樋口真嗣の作品一覧
「樋口真嗣」の「怪獣文藝の逆襲」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「樋口真嗣」の「怪獣文藝の逆襲」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
怪獣映画はガチのリアリズムがないとだめだ。非現実としかいいようのない怪獣を召喚するにはまわりからリアルに固めていかねばならない。某ゴジラ映画には夢オチのが一本あって子供心にもあれは腹が立ったな。しかしまた、映画においてはとにもかくにも怪獣が出てきて、それが「絵」としてよくできていたら、放射能で巨大化したとかいうしょぼい設定であっても、それだけで説得力を持つ。何しろ人間は視覚をもっとも信じるのだから。
だから視覚を欠く怪獣小説は最初からハンディを負っているのだと思う。
本書は『怪獣文藝』の続編。続編といってもそもそもアンソロジーだから、話がつながっているわけではなくて、第2弾ということである。『怪獣文藝』のほうは読んでないのだが。
で、その夢オチというか、最初から主人公が繰り返し見る怪獣の夢の話で押していくのが有栖川有栖。こういうのもありか。
怪獣小説でリアリズムを追求すると、怪獣対策の行政組織ができて、というようになるだろうが、それは山本弘の『MM9』シリーズ。大倉崇裕は同工異曲の設定で、しかし怪獣の至近距離で迫力ある写真を撮って売る人々「怪獣チェイサー」を登場させたのが目新しい。
その山本弘は別種のリアリズムを、かつてあった冒険物語──映画にもあったような、少年雑誌にもあったような──を復興させることで得ようとする。20世紀半ばの密林、怪しい宗教団体、生け贄にされる半裸の少年、そこに現れる巨大生物。ほらなんだか懐かしい。
冒頭にはいまや特技監督の第一人者である樋口眞嗣が若いころに書いた怪獣映画の企画書が掲載されている。題して「怪獣二十六号」。土木機械で怪獣に立ち向かうのである。
美しかった母親は50歳を過ぎたころから急激に老婆のように老け込み、山に捨ててくれと言い出すようになった。梶尾真治「ブリラが来た夜」。「ブリラ」の名の由来が面白い。
怪獣とは少年の破壊衝動の具現化である。そしてそれが現実化したら世界は破滅する。ということを太田忠司はよくわかっているようだ。黒い虹を出す怪獣というのは『ガメラ対バルゴン』を踏まえているのだろうが、作品の暗い雰囲気に禍々しさを添えていて秀逸。
今度怪獣映画を公開する園子温監督は自主映画時代のエッセイだかフィクションだかわからないものを寄せている。怪獣が登場するのは「怪獣映画を撮った」とほらを吹いているところのみ。
脚本家小中千昭は東京地下の巨大ミミズをカルトに描くが、ちょっとシノプシス調。
もと角川書店社長の井上伸一郎の処女作は、時代劇というか元寇の時代が舞台で、『ガメラ』シリーズへのオマージュとなっている。これだけが二大怪獣対戦である。
以上8編。私は結構楽しんだ。
怪獣というと、破壊される大都会、応戦する自衛隊がステレオタイプでもあり期待されるところでもあるのだが、それは最初に述べたように周囲をリアルで固めていくことである。ここでも多くの作品がありきたりな現代生活に怪獣を登場させているのは、怪獣にリアリズムを持たせる方策かもしれない。だから遠未来を舞台にしたものとか、スペースオペラ+怪獣といった趣向がないのだろう。
ただ、「怪獣文藝」の場合、特撮映画とはやはり違う線を追求せざるを得ないのであろうから、私は本書では第一に太田忠司「黒い虹」、次に園子温「孤独な怪獣」が面白かったとしておこう。
Posted by ブクログ
怪獣大好き男性作家陣の怪獣小説アンソロジー
「怪獣二六号」樋口真嗣
25年前の怪獣映画の企画書
ざっくり。さもありなんです。
「怪獣チェイサー」大倉崇裕
ゴジラ存在的世界観の日本。
怪獣先進国たる日本。
ちょっとそのままドラマになりそうな
カメラマンと怪獣省の女性の関係が素敵
怪獣省の大臣はきっとあの人。
「廃都の怪神」 山本弘
未開の奥地の原神となっていた怪獣。
少年は、原始的な戦い勝利した。
最近、こういう感じのファンタジーBLあるよね。
「ブリラが来た夜」梶尾真治
自分の母親が ウルトラの母的存在であったならその血脈は受け継がれるのではあるまいか。
怪獣来襲の夜は、家族の来歴を知る夜でもあった。
おもろかったです。
「黒い虹」太田忠司
謎の転校生(眉村卓)×時を駆ける少女×怪獣
「怪獣の夢」有栖川有栖
さすがというか、怪獣文藝とは、といった短編。貧しい子供時代から見続けた怪獣の夢。
現実が成功するにつれ、怪獣となった夢に転換する。ラストの意味深が好き。
先日読んだ 能の邯鄲を思い出す。
「孤独な怪獣」園子温
もし、あのトラブルが表面化した後の作品だとしたら人格を疑う。
アンソロジーが2015年刊行だから さすがにセクハラ流出前ですね。
これを小説と読むか私小説と読むか。
同意してるから良いのかな?
私は、何やっても自由だと思うけど
それを文藝とされたくはない。
「東京デスワーム」小中千昭
ものすごく昔、テレビのロードショーで
ワームがそこらじゅうから溢れてくる映画を観たことがある。水道の蛇口からもどこからも。おそらく、私が観た事がある映画の中で最恐だと思う。この小説のように怪獣並みのワームならまだ良い。小ぶりなのがいっぱいが 怖い。
で、もしかしたら蛭子様とかからのモチーフかなと思いました。
「聖獣戦記 白い影」 井上伸一郎
著者は初読。
雑誌編集者で、2007年に角川書店代表取締役社長、のち角川グループホールディングス代表取締役専務という経歴がまず目を引く。
しかも本作が小説執筆の初作品だというから驚く。
時代設定は鎌倉時代、文永の役・弘安の役。
いわゆる「神風」を、聖獣の存在として再解釈する構成がとても明快だ。
怪獣(聖獣)というフィクションを用いながら、
歴史の踏み込んでいく。
そしてラストのまとめ方が、
怪異譚としてだけでなく、時代小説としても少しドキッとする着地になっている。
あとがきは東雅夫氏。
発刊当時の怪獣映画事情が語られる中で、
宮部みゆき『荒神』にも触れられていた。
福島県内陸部を舞台にした元禄期の怪獣小説。
民話・歴史・怪異が溶け合ったこの作品は、
怪獣を愛する男性作家たちによる諸作品をも凌駕する名作だと思います。