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江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷に、一ヶ月にわたって連日、怪異現象が頻発。その目撃談をもとに描かれた「稲生物怪録絵巻」(堀田家本、全巻カラー)、平太郎本人が書き残したと伝わる『三次実録物語』(京極夏彦訳)、柏正甫『稲生物怪録』(東雅夫訳・註)が一冊に。多彩な妖怪変化、想像を絶する奇抜な生態、冷静沈着に観察する平太郎の武勇……日本各地に伝わる妖怪物語の最高峰が、待望ひさしいコンパクトな文庫版で初登場!
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Posted by ブクログ
面白かった! 絵巻と、京極さんの訳と、東さんの訳の三編。 どんな怪異にも動じないとはきいていたけど、化け物がでてきても『どうしようもないから寝た』『意味がわからないから寝た』『我慢していたら寝ていた』など、基本的にすぐ寝る。 怪異自体は全部実際自分が遭遇したら怖いものばかりのはずなのに、平太郎の...続きを読む態度のせいでもはやギャグのよう。
女の生首が逆さまになり、髪の毛で歩く。舌でなめまわす。 男の頭が膨れ上がり、頭に丸い穴があいて、その中から赤子がぞろぞろ這い出てくる。 冷たい人の体を踏みつけたような感触があったため、下を見ると大きな青入道がいた。足の裏にねばりがついた。
『イノモケ』は、小学生の時、学校の図書室で小学生向けにリライトされたものを読んで以来、30年振りである(とは言え、本格的に通しで読んだのは今回が初めて)。改めて読んで、稲生家の怪異は怖いよりも気持ち悪い系の方が多い印象である。しかし、ベトベト、グチャクチャのお化けに付きまとわれても、「仕方がないから...続きを読む寝た」とか書いている平太郎は、やはり只者ではない。
30日に渡り怪異体験をする平太郎が豪胆すぎて、驚かせにきた妖怪達の張り合いのなさに、惻隠の情まで湧かせてしまう。カラーの絵巻か見所。
江戸時代中期、三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷で1ヶ月続いた怪異現象を元に描かれた「稲生物怪録絵巻」、平太郎本人が書き残したと伝わる「三次実録物語」、柏正甫の「稲生物怪録」を1冊にまとめたもの。多くの作品に取り上げられた有名な妖怪絵巻が文庫で簡単に読めるとは良い世の中になりました。同じ作品でありながら...続きを読む、記録、絵巻、小説と形態の違いによる差分を楽しめます。ユーモラスな物の怪がたくさん登場する絵巻も記録や小説を読んで背景を知ってると、より楽しめます。
江戸時代中期、広島・三次藩の武士・稲生平太郎の屋敷を一か月にわたって襲った怪異現象を記録した「稲生物怪録」。 なんだろうね。平太郎本人が豪胆すぎて夏休みの絵日記のような趣で書かれています。書かれてしまっています、かな。普通の精神で乗り越えられる現象ではない怪異の数々。対処はしてみるけど、どうにもな...続きを読むらないし、とり立てて被害もなさそうだから、寝てしまえ、という精神にあるのが信じられない。 豪胆というか、実は頭のネジがぶっ飛んでいたんではなかろうか、と邪推してしまいます。 どの怪異なら自分でも耐えられるか、と考えても見ましたが、うぅむ。どれも無理という結論です。一番怖気が走ったのは、十日目の怪異。化け物が変化した友人が訪れ、頭が膨れ上がり穴が空き、中から赤子がぞろぞろと這い出してくる、というやつです。これはしんどい無理です。 この十日目が一番で、それと比べたらと思いましたが、どれもこれも無理です。 平太郎の精神力は尋常なものではないです。 歴史上実在した人物が経験した怪異。本人の記録と本人からの聞き取りという二つの資料が残っていることが、最大の怪異だったりするのかもしれません。 岩が蟹になったり、葛籠がひきがえるになったり。絵で見ると可愛げがあるけども、実際目にしたらとんでもなく怖いと思うんだよなぁ。まず普段目にしているものよりも大きさが違うし。人の顔もそうだけど、意識外の大きさのものが突然現れたら、恐怖以外感じないと思います。 古典を読むつもりでしたが、想像以上に怪異に怯えてしまいました。いや、いい読み物でした。
三次もののけミュージアムに行ったので、その記念に購入。 絵巻をカラーで一つ一つのエピソードをしっかり見られたのはよかったなあ。 平太郎本人作という『三次実録物語』はさすが京極夏彦先生、非常に読みやすい小説になっていました。 9日目のエピソードは何度読んでもエグいけど。 聞き取って書いたと伝わる『稲生...続きを読む物怪録』は、『三次〜』との相違点が散見されて、その違いを楽しめるのもいい。 読み手側が詳しくないので、その相違点が先生による脚色によるものかどうなのかまでは判断つかなかったのですが、絵もあり、成立過程の違う2種類の物語を一度に楽しめたりと、稲生物怪録に最初に触れる本としては適切だと思います。
稲生物怪録をカラー図版で・京極夏彦の文体で・現代語訳で、さらに携行しやすい文庫版という欲張りセットでこの価格。聞いたことはあるけれど、通しで読んだことはなかった人間(自分だ)にとってうれしい一冊。 図版は文庫サイズのためそこまで期待できない? ……と思いきや、三段組で全体を提示後、各日ごとに絵の部...続きを読む分を1/2~2ページほどの大きさで掲載しているのが良かった。
見当たらなかったので、代わりにこちらで登録を。 1994年出版「稲生物怪録」定価3500円小学館出版の絵本を拝読(当時にしては高すぎやしませんかね…) 平太郎の動じなさというか、もはやどんな妖怪が来るのかワクワクしているあたり豪胆だなぁと 身体的な実害は少ない妖怪ではあるものの、平太郎周りの人間関...続きを読む係は大いに崩れたのではないだろうか… あと平太郎のウィークポイントをちょくちょく付いてくるあたり、妖怪も学習しているのだな、と微笑ましくなった
名高い「稲生物怪録」だが、近寄るのは初めて。 京極さんが手広くお仕事されてるお陰です。 絵巻は確かに、独特の味が出ていてユニーク。 京極さんの現代語訳は読みやすく、微かに京極さんの匂いがするところが良きかな。 「仕方ないので寝た」「(怪異が)使えるかなと思ったが役に立たなかった」という淡々とした感じ...続きを読むが、加門七海の実話怪談の様で面白かった。 最後、魔王が出てくるのね‥知らなかった‥。 これ以上近寄らないとは思うけど、手に取らせてもらったことには感謝。
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