【感想・ネタバレ】赤ヘル1975のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年05月03日

広島を知りたくて、広島が舞台の作品として発見。
期待以上の好作品でした。

「昔のことを知らん子どもらや、よそから来たひとや、そういうみんなが、ずうっと思いつづけてあげとるうちは、アメリカもソ連も、原爆や水爆をよう落とせんよ。おばちゃんは、そがあに思うとるんよ」

「原爆を落とされて、まだ三十年しか...続きを読むたっとらんのじゃけえ」

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Posted by ブクログ 2023年07月30日

1975年。終戦からまだ30年しか経っていない広島へ転校してきた中学生のマナブと広島育ちの同級生ヤス、ユキオ、そしてクラスメートの真理子との交流の話。タイトルからは赤ヘル軍団カープの初優勝への軌跡がメインテーマのような印象を受けるが、実際はそうではない。赤ヘルの快進撃はむしろBGMで、中学生同士のぎ...続きを読むこちない友情と、原爆被害の悲惨さあるいは戦争の記憶を継承していくことの難しさとが交互に物語の主旋律をなしており、特に後者は相応に重いテーマとなっている。

赤ヘル初優勝のストーリーを主に期待して本書を手に取る人は、やや期待を裏切られるかもしれない。ただ、荒くれものが多かった当時の野球界のエピソードは現代の常識からの想像を超えていて、そこだけピックアップしても興味深く面白い。その意味では、単に野球好きというだけで本書を読むのも決して悪くはなく、もしカープ好きならば球団のルーツとバックグラウンドを理解する上で間違いなく一読に価する。

いくつも絡み合うテーマをよく深堀りして描き切ったなと思わされる一冊。

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Posted by ブクログ 2021年12月12日

1975年の広島を舞台に描かれる少年たちの友情の物語。広島カープが優勝に突き進み、街や住人の熱狂とともにじんわりと心が暖かくなる物語です。オススメ!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年07月18日

広島ネタが満載で、贔屓をして最高評価。
広島弁と、小さいころに聞いたジャンク語が盛り沢山。
原爆投下、1975年カープの初優勝と、やんちゃな野球少年、転勤族の子供たちの成長と共に描いている。
1、アメリカの行った理不尽な事実
・B29の爆撃機に付けられた名前は記帳の母親エノラ・ゲイ
・8/8福山、...続きを読む岩国、東京空襲で 原爆後も大量殺戮

2、・結核で入院中の患者が、カープ樽募金を呼びかけ
 金山に手紙を書いたら、入団OKの変身を返した
以後RCC解説者として活躍
・山本一義 地元への情から入団。
 広島に来るたびにファンの熱烈な歓迎を受けた
・中日との終盤対決で、クロスプレーでトラブル。ファンがグラウンドに流れ込んで中日の選手を負傷させた。
警察とも衝突し、逮捕者も出る。翌日の試合が中止に。
3、優勝決定するかもしれないヤクルト戦は、平日デイゲームだったが満員に。皆仕事を休んで観戦。
教室でラジオ放送を掛ける学校の先生。確かにこんな先生はいた。
4、寮の大家さんが、家具や着物を売って選手に肉を食べさせた話は有名。雨で試合が中止になっても払い戻し無し。
5、1958の設立から26年間最高順位は3位。

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Posted by ブクログ 2019年10月02日

「忘れてはいけない」
という事がテーマの小説だった気がします。

題名から簡単に受け取るのは、
カープや初優勝のこと。
でも、重松さん、流石それだけじゃなかった。

戦争や原爆の影響のこと。
都市や地方の格差のこと。
両親や血縁の大事なこと。
土地や引越の無様なこと。
感謝や憎悪の発生のこと。
夫婦...続きを読むや子供の関係のこと。
戦前や戦後の変化のこと。
投機と商売の心情のこと。

そして。
怒りと祈りを忘れない事。

全ての場面において、悪感情を吐き出す、まさに今だけ派の人物群と、優しさ溢れる未来志向の感情を持つ人物群が用意されていた。
その対極的な感情のぶつかり合いが書かれていたのが印象的でした。

人は今を生きるために、忘れざるべくして忘れ、この瞬間に集中してしまう。

ふと、何かのタイミングで。
過去の経験、目を背けてきたもの、忘れたい出来事、負の側面や負の感情、そんなものが「心の中」に溢れ出る時がある。

ただ、何かのその反面で。
助けられた経験、真正面に向合ったもの、忘れちゃいけない出来事、陽の側面や正の感情、そんなものが「心の中」に沁み出る時もある。

この揺り返しがありながら、誰もが人生を歩く。

「ほいじゃが、忘れたらいけん、忘れてしもうたらいけんのよ」
刻まれた、悲しみと苦しみと怒りと祈りを、決して忘れてはならないように――。
-p563


実際、広島に生まれ育ったせいで、個人的にあちこちの文章で共感もあったし、地名や広島弁がなんとも心地よく感じた読後感でした。
原爆ドームと旧広島市民球場の間の、相生橋などは毎日通勤で利用している。

ただ、そんな地元愛を越えた、普遍的な魂の叫びが、重層的に広がる登場人物たちの中にから読み取れるという点において、とてもイイ小説に出逢えたと思いました。

そして関係ないけど。
今期(2019年)は4位に終わったカープでした。。。笑

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Posted by ブクログ 2019年09月13日

1975年の広島が舞台。
3人の中学一年生を中心とする物語。
原爆の傷跡、閉鎖的な町、転校、友情など、様々なテーマが一冊に込められています。
広島カープが1975年に優勝できたのは、赤ヘル集団から赤ヘル軍団になったから。
野球は一人ではできない、みんなで補い合いながら仲間で戦う。
600ページ...続きを読む以上ある本ですが、解説まで含めて、非常に読み応えのある本でした。
大人にも子供にも読んでもらいたい、おすすめの一冊です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年07月21日

「よそもの」である転校生を主人公に、万年Bクラスだった広島カープが初優勝した頃の広島を描いた作品。広島初優勝までの軌跡をファン目線で語る話かと思いきや、原爆、マルチ商法、ひとり親、友情など、様々な要素も入り混じる、戦後の広島を描いた作品となっている。

2016年の広島カープ優勝の際、店頭に並んでい...続きを読むたカープ特集のなかから購入。作品のなかで登場する広島弁が小気味いいせいか、1975年当時の描写が豊富に描かれていたためか、あたかも当時にタイムスリップした気分を味わうことができ、サクサク読み進めることができた。また、広島市民のなかで原爆がどのような形で日常生活に組み込まれているか知る一助になった。時折読み返したくなる良書。

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Posted by ブクログ 2019年03月16日

9月4日のオリックス・バファローズ戦は延長12回に入り、午後5時20分を過ぎていた。突然の豪雨による中断も重なって、当初予定していた新千歳への最終便搭乗を断念することが決まった。新しい行程は翌日、旭川への直接移動だった。
伊丹を発ち、経由地となった羽田。乗り継ぎまでの時間をつぶすために搭乗ゲート付近...続きを読むの売店で何気なく文庫本が並んだ棚を眺めていたとき、一冊の分厚い本が目に入った。手に取った。600ページを超えていた。しかし、直感した。
「これはいま読まないと後悔する」
一気に読んだ。この時代に我々が野球人たりえる理由は何か。モチーフとなった広島球団、そして広島そのものの歴史、また登場人物たちの想いによって、突きつけられるものは多い。次に広島に行くときには、いままでとは違う感情を抱くに違いない。来月末。何としても、と思う。
現職を拝命して7回目の9月5日。野球の神様からもらったプレゼントは、4年連続の白星ではなく、素晴らしい一冊との出会いだった。

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Posted by ブクログ 2019年02月12日

極貧球団だった頃のカープ選手の練習風景、熱狂するカープファン、いつも引き合いに出されるジャイアンツの話を、亡くなった父からよく聞かされていた。

私自身は、原爆や復興途上の広島を知らないが、あの時代に生きていたら、カープが希望になっていただろうと思う。

なぜカープが広島でこんなに愛されるのか、県...続きを読む民性などというぼんやりとした理由ではないような気がした。

中学生の息子は、今ではあり得ない、昔のカープファンの暴走ぶりがツボにハマったようだ。

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Posted by ブクログ 2017年08月17日

広島カープを作中で扱う作家からは、必ずと言っていいほどカープ愛が溢れている。それは作中で永川勝浩の劇場っぷりに苦言を呈する東川篤哉然り、初優勝時の熱狂を少年たちの群像劇を通して描ききる、本作然り。カープには広島県民にとっての「物語」がある。本作はフィクションだが、多くの広島人にとっての自己投影になっ...続きを読むているのだろう。私は宮城県民だが、ここまで熱狂的に愛されるチームのファンであることを誇りに思うし、この物語を通じて、また赤ヘルが好きになった。

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Posted by ブクログ 2017年09月17日

カープ優勝当時の時代背景をもとにカープと広島について書かれた物語。
東京から引っ越してきた「よそもん」のマナブくんが広島県民の拠り所ともいえるカープを、そしてかつて原爆の落とされた広島という土地と人間性を理解していく。

そこには様々な物語があり、マナブ君の家庭事情、友達の事情、少し謎めいた少女の事...続きを読む情など多くの出来事が描かれている。
子供の事情もあれば大人の事情もある。
マナブ君にとっても周りの人にとってもきっと忘れられない、青春の1ぺージがそこにはあったのだろうと思える。

すごく個人的な感想になるが広島の人情味溢れるところはすごく好きである。
今年もカープは強く、ファンの一人としてはこのままの勢いで行って欲しいところ。
今は横浜在住の身としてはベイスターズも優勝したら広島みたいに盛り上がるのだろうかと少し思ったりもしている。

追記
再読しました。
今年もカープはセリーグを首位で突き進み、38年ぶりの連覇は目前です。
明日、敬老の日に2位阪神を倒して優勝を決めるというドラマティックな展開があるかもしれません。
私は何故か会社関係の講習会に出席予定ですけど。

完全に私事ですが、この土日は昨年亡くなった秋田の祖母の家に行って遺品の整理をしてました。
1960年の東京オリンピック時に建てられた家も取り壊しが決定したようで感慨に耽っていたところです。
時間の流れだけは止められなくて気づけば何かを残さなければならない大人になってしまっているわけですが、今を大事に大事にしようと思いました。

もうひとつ、これも完全に私事ですが、3月にカープのオープン戦を、意中だった広島出身の方と観に行く機会がありました。
想いを伝えると、「カープのこと嫌いにならんでな」と言われたのですが、カープも広島もたぶんずっと好きなままだと思います。
そのセリフの言い方が作中の真理子の「広島のこと忘れんといてな」に似てたのですが、広島の女性の優しさというか人情味というかを私も肌で感じることができました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年10月16日

文庫版を再読。
以前読んだときは広島に転居する前だったが、転居後に読み直すと土地勘も出てくることからまた違った味わいになった。
また、今年のカープの盛り上がりと作品中のカープ初優勝の様子がダブるようで面白かった。

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Posted by ブクログ 2016年10月11日

1975年、弱小球団広島東洋カープが悲願の初優勝に向かって奇跡を起こすとき、東京からの転校生・マナブにも熱い友情が芽生える。広島の街が最も熱くなった一年を描く長編小説。
世界で初めて原爆が落とされた街には、世界で最も地元民に愛される球団がある。たくさんあるエピソードの源にすべて愛がある。少年たちの心...続きを読むに刻まれる友情と優勝の歓喜は永遠だ。ヤスが北別府にかけた声援には涙が止まらない。

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Posted by ブクログ 2016年09月28日

少年の成長譚×弱小球団の躍進

地方発祥のプロ球団で、(ヨワくても)現在まで地元に長く愛され、地域の人々に育てられ、となると、やっぱ現在ではカープしかないのだな。

昔だと、西鉄とか、南海とか、阪急とか、大洋とかかな?
あと、ロッテ(オリオンズ)とか。

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Posted by ブクログ 2016年09月26日

1975年のカープ優勝がベースではあるが、そこは流石に重松清。少年目線からのカープを描きつつ、被爆者の苦悩までキッチリと描ききっている。

文庫本だと640ページにもなるのだか、バランスとテンポが良く、飽きてくることもない。

ヤス、マナブ、そして愛すべきその親父。
何よりも広島の街と市民がイキイキ...続きを読むと描かれている。
カープ優勝の今年もきっとそんなイキイキとしてるんだろうな。
読むなら今年がベスト‼️

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Posted by ブクログ 2023年11月13日

重松清の長篇作品『赤ヘル1975』を読みました。
重松清の作品は、9年前に読んだ『最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙』以来なので、久し振りですね。

-----story-------------
一九七五年――昭和五十年。
広島カープの帽子が紺から赤に変わり、原爆投下から三十年...続きを読むが経った年、一人の少年が東京から引っ越してきた。
やんちゃな野球少年・ヤス、新聞記者志望のユキオ、そして頼りない父親に連れられてきた東京の少年・マナブ。
カープは開幕十試合を終えて四勝六敗。
まだ誰も奇跡のはじまりに気づいていない頃、子供たちの物語は幕を開ける。
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講談社発行の月刊小説誌『小説現代』で2011年(平成23年)8月号から2013年(平成25年)7月号まで連載され、大幅に加筆修正したうえで2013年(平成25年)刊行された作品です。

 ■プロローグ
 ■第一章
 ■第二章
 ■第三章
 ■第四章
 ■第五章
 ■第六章
 ■第七章
 ■第八章
 ■第九章
 ■第十章
 ■第十一章
 ■第十二章
 ■第十三章
 ■第十四章
 ■エピローグ
 ■文庫版のためのあとがき


1975年(昭和50年)、広島市への原爆投下による大空襲被害から30年が経過したこの年、東京から中学1年生の少年・マナブが広島市に引っ越してきた…… この年、広島東洋カープはいわゆる「赤ヘル」と呼ばれるユニフォームにイメージチェンジを図るが、開幕10試合の段階では4勝6敗とわずかに負け越しており、悲願の優勝への軌跡が始まろうとはだれもが気づかなかったときだった、、、

この頃から、「よそモン」マナブは、広島でやんちゃな野球少年のヤスと、新聞記者を目指したユキオ達とふれあい、街に少しずつ馴染んでいく…… そして広島の街は、カープ初優勝フィーバーが巻き起ころうとしていた…… 。

私が9歳だった1975年(昭和50年)の広島の街とカープの初優勝を描いた作品です…… 私はこの年をリアルタイムで体験したので、小説の中に登場する場所や人物、出来事に親しみや懐かしさを感じましたね、、、

主人公である東京から転校してきたマナブという少年が、野球少年のヤスや新聞記者志望のユキオと友達になり、広島の歴史や文化に触れながら成長していく物語…… 彼らの友情や家族の絆、恋愛や夢など、青春の喜びや悩みがリアルに描かれていました。

本作のもうひとつの主役は、赤ヘルと呼ばれるユニフォームに変わった広島カープ…… カープは開幕から低迷していましたが、徐々に勢いをつけて快進撃を続けます、、、

物語の中でカープの試合結果や選手たちの活躍が詳細に書かれており、当時の熱狂的なファンの声や雰囲気も伝わってきましたねー 広島とカープに対する愛着や誇りを再確認できたし、戦争や原爆の影響を受けた広島の人々の苦悩や希望も感じられましたね… 自分自身を振り返るという意味でも価値のある一冊でした。

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Posted by ブクログ 2021年05月02日

赤ヘルになって初優勝した1975年。
カープの話というより、戦後30年の広島という街のお話。
600頁超でボリュームも内容も読み応えあり。⚾️

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Posted by ブクログ 2020年07月16日

広島東洋カープが優勝した1975年!原爆投下から30年後の広島の光と影。東京から引っ越してきた(よそモン)の主人公マナブ、ヤス、ユキオの出会いと別れ・友情・平和の物語。

カープ好きな小6だった息子(現在中1)の為に買った一冊。読み応えがあり一気に読んでしまいました。保存しておきたい一冊!

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購入済み

H
2020年06月15日

やはり重松清の作品でした。題名にちょっと違和感がありながら、著者に引かれて購入。
広島を舞台に、題名のとおりカープの躍進をバックとした、原爆と戦争をテーマとした作品。人の繊細さを感じさせてくれる。中高生に読ませたい作品です。

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Posted by ブクログ 2019年12月29日

広島東洋カープが初優勝した1975年の広島を舞台に、ちょうどその年に広島に引っ越してきた「よそモン」のマナブと、ヤス、ユキオの物語。
戦後30年経ってもまだあちこちに原爆の傷跡が見え隠れする街並みや人々の記憶。
それら友情や市井の人々の交流や想いを横糸に、そしてカープが初優勝に向かって戦っていく様を...続きを読む熱狂的に応援する様子を縦糸に、物語は突き進んでいく。
それを原体験を元に、重松清が描くのだから、面白くないわけがない。

なんだけど、星4つなのは、なぜだろう?
面白いんだけど、何かちょっと物足りない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年01月31日

広島カープ優勝の年は、原爆投下から30年の1975年であった。野球が中心の小説かと思ったが、それだけではなかった。ヒロシマの人々の思いが随所に見られる小説であった。「原爆のことをいっぺんに考えんでもええよ、時間をかけて勉強しながら考えんさい。みんながずっと思うてあげて。」という言葉に触れて、原爆に関...続きを読むしては何十年経っても、風化させてはいけないと強く思ってた。

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Posted by ブクログ 2016年10月02日

カープが優勝した年の広島の中学生の話。

今年はカープが強かった。
ちょうどいい年に文庫化されましたね。

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Posted by ブクログ 2023年04月29日

カープが初優勝をしたのは広島県人になって2年目のことで、優勝の瞬間は歯医者の診察台の上にいた。 「もうすぐ優勝が決まるよ!」という奥からの声に先生は治療器具を手にしたまま診察室から出ていったきり帰ってこず、1時間ほど天井と医療ライトを眺めていた思い出がある。 当時の広島県人の思いが詰まったユーモアと...続きを読むペーソスに溢れた作品だった。個人的な思い入れもあり、また何年かしたら読み返したい。(o^^o)v

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Posted by ブクログ 2018年09月08日

舞台は、原爆投下から30年後、広島カープが奇跡の初優勝を遂げた1975年の広島。
人々の胸に、まだ生々しく残る、戦争と原爆。
広島カープ、優勝という陽。
原爆投下という陰。
このふたつの相反する事柄が織り成すコントラスト。
広島という舞台で少年たちは、戦争、友情、色々なものを学びながら生きている。

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Posted by ブクログ 2018年07月29日

少年の成長物語として、とても完成された作品だと思います。
戦後30年が経過した広島に、東京からやってきた主人公のマナブ。知識として「ヒロシマ」のことは知っていても、今尚、生活の中に根強く残る「ヒロシマ」の実態を、地元の人のように理解することができない「よそモン」として疎外感を感じながら広島での生活を...続きを読む始めます。
そこで出会ったヤスとユキオの2人の「連れ」と、次第に打ち解け広島の街にも馴染んで行くマナブ。
なにが「正しい」と決められるわけではないですが、自分なりに考え、日々を無駄にせずに生きている少年たちの姿に心を打たれます。
それぞれに「辛さ」はあるし、そのことは本人にしかわからないけれど、周りもそのことを受け入れること(辛いと思っていることを認めてやること)で、互いに支えあいながら生きている、「もはや戦後ではない」と言いながらもやはり戦争の傷跡がまだ残る昭和の時代を感じます。

ぜひ、夏休みの時期に高校生や中学生に読んでもらいたいと思う作品でした。
「原爆」だけがフォーカスされることが多い広島ですが、もちろん空襲もあり、ほかにも戦争の犠牲となった方は多くいます。では、「ヒロシマ」以外のことが原因で犠牲となった方と、「ヒロシマ」の犠牲になった方との違いは何なのか。
「よそモン」にはわからならい、と切って捨てるのではなく、戦争の被害と、そこからどう立ち直って(未来へと目を向けて)過ごしてゆくのか、ということもひとつのテーマになっていると思います。太平洋戦争から長い時間が経ち、戦争を知る世代が少なくなっているからこそ(そして「戦後」に育ち戦争の傷跡を見てきた人も次第に少なくなってゆくこれからだからこそ)、読むべきテーマの小説でもあると思います。

ただ、少し作品自体のボリュームがあることと、広島カープ推しが強いこと(物語の性質上、仕方ないのですが)が巨人ファンでもあるので個人的には読みにくく感じた部分でもありました。
エンディングが完全にハッピーエンドでないあたりはリアリティがあってよかったと思う反面、もう少し「救い」があっても…とも思います。

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Posted by ブクログ 2017年09月24日

久しぶりの重松清。しかし、内容は600ページとかなりのボリュームのためか、読み切るのに1ヶ月ほどかかってしまった。
内容としては1975年当時の広島を舞台にした、転校生と地元の友達にまつわるストーリー。
正直、このボリューム感の割に内容はとても軽買ったという印象。広島をテーマにした戦後の方の痛みと、...続きを読む
何をやってもうまくいかない父を持つ主人公の抱える葛藤の絡みについては、繊細ながらもジワリと心をえぐられる。

ただ、自分的にはそこまで。トワイライトや流星ワゴンで感じた涙を流すような展開ではなかったので、やや肩透かし感は有り

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Posted by ブクログ 2017年03月20日

重松さんのお話大好きだけど、カープと興味無いしなぁ、、、と避けていた本。カープのお話というより、広島の原爆後のお話だった。読んでよかったな、と思った。
いつも父親の仕事がうまくいかず、転校ばかりしているマナブと、広島で野球大好きで男気溢れるヤス、ヤスの友達で優しくこれまた野球大好きなユキオの友情がと...続きを読むってもよかった。ヤスは曲がったことが大嫌いな暑くてめんどうなやつなんだけど、とにかくユキオが大人でかわいいし、ユキオというクッション材のお陰でヤスとマナブもなんやかんやで仲良くなってるしいいトリオだなぁー。
転校してもずっと仲良しでいたらいいのにな。

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Posted by ブクログ 2016年12月03日

広島の人たちの気持ちも分かる。
東京のまなぶの気持ちも分かる。
この細やかな心の動きが書ける重松清はすごい。

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Posted by ブクログ 2016年11月24日

マナブの父親は、ダメな人間だ。ダメなポイントがずれている。ダメな父親のせいで、マナブの世界が壊れるのが怖くてなかなか読み進めない。
やっと読み終わった。
マナブが、強く生きていってくれる事を願うばかりです。

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Posted by ブクログ 2016年10月16日

あの頃の広島カープを知ることができたという点で貴重な読書、そんなことあったんだとなるエピソード多い。物語としてはなんてことなく面白いものではない。

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Posted by ブクログ 2016年10月08日

悪くないのだけれど、全体的にパンチが弱い。もう少し畳み掛けてほしかった。広島という土地が持つ、剛毅さ、温かさは心地よかった。期待しすぎず読むとちょうどよいかも。

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