猟奇と妖美をテーマにした江戸川乱歩短編集。
乱歩の短編は割と有名なやつは大体読んでいる気でいたけど「蟲」と「防空壕」と最後の対談は初読みでした。再読のものも含め、やはり乱歩は面白い。この性癖にぶっ刺さる感…
「蟲」は強烈だった。引きこもりの青年が恋に狂ってついに相手を殺してしまう。美しい彼女の死骸を
...続きを読む自分だけの土蔵に連れ込んでうっとり眺める青年だけど、最初は美しかった死体が徐々に腐っていく様子がグロテスクで、乱歩作品でここまで直接的にグロいのは珍しい気がした。
「防空壕」は前半の空襲の描写が鮮烈で、降り注ぐ焼夷弾や燃え上がる街を主人公は美しいと感じているんだけど、空から爆弾降ってくるの想像したらめちゃくちゃ恐ろしかった。主人公は咄嗟に逃げ込んだ防空壕で偶然居合わせた謎の若い女性と情を交わすが、その女性は気付くと消えていた。その女性が忘れられなくて探し歩く主人公…で、後半のオチには笑った。他の作品とはちょっと毛色の違う話で面白かったです。
「白昼夢」久々に読んだけど、悪夢の一瞬を切り取ったような作品で短いけど印象深い。古い映画のような映像が目に浮かんでくる。
「芋虫」「押絵」「人間椅子」「目羅博士」…その他全部好きな作品です。