山下泰平のレビュー一覧

  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    再読。
    江戸時代から明治にかけての日本文学の進歩。5年前に読んで、様々な本を読んできたことで、新たな視点が芽生えました。
    【文学は成長する】
    時代や世相、社会模様が影響することはもとより、あえてまとまりのない文章にするようなことは、独白や特異な主観性を表すときでないと、現代文学においては文章を長くすることはしない。一方で過去の文学は読点までが長く、句点は改行で区切られるなどする。一見すると非常に場面転換が分かりにくい文章構造となっているが、実は10年前くらいのミステリや純文学などでは、句読点をあえて挟まない技法はけっこう頻出していた。
    ここ数年の文体は目まぐるしく変わってきており、場面転換も非常に早くて分かりやすい。
    しかし、これはいいように見えて、デメリットもある。それは、登場人物の思考について読者側に考えるタスクを与えなくなるのだ。つまり「一本道」の文章構造。それでいて結末を発散させることもあるため、読者それぞれで感想がズレることがある。これはいいことのように思えるかもしれない。ただ、この状態は書き手の見越した内容から逸脱した感想さえ正しくなるものであるため、文学を嗜むことで培われるはずの『一意性』が喪失することになる。端的に言えば、わざわざ読まなくていい、作らなくていい文章に成り下がってしまうということだ。
    一方で名作と呼ばれる作品群は、誰が読んでも感想の一意性が失われない。羅生門を読んで「下人が幸せになればいいなと思った」と思う人はいないし、蜘蛛の糸を読んで「かんだたは寂しかったんだ」などと言う人もいない。前者は戒めを、後者は虚無感を誘う物語だと読めば誰でも分かるようになっているからだ。これは決して作者が手綱を引いているわけではなく、我々読者の自由意志で読んで、様々な感じ方を得たとしても、作品への思い方が共有できるようになっているのだ。

    この作品ではそう言った文学への嗜み方や、楽しみ方についても、面白い視点で書かれているので、読者をさらに深いところで楽しみたい人に、オススメしたい。

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    2026年06月09日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    最初から最後まで筆者の「好き」がぎゅうぎゅうに詰まった本
    こういう本と過ごす読書の時間は本当に楽しい

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    2025年02月07日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    明治時代の大衆むけ本の、おおおまかなジャンル分け、中でも

    ・明治時代を中心に、江戸から引き継がれてきた豪傑譚が……
    ・講談を軸にいかにして明治人の「合理性」を、駆け足で身に着けようとしている時代精神に合わせてきたか……
    ・大人むけから子供向けへの変遷が、昭和へと引き継がれた可能性の指摘……

    など、興味深い内容でした。

    ていうか当時から、トヨの野郎ムカつくわーぶん殴ったれって気風はあったのね。(でなきゃ、本書タイトルにあるような内容の本が、大衆向けに執筆されるわけがない)

    本書を読みながら、マンガ『ゴールデンカムイ』、実はこの明治時代の犯罪実録ものや講談速記本の世界を再現しようと試みているのでは?とさえ思えてきて、明治時代を舞台にした他の作品を読むのが楽しみになりました。文句なしの星5つです。

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    2020年04月20日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    ネタバレ

    【なぜ日本のヒーローは細身だったり子供だったりするのに強いのか問題】

    ・明治時代は合理的で現実的なものが受け入れられた一方、文章を読みこなす能力はまだ低く、秩序のない時代だった

    ・江戸時代に実在した豪傑の話が好まれたが、現実的だから現実である明治時代を舞台にすると、江戸のように実在の豪傑がいないため、実在の豪傑物語を明治時代に置き換えた物語に発展
    →講談速記本や犯罪実録ものなどの『明治娯楽物語』(作者命名)の繁栄へ

    ・しかし文章を読みこなす能力がまだ低いため、その場その場で面白ければ良いという風潮および速記術の技術的低さから不明な部分は想像力で作文される

    ・実在した豪傑だけ登場すると現実に即さないといけないという暗黙のルールがあるため物語に広がりがなくなってしまう
    →実在したかどうか分からない超人的な豪傑が脇を固め始める(500kgくらいなら片手で持ち上げるなど)

    ・秩序がないため、犯罪イコール悪という図式もさほどなく、とにかくめっぽう強いやつが清々しく勝ちまくるのが面白いとされた
    →強さに拍車がかかってきた
    →忍者の使う忍術がイコール催眠術であり、それは合理的で現実的な説明と受け止められた
    →一方で人々の読解力が上がってきたため、物語の読者は若年層へ移行
    →一方で実在した豪傑たちの高齢化問題に伴い、実在したかどうか分からない豪傑の二世三世が活躍し始める

    ・その頃忍術が合理的な解釈では済まされないほどに自由化されてきた

    ・豪傑の二世三世、すなわち子供が血筋による生まれながらの武芸に秀で且つ不思議な力を駆使すれば大人をも打ち負かすことができるという作品『鳥さし肝助』の登場!

    肝助は真田幸村の孫であり、8歳の時点で既に刀を持った侍に竹竿で勝つほど強いのに、いろいろあって仙人に出会い修行を極めた結果、36mの範囲内なら飛ぶことができるようになり、さらに夜目が利いて、眼力で人を気絶させたり岩を壊したりできる。あと梅干しの術が使える。

    これが現代の細身だったり子供だったりするのに強いヒーローの原型になったんだ…!(※肝助に至るまでに浴びるように生まれては消えていった物語がもちろんございます)と思うとものすごく明治の名も無き創作者たちに深い感動を覚えました…。

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    2020年04月02日
  • 簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!

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    断捨離が注目される今のブームと、明治の新しい考え方、簡易生活が似ている。

    合理性第一、科学的、簡素。

    これを昔の人が、どんな感じで実践し、磨いていったのか。
    今とは生活の比重がまったく違うが、(例えばガスなどなくて薪で炊飯する)考え方の芯は意外にも近い。
    自分らしく、という思想が戦時にあったことに驚いた。

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    2020年03月02日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』 これまでに読んだ中で、間違いなくいちばん長いタイトルを持った本は、明治時代の娯楽小説を徹底的に紹介する痛快な一冊。いやいや、これは楽しい。底抜けに楽しい。
    このタイトル通り、森鴎外「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする小説が本当に存在したほか、鞍馬天狗が登場した大正13年の10年以上前に現れた覆面ヒーローの名が悪人退治之助(あくにんたいじのすけ)だったり、無敵のヒーローが死後仙人として登場したり、身長と肩幅の寸法が同じで馬鹿力を持ったヒーローが躍動したり、破茶滅茶度合いが半端ない。こんな小説を支持した明治人のセンスに敬意を表したい。
    と言いつつも、本書の筆致は至極冷静で、相当な調査のうえ書かれたことがよく分かる。明治の庶民文化を伝える歴史書としても秀逸な出来になっているのがすごい。
    この著者の名前は覚えておいた方がよさそうだ。

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    2020年01月01日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    ネタバレ

    まずはツイッターで、
    ・2017年2月のブログ記事「舞姫の主人公をボコボコにする最高の小説の世界が明治41年に書かれていたので1万文字くらいかけて紹介する」
    がバズっていた。斜め読みして、素敵さに感じ入った。それ以来、
    ・ブログ「山下泰平の趣味の方法」
    が気になっていた。そしたら
    ・『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本 』
    が刊行された。またもバズ。釣られて妻が購入し途中まで読んだ。私は
    ・アトロクのビヨンド・ザ・カルチャー「森鴎外『舞姫』主人公を バンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説世界が明治に存在したので40分くらいかけて紹介する略して“まいボコ”特集」
    を聞いて、妻が投げだしたものの、後塵を拝したわけである。
    そんな私と「まいボコ」の来歴。

    ところで私はニコニコ動画以前と以後で、アニメにせよ映画にせよMAD動画にせよ見方ががらりと変わった。
    一時期は画面を見ると感想がコメント形式で右から左に流れていたくらいだ。
    動画の見方から世界の見方も変わった。
    いくつか言い換えながら表現してみると、斜めから見る。正面から向き合わない。反笑いで見る。苦笑いで見る。クスクス笑いで見る。こんな見方が血肉化した。
    少年期青年期は何事も真っ向から捉えるしかできなかったので、ある意味大人になったということなのか。
    あるいは動画サイトやSNSに親しむ時代だからなのか。
    私の大人化と時代の変化が合致しているのか、どうか。その辺はよくわからない。
    ニコニコ動画から離れてもツイッターで先に触れた見方は継続しているので、ある人にとってはツイッター以前と以後という言い方になるのかもしれない。

    この事情は文学の読み方にも関わってきて、たとえば田山花袋や武者小路実篤を大真面目に読むことは不可能になってしまった。
    ひょっとすると多くの人にとってもそうではないか。
    三島由紀夫すら反笑いで見てしまうからこそ、当時の人が感じられなかった親しみや感想を持つことができる。
    文豪ストレイドッグスという「人の擬人化」は斜めから解釈=脱構築ディコンストラクション=二次創作の極致なんだろう。

    さて本書、教訓や教養を抽出するタイプの本ではない。
    取り上げているディテールやエピソードの積み重ねそのものがまず可笑しいのだが、本当に面白いのは著者の「楽しみ方」そのものだ。
    おそらく原文をそのまま読んでも面白く感じる可能性は低い。
    なぜなら作品そのものが滅茶苦茶だからだ。
    突き抜ければハチャメチャで素敵なのかもしれないが、著者はあえて「中途半端な質」の作品を列挙する。
    なるほど質が高くもなく決して低くもない、ただ「今まで見たことがない」と思えるだけの作品に触れ続けることで、一種感覚が麻痺し、「面白いとは何か」ということまで考えさせられるのだ。
    んで著者の面白がり方に愉しく付き合っているうちに、明治期の「読者論」にも立ち会える。
    要は消費するためのコンテンツの集積を読解することで、当時の大衆の欲望や水準を読み取るという方法だ。
    さらには文化のあり方についても考えるきっかけになる。
    取り上げられるのは物語の作法が出来上がる以前の、近代と現代の間に生まれた特異な物語群だが、真面目な文学研究者なら「零れ落ちた傍流の力」に目を見開かされるだろうし、不真面目な読者なら繰り広げられる与太話ひとつひとつを笑って忘れて少しだけフレイバーが残ればよい。
    とにかく美味しい本なのだ。

    その他。
    ・図へのキャプションが「VOW!」っぽくて笑う。
    ・町田康、山田風太郎らを連想。
    ・なろう系のような小説投稿サイトやpixivの絵師と、明治娯楽物語の作者たちは、結構似ている。

    【目次】
    はじめに 書くはずのなかった人間が書く混沌とした本
    〈明治娯楽物語〉がざっくり分かる図と年表
    序 章 小説未満の世界 明治の弥次喜多は宇宙を旅する
    第1章 超高速!明治時代 五倍のスピードで万事が動く
    第2章 庶民が愛した〈明治娯楽物語〉 日清・日露戦争で暴れまわる馬丁たち
    第3章 〈講談速記本〉の帰還 無責任体制が生んだ娯楽(エンタメ)の王様
    第4章 地獄に落ちそうな勇士ども 長広舌の真田幸村二世&神より強い猪突猛進男
    第5章 豆腐豪傑は二度死ぬ ミスター講談速記本・桂市兵衛
    第6章 〈最初期娯楽小説〉の野望 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする
    第7章 「科学」が生んだ近代キャラ 嫌われ作家の奇妙な冒険
    第8章 〈犯罪実録〉という仇花 強くない、謝らない、いいことしない犯罪者たち
    第9章 忍者がやりたい放題するまで 忍者復活の影にアメリカの怪力女あり
    第10章 恐るべき子供豪傑たち 大人をボコボコにする少年少女
    終 章 不死の聖
    主要参考文献一覧

    【本書に登場する物語(一部)】
    ▼弥次喜多が宇宙旅行に行く『宗教世界膝栗毛』
    ▼遅刻で日露戦争に参加できなくなる『露西亜がこわいか』
    ▼主人公が焼酎と蟹を食べすぎて死ぬ『南京松』
    ▼トークの技術だけで城を奪う『西国轡物語』
    ▼神より強い覆面ヒーローが暴走して剣豪たちがフォローに苦心『箕輪城物語』
    ▼バンカラがゲンコツで虎退治『世界鉄拳旅行』
    ▼いつのまにか日→露にワープ『今様水滸伝』
    ▼忍術=催眠術を確立した『鬼丸花太郎』
    ▼元祖・大人をボコボコにする子ども『鳥刺し胆助』
    ▼魔法少女が正体を隠して諸国漫遊『戸澤雪姫』
    ほか

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    2019年11月05日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    本文を補強する身も蓋もなく魅力的なキャプション。以下、一例。

    (p.29本文)
    昔から海の家はあったし、女性は日焼けするのが嫌だったんだねぇといった文章だ。救命具や潜水眼鏡などの海水浴グッズも登場する。これらも目新しいものだったのだろう。流行りもの好き水陰の面目躍如といったところだ。なお、江見水蔭の姿だが、海水着の写真が発見できなかったため、相撲大会前にまわしを締め気合十分なものを掲載しておく[図3]。
    ↓
    ↓
    ↓
    (p.29キャプション)
    細い。(『[自己中心]明治文壇史』挿絵、昭和2年)(図3)

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    2019年08月07日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    【生まれた時から市兵衛は横に広かった。父親・市左衛門のコメントは<オヤッ、妙な子が出来た、此奴四角張っている>であった】(文中より引用)

    文豪たちの名作の陰に埋もれてしまい、今日に到るまで日の目を浴びることが(ほぼ)なかった明治娯楽小説。思わず笑ってしまう奇抜な展開や設定を追いかけながらも、そういった物語の数々が今日のエンタメにつながる要素を内包していた点を指摘した作品です。著者は、古本屋を巡りながらどうでもいい書籍を読み続けてきたと語る山下泰平。

    電車の中で気軽にページをめくってはいけないほどに笑えて笑えて仕方ない作品。それでいて笑っているうちに、小説とは何か、物語とは何かといった大きなテーマにも近接していく稀有な一冊かと。

    引用したい箇所がたくさんありすぎて困る☆5つ

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    2019年07月10日
  • 簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!

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    ネタバレ

    「舞ボコ」の作者による2冊目。
    人生の半分くらい働いてきてぼんやりと実感していることを、ここまでまざまざと文章で読めることの嬉しさ。
    たとえば職場のおみやげ。
    したい人がすればいい。私にはどうしても虚礼に思えるので、個人的に廃止。
    上司のあいつや、同僚のあいつの鼻面に叩ッ込んでやりたい。
    生活の端々でこの「簡易生活」という言葉を思い出して、自分を確かめていきたいところ。
    というか生活器具やテクノロジーの進化によって、当時より簡易生活は達成されつつあるのだと思う。
    が、まだまだ。

    つまるところ作者の文体が好きだな。
    面白い着眼点の人が、面白い実在人を、面白い視点から切り取って、面白い文体で書けば、面白くないわけがない。
    のほほん文体とでもいうか。
    泰平というお名前が本当に似つかわしい文体。

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    2023年10月10日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    日本文学史からは取り残された「明治娯楽物語」というジャンルを紹介した本。
    明治以降の近代文学というと、どうかすると苦悩して自殺するイメージがあって、当時の人はこんなのばかり読まんでいたのかと不思議に思っていたけど、やっぱり面白い話も読みたいわな、とひと安心。
    とはいえ、作り手たちは金がなく、本を売るために面白さを追求するあまり、整合性は二の次三の次、どれもこれも破天荒なものばかり。
    いやもう情報量多すぎ(笑)。


    概要は以下のとおり。

    西洋の写実的技法から、芸術は本当らしく実用的に、という明治の芸術観が生まれ、純文学はシリアスな方向に向かった。だからとかく苦悩、深刻、理想という要素が出てくる。

    「明治娯楽物語」(著者命名)は、明治二十年代後半から四十年代に隆盛を誇った、江戸と昭和のエンタメ文学を結ぶミッシングリンク的なジャンル。大きく「講談速記本」「最初期娯楽小説」「犯罪実録」に分けられる。

    講談速記本は武士や侍が主人公のものがほとんど、最初期娯楽小説は近代人の主人公を模索、犯罪実録は推理小説の前段階。リアル主義から「科学的」であることが求められたが、オカルトブームや実写映画での可視化がきっかけに超能力も受け入れられ、子供を対象にしていくことに。


    「大衆文学登場以前の粗野で乱雑な明治娯楽物語は、現在の感覚では小説とは言い難いものも多い。幼稚でどうしようもないものに見えてしまう。まさしく工業製品に対する手作りの粘土細工なのだが、そんな小説未満の物語にはなんとも表現しようのない不思議な魅力がある。」(p.44)

    市兵「ハハハハハ面白いなァ、仕返しとは面白いな、私は門を開けてやる、そこでこいつのように殴り殺してやるンだ、ネェ、母親さん。面白いだろう」
    (玉田玉秀斎・講談『[怪勇]桂市兵衛』)

    市兵「己は腹が減ったから飯をくわしてくれ」としらぬ人の家に飛び込んでせがみます。否だというと、市兵「否ならいいわ、お前の家にひをつけて焼殺してやるから左様思えッ」
    (同上)

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    2022年07月01日
  • 簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!

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    シンプル・ライフの指南書といった感じではなく、明治〜大正にあった「簡易生活」運動を紹介する内容。中には簡易生活を追求するあまり極端な行動にでる者のエピソードもあり、作者のノホホンとした文体も手伝って気楽に面白く読み進められた。
    今となってはなかなか一般では触れられない当時の雑誌記事や新聞記事の引用もあり、明治〜大正の市井のひとびとの暮らしぶりも知ることができる。シンプル・ライフを実践したい人より、レトロ文化ファンに刺さりそうな内容だけど、もちろん現代にも通じる「シンプルに、自分らしく、他者を尊重しながら生きること」の大事なエッセンスは読み取ることができる。

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    2021年06月04日
  • 簡易生活のすすめ 明治にストレスフリーな最高の生き方があった!

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    タイトルから自己啓発チックな本かと思ったら、明治時代のエキセントリックな人たちがたくさん出てくる本でした。作者の真面目なツッコミに何度も笑ってしまった。
    しかし現代においても参考になる部分も多々あり、100年経っても本質的なところは同じなんだなぁと勉強になりました。

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    2021年05月15日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    岡田斗司夫ゼミで知り手に取りました。
    研究者がいない分野をとにかく楽しく紹介してくれた作者の努力に感謝です。マツコの知らない世界で紹介されるのを観てみたいなぁ。
    クリエイターの絶え間ない挑戦と失敗の積み重ね、社会や読者のレベルアップやニーズの変化と合わさり発展してきた結果の現代のマンガやラノベ、アニメを享受出来ることのありがたさを噛み締められます。
    これって日本独自のものなの?例えばヨーロッパではこういう方向にエンタメは発展してないよね?誰か比較研究してくれないかなぁ。

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    2021年01月15日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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     明治維新後の庶民文化の一端を追体験する本書。
     まだ小説というジャンルはなく、江戸時代から続く戯作から、純文学が枝分かれした。
     しかし純文学は庶民に受け入れられなかった。
     つまらないのである。

     そして庶民文化として受け入れられたのが「明治娯楽物語」の一群だった。
     大きくジャンルを三つに分けると、

    1.講談速記本:講談師が話す内容を速記したもの
    2.最初期娯楽小説:新しもの好きの作家が書いた小説風読み物
    3.犯罪実録:実際に起きた犯罪やその犯人を扱った読み物

     内容はカオスである。
     とにかく面白ければよいという、最大瞬間風速だけの勢いが強く、物語の構造は全く小説のそれではない。
     しかし、明治庶民に受け入れられたのだ。

     一人で数十、数百、数千を相手にして皆殺しの豪傑や、
     とりあえず殺し合いして友情を深める豪傑や、
     そこらへんの家を引っこ抜いて凶器にして撲殺する豪傑や、
     ゲンコツで敵の頭蓋骨を砕いて殺す豪傑とか、
     とにかくそんなハナシである。
     深く考えてはいけない。
     面白ければよいのだ。

     但し、嘘や合理的なものは嫌う明治庶民。
     めんどくせぇ。
     あくまで実話なのであり、リアリティは重要なのだ。
     週刊実話並み。

     タイトルの舞姫の主人公をボコボコにするのは、星塔小史「蛮カラ奇旅行」である。
     主人公、島村隼人はハイカラを撲滅すべく、ならば西洋人を殴りに行くのが手っ取り早いと海外に旅に出る。
     邪魔するものは殺す。

     ハイカラ殺すべし。

     道中、西洋人女性に刺殺されそうになり、彼女曰く日本人留学生と婚約したが、その男に捨てられ、日本人を見ると殺意が湧くようになったと。
     どう見てもエリスです。本当にありがとうございました。
     そのあとアフリカ人と親しくなり、日本に帰ったら例の日本人留学生と偶然会ったからボコボコにしたり。
     
     そんなハナシばかり。
     
     百年以上前の日本、今では顧みられることのない時代のあだ花。
     確かに流行していた明治娯楽物語の世界を紹介する。

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    2020年04月18日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    明治時代の庶民のための娯楽小説を紹介する本。
    言われてみると明治の小説って教科書でちらっと読んだくらいで、しっかり読んだ記憶がない。

    様々なジャンルの娯楽物語を紹介しているが、文体は軽くふざけていると感じる人もいるかも。
    でも、多くの作品を読み、背景を調べていることから文学に対する誠意と、愛情を感じる。

    明治の娯楽小説、楽しめればそれでよしで、脈絡やつじつま等関係ないという潔さ。もうメチャクチャ。

    とりあえず夏目漱石の「坊ちゃん」を読んでみようと思った。

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    2019年08月31日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    明治の物語についてツッコミを入れながら解説していてクスッと笑いながら読んだ。読んでいくうちに理解できて面白くなる。相手を梅干しにするというシュールな忍法が好き。楽しく読めた。

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    2019年07月24日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    ぶっ飛んだタイトルに惹かれて手にとってみたけど、内容は堅苦しくなくむしりラノベみたいな感じで軽く読める(だが量が多い)。学術系というよりは、こんなぶっ飛んだ物語が売れた時代があったと紹介する本に近い。
    今でもなろう系だったりと言った小説投稿サイトがあるのだから、明治から大正においても、有名じゃないけど一時すごい流行った物語があってもおかしくはない。もしかしたら文学系で研究をされてる本職の方もいらっしゃるのかも……?有名な人物が何度も登場したり、時の有名人が主役になったりっていうのは、現代でも小説に限らず漫画やゲームで多くみられる(FGOだったり……)。歴史は繰り返されるんだなーとか考えてしまう。

    ぶっ飛んだ物語に驚き、笑いあり単純に楽しむことも出来る。とにかくぶっ飛んだ物語が多いので、深く考えない方が良い(
    ぶっ飛んだタイトルにもなっている舞姫の主人公をボコボコにする話も、なんていうかすごいなって思ったし、妙に納得してしまった。

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    2019年06月15日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    文学、というか、物語が湧き上がっていた時代の熱意を、下手な小説らから感じ取れる。言ってみれば、膨大な駄作の果てに、坊ちゃんやら吾輩は猫であるやら、純文学でない小説の傑作が生き残る訳で、今の時代ならネット小説、ネット漫画も同じように感じる。
    この一節に表れてると思う「ジャンルの最初期は、レベルの高い作品より、凡作や出来の悪い作品の方が愛されることがままある」

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    2023年10月06日
  • 「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

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    タイトルは間違いではないけれど実際の紹介は10%位で、あとの90%は他の明治娯楽物語の紹介になる。
    で、個人的にはその90%の物語たちが全く興味を惹かれなくて辛かった。最初から明治娯楽物語の紹介というタイトルだったら手に取ってなかったかもしれないけれど期待外れ感もなかったかもしれない。
    それでも序盤はまだ面白かったけど…ひたすら強さのインフレ状態になってくるとあらすじを追うのも苦痛だった。ただ昔から、強さのインフレ状態という要素があって娯楽の少ない人々に喜ばれていたのだな、ということは分かった。

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    2021年03月21日