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一九七五年――昭和五十年。広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年が経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
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Posted by ブクログ
広島という地にも思い入れがあるし、カープファンでもある私。 プロローグで語られる赤ヘル誕生当時のファン、とりわけ子どもたちの心情とはこんな感じだったのかと知る。 広島のつらい歴史も語られ、カープが初優勝した年は、まだそういう空気感だったのか、と知る。 タイトルでもある1975年の広島は、まだこんな雰...続きを読む囲気だったのかと知る。 過日、広島の学校で行われている平和教育のテキストの内容が変わったことが全国ニュースになった。平和公園の資料館はリニューアルし、焼けただれた人を表した人形が展示されなくなったと聞く。 物語の中で、庄三さんがちぎり絵に取り組むシーンに胸が締め付けられる。こういうことを、戦後生まれの私たちはどうやって後世に伝えていけばいいのだろうか。 手に取るのにちょっと勇気が必要な本の厚みと、ただ戦争の辛い歴史を語るものでもなく、ただカープの初優勝の歴史を語るものでもない、ノンフィクションに近いフィクション。 途中、随分長く積んでしまって再びページを開くのに時間がかかったけれど、最後まで読んで良かった。 著者によるあとがきもまた沁みる。今のカープを、今の広島を、今の世界を、きっとどこかで生きているであろうマナブ、ヤス、ユキオたちは、どう思っているのだろう。
広島を知りたくて、広島が舞台の作品として発見。 期待以上の好作品でした。 「昔のことを知らん子どもらや、よそから来たひとや、そういうみんなが、ずうっと思いつづけてあげとるうちは、アメリカもソ連も、原爆や水爆をよう落とせんよ。おばちゃんは、そがあに思うとるんよ」 「原爆を落とされて、まだ三十年しか...続きを読むたっとらんのじゃけえ」
1975年。終戦からまだ30年しか経っていない広島へ転校してきた中学生のマナブと広島育ちの同級生ヤス、ユキオ、そしてクラスメートの真理子との交流の話。タイトルからは赤ヘル軍団カープの初優勝への軌跡がメインテーマのような印象を受けるが、実際はそうではない。赤ヘルの快進撃はむしろBGMで、中学生同士のぎ...続きを読むこちない友情と、原爆被害の悲惨さあるいは戦争の記憶を継承していくことの難しさとが交互に物語の主旋律をなしており、特に後者は相応に重いテーマとなっている。 赤ヘル初優勝のストーリーを主に期待して本書を手に取る人は、やや期待を裏切られるかもしれない。ただ、荒くれものが多かった当時の野球界のエピソードは現代の常識からの想像を超えていて、そこだけピックアップしても興味深く面白い。その意味では、単に野球好きというだけで本書を読むのも決して悪くはなく、もしカープ好きならば球団のルーツとバックグラウンドを理解する上で間違いなく一読に価する。 いくつも絡み合うテーマをよく深堀りして描き切ったなと思わされる一冊。
1975年の広島を舞台に描かれる少年たちの友情の物語。広島カープが優勝に突き進み、街や住人の熱狂とともにじんわりと心が暖かくなる物語です。オススメ!
「忘れてはいけない」 という事がテーマの小説だった気がします。 題名から簡単に受け取るのは、 カープや初優勝のこと。 でも、重松さん、流石それだけじゃなかった。 戦争や原爆の影響のこと。 都市や地方の格差のこと。 両親や血縁の大事なこと。 土地や引越の無様なこと。 感謝や憎悪の発生のこと。 夫婦...続きを読むや子供の関係のこと。 戦前や戦後の変化のこと。 投機と商売の心情のこと。 そして。 怒りと祈りを忘れない事。 全ての場面において、悪感情を吐き出す、まさに今だけ派の人物群と、優しさ溢れる未来志向の感情を持つ人物群が用意されていた。 その対極的な感情のぶつかり合いが書かれていたのが印象的でした。 人は今を生きるために、忘れざるべくして忘れ、この瞬間に集中してしまう。 ふと、何かのタイミングで。 過去の経験、目を背けてきたもの、忘れたい出来事、負の側面や負の感情、そんなものが「心の中」に溢れ出る時がある。 ただ、何かのその反面で。 助けられた経験、真正面に向合ったもの、忘れちゃいけない出来事、陽の側面や正の感情、そんなものが「心の中」に沁み出る時もある。 この揺り返しがありながら、誰もが人生を歩く。 「ほいじゃが、忘れたらいけん、忘れてしもうたらいけんのよ」 刻まれた、悲しみと苦しみと怒りと祈りを、決して忘れてはならないように――。 -p563 実際、広島に生まれ育ったせいで、個人的にあちこちの文章で共感もあったし、地名や広島弁がなんとも心地よく感じた読後感でした。 原爆ドームと旧広島市民球場の間の、相生橋などは毎日通勤で利用している。 ただ、そんな地元愛を越えた、普遍的な魂の叫びが、重層的に広がる登場人物たちの中にから読み取れるという点において、とてもイイ小説に出逢えたと思いました。 そして関係ないけど。 今期(2019年)は4位に終わったカープでした。。。笑
1975年の広島が舞台。 3人の中学一年生を中心とする物語。 原爆の傷跡、閉鎖的な町、転校、友情など、様々なテーマが一冊に込められています。 広島カープが1975年に優勝できたのは、赤ヘル集団から赤ヘル軍団になったから。 野球は一人ではできない、みんなで補い合いながら仲間で戦う。 600ページ...続きを読む以上ある本ですが、解説まで含めて、非常に読み応えのある本でした。 大人にも子供にも読んでもらいたい、おすすめの一冊です。
9月4日のオリックス・バファローズ戦は延長12回に入り、午後5時20分を過ぎていた。突然の豪雨による中断も重なって、当初予定していた新千歳への最終便搭乗を断念することが決まった。新しい行程は翌日、旭川への直接移動だった。 伊丹を発ち、経由地となった羽田。乗り継ぎまでの時間をつぶすために搭乗ゲート付近...続きを読むの売店で何気なく文庫本が並んだ棚を眺めていたとき、一冊の分厚い本が目に入った。手に取った。600ページを超えていた。しかし、直感した。 「これはいま読まないと後悔する」 一気に読んだ。この時代に我々が野球人たりえる理由は何か。モチーフとなった広島球団、そして広島そのものの歴史、また登場人物たちの想いによって、突きつけられるものは多い。次に広島に行くときには、いままでとは違う感情を抱くに違いない。来月末。何としても、と思う。 現職を拝命して7回目の9月5日。野球の神様からもらったプレゼントは、4年連続の白星ではなく、素晴らしい一冊との出会いだった。
極貧球団だった頃のカープ選手の練習風景、熱狂するカープファン、いつも引き合いに出されるジャイアンツの話を、亡くなった父からよく聞かされていた。 私自身は、原爆や復興途上の広島を知らないが、あの時代に生きていたら、カープが希望になっていただろうと思う。 なぜカープが広島でこんなに愛されるのか、県...続きを読む民性などというぼんやりとした理由ではないような気がした。 中学生の息子は、今ではあり得ない、昔のカープファンの暴走ぶりがツボにハマったようだ。
広島カープを作中で扱う作家からは、必ずと言っていいほどカープ愛が溢れている。それは作中で永川勝浩の劇場っぷりに苦言を呈する東川篤哉然り、初優勝時の熱狂を少年たちの群像劇を通して描ききる、本作然り。カープには広島県民にとっての「物語」がある。本作はフィクションだが、多くの広島人にとっての自己投影になっ...続きを読むているのだろう。私は宮城県民だが、ここまで熱狂的に愛されるチームのファンであることを誇りに思うし、この物語を通じて、また赤ヘルが好きになった。
カープ優勝当時の時代背景をもとにカープと広島について書かれた物語。 東京から引っ越してきた「よそもん」のマナブくんが広島県民の拠り所ともいえるカープを、そしてかつて原爆の落とされた広島という土地と人間性を理解していく。 そこには様々な物語があり、マナブ君の家庭事情、友達の事情、少し謎めいた少女の事...続きを読む情など多くの出来事が描かれている。 子供の事情もあれば大人の事情もある。 マナブ君にとっても周りの人にとってもきっと忘れられない、青春の1ぺージがそこにはあったのだろうと思える。 すごく個人的な感想になるが広島の人情味溢れるところはすごく好きである。 今年もカープは強く、ファンの一人としてはこのままの勢いで行って欲しいところ。 今は横浜在住の身としてはベイスターズも優勝したら広島みたいに盛り上がるのだろうかと少し思ったりもしている。 追記 再読しました。 今年もカープはセリーグを首位で突き進み、38年ぶりの連覇は目前です。 明日、敬老の日に2位阪神を倒して優勝を決めるというドラマティックな展開があるかもしれません。 私は何故か会社関係の講習会に出席予定ですけど。 完全に私事ですが、この土日は昨年亡くなった秋田の祖母の家に行って遺品の整理をしてました。 1960年の東京オリンピック時に建てられた家も取り壊しが決定したようで感慨に耽っていたところです。 時間の流れだけは止められなくて気づけば何かを残さなければならない大人になってしまっているわけですが、今を大事に大事にしようと思いました。 もうひとつ、これも完全に私事ですが、3月にカープのオープン戦を、意中だった広島出身の方と観に行く機会がありました。 想いを伝えると、「カープのこと嫌いにならんでな」と言われたのですが、カープも広島もたぶんずっと好きなままだと思います。 そのセリフの言い方が作中の真理子の「広島のこと忘れんといてな」に似てたのですが、広島の女性の優しさというか人情味というかを私も肌で感じることができました。
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