東雅夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みやすいかというと、あまり読みやすくはない。
怪談文芸のハンドブックというタイトルに惹かれて手にとったのだが、『ハンドブック?』と、すこしだけ首を傾げてしまった。
著者の意図はなんとなくわかる。
怪談文芸をもり立てたい。そういうことだと思う。
シンプルだけど、すこしばかり迂遠さを感じてしまう。
怪談という文芸の定義から始まって、その特色をQ&Aで展開する。読み手に向けてというよりは、創作者に向けてのQ&Aなので、創作者としてのhow toなんかも入っている。
それを踏まえて、怪談の歴史にかこつけて様々なホラー・怪談の良作を紹介していく展開なんだけれども……うん。紹介されているお話はどれもこれ -
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半分秋になってしまったが、ようやく読んだ。
なるほどタルホをお化けの切り口で。
奔放に読んでいるつもりでも東大人……東雅夫の掌の上。
本書の中核が「Ⅳ イノモケ鬼譚」なのは間違いないが、結構「Ⅰ 化物屋敷譚」の章立ても面白かった。
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たとえどんなお化けが現われようと、決してたじろぐには当らないのである――。
宇宙文学の大いなる始祖にして、三島由紀夫を驚嘆させた少年愛文学の先駆者でもある、昭和文学の燦爛たる流れ星「コメット・タルホ」が遺した膨大な作品群から怪奇幻想の名に値する名作を初めて集大成!
タルホが熱中した江戸中期の怪異譚、《稲生物怪録》を下敷きにした4編も収録。
文豪怪異小品集シリ -
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ネタバレ角川ホラー文庫だったので、手に取りましたが、怖い要素は少な目でした。
短編集だからと目次から摘まんで読んでみたら、時系列でつながっているお話もあったので、順に読む方が分かりやすいです。
死者の想いと触れ合う物語たち。読んでいて、死者と生者の境界線の揺らぎを感じ取れました。読み終わった後は、古い友人と再会した時のような、嬉しさ、寂しさと懐かしさが綺麗に混ざったような気持になりました。これがノスタルジーでしょうか。
---13編の中から何個かあらすじと感想---
『死者と生者をつなぐ糸』
あらすじ:私は14年ほど前、いるはずのない場所で、母の形をした何かとすれ違う。
こういう奇妙な体験がいく -
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執筆年1917(大正6)年から1936(昭和11)年ころのアンソロジー。
ほんの2,3ページ程度の掌編小説や連作短歌(!)がたくさん収められている。私は主に角川文庫で夢野久作をいくらか読んできたが、本書で重複しているのは「瓶詰地獄」くらいであり、相当めずらしい作品が集まっている。
やはり夢野久作はカルトの、B級作家であるとしか言いようがない。文体もストーリーもテーマの選び方も妙に「へにょへにょした」感じの変態作家と思い、その作品は最高の芸術品とは言えないものの、メインストリームの文学群にちょっと疲れてきたとき、なんとなく「ほのかに」面白がらせてくれるような、変わり種の口直しのような文学世 -
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軽妙な語り口なのに
クセが強い
という相反する性質を纏う澁澤語の
まぁ~、相変わらず読みづらいこと(誉めてる)。
久々に彼の言葉を読みましたが
「やっぱ読みづれぇなぁ!笑」
が第一の感想です。
それもこれも、澁澤の脳内ウィキペディアリンクが次々と無尽蔵に開かれるからであって
凡人には話についていくのがやっとでございます。
エッセイや書評、インタビューなどから「いかにも澁澤」なパーツを寄せ集めたものなので
澁澤初挑戦の方にピッタリです。
あくまでもこちらは「澁澤カタログ」本であって
彼の本来の魅力に触れるなら、やはり原本にあたるのがよろしいかと考えます。
そんなわけで★3つ。 -
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Posted by ブクログ
咳のオバ様、神社の片目の魚、神様が決めた国境と山の背比べの話など、日本各地に残る昔話や神話として語り継がれた物語で、似たようなものを集めた本。
類似した昔話がある場所には、「姥ヶ池」などの似たような地名が残っているというのも印象的だった。
また、日本各地には様々なバリエーションのお地蔵様が記録されていた。願掛けのたびに墨汁や酒粕を掛けられて臭くなっているところを見かねた村人が綺麗に洗ったらバチが当たった話や、子供に悪戯されていると思い子供を叱ってお地蔵様を元の位置に戻した人の夢枕で「せっかく子供と楽しく遊んでいたのに」と怒る地蔵、歯が剥き出しの地蔵など。今では語る人も居なくなって、どうし -
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2018年、角川の文ストコラボカバーで発売された『澁澤龍彦×文豪』縛りで編集されたエッセイ、対談集です。
『ドラコニア』=澁澤龍彦の世界
であり、その世界を覗くにはちと物足りない。
ですが、文豪たちとのエピソードやエッセイを読むと、魅力的な作品が多々紹介されています。
夢野久作『ドグラマグラ』
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
についても語られており、特に黒死館殺人事件については独自で魔術やら心理学の専門書の参考文献をあたっていたりなど、愛を感じます。
個人的には『毒草園』のエッセイが面白くて、1906年フランスでの毒殺事件の件数などを上げていたりする。
マルキ・ド・サドの翻訳をされているの