感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年03月08日
(4.6)
暗くて、重い。どんよりとしていて呑み込まれていくよう。深淵に迷い込んでいく感覚。会う人、環境、境遇全てが救われない、酷い、切ない、辛い、目を背けたくなる。でも不器用に、必死に生きていくしかない。それでまた全ての心の描写、シチュエーションがリアルで生々しい。共感できる部分が多々あった。中学...続きを読むの頃のいじめだったり、人間関係に重なる部分があった。思春期は思い出にするには輝かしいけど、実際は重くて深くて悲しいものでもある。そして果てしない性欲にも襲われる。全てが懐かしく共感できて、スイスイ読めるのもそうだが、重松さんに、また小説作家の表現力の凄さに舌を巻いた。言葉だけでは表しようのない思春期の難しい感情を物語を通して表現している奇跡のような一作だと思う。死刑囚と同じ穴の空いたような目になってしまったおまえがこれからどこまで落ちていくのか下巻が楽しみでしょうがない。
Posted by ブクログ 2021年10月05日
ラスト2ページがなかったら何も救いがないままだったのでは?
環境で人生って底なし沼の様に堕ちていくものなんだなと思った。シュウジの環境は厳しすぎた。
住んでいた場所が悪かったのか、生まれた親が家族が悪かったのか…悪い連鎖は止める事が出来なかった。誰も、神様だって止められなかった。
遠藤周作の「沈黙...続きを読む」を思い出す。
今だって救えない子どもたちはたくさんいる。少しでも救いがあるといいと思うなんて、言葉が軽すぎて嫌になる。
Posted by ブクログ 2021年01月18日
〈誰か一緒に生きてください〉
黒く、粘着質な液体。
あぶくがひとつ
懸命に浮かび上がろうと、もがく。
理不尽な衝撃が
何度もあぶくを砕く。
痩せ散らばった体で水面を目指す。
空気を吸いたい。
誰かと、つながりたい。
その瞬間、
この体が破裂してもいい。
/////
師走本⑧
「人生...続きを読むの双六盤を全力疾走する「ひとり」の本」
「シュウジ=おまえ」という「にんげん」の運命と宿命の物語。魂を極限までこそぎ落とされながらも、つながりを求め命を燃やす姿は正視に堪えない。絶望の中に生の啓示を垣間見る傑作!
Posted by ブクログ 2019年11月06日
重松清でここまで救いのない話は珍しい。歯車が1つ狂い始めて、そこから他の歯車まで拗れていくような感じ。
きっと主人公は、誰よりも故郷と家族が好きでとても優しい少年だったのではないかと思う。だからこそ苦しい。
Posted by ブクログ 2024年01月23日
シュウジは普通の、極めて普通な優しい中学生で、それでも中学生に背負わせるにはあまりに酷な重荷を背負わされる。
ヨブと同様、心は極限まで追い詰められる。謂れもなく。
けれども、ヨブの前に現れた神は、シュウジの前には現れない。
現代の作家重松清が、デウス・エクス・マキナを出すわけがない。
でも、神はいな...続きを読むいのではなく、存在している。シュウジの前に現れないだけだ。
神はずっと視点として存在し、シュウジを「お前」と呼びながらじっと見ている。
助け舟を出すことなく、ただただ見ている。
シュウジが追い詰められていく過程は、巧みだけれど現実味はない。ヤクザもエリの義父もある種テンプレといえる。
けれども、神が善人に対して助け舟など出さず、ただ見ている、という点には恐ろしいほどのリアリティがある。
リアリティ、なんてものではなく、リアルそのものかもしれない。
この小説の肝はここにあるのだと思う。
つまり、善人を助ける神を書かないことで、現代版のヨブ記を書いたのである。
そして、デウス・エクス・マキナと違う、ノットバッドエンドを重松清は最後の最後に提示する。
最後の最後にはこのノットバッドエンドと同時に、
一見神視点と思われた、「おまえ」と呼ぶ主体が神父であると明らかにされる。神はいなかった
Posted by ブクログ 2023年12月30日
重松清の心情表現、やっぱりすごい。人情味のある作品が多い印象だったから、こう言う人の暗い面もえぐって書けるんだなぁ、すごいなぁ。
乾燥していて寒くて冷たい感じのする町で、少しずつ心が掠れて枯れてくシュウジがこの後どうなるのだろう。
心に溜まってるであろう抑えきれない衝動が、たまに性欲にむき出しになっ...続きを読むて現れてるのも良い。もっとやれ。
Posted by ブクログ 2023年06月13日
シュウジの家族の転落っぷりが悲し過ぎる。エリとシュウジには幸せになって欲しい、下巻が楽しみ。
一つ共感できるのは、シュウジの疾走。私も走るの好き、走りながら、あーだこーだ考えるけど、走り終わりの爽快感は堪らない。
Posted by ブクログ 2023年01月09日
走るのが好きな主人公の周りを取り囲む生々しく重い関係性が読んでて辛い。しかし、背景描写や「ことば」の描写が細かくどんどん引き込まれていく。この先がどうなるのかは微妙に読めないが、確実に悪い方に進むことだけは判る。下巻を早く読んでまとめて評価したいと思える。
Posted by ブクログ 2022年10月16日
「ひとり」で過ごすおまえは、意外とおしゃべりな少年だった。
仲間が欲しいのに誰もいない「ひとり」が、「孤立」。
「ひとり」でいるのが寂しい「ひとり」が、「孤独」。
誇りのある「ひとり」が、「孤高」。
「死ぬぞ」と脅すのは、「殺すぞ」と脅すのより、ずっとリアルだ。
Posted by ブクログ 2021年07月17日
まだ前半。主人公のまわりで、少しずつ壊れていく人たちを見るのは、とても苦しい思いになります。しかし、物語に鷲掴みにされながら、上巻が終わりました。主人公に救いはあるのでしょうか?後半を読みます。
Posted by ブクログ 2021年07月13日
正直あらすじを見た感想は「よくありそうだなー」でした。家族の中の誰かが不祥事を起こしてそこからトントン拍子で物語が暗い方向に、的な
読み終えた後、ため息が出ました。いい意味で。重くてじっとりするような余韻が残る、この読後感が好きなんだよなー。これだから胸糞は辞められない。
表現の一つ一つが生々しくて...続きを読む読んでてどんよりぐったりしてきます、こっちまで穴ぼこ空いてるみたいな目になりそう。それぐらい、思ったよりもずっとずっと暗いお話でした。
学校でも家庭でもトップでい続けた兄が挫折してどんどん堕ちてぶっ壊れていく様は読んでてキツい、、、自分の弱さを隠すようにひょうきんに振る舞うてつおも見ててとても痛々しい
そんな終始どんよりした雰囲気の中でも、えりの孤高さがより際立って輝かしく感じます。「あんた達、皆大嫌い。赤犬、ひとりじゃなくてもいいんだよ。」のシーンはスカッとしました。
下巻もほんと救いのない展開です
Posted by ブクログ 2021年04月15日
著者の作品は、好きでよく読みます。ほのぼのとした作品。涙を誘う作品。大人の御伽噺のような作品。おじさんである著者が、どうして少年少女の気持ちがわかるのか不思議にさせる作品。共通する部分は決して居心地の悪い、不安感を誘うような作品は読んだことがありません。私が知らないだけかもしれませんが。この作品は、...続きを読むズバリそんな作品だなあと感じます。上巻を読み終わった段階では全く救いがありません。でも、著者の筆力は読ませます。違和感から逃げることができずに読み進めます。下巻でも展開が楽しみです。
Posted by ブクログ 2019年12月25日
クリスマス時期に読むものではなかったです(汗)
ですが、他の重松作品と違って驚きましたし、気になってどんどん読み進めてしまいました。久しぶりの感覚です。ただ話が暗い、そして性的な表現が苦手なので途中辛い場面もありました、、、。
下巻早く読みたい。
Posted by ブクログ 2019年03月22日
推理モノ、戦記モノ以外、あまり好きになる小説がなかったんですが、文章が読みやすくあっという間に読めてしまった。孤立/孤独/孤高のくだりがなるほどと思えた。主人公の心の辛さが良くわかり読んでて苦しくなるところもあったが早く下巻が読みたくなる気持ちに最後はなった。
Posted by 読むコレ 2014年04月10日
「とんび」は読みましたが、とはいえ重松清なる作家をよく知らずに取り組んだ本作。
まずはずっしりと重い立ち上がり。
これはこの人の作風か? バッドエンドはあるのか?
寄る辺ない気持ちは暗中を手探りで彷徨わねばならない状況を思わせ、後半に向けて緊張感の増す上巻読了となりました。
扱う...続きを読むテーマがテーマなだけに、心の何処かでは勧善懲悪とばかりに読者をスカッとさせても良かろう等と期待もしてはみるのですが、にしても主人公を「おまえ」と呼ぶ回顧録的な人称と繋がる展開は想像できず、謎は残り不安が募るばかり。
人の心を弄びおって(笑
Posted by ブクログ 2023年04月05日
内容がしんどい。どうしようもないほどしんどい。
誰の視点で主人公の「おまえ」を描いているのか分からない序盤。「浜」と「沖」、教会に集う人、走ることなどの舞台設定が描かれた上で、やがて兄が壊れ、家族が壊れ、どこにも救いの無い話になっていく。
壊れてしまった人を「からっぽ」と呼ぶ描写がある。まったく救い...続きを読むの無い展開を読んでいるうちに、この本を読んでいる自分まで「からっぽ」になっていくような感覚がある。
上巻だけでは何とも評価できないので★3にしてみる。
Posted by ブクログ 2023年03月25日
ずっと不穏な本。純粋さを持っていた主人公シュウジが、成長するにともない、不機嫌さで友人を動かそうとしている描写を見て、兄のやり方に似てきているなと思う。そんなひとつひとつの描写から嫌な感じを受け続けます。
シュウジ、頭の中ではあんなにおしゃべりなのに言葉にはできないのが悲しいな。
Posted by ブクログ 2023年03月05日
幼少期から15歳までのシュウジの人生は暗澹としている。
将来への希望は萎み、少しずついろんなものを諦めていく。
彼が「ひとり」になっていく過程を残酷なまでに描いた作品。
どんな結末を迎えるのか分からない。
ただ、アカネやエリや神父さんの存在が彼にとっての救いになれば良いのにとは思う。
Posted by ブクログ 2022年11月03日
「流星ワゴン」「ビタミンF」を読んだ後だからか作者に対するイメージががらりと変わる作品。
田舎に住む主人公の少年が家庭の崩壊や街の開発などのしがらみによって“ひとり”になってゆく上巻。
彼の置かれた“ひとり”という状況は孤独なのか、孤立なのか、孤高なのか-
暗く、重く、生々しい表現が多いのでず...続きを読むしりと響くものがあるけれど何故か一気に読めてしまいます。
オススメできるかどうかは、微妙。
好きな作品と言えるかどうかも下巻を読んでからでないと決められません。
Posted by ブクログ 2022年01月12日
星評価は実はゼロとも5とも
両方なのであえて真ん中の3つで
今まで自称イヤミス大好きだったですが
ホンモノのイヤミスを読んでしまった感
ちょっとトラウマ級
下巻を読む元気ない
しんど過ぎた
しばらくこういうのはもうダメだ
この感想が重松清さんが望む感想なら
してやられたって感じ
すっごい嫌...続きを読むいですっごい好きみたいな
そんな感じ
Posted by ブクログ 2020年08月26日
心の奥底の闇を吐き出すような表紙。感想を書くのも辛くなるような、重いテーマが次から次へと重なり読後感は深く重く残る。読んでる時は重く暗い気持ちになっていくのに、読む手は止まらない。堕ちる時はとことん落ちてしまうのか。全て背負って行って希望を残していったのかな
Posted by ブクログ 2020年04月16日
これはねぇ、他の重松作品と違うね。
いつもなら、ラストシーンでホンワカさせてくれるのに、この物語は最初から最後まで悲しすぎます。
重い退廃感が強すぎて楽しめませんね。
ただ、主人公が15歳という事で、若い読者なら何かしら示唆してくれるものがあるのかもしれない。
が、性描写が異常なので、薦めるには勇気...続きを読むがいるかも。
DVDにもなってるようだけど、あまり見たいとは思わない。
表紙の写真(絵?)が強烈ですが、内容も同じように怖い話です。
Posted by ブクログ 2019年11月05日
内容(「BOOK」データベースより)
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家...続きを読むはたちまち苦難の道へと追い込まれる…。