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亡き母が作った精巧なドールハウスに隠されたあることに気づいた瞬間、世界が反転する「坂の上の家」。嫉妬深い夫の束縛に抵抗できない妻の秘密――意外な展開に震撼する「囚われて」。自分以外誰もいない“日常”に迷い込んだ女性の奇妙な心の動きを描く表題作など小説ほか、敬愛する三島由紀夫の美学、軽井沢の森に眠る動物の気配など、生と死に思いを馳せるエッセイを収録。耽美で研ぎ澄まされた恐怖世界に浸れるアンソロジー。
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Posted by ブクログ
読んでる途中からそうじゃないかなそうじゃないかなと思わされ、やっぱりそうなのにやっぱり背筋がザワっとする『幸福の家』『坂の上の家』『囚われて』が◎。 『カーディガン』ははっきりしないからこその不安定な怖さもあると思うけれど、私としてははっきりしてほしかった。 ねばねばした感じは苦手と思う作品もあ...続きを読むりながら、結局は全部読んでしまった。
小池真理子怪奇譚傑作選 第2弾 小品ですが粒揃い 個人的覚書です 「仄暗い廊下の果てに」 時折見る同じ廊下の夢 「優しい既視感」 日本家屋の光の妖しさ 「襖の向こう側」 古く大きな日本家屋の襖の向こう側 「幸福の家」 幸福だったその時に留まる哀しい魂 「坂の上の家」 その家はドールハウス...続きを読むの中に 「私の居る場所」 私しか居ない場所 「千年烈日」 小池真理子の造語と思われる 千年の厳しい日々を示唆? ストーリーとしては、不倫でありながら純愛 花の使い方とあわせ、夏目漱石『夢十夜』を思わせる 「妖かし」 無自覚に為出す怨念 「灰色の猫」 過去と繋ぐ公衆電話 ただ、ここまで公衆電話が社会から減ってしまうとは思っていなかったろうな、と感じる 「柘榴の木の下」 生きている間に大事にしてくださいね 「一角獣」 好きであったであろう男の自死の後 彼の話に出てきた一角獣と、彼の猫を待つ 「囚われて」 逃避の為の甘い幻想 「カーディガン」 カーディガンによってもたらされた安寧の場所は、あちらとの境界なのかな エッセイ編 「狂おしい精神」 三島由紀夫愛に溢れるエッセイ 「神が降りた」 直木賞受賞作『恋』執筆時に体験した、奇跡のようで奇妙な出来事についてのエッセイ 「骸たちの静かな気配」 軽井沢の別荘地での暮らしについて綴ったエッセイ 私は小池真理子さんの小説が好きだと改めて思う。直木賞受賞作『恋』はもちろんのこと、数々のホラー・怪異系作品は、短編でも掌編でも、単なるホラーの恐怖で終わらせない多様なストーリーが読める。 さらに、女子高生の頃から三島由紀夫を深く愛読されてきたことを知り、その背景に触れて、三島由紀夫の文章が好きだったとのことで、ますます惹かれました。
いるはずの人間が実は幻想だったり、生きていると思ったら幽霊だったり。自分を不幸にした人間が、続々と不幸に見舞われたり。異形による恐怖というよりは、自分の中に何秘める何かによって引き起こされる戦慄と、そこに共存する深い悲しみ。
角川ホラー文庫版、小池真理子傑作選の第2冊。収録作品は1997年から2017年辺りに発表されたものらしい。 巻頭の「幸福の家」が最も印象が強く、途中までは普通小説として読めて、冷静な文体にそれなりの詩情も漂う。油断していると思いがけない暗転に至るのだが、そこまでに醸成された情趣を言及することで、...続きを読む作品としての完結を示している。 他は、今ひとつかなという結末のものもあるが、総じてこの人のホラー小説は悪くない。書こうと思えばごくオーソドックスな普通小説も書ける人なので、それなりに力量が高いのだろう。
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