山下泰平の作品一覧
「山下泰平」の「簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!」「「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
「山下泰平」の「簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!」「「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
小説・文芸
Posted by ブクログ
再読。
江戸時代から明治にかけての日本文学の進歩。5年前に読んで、様々な本を読んできたことで、新たな視点が芽生えました。
【文学は成長する】
時代や世相、社会模様が影響することはもとより、あえてまとまりのない文章にするようなことは、独白や特異な主観性を表すときでないと、現代文学においては文章を長くすることはしない。一方で過去の文学は読点までが長く、句点は改行で区切られるなどする。一見すると非常に場面転換が分かりにくい文章構造となっているが、実は10年前くらいのミステリや純文学などでは、句読点をあえて挟まない技法はけっこう頻出していた。
ここ数年の文体は目まぐるしく変わってきており、場面転換も非常に早くて分かりやすい。
しかし、これはいいように見えて、デメリットもある。それは、登場人物の思考について読者側に考えるタスクを与えなくなるのだ。つまり「一本道」の文章構造。それでいて結末を発散させることもあるため、読者それぞれで感想がズレることがある。これはいいことのように思えるかもしれない。ただ、この状態は書き手の見越した内容から逸脱した感想さえ正しくなるものであるため、文学を嗜むことで培われるはずの『一意性』が喪失することになる。端的に言えば、わざわざ読まなくていい、作らなくていい文章に成り下がってしまうということだ。
一方で名作と呼ばれる作品群は、誰が読んでも感想の一意性が失われない。羅生門を読んで「下人が幸せになればいいなと思った」と思う人はいないし、蜘蛛の糸を読んで「かんだたは寂しかったんだ」などと言う人もいない。前者は戒めを、後者は虚無感を誘う物語だと読めば誰でも分かるようになっているからだ。これは決して作者が手綱を引いているわけではなく、我々読者の自由意志で読んで、様々な感じ方を得たとしても、作品への思い方が共有できるようになっているのだ。
この作品ではそう言った文学への嗜み方や、楽しみ方についても、面白い視点で書かれているので、読者をさらに深いところで楽しみたい人に、オススメしたい。
Posted by ブクログ
明治時代の大衆むけ本の、おおおまかなジャンル分け、中でも
・明治時代を中心に、江戸から引き継がれてきた豪傑譚が……
・講談を軸にいかにして明治人の「合理性」を、駆け足で身に着けようとしている時代精神に合わせてきたか……
・大人むけから子供向けへの変遷が、昭和へと引き継がれた可能性の指摘……
など、興味深い内容でした。
ていうか当時から、トヨの野郎ムカつくわーぶん殴ったれって気風はあったのね。(でなきゃ、本書タイトルにあるような内容の本が、大衆向けに執筆されるわけがない)
本書を読みながら、マンガ『ゴールデンカムイ』、実はこの明治時代の犯罪実録ものや講談速記本の世界を再現しようと試みているのでは?とさえ思えてきて、明治時代を舞台にした他の作品を読むのが楽しみになりました。文句なしの星5つです。
Posted by ブクログ
【なぜ日本のヒーローは細身だったり子供だったりするのに強いのか問題】
・明治時代は合理的で現実的なものが受け入れられた一方、文章を読みこなす能力はまだ低く、秩序のない時代だった
・江戸時代に実在した豪傑の話が好まれたが、現実的だから現実である明治時代を舞台にすると、江戸のように実在の豪傑がいないため、実在の豪傑物語を明治時代に置き換えた物語に発展
→講談速記本や犯罪実録ものなどの『明治娯楽物語』(作者命名)の繁栄へ
・しかし文章を読みこなす能力がまだ低いため、その場その場で面白ければ良いという風潮および速記術の技術的低さから不明な部分は想像力で作文される
・実在した豪傑だけ登場すると現実に即さないといけないという暗黙のルールがあるため物語に広がりがなくなってしまう
→実在したかどうか分からない超人的な豪傑が脇を固め始める(500kgくらいなら片手で持ち上げるなど)
・秩序がないため、犯罪イコール悪という図式もさほどなく、とにかくめっぽう強いやつが清々しく勝ちまくるのが面白いとされた
→強さに拍車がかかってきた
→忍者の使う忍術がイコール催眠術であり、それは合理的で現実的な説明と受け止められた
→一方で人々の読解力が上がってきたため、物語の読者は若年層へ移行
→一方で実在した豪傑たちの高齢化問題に伴い、実在したかどうか分からない豪傑の二世三世が活躍し始める
・その頃忍術が合理的な解釈では済まされないほどに自由化されてきた
・豪傑の二世三世、すなわち子供が血筋による生まれながらの武芸に秀で且つ不思議な力を駆使すれば大人をも打ち負かすことができるという作品『鳥さし肝助』の登場!
肝助は真田幸村の孫であり、8歳の時点で既に刀を持った侍に竹竿で勝つほど強いのに、いろいろあって仙人に出会い修行を極めた結果、36mの範囲内なら飛ぶことができるようになり、さらに夜目が利いて、眼力で人を気絶させたり岩を壊したりできる。あと梅干しの術が使える。
これが現代の細身だったり子供だったりするのに強いヒーローの原型になったんだ…!(※肝助に至るまでに浴びるように生まれては消えていった物語がもちろんございます)と思うとものすごく明治の名も無き創作者たちに深い感動を覚えました…。