一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
Posted by ブクログ 2019年10月02日
「忘れてはいけない」
という事がテーマの小説だった気がします。
題名から簡単に受け取るのは、
カープや初優勝のこと。
でも、重松さん、流石それだけじゃなかった。
戦争や原爆の影響のこと。
都市や地方の格差のこと。
両親や血縁の大事なこと。
土地や引越の無様なこと。
感謝や憎悪の発生のこと。
夫婦...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年09月13日
1975年の広島が舞台。
3人の中学一年生を中心とする物語。
原爆の傷跡、閉鎖的な町、転校、友情など、様々なテーマが一冊に込められています。
広島カープが1975年に優勝できたのは、赤ヘル集団から赤ヘル軍団になったから。
野球は一人ではできない、みんなで補い合いながら仲間で戦う。
600ページ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年03月16日
9月4日のオリックス・バファローズ戦は延長12回に入り、午後5時20分を過ぎていた。突然の豪雨による中断も重なって、当初予定していた新千歳への最終便搭乗を断念することが決まった。新しい行程は翌日、旭川への直接移動だった。
伊丹を発ち、経由地となった羽田。乗り継ぎまでの時間をつぶすために搭乗ゲート付近...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年02月12日
極貧球団だった頃のカープ選手の練習風景、熱狂するカープファン、いつも引き合いに出されるジャイアンツの話を、亡くなった父からよく聞かされていた。
私自身は、原爆や復興途上の広島を知らないが、あの時代に生きていたら、カープが希望になっていただろうと思う。
なぜカープが広島でこんなに愛されるのか、県...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年08月17日
広島カープを作中で扱う作家からは、必ずと言っていいほどカープ愛が溢れている。それは作中で永川勝浩の劇場っぷりに苦言を呈する東川篤哉然り、初優勝時の熱狂を少年たちの群像劇を通して描ききる、本作然り。カープには広島県民にとっての「物語」がある。本作はフィクションだが、多くの広島人にとっての自己投影になっ...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年09月17日
カープ優勝当時の時代背景をもとにカープと広島について書かれた物語。
東京から引っ越してきた「よそもん」のマナブくんが広島県民の拠り所ともいえるカープを、そしてかつて原爆の落とされた広島という土地と人間性を理解していく。
そこには様々な物語があり、マナブ君の家庭事情、友達の事情、少し謎めいた少女の事...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年10月11日
1975年、弱小球団広島東洋カープが悲願の初優勝に向かって奇跡を起こすとき、東京からの転校生・マナブにも熱い友情が芽生える。広島の街が最も熱くなった一年を描く長編小説。
世界で初めて原爆が落とされた街には、世界で最も地元民に愛される球団がある。たくさんあるエピソードの源にすべて愛がある。少年たちの心...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年09月26日
1975年のカープ優勝がベースではあるが、そこは流石に重松清。少年目線からのカープを描きつつ、被爆者の苦悩までキッチリと描ききっている。
文庫本だと640ページにもなるのだか、バランスとテンポが良く、飽きてくることもない。
ヤス、マナブ、そして愛すべきその親父。
何よりも広島の街と市民がイキイキ...続きを読む