あらすじ
簡易生活で「全人類の能力が開花」!? 明治時代に最強のライフハックがあった!
精神論や根性論、ムダな人間関係に疲れてはいないだろうか。
実は、明治の人たちも私たちと同じように、
人間関係や仕事のこと、暮らしのことで悩んできた。
簡易生活とは、明治・大正・昭和初期に知識人や庶民の間で、
密かなブームになった生活法である。
「実用がすべて・簡易で簡素・余計なものは排除」――、
このように行動すると、ムダな付き合いや虚飾が排除され、
個人のポテンシャルは最大限に発揮されるという。
しかし独自解釈をした変わった者もいて……。
気苦労が多かった明治人が残した、日々の知恵とは。
可笑しくて役に立つ、教養的自己啓発書!
(目次)
【序 章】 日々を良くする明治の簡易生活
「思い切り、簡易生活をするんです」/明治はどんな時代だったか/生きづらい時代を明るく暮らすために/簡易生活で無一文から大卒に/知りたがりの明治人/知的好奇心旺盛な明治人/個人が幸せになることの重要性/西洋の影響を受けて/簡易生活とはどんなもの
【第一章】 明治の始める方法・失敗する方法
一日一時間「何か」をせよ/失敗したら取り返しのつかない時代/何事にもとらわれない/誤りはすぐ認め改善/わざわざ小さい部屋へ引っ越しした男/上司小剣の偉大な失敗/メンツより実利/パンで簡易生活を夢見た男
【第二章】 簡易生活は超合理的に考える
物はどこまで減らすべきか?/極端なことは疲れるから続かない/便利さは愛情を減らさない/台所廃止を唱えた男/人を機械のように使ってはいけない/便利さを導入するために/迷信ぎらいの明治人/科学的に考えると騙されない/健康情報はいつの時代も玉石混淆
【第三章】 平民主義で能力が開花する
平民主義は妻の呼び方から/最終目標は全人類の能力の開花/ある一家の超効率的な日常/止まらない奥さんの探究心/ふしぎな『霊肉統一簡易生活』/平民主義で働こう/他人の能力も開花させる簡易生活
【第四章】 疲れる人間関係を断ち切る作法
訪問客の襲来/応接は五分以内で済ませなさい/お世辞は言わない「/顔を持ってきたからお土産はない」を流儀にした男/後ろめたいことをしない/嫌なことは断る
【第五章】 簡易なくらしを追求してみる
ひたすら便利さを追求すればいい「/不生産的」な物は潔く捨てる/和装に悩んだ明治人/簡易生活はデザインを追求する/装飾との付き合い方/美しく、役に立つ物だけを持つ/明治の学生が感動した「自炊生活法」/大体のことは一人でできるようにしておく/一日十銭生活/独自の食品で米騒動に立ち向かう/実際に作って食べてみた
【第六章】 簡易生活的趣味の方法
虚礼だらけの年末年始/簡易生活は楽しさを制限しない/生活の改善を趣味にすることの効用/小さな本棚をひとつ用意してみる/簡易生活的メモのススメ/気取らず、好きなことを書く/日露戦争中に花を広めようとした男/趣味はいつしか天職へ
【最終章】 簡易生活とこれから
自分らしさにたどりつくまで/簡易生活者たちはどこへ行ったのか/簡易生活の残光/簡易生活を続けるということ/簡易生活をまとめてみる「/真に幸福なるもの」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
断捨離が注目される今のブームと、明治の新しい考え方、簡易生活が似ている。
合理性第一、科学的、簡素。
これを昔の人が、どんな感じで実践し、磨いていったのか。
今とは生活の比重がまったく違うが、(例えばガスなどなくて薪で炊飯する)考え方の芯は意外にも近い。
自分らしく、という思想が戦時にあったことに驚いた。
Posted by ブクログ
「舞ボコ」の作者による2冊目。
人生の半分くらい働いてきてぼんやりと実感していることを、ここまでまざまざと文章で読めることの嬉しさ。
たとえば職場のおみやげ。
したい人がすればいい。私にはどうしても虚礼に思えるので、個人的に廃止。
上司のあいつや、同僚のあいつの鼻面に叩ッ込んでやりたい。
生活の端々でこの「簡易生活」という言葉を思い出して、自分を確かめていきたいところ。
というか生活器具やテクノロジーの進化によって、当時より簡易生活は達成されつつあるのだと思う。
が、まだまだ。
つまるところ作者の文体が好きだな。
面白い着眼点の人が、面白い実在人を、面白い視点から切り取って、面白い文体で書けば、面白くないわけがない。
のほほん文体とでもいうか。
泰平というお名前が本当に似つかわしい文体。
Posted by ブクログ
シンプル・ライフの指南書といった感じではなく、明治〜大正にあった「簡易生活」運動を紹介する内容。中には簡易生活を追求するあまり極端な行動にでる者のエピソードもあり、作者のノホホンとした文体も手伝って気楽に面白く読み進められた。
今となってはなかなか一般では触れられない当時の雑誌記事や新聞記事の引用もあり、明治〜大正の市井のひとびとの暮らしぶりも知ることができる。シンプル・ライフを実践したい人より、レトロ文化ファンに刺さりそうな内容だけど、もちろん現代にも通じる「シンプルに、自分らしく、他者を尊重しながら生きること」の大事なエッセンスは読み取ることができる。