あらすじ
誰か一緒に生きてください――。犯罪者の弟としてクラスで孤立を深め、やがて一家離散の憂き目にあったシュウジは、故郷を出て、ひとり東京へ向かうことを決意。途中に立ち寄った大阪で地獄のようなときを過ごす。孤独、祈り、暴力、セックス、聖書、殺人――。人とつながりたい……。ただそれだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた少年の軌跡。比類なき感動のクライマックスが待ち受ける現代の黙示録。
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Posted by ブクログ
初めてこの本を読んだときの衝撃は忘れられない。”死にたい”の重みが違うと感じた。私にとってこの本は、辛い現実を生きていくための精神安定剤のような役割を果たしている。
Posted by ブクログ
評価が星6つあったら6つけてた
こんなに揺さぶられる物語はないと思う
人は強そうに見えて、実は弱い
弱いからつながろうとするし、
つながるから傷つくこともある
絶望に飲まれても前に進めば
必ずどこかに希望があるのが生きるということではなかろうか
なんて思いながら読んでいたら、
救いのない物語と言われていると知り驚いたけど
そんなことはないと思うし少なくとも自分は救われた
絶対にまた読む
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白くて、救いがなくて…でも本当に熱中して読んだ。色々なエグい話が詰め込まれていて…気づいたら朝だったのを覚えている。ここまで刺激になった本があると、他の本が物足りなくなりそうなくらい。
Posted by ブクログ
切ないなぁ。
そんな終わり方って…
読後感は、あまり良いものではないね。
でもさぁ、
「生きよう!」
そう思わせてくれる何かが、確かにあった。
みんな「ひとり」なんだなって。
でもひとりじゃない、
負を背負って生きてる人は、自分だけじゃない。
みんな何かしらを背負って生きてる。
人の幸福を羨むことも、人の不幸にほくそ笑むことも、同じく無意味だってことかな?
「自分だけ不幸だ!」なんて顔するな!
Posted by ブクログ
(5.0)
言葉にできないほど胸がいっぱい。胸がいっぱい。ただいっぱい。こんなに心の真ん中がいっぱいになる本は久しぶりだ。物語の進め方、言葉のチョイス、表現全てが本当に素晴らしい本だった。内容はとてもつらくて、重いものだが色んな人に読んでほしいと思える、終始グダることのない完璧な一冊だと思った。
186p 「自転車は買わない。ナイフを買おう、と決めた…」ここまで追い詰めまれて、心を壊して、閉ざして、、何も言えない気持ちになった。
192p 「火は落ち着く タバコも放火も…」自分の心の闇と兄の心の闇が、ひとりぼっちの闇が繋がった気がして、悲しくなった。
235p 「お前は知らない、神父の手紙」いい…
247p 「ラブホテルにてクライマックス」
ここからは呼吸を忘れるくらい物語に引きづり込まれる。
2時間が一瞬だった。
352p 「おまえは、すでに、物語の閉じ方を決めていたのだろう…」
オチのつけ方を想像しながら読んでいた。ここまで盛り上がってどう終わらせることができるのだろうと。この一文で自分の思考など、推測など全てを嘲笑うかのように吹き飛ばされた。ゾッとした。身震いさえした。降参です。
疾走のように読みました
面白かった、と言っていいのか。
とにかくすごい作品でした。
最後までまさしく疾走のように読みました。
ここまで絶望的でなくても良かったのではと思いますが、ラストには温かいエピソードもあり救われました。
結局シュウジもエリも「ひとり」じゃ無かったんだよ。
今「ひとり」と感じるている若者にも読んでほしい作品です。
中学生には衝撃的すぎると思うけど・・・
Posted by ブクログ
この巻でシュウジのものがたりは『完結』するんですけれど、これを読んで僕はもう6年近くが経つわけですが、いまだに彼のたどった『生』を強く考えている自分がいて、少なからず驚きを感じております。
この本の最初で、アカネによって女を知ったシュウジは自分が生まれ育った街を出て、大阪でアカネの夫であるヤクザの新田に陵辱を受け、アカネが新田を殺して、シュウジは東京に出ます。
そして彼がもぐりこんだのが、(具体的な地名は書いていないがおそらく多摩ニュータウン)の新聞販売店でした。
僕はかつて、新聞の世界、及びあの界隈で仕事をしていたことがあるだけに、所長の人物像や同居人の「トクさん」のことや、シュウジが新聞を配る描写が克明に今回読み直していて、頭に浮かんできました。
そして、初めての給料は盗まれ、道中で拾った携帯電話で東京にいるエリに『会いたい…』ひたすら懇願して、
「新宿までこれる?」
とエリが応えた場面がすごく印象的で、映画はここが確か新宿駅の東南口でしたが、よく歩いていた場所だけに
「僕もあそこでシュウジやエリにすれ違ったのかな?」
と言うようなことを思ってしまいました。
ところが、シュウジが絶望の中で出会ったヒロインのエリも二人で入ったラブホテルでの独白で事故で歩けなくなって、叔父夫婦に引き取られて東京に引っ越してからは叔父からの執拗な性的虐待と叔母の容認で、自暴自棄になり、ひたすら行きずりの男に身を任せると言う場面はあまりにおぞましさに、読んでいるページが止まってしまいました。
そして、ホテルを出た二人はある商店街を歩いていて、
エリがそのシャッターに
「誰か私を殺してください」
そしてシュウジが対句のような形で
「誰か一緒に生きてください」
と落書きするほどに毀れていて、
ここで僕は涙が止まりませんでした。
シュウジとエリは結局、最後は『ひとり』と『ひとり』に戻ってしまいますが、アカネとシュウジとの間に出来た『ノゾミ』と言う男の子の存在がこの救いようのない物語に一筋の光を与えてくれるような気がしてなりませんでした。
やばい
不覚にも、泣きました。
最初、ほんわか、次第に現実的に、中盤は「ふうぅん」と、遥かな自分の記憶を微妙に重ねたりしながら、そこまでは…と思いながら。
最後、あれで良かったんだろうな。
それにしても、14、5歳であれだけ密度の濃い体験、孤独と孤独が重なる体験が出来るのは、ないだろうなぁ。望んでも出来ることじゃない。
疾走とは、うまい題をつけたものです。
久しぶりに心に残る小説を読みました。
濃い2日間でした。
Posted by ブクログ
つらい展開ばかりだったけど読むことを止められない、そんな物語。
救いなしを好む私でも読んでいる最中、どうかシュウジは救われてくれ…と。
自分は孤独で孤立、人とつながりたい…と願っていた少年。ひとりで駆け抜けていってしまったけどちゃんと人とつながっていたと思う。
Posted by ブクログ
上下巻通してこちらの気分がどんどん悪くなるような重い展開が癖になり最後まで読み切った。1人の少年の濃密な数年を余すとこなく体験したような感覚になった。この本は心をぐらつかせるような魅力がある。
Posted by ブクログ
ずっと暗い描写が続く。読むのが辛くなることもあるが手が止まらない。
報われて欲しいと祈りながら読んだ。読後は寂しい。
家族の愛と適切な教育がいかに大事か。
Posted by ブクログ
目を背けたくなるような描写のなか、シュウジがほんの僅かでも救われることを願いながら読みました。
よく人が“堕ちていく”と言うけれど、シュウジはこの物語の初めから堕ちていたと思います。タイトルのあらわすように“疾走”だったなと思います…。
最初から最後まで苦しいけれど、シュウジのような、それよりも苦しい人生も必ずどこかにあるんだと思うと行き場のない悲しみを感じる。
Posted by ブクログ
駆け抜けて、最後苦くてあったかい余韻を残してった。重松さん、やっぱ好き。
シュウジはずっと「ひとり」だと自分を思ってたと思うけど、私はシュウジの人生を外野からのぞいていて、色んな人を救ってたし救われてたと思うよ。
アカネに子どもっていう生きがいを与えて、エリも救って...逆にアカネに救われて、エリを生き甲斐にして、神父に見守られ、みゆきに助けられ...「ひとり」同志支え合って生きていたと思う。本当に「ひとり」なんてこと、ありえないんだと思う。
ずっと語り手が誰か気になってた。そっかーー、まぁそうしかないかぁ、最後に少しでも救われてよかった。
Posted by ブクログ
痛い…痛すぎる…(༎ຶ⌑༎ຶ)
この手の小説は、読んでいてとても辛い…。
苦手分野です。
15歳の少年シュウジが背負った運命が辛すぎるお話です。
彼の住む干拓地がリゾート計画で変わってしまうのと同時に、優秀でプライドの高い兄が犯罪に手を染め、家族が崩壊していく。
干拓地の教会で聖書を手にして以来、聖書の言葉が引用されながら話が進みます。
中学生になったシュウジは兄の犯罪が原因で、学校で酷いいじめにあいます。
ーーーーー
おまえは思い出す。いつだったか、あの頃はまだおまえの「親友」だと言っていた徹夫と、教会の講話会で教わったことを話したのだった。
「孤立」と「孤独」と「孤高」の違いについて、だった。
仲間が欲しいのに誰もいない「ひとり」が、「孤立」。
「ひとり」でいるのが寂しい「ひとり」が、「孤独」。
誇りのある「ひとり」が、「孤高」。(中略)
おまえは、まだ自分の「ひとり」が三つのうちどれに当てはまるか、わからないでいる。
(本文より)
ーーーーー
誰かと繋がっていたい。と思ううちは孤独です。
社会から孤立した時に思い出しそうな言葉。
神父には弟がいて、人を殺した犯罪者です。
弟が、シュウジに会いたいと言ったのです。
シュウジは空っぽの彼を見て衝撃を受けます。
ーーーーー
「俺たちは、同じ、だ」
(本文より)
ーーーーー
自分の恋人一家を殺した弟は、からっぽの、穴ぼこのようだった。
多感な年頃の中学生には影響が強すぎる…。
弟が言った言葉も描き方が秀逸。
魂の宿っていないセリフということが読んでいて伝わってきます。
痛い…(T-T)
まさに「疾走」というタイトルがピッタリ。
過酷な人生を駆け抜けた少年の、衝撃のラスト。
いつまでも心に残る作品だと思います。
Posted by ブクログ
重松作品こんな最後は初めてかもしれない
これで良いのか
と、思ってしまった
家庭崩壊、もっと酷い現実もあるかもしれない
最後まで不幸だった主人公
主人公自身はそうは思っていなかったかもしれないが
そういう人生を歩んでいる人は、世の中に数多くいるかもしれない
作者はそのことをあらためて読者だけではなく、多くの人に知らしめたいと思ったのだろうか
Posted by ブクログ
救われない人物には救われないなりの救いがあるのだと感じた物語だった。シュウジは孤独でただ一人のまま終わったが、一人を背負われた人々に僅かな希望を残すことができた。一人のままで一人では無くなったのだなと感じた。
Posted by ブクログ
つまらないかどうかはわからない。ただ、寂しそうな酒の飲み方だとは思う。
強くて賢くて優しいひとはいいけど、弱くて愚かで優しいっていうのは、最悪だと思う。
Posted by 読むコレ
上巻の運命と宿命の件が過ります。
主人公はその境遇から早々に自身の宿命を受け入れていたのでしょうが、そこに至る運命までも天に委ねてはいません。
彼はその優しさが故か運命の岐路の都度、周りの人達の為に愚かと言える選択を繰り返しますが、そうして代わりに背負った荷物の重さに足をもつれさせながらも振り返らずに疾走せざるを得ない姿は余りに痛々しい。
作中で人生は不平等でかつ公平だといい、彼の物語の結末も辿った道のりを思えば公平と解釈できると言えなくもないのも何ともやるせません。
とはいえ物語は人が愚かだからこそ面白い。
良作。
Posted by ブクログ
シュウジはどこで間違えたんだろうか。ほとんど出会わなければ良い奴らと出会っている。アカネだろうか。しかし出会わなければこんなに曇りきった人生を歩まなかっただろう。できればシュウイチみたいに壊れてほしくはなかったけど新田が壊しちゃったのかな。何がシュウジにとって良くないことの始まりだったのかは、読み手によって意見が変わるのかな?様々な解釈のできる話で良かった。語り手が神父だったことよりもシュウジの人生を考えてしまう。
Posted by ブクログ
重松清といえば小学生向けの小説というイメージだったのだけど、こういうものも書いていたんだ、、、
ことばが立っているような書きっぷりはさすが。ただ、そのせいかドロドロしたものを描いてもドロドロした感じがしなかった。
Posted by ブクログ
あまり、重松清さんらしい作品ではないと感じました。
暗い話だったけどどこか心に残る気もします。
いつものようなあたたかい気持ちになる本が好きな人は好みじゃないかもしれません。
Posted by ブクログ
物語がどう終わるのかなぁと思ってたらこう終わったか……。重松清さんは割と「家族の再生」がテーマになることが多いと思うのでラストは意外といえば意外なかんじ。でもまぁ主人公が死んだというだけで、その後に続くものは描かれてるんだけど。
圧倒的な「一人」の人生を最後まで書き切った怪作だった。「一人」と「一人」が一緒に歩み出せたところで、終わってしまったけど。語り部はずっと宮原(弟)の方だと思ってたけど、神父の方だったんだね。終盤、語り部が誰か分かって、神父の人格が出てくることで物語が二重になり、二重のまま進んで、最後には生きている神父だけが残る。この構成すごいなと思った。
⚫︎あらすじ
「どうして、にんげんは死ぬの?」
舌足らずなおまえの声が言う「にんげん」は、漢字の「人間」とも片仮名の「ニンゲン」とも違って、
とてもやわらかだった。そのくせ「死ぬ」は輪郭がくっきりとして、おとなが言う「死ぬ」のような照れやごまかしなどいっさいなく、
まっすぐに、耳なのか胸なのか、とにかくまっすぐに、奥深くまで、届く――。
想像を絶する孤独のなか、ただ、他人とつながりたい……それだけを胸に煉獄の道のりを懸命に走りつづけた一人の少年。
現代日本に出現した奇跡の衝撃作!
(角川公式HPより引用)
Posted by ブクログ
こんなに救いようのない人生があるのかと思った。
進んでも進んでも闇の人生を少年と少女はよく生きたなぁと思う。
こんな経験をしてもちゃんとにんげんの心を最後まで持つことができたシュウジは本当に優しい子だと思う。
最後の光景をシュウジも見て微笑んでいることだろうと思った。
もう一度読むことはないが、読んで良かったと思う作品。
Posted by ブクログ
上巻のあまりの救いの無さに心を「からっぽ」にされた状態で下巻を読み始めた。
下巻は話の展開が速くなり、奈落の底に向かって「疾走」していく感じ。安易な希望は無いだろうと思える展開なので、より一層「からっぽ」になった心で読んだ。
少年と少女はよくがんばったよ。
こういう過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生きている子供たちが世界のあちこちにいるんだろうなと思った。
もう一度手にとれそうにない重い一冊でした。
Posted by ブクログ
読み終わった時、クソみたいなストーリーだなと正直思いました。作者はどうして歪んだ若者の感情をこんな如実に書けるんだろうか。すごい。
他所から見たら他の選択肢は確かにあったのに、あの時はそれしかなかった、そんな気持ちを終始抱える本です。
Posted by ブクログ
15歳の少年が背負った過酷な運命。
物語の行く先に一筋の光も見えないなんて絶望感しかない。
『誰かと繋がりたい』と一心に願う彼を救ってくれと思いながら読み続けた。
繋がることでかえって苦しくなったとしても、誰とも繋がらないよりはマシなのだろうか。
何かしらの傷を負った人が現れては物語から消えていく。
彼らにとっての救いとは何だったのか。
シュウジにとっての救いとは何だったのか。
彼を大切に思う人間がこの世に存在していること。
そのことにもっと早く気づいていれば、何か違っていたんじゃないだろうかと考えてしまう。
Posted by ブクログ
重すぎる作品でした。
現実ではありえない、と思いたいけれどありえそうだから怖くて、悲しくて、切ないお話。
タイトルの通り疾走してるけれど、上巻で主人公が走っている時のような爽やかな感じではなく谷底に向かって全速力で走っているから誰にも止められない、けれど目を離せない、そんな感じです。
目を背けたいのに背けられずに読みきった後は感動とは違った涙がこぼれましたが、正直言って2度と読みたくありません。
ストーリーがあまりに重いのと性描写が多く、グロテスクすぎて個人的に苦手だから。
斜め読みしても、気持ち悪くなりました。
Posted by ブクログ
下巻で地の底まで気持ちが墜ちました。
この物語は、「僕」などの一人称や「彼」などの三人称ではなく、
「おまえ」という二人称で語られる珍しい形式でした。
読んでいてなれなかったんだけど、「おまえ」というように
語られることで、ぐっと主人公の気持ちや行動なんかを突きつけられる
感じがしました。そして内容もどんどん重くなっていく。悲惨です。
物語のなかにも出てくるんだけど、「運命」に翻弄されるんですよねぇ。
この読後感もなかなか落ちさせられるものでしたよ。ははは…。
重松清という人は、本当にその登場人物の知的レベルや年齢に合わせて
思考や会話を繰り広げているなぁという印象を受けました。
妙に大人びた思考や会話をしないぶん、小説のキレみたいなのが幾分
失われるかもしれないけど、そのへん丁寧に現実感をもたせようと
しているんじゃないかと思わせられます。子どもがいうことは子どもがいうように。
大人がいうことは大人がいうように。そのへんの切り替えというか、
キャラクターの多様さにすごいなぁと思わせられました。