東雅夫のレビュー一覧

  • 電信柱と妙な男

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    不思議な話である。怪奇小説とも違う。怪異=道理では説明がつかないほど不思議で異様な事、それがそのままに描かれているのだ。
    短編ホラーとも違うし、もちろん意味怖なんかとは全く違う。想像力の豊かさの中に放り込まれてわずかな明かりだけで出口を探せと言われているような気分になった。どの話も子供の頃見た悪夢のようだった。

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    2025年07月20日
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選

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    タイトル通りの不思議な物語が詰まった、短編集。
    恐怖と言うよりは、恋に心を燃やす女の切なさだとか、
    愛欲が人を狂わせるだとか、艶めかしさと悲しみに満ちた怪異譚。

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    2025年04月24日
  • 私の居る場所 小池真理子怪奇譚傑作選

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    いるはずの人間が実は幻想だったり、生きていると思ったら幽霊だったり。自分を不幸にした人間が、続々と不幸に見舞われたり。異形による恐怖というよりは、自分の中に何秘める何かによって引き起こされる戦慄と、そこに共存する深い悲しみ。

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    2025年04月12日
  • 怪と幽 vol.017 2024年9月

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    真・女神転生5 Vengeanceの特集も楽しみだった。期待したほどの掘り下げ具合ではなかった点が残念。

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    2025年01月05日
  • 文豪怪奇コレクション 幻想と怪奇の夏目漱石

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    ちょっと難しいのもあったりしましたが、初めてしっかり読んだ『夢十夜』が面白かった。
    現実と空想がごっちゃになってる『倫敦塔』も中々良かった。夏目漱石は『坊ちゃん』や『吾輩は猫である』のイメージが強いので、感じが全然違って意外な感じでした。

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    2024年11月26日
  • 怪談文芸ハンドブック 愉しく読む、書く、蒐める

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    読みやすいかというと、あまり読みやすくはない。
    怪談文芸のハンドブックというタイトルに惹かれて手にとったのだが、『ハンドブック?』と、すこしだけ首を傾げてしまった。
    著者の意図はなんとなくわかる。
    怪談文芸をもり立てたい。そういうことだと思う。
    シンプルだけど、すこしばかり迂遠さを感じてしまう。
    怪談という文芸の定義から始まって、その特色をQ&Aで展開する。読み手に向けてというよりは、創作者に向けてのQ&Aなので、創作者としてのhow toなんかも入っている。
    それを踏まえて、怪談の歴史にかこつけて様々なホラー・怪談の良作を紹介していく展開なんだけれども……うん。紹介されているお話はどれもこれ

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    2024年09月30日
  • 我が見る魔もの

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    半分秋になってしまったが、ようやく読んだ。
    なるほどタルホをお化けの切り口で。
    奔放に読んでいるつもりでも東大人……東雅夫の掌の上。
    本書の中核が「Ⅳ イノモケ鬼譚」なのは間違いないが、結構「Ⅰ 化物屋敷譚」の章立ても面白かった。



    たとえどんなお化けが現われようと、決してたじろぐには当らないのである――。
    宇宙文学の大いなる始祖にして、三島由紀夫を驚嘆させた少年愛文学の先駆者でもある、昭和文学の燦爛たる流れ星「コメット・タルホ」が遺した膨大な作品群から怪奇幻想の名に値する名作を初めて集大成!
    タルホが熱中した江戸中期の怪異譚、《稲生物怪録》を下敷きにした4編も収録。
    文豪怪異小品集シリ

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    2024年09月24日
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選

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    おどろおどろしいホラーではなく、日常にそっと寄り添う幽霊譚でした。
    哀愁漂う感じもあり、
    恋慕と慕情の律子物語が善き。

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    2024年08月25日
  • 山怪実話大全 岳人奇談傑作選

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    短編小説を読む楽しみ、特に怖い話を読む楽しみ、というのは短い中にギュギュッと凝縮された怖い話=構成の上手い話が沢山入っている事である。
    当方はこの手の本を夏に読むのが好きだ。特に夕方、闇が落ち始める頃に読むと何か異世界に足を踏み入れていくような気配があってたまらなくよい。
    本書は背筋をゾクリとさせる話をいくつも詰め込んでいる。強烈なものはないが、確実に心の中に入ってくるもので夜電気を消した後が怖い。

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    2024年07月02日
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選

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    花車が好きだった。どれも恋愛と幽霊を絡めたような話で好みではあるが、恋愛模様によくも悪くも昭和みを濃く感じる。

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    2024年05月25日
  • ふしぎな話 小池真理子怪奇譚傑作選

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    ネタバレ

    角川ホラー文庫だったので、手に取りましたが、怖い要素は少な目でした。
    短編集だからと目次から摘まんで読んでみたら、時系列でつながっているお話もあったので、順に読む方が分かりやすいです。

    死者の想いと触れ合う物語たち。読んでいて、死者と生者の境界線の揺らぎを感じ取れました。読み終わった後は、古い友人と再会した時のような、嬉しさ、寂しさと懐かしさが綺麗に混ざったような気持になりました。これがノスタルジーでしょうか。

    ---13編の中から何個かあらすじと感想---

    『死者と生者をつなぐ糸』
    あらすじ:私は14年ほど前、いるはずのない場所で、母の形をした何かとすれ違う。
    こういう奇妙な体験がいく

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    2024年03月20日
  • 文豪と怪奇【電子版特典付き】

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    ネタバレ

    10名の文豪たちの怪談作品の抜粋から、エッセイなどに書かれた怪異や心霊現象の実体験エピソードまで紹介されている。
    怪異譚のイメージがない文豪も多く、意外性を感じながら興味深く読んでいった。作家同士の繋がりにも触れていて、時代背景や生い立ちを知っていくと作品が更に面白くなる。
    なかには自分の目で幽霊を見たことがあるというエピソードもあって、思わずゾクッとする怪談もあった。特に好みだったのは岡本綺堂と佐藤春夫の作品。一部分の掲載のみだったので、最初から最後まで一度しっかり読んでみたい。

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    2024年02月23日
  • 夢Q夢魔物語

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     執筆年1917(大正6)年から1936(昭和11)年ころのアンソロジー。
     ほんの2,3ページ程度の掌編小説や連作短歌(!)がたくさん収められている。私は主に角川文庫で夢野久作をいくらか読んできたが、本書で重複しているのは「瓶詰地獄」くらいであり、相当めずらしい作品が集まっている。
     やはり夢野久作はカルトの、B級作家であるとしか言いようがない。文体もストーリーもテーマの選び方も妙に「へにょへにょした」感じの変態作家と思い、その作品は最高の芸術品とは言えないものの、メインストリームの文学群にちょっと疲れてきたとき、なんとなく「ほのかに」面白がらせてくれるような、変わり種の口直しのような文学世

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    2024年02月12日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    軽妙な語り口なのに
    クセが強い
    という相反する性質を纏う澁澤語の
    まぁ~、相変わらず読みづらいこと(誉めてる)。
    久々に彼の言葉を読みましたが
    「やっぱ読みづれぇなぁ!笑」
    が第一の感想です。
    それもこれも、澁澤の脳内ウィキペディアリンクが次々と無尽蔵に開かれるからであって
    凡人には話についていくのがやっとでございます。

    エッセイや書評、インタビューなどから「いかにも澁澤」なパーツを寄せ集めたものなので
    澁澤初挑戦の方にピッタリです。
    あくまでもこちらは「澁澤カタログ」本であって
    彼の本来の魅力に触れるなら、やはり原本にあたるのがよろしいかと考えます。
    そんなわけで★3つ。

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    2024年01月18日
  • 龍潭譚/白鬼女物語

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    泉鏡花生誕150年ということで出版された本であろう。怪異はあるもののそれほどでもなく、高野聖などの有名な作品の方が読みやすくわかりやすい。解説には高野聖などの小説の原型となったと記載されていた。これを読むのだったら、高野聖を再読した方がいいかもしれない。
     文字は細くなったので、活字色が灰色で紙がクリーム色とコントラストが低いので老眼者には読みづらい本となった。

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    2023年10月06日
  • 山怪実話大全 岳人奇談傑作選

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     山には怪異がいる。
     それは間違いない。
     ひとえに俺もその怪異に山で出会っているからだ。

     本作はアルピニズムの概念が日本に持ち込まれてから、古くから山にまつわる怪異奇譚集だ。
     これは自然的というより、人が介在する怪異の話が多い。

     これ読んでると、昭和前期は冒険的登山で死ぬ人多いなぁと思う。
     今だったら炎上案件ばかりだと思った。

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    2023年07月29日
  • 日本の伝説

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     咳のオバ様、神社の片目の魚、神様が決めた国境と山の背比べの話など、日本各地に残る昔話や神話として語り継がれた物語で、似たようなものを集めた本。
     類似した昔話がある場所には、「姥ヶ池」などの似たような地名が残っているというのも印象的だった。
     また、日本各地には様々なバリエーションのお地蔵様が記録されていた。願掛けのたびに墨汁や酒粕を掛けられて臭くなっているところを見かねた村人が綺麗に洗ったらバチが当たった話や、子供に悪戯されていると思い子供を叱ってお地蔵様を元の位置に戻した人の夢枕で「せっかく子供と楽しく遊んでいたのに」と怒る地蔵、歯が剥き出しの地蔵など。今では語る人も居なくなって、どうし

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    2023年07月21日
  • 私の居る場所 小池真理子怪奇譚傑作選

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     角川ホラー文庫版、小池真理子傑作選の第2冊。収録作品は1997年から2017年辺りに発表されたものらしい。
     巻頭の「幸福の家」が最も印象が強く、途中までは普通小説として読めて、冷静な文体にそれなりの詩情も漂う。油断していると思いがけない暗転に至るのだが、そこまでに醸成された情趣を言及することで、作品としての完結を示している。
     他は、今ひとつかなという結末のものもあるが、総じてこの人のホラー小説は悪くない。書こうと思えばごくオーソドックスな普通小説も書ける人なので、それなりに力量が高いのだろう。

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    2023年01月11日
  • 稲生物怪録

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    見当たらなかったので、代わりにこちらで登録を。
    1994年出版「稲生物怪録」定価3500円小学館出版の絵本を拝読(当時にしては高すぎやしませんかね…)

    平太郎の動じなさというか、もはやどんな妖怪が来るのかワクワクしているあたり豪胆だなぁと
    身体的な実害は少ない妖怪ではあるものの、平太郎周りの人間関係は大いに崩れたのではないだろうか…
    あと平太郎のウィークポイントをちょくちょく付いてくるあたり、妖怪も学習しているのだな、と微笑ましくなった

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    2022年09月23日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    2018年、角川の文ストコラボカバーで発売された『澁澤龍彦×文豪』縛りで編集されたエッセイ、対談集です。

    『ドラコニア』=澁澤龍彦の世界
    であり、その世界を覗くにはちと物足りない。
    ですが、文豪たちとのエピソードやエッセイを読むと、魅力的な作品が多々紹介されています。

    夢野久作『ドグラマグラ』
    小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
    についても語られており、特に黒死館殺人事件については独自で魔術やら心理学の専門書の参考文献をあたっていたりなど、愛を感じます。

    個人的には『毒草園』のエッセイが面白くて、1906年フランスでの毒殺事件の件数などを上げていたりする。
    マルキ・ド・サドの翻訳をされているの

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    2022年04月02日