東雅夫のレビュー一覧
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猟奇と妖美をテーマにした江戸川乱歩短編集。
乱歩の短編は割と有名なやつは大体読んでいる気でいたけど「蟲」と「防空壕」と最後の対談は初読みでした。再読のものも含め、やはり乱歩は面白い。この性癖にぶっ刺さる感…
「蟲」は強烈だった。引きこもりの青年が恋に狂ってついに相手を殺してしまう。美しい彼女の死骸を自分だけの土蔵に連れ込んでうっとり眺める青年だけど、最初は美しかった死体が徐々に腐っていく様子がグロテスクで、乱歩作品でここまで直接的にグロいのは珍しい気がした。
「防空壕」は前半の空襲の描写が鮮烈で、降り注ぐ焼夷弾や燃え上がる街を主人公は美しいと感じているんだけど、空から爆弾降ってくるの想像したら -
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ネタバレ江戸時代に実在した人物が、実際に体験した怪異譚(ということになっている創作なんだろうが)。
16歳の平太郎青年が、7/1から1ヶ月もの間、毎日怪異に襲われる様子が、まるで日記のように日付とともに記録されている。
・物語とともに妖怪絵も付された『稲生物怪録絵巻』
・平太郎本人が書き残したと言われる『三次実録物語』
・平太郎の同僚が、平太郎から聞いた話をまとめたものとされる『稲生物怪録』
の3編構成で、いろんな角度から稲生物怪録を楽しめる良書。
しかもなんと、『三次実録物語』にいたってはあの京極夏彦氏の現代語訳!逐語訳のようなつまらない訳ではなく、まるで現代の小説かのような柔軟な文章で、かなり -
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怖かったです。
これまで鏡花を読む時は、悲しくて悔しくてしゃくりあげるほど泣いたり、気持ち悪すぎて読むのをやめたりすることもありましたが、これはそういうものだ、と腹をくくって距離をとって読んだので読めました。高野聖読める人すごいよな。私まだ無理かも。
狸が子供を化かすくだりと蟹が美味しい話が可愛らしくて好き。
一目惚れで惚れ抜くのもよいですが、時間をかけて愛しくなる夫婦もよいですね。
そして幽霊はやっぱり女の人でなくちゃ。
呪いも恨みも女のものです。
そして恐怖に叫ぶのは男なればこそ、現実世界の強い者と弱い者の立場が逆転する、という爽快感があると思う。
ホラー映画ってなんで女の子が叫ぶんでしょ -
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小説のみならずエッセイも収録された怪奇譚傑作選。小池真理子さんの短編ホラーって結構読んでる……って思っていたのですが。「律子慕情」「午後のロマネスク」って、ただの恋愛小説だと思って完全に読み逃していました。不覚。
特に「律子慕情」に収録されている「恋慕」「花車」「慕情」が素敵。死者の霊が登場するのでホラーとは言えますが、全然怖くないの。むしろこういう現れ方ならしてほしいと感じてしまいます。どこまでもさりげなく現れ、ただただ見守りそして消えていく愛おしい死者の姿がこれほどまでに静謐に描かれている作品ってなかなかないのでは。そして最近「神よ憐みたまえ」を読んだところなので、そちらとの符合にも「おっ -
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あー面白かった。
乱歩のこーゆー系は河出文庫の『不気味な話1江戸川乱歩』読んでたから中身はほとんど知っとる話やったけど、なんべん読んでもおもしろーーい。
もうこんなんばっかり読むせいで、例えば「人でなしの恋」とか、いやまあまあ変態じみとるけどまああるわいそういうこと、とか思ってしまっとる。
読んだことあるのんばっかりやとしても、最後の文庫初収録という座談会がめちゃめちゃ面白かったので買ってよかった。わたしは実は卒論や修論で雨月物語を読んでいたので、あの世のものや境界が大好きなのですよ。
それにしても乱歩の探偵ものじゃない、幻想怪奇系の作品を集めたアンソロジーはもうないのかな??探すの大変でさ -
購入済み
興味から
昔から本を読むのは大好きなのですが、どうしてもエッセイは苦手で敬遠していました。しかし、近年、文豪の名前や作品を使ったコンテンツが増えてきたため、興味を持ち、まずはこの作品からエッセイに挑戦してみようと思い購入。
大正解でした。読みやすく、興味深い内容で楽しかったです。 -
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小川未明の怪異色の強い作品を集めたアンソロジー。「金の輪」や「赤い蝋燭と人魚」といった有名かつ容易に読める作品を排除し、児童文学以外からも多くチョイスしているあたり、さすが東雅夫といったところ。
小川未明はプロレタリア文学の持つ悪趣味なグロテスク嗜好とは違う、残酷さに美を見出した人で収録先にもその傾向は色濃く感じる。収録された「囚われ人」などはちょっとケッチャムを思わせるような筋立てだが、そこに悪意や憎悪はなくただひたすらに残酷なだけだ。「血の車輪」も物語自体はプロレタリア文学風のグロテスクなものだが描きだされるイメージは未明自身の持つ社会主義的な思想を超えたものがある。そこらへん、本格を指向 -
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この世の中には「不思議」なことはある。だから、それには謙虚に耳を傾けていきたいと思っている。この本の最初の方に「深田久彌」の名前、そして彼が書いた「山の怪談」という話があった。それを読んで、その「体験談」にゾッとしたし、実際にあったんだろうと思う。不思議やことや、怖いことがたくさんあった本だった。
〈本から〉
〈幻の山行〉 西の喜与衛
略
(そんなことはある筈がない)という人がいるかも知れない。しかし私はその後、山小屋で宴会が終わって静寂さをとり戻した深夜、前年なくなった父親に会っている。ノーベル物理学賞受賞の湯川博士は「科学で分かっているのは全体の2パーセントに過ぎない、知らざれる世界こそ -
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小説は三つだけで、ほとんどが評論と随筆です。
他に座談会が三つ、乱歩が翻訳したポーの『赤き死の仮面』も載っててなかなか他ではみないラインナップでとてもありがたいです!
小説は有名なのばかりなのでこれを買おうという人は読んでる可能性が大きいものばかりですが、なんといっても正字旧仮名遣いで書いてあるのが良いです。
当時の乱歩本来のドロドロとした独特の雰囲気がかなり出ている感じがして最高です。
同じこと書いてあるにしてもやっぱり文字でこんなに変わるものなんですね。
随筆はあまり読んだことなかったんですけどこちらも面白いものばかりでした。
桜の話なんかはすごい印象に残りました。
座談会では心霊現 -
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怪異小品集。狂気に満ちていて、だけどどこかしらユーモラスで、そして美しく思える作品ばかりです。
「猟奇歌」いいなあ。短いのだけれど、短いがゆえに想像の余地が多くって、いろんなことを夢想(妄想?)させられてしまうのがとても素敵です。
お気に入りは「瓶詰地獄」。タイトルは有名で知っていたのだけれど、読むのは初めて。想像したような物語じゃなかったけれど(もっとおどろおどろしいかと)、ある意味想像したよりも恐ろしくて悲しい物語でした。ひどく印象的。
「書けない探偵小説」も好き。たしかにこれらは探偵小説とは言えないかもしれないけれど。いやいや、かなり面白そうな気がします。「大人のお伽話」は充分素晴らしい -
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ムマモノガタリヘ、マ・ミ・ム・メ・モウ!
<収録作品>
【魔】の章
血潮したたる(猟奇歌1)/月蝕/髪切虫/黒い頭/鼻の審判/権威と使命/スフィンクス/呪われた鼻/鉱物式や植物、動物式の性格/無限大の呪い/茶番神楽/定型の根本義/顔
【魅】の章
うごく窓(猟奇歌2)/微笑/青ネクタイ/光明か暗黒か/クチマネ/キキリツツリ/変態性欲とヘアピン/二匹の白い蛾/案内書の秘密/少女のレター/少女誘惑ラムプ団/不良少女享楽団長/瓶詰地獄
【夢】の章
見世物師の夢(猟奇歌3)/犬と人形/虫の生命/白椿/青水仙、赤水仙/正夢/或夜の夢/空地/ビルディング/工場/空中/街路/病院/七本の海藻/硝子世界/