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Posted by ブクログ
新潮版の『門』も読んでいるのだけど、再読がてら出版社を変えてみる。
装丁のきれいな文庫本。(画面表示のランプのイラストも可愛いけど!)
読み進める内に、私の中では漱石で一番好きな作品であることに気付いた。
『それから』のストーリーも好きだったけど、宗介とお米の、自分たち二人だけの寂しい仲睦まじさは私には好ましくも映る。
しかし、一緒にいるからこそ世間的には後ろ指をさされる矛盾した苦しさもまた、分からなくはない。
二人だけの世界に、弟が入り、叔父の息子が関わり、家主と懇意になったところで、宗介を破綻に導く安井の名が挙がることの運命。
そうして、同じ悩みの淵には「立てない」と取るのか「立たせたくない」と取るのか、宗介は安井の名をお米には出さないのだった。
そこで、悟りによって救いを求めるため、禅寺の山門を叩く。
普通なら、ここで彼は何らかの救済や解決のフラグを立てるはずである。
けれど、漱石は動かさない。
門の前で、進むことも退くことも出来ず、ただ宗介はじっと途方に暮れている。
でも、私はこのシーンに救われるのだ。
何の解決にも救済にもならず、禅寺で過ごした時間はただの無駄だったんだ、と自嘲する宗介に、果てなく共感を覚える。
『それから』でも、『こころ』でも、己の苦悩に対し、一定の動きによる解決をはかり、エンディングを迎える。
けれど、動かない結末が、私は好きだ。
Posted by ブクログ
社会の掟ではなくて愛を選んだ2人の“その後”の物語。
読み終えて、なんとも言えない複雑な気持ちになったな。宗助もお米も愛し合っていて、仲がいい。そんな中、子供ができないところは同情して辛くなった。でも「この2人は不倫して結ばれた」という事実を思うと、なんとも言えない気持ちになる。
不倫をしたら、幸せになることは許されないのか。不倫をしたら社会からは閉ざされて、誰からも信用されなくなってしまうから、夫婦の2人で生きていかなきゃいけない。それはある種の“呪縛”のように感じられるね。
昔は好きでもない人と結婚しなきゃいけない人がたくさんいた。だから今の時代から見たら、昔の不倫は同情してしまう部分が少なからずある。
好きな人と結ばれても、ずっと罪悪感はつきまとう。
そんな逃げ場のない息苦しさを事細かく表現する夏目漱石の筆致にとても圧倒された。
Posted by ブクログ
高校時代に読んで以来で、8年振りくらいに再読。
話の筋は覚えてたけど細部はすっかり忘れてた。
宗助とお米が結ばれて社会と決別する流れを覚えていなかったのだけど、元々その辺りは詳細に書かれていないから覚えているはずもなかった。
でも書かれていないおかげで色々想像できた。
過去の過ちに報いる形でお米が死んだり、宗助が耐えきれず狂ったり、安井との一件を知った坂井が激昂したり、安井と宗助とお米が再会したり…っていう安直な展開にならないのが好き。
過ちが生活の所々に影を落としながらも時々幸福を感じて細々と命を繋いでいくことが示唆されるラストのやり取りも好き!
Posted by ブクログ
難しい。格別面白かったわけではないんですが、面白くないと断定できるほどこのストーリーの全てを味わい尽くしたかの自信がもてません。読み返そうとは今思えないのですが、何か認識しづらくて小さいヒントみたいものが散りばめられていそうな文章のように感じてしまって、読んだ実感はあっても理解できた実感が0です。
読み終えて真っ先に思ったのは、「安井の元から宗介とお米がいかにして離れたか見当がつかないので、宗介の苦しみに共感できない」ということでした。夫婦で社会からのつまはじきものとして生きることにしたこと、この結論だけしか分かりません。なんかこういうよく分からんけど結果そうなったみたいなのが全編多いです。
多分、私には早すぎた小説な気がしました。
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