空気を吸いたい。
誰かと、つながりたい。
その瞬間、
この体が破裂してもいい。
/////
師走本⑧
「人生...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年09月15日
伏線回収みたいな技巧を小説に取り入れて、それを読み手に意識させてしまうような流行りの作家を低俗と感じていて、何故だろう、重松清も同じように見ていた。しかし、本作は、正しい重松清像を見せてくれた。漫画家に例える自分もどうだかとは思うが、キーチ‼︎を描いた新井英樹のような、読者への必死な対峙。舞城王太郎...続きを読む
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