東雅夫のレビュー一覧

  • 文豪怪奇コレクション 猟奇と妖美の江戸川乱歩

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    光文社文庫の全集でだいたい読んだので、初読は「防空壕」「夏の夜ばなし――幽霊を語る座談会」のみだが、既読の作品も改めて面白い。
    講談調の語り手の文体も、語り手が延々告白する口調も、同様によい。
    やはり内容だけでない文章の味。
    語り手が存在する場合は、語り手がある特異な人を観察した上で読み手=聞き手に報告する、という形式があるみたい。
    メディウム=媒介者が、特異な人と読み手の中間に位置するパターンが多いな、とか、つらつら思いながら読んだ。
    以下ざっくりと。

    ■火星の運河
    彼女←私が語り手→読み手
    ■鏡地獄
    彼←(観察)ー私Kー(語る)→冒頭の語り手私→読み手
    ■押絵と旅する男
    兄←(観察)ー老人私ー(語る)→語り手私→読み手
    ■白昼夢
    演説者真柄太郎→語り手私→読み手
    ■人間椅子
    手紙の主→閨秀作家佳子←語り手作者→読み手
    ■人でなしの恋
    夫門野←(観察)ー語り手妻京子→読み手
    ■踊る一寸法師
    軽業師たち・一寸法師の録さん←(観察)ー語り手私→読み手
    ■目羅博士の不思議な犯罪
    目羅博士←(観察)ールンペン風の青年ー(語る)→語り手乱歩→読み手
    ■蟲
    木下芙蓉←柾木愛造←語り手作者→読み手
    ■蟲
    木下芙蓉←柾木愛造←語り手作者→読み手
    ■防空壕
    僕市川清一→聞き手/わたし宮園とみ→聞き手旦那さま
    ■お勢登場
    おせい←格太郎←語り手作者→読み手
    ■夏の夜ばなし――幽霊を語る座談会

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    2021年08月06日
  • 文豪怪奇コレクション 猟奇と妖美の江戸川乱歩

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    乱歩の「怪奇・幻想」方面の作品を取りそろえた短篇集。巻末には鼎談「夏の夜ばなし──幽霊を語る座談会」を商業媒体で初復刻収録。

    鼎談は昭和22年グラフ雑誌「トップライト」八月・九月合併号に掲載されたもの。参加メンバーは乱歩と一橋大学名誉教授で検事など歴任した刑法学者の植松正と慶応大学教授でエッセイストの奥野信太郎の三名。それぞれが専門分野が異なるため、三者三様の立場での幽霊談義は面白かった。

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    2021年07月20日
  • 文豪怪奇コレクション 幻想と怪奇の夏目漱石

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    夏なので幻想怪奇系積読消化するぞのじかんです。
    これは最近買った本だからそんなに積読じゃないけど、積む予定だったから読めてよかった。
    幻想怪奇かとゆーとそこまでではなかったけど、「琴のそら音」とか面白かった。
    「薤露行」は、わたしはアーサー王伝説をぜんぜん知らんので、Wikipediaとかで調べながら読んでたよ。擬古文しんどかったけど、話に合った文体やとおもた。

    あと、夏目漱石てやっぱり「人というのはこういうものだから」ていうのを描写するのがものすごくうまいというか、今まで意識してなかったようなそういうのを分かりやすく言語化してスーンと納得させてくれるよね。

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    2021年07月15日
  • ヤマケイ文庫 文豪山怪奇譚 山の怪談名作選

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     トレッキングを楽しむ程度なので、いわゆる深山幽谷に分け入ったような経験はほとんどないが、山を見ていると、「常人の立ち入らないあの奥はどうなっているのだろうか、何か不思議なこと、畏ろしいことがありそう」といった思いが浮かぶ。
     本書は、怪談や幻想系作品のアンソロジストとして名高い東雅夫氏が、「山怪」をテーマとして編集した一冊である。

     一番のお気に入り作品は、やはり鏡花の『薬草取』。愛する人のために薬草を取りに向かう青年が、花を摘みに行く娘と道連れになった道中で語る、年少の時の哀しくも夢のような体験。
     槐多『鉄の童子』は、未完ということもありよく分からなかった。山を下りて下界の村に降りた主人公はまるでツァラトゥストラを思わせるが、題名にもある童子とどのような関わりが生じるのか、これからというところで終わってしまっている、ただ、山の描写については槐多らしく大変力強い。
     火野葦平『千軒岳にて』は、火山の噴火とそれに対する河童の反応を題材に、面白く仕上げている。

     本堂平四郎、平山蘆江は名のみ知っていた作家で、初めて作品を読んだが、こうして初めて作家、作品にふれることのできるのも、アンソロジーのありがたさだ。

     他にもこれはという作品が選ばれており、とても楽しめる。

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    2021年06月28日
  • 怪談と名刀

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    古い文体なので歴史小説に馴染みのない私には読み進め辛いかなと感じたが慣れればスッと内容がはいってきた。物語だけでなく刀その物の姿形や刀工の解説もあり読みごたえがあった。

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    2021年05月03日
  • 怪談と名刀

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    ネタバレ

    刀剣好きなら楽しい一冊。各刀ごとの逸話が短編として収められていて、それぞれの短編の末尾にはその刀についての著者の所見が記されている。知ってる刀派が出てくればテンションが上がるし、知らないものについても刃文や地鉄の特徴などが細かく記録されているのでとても参考になる。私はそんなに詳しくないので、地景とか砂流しとか分からない単語が結構多くて検索疲れしてしまったけど、、、予備知識があればもっと気軽に楽しめたろうと思う。

    編者解説より、著者は泉鏡花や柳田國男と同年代だそうで、どうりで文章が古典的なわけだと合点したが、読みづらいというほどではない。むしろ雰囲気と合っていて良い味を出している。ほとんど昔話を読んでるつもりだったのが、いきなり話者本人から聞き出したものが現れて、それが山女との格闘まで含んでいたものだから驚いた。やはり少し前の日本には妖怪の類が本当に跋扈していたのかもしれない、司馬遼太郎と堀田善衛、宮崎駿との鼎談であったように、暗闇を照らし出す「電気」が広まってから姿を消してしまったのだなあ、と漠然と思いつつ、これらの"大層な"物語を背負う格があるからこその名刀なのだという認識も深まった。

    それぞれユニークで面白かったけど、小夜左文字の復讐譚は知っていたにも関わらず改めて文章にされると胸にくるものがあったし、大利根の鬼女話は怖すぎた、DVどころじゃない。辻斬りも多いし物騒。共通しているのは、名工が鍛えた刀には霊威が宿り、物の怪は近寄ることすらできないということ。日本のモノづくり文化の根幹が伺えますね。

    ■黄牛大奮戦/亀海部
    ■片思いの梵鐘/卒都婆月山
    ■虚空に嘲るもの/秋葉長光
    ■潜み迫る女怪/金丸広正
    ■呑んで呑まれて/倉敷国路
    ■仁王尊のごとく/二タ声宝寿
    ■夜泣石のほとりで/名物小夜左文字
    ■白猿狩り/白猿
    ■鬼女狂恋/大利根
    ■怪猫邪恋/三毛青江
    ■血を吸う山賊/松尾清光
    ■螢と名刀/名物螢丸
    ■怨む黒牛/台覧国俊
    ■邪神の犠牲/石切真守
    ■群狼襲来/弦月信国
    ■妖異大老婆/嫗切国次
    ■報恩奇談/二ツ岩貞宗
    ■死霊の応援団/籠釣瓶兼元
    ■七股妖美人/七股政常
    ■俳友巣仙/巣仙国広
    ■富田城怪異の間/初桜光忠
    ■蛇性の裔/皹三条
    ■怪奇の按摩/米屋氏房
    ■辻斬りと怪青年/久保坂祐定
    ■逆襲の大河童/有馬包国
    ■藤馬物語/各務綱広
    ■大蛇両断/吾ケ妻貞宗
    ■首が飛んでも/猪ケ窟之定

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    2021年01月05日
  • 日本の伝説

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    日本昔話を子供の頃、よくテレビや絵本で見ていたが、ほとんどの話はハッピーエンドに終わる。それは子供の教育に良くないということで、「砂糖漬け」してしまっている現状だ。原作の昔話は、婆を煮て食べてしまうなど、残酷な話も多い。その昔話が伝える教訓やメッセージを読み手が汲み取ることが大切なのではないか。
    欲を起こすと、自分に返ってくる。夫婦仲良くすることが大切など、示唆に富んでいる。

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    2020年06月17日
  • なぜ怪談は百年ごとに流行るのか

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    タイトルの一連のお話は『ごと』と冠しつつ200年前で打ち止めになっていて、先にありきの感が否めない。加えて、(著者が著者だけに当然なんだけど)手前みそ感が終始付きまとっていた。
    とは言え、内容は興味深い。特に、明治大正期は残る資料も多く、見ごたえがある。また、巻末の文芸表は、手元に残して一つずつ埋めたくなってくる。

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    2020年05月31日
  • 夢Q夢魔物語

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    ネタバレ

    夢野久作(1889-1936)の小品集。猟奇歌(抄録)、掌編、童話、エッセイ、ルポルタージュなど、他の作品集で選ばれることの稀なものが多い。

    記者として勤めていたことのある『九州日報』に連載されたルポルタージュ「東京人の堕落時代」「街頭から見た新東京の裏面」が貴重でありかつ興味深い。記者杉山萌圓の視る大震災後の東京と作家夢野久作が描く作品世界とは、まるで断絶していない、ぞっとするほど地続きであることが、読めばすぐに感じられる。都市彷徨者としての夢野久作。都市も人物もどこか透明で実体が欠落しているよう。非人称的。

    自己を自己たらしめている何かが実はただの虚無でしかなかった、という感覚。彼の描く人物は、みなどこか空っぽの印象を受ける。その内面の空虚に、自分の外のどこからかやって来る、誰のものとも云えない想念。空っぽゆえに却って世界そのものをも軽々と乗っ取って一緒に空っぽにしてしまう図々しさ。自己も世界も喪失して、ついに喪失し得る一切を喪失してしまった、その喪失の果てのいまここに、ぽつんと浮かんでいる。そんなものが顔をもたげてくる奇譚。能に関する評論「定型の根本義」に、このあたりの彼の美意識の一端が表れているように思う。

    「人間の世界は有意味の世界である。大自然の無意味に対して、人間はする事なす事有意味でなければ承知しない。芸術でも、宗教でも、道徳でも、スポーツでも、遊戯でも、戦争でも、犯罪でも何でも……。/能はこの有意味ずくめの世界から人間を誘い出して、無意味の舞と、謡と、囃子との世界の陶酔へ導くべく一切が出来上っている。そうしてその一曲の中でも一番無意味な笛の舞というものが、いつも最高の意味を持つ事になっている。[略]。/かようにして舞台面の気持ちはやがて散文も詩も通り越し、劇も身ぶりも、当て振りも、情緒や風趣をあらわす舞も、グングンと超越して、全然無意味な、気分も情緒も何もない、ただ、能としての最高潮の美をあらわす笛の舞に入る。そのときに謡が美しく行き詰まりつつ消えて行く」(p87ー88)。

    それでもアイロニーの強迫だけは、最後まで憑いて離れない。

    「そうしてもうじきおしまいになるのよ」(p23)。

    □

    その他の感想。

    「月蝕」「髪切虫」美は喪失の裡に美となるのであり、そうした様式それ自体に美を見出すのが耽美か。「青ネクタイ」理性と狂気、真と偽、その決定不可能性。「虫の生命」ボルヘス幻想譚的円環。似たような話をどこかのアンソロジーに編んでいた。「硝子世界」奇想そのもの。何者でもない世界の美しさ。「縊死体」主体と客体の逆転という恐怖。

    「工場」生を冷笑しそれを喰らう機械、死を創造する無機的な運動。機械に人間性を否定する死のイメージを視る、そしてそこに美的な何かを見出す感覚。「……人間……狂人……超人……野獣……猛獣……怪獣……巨獣……それらの一切の力を物ともせぬ鉄の怒号……如何なる偉大なる精神をも一瞬の内に恐怖と死の錯覚の中に誘い込まねば措かぬ真黒な、残忍冷酷な呻吟が、到る処に転がりまわる。[略]。すべての生命を冷眼視し、度外視して、鉄と火との激闘に熱中させる地獄の騒音……」(p229)。「しかも、それ等[工場の機械]の一切を支配して、鉄も、血も、肉も、霊魂も、残らず蔑視して、木ッ端の如く相闘わせ、相呪わせる……そうして更に新しく、偉大な鉄の冷笑を創造させる……」(p230)。

    「ビルディング」「空中」「病院」ドッペルゲンガー。自己と他者とは、論理的階層が異なる、形而上学的境位が異なる。自己が他者に向ける眼差しと、自己が自己に向ける眼差しとは、区別される。超越的/超越論的の区別。同一であるはずの自己が、他者として自己から分離して自己の眼前に現れ、他者として当の自己自身と対向関係に入りこちらへと向かってくる、という恐怖。自己に対して自己関係的機制の裡にあるはずの自己が、その捉えがたい円環構造を一気に脱け出て、全き他者として直線的に対向してくる、という恐怖。「空中」の、極限まで切り詰められた、名指し得ぬ純粋な恐怖そのものを形象化した美しさは、本書の白眉。

    「線路」自殺の可能性としての、自然を超越する可能性としての、実存の絶対的自由という逆説、嘗て自分も似たようなことを考えたことがあった。「……自分で自分の運命を作り出し得べき最簡単な、且つ完全な機会は今を措いてほかに無い。あらゆる人類生活の条件と因縁とを離れて、自分自身の運命を絶対の自由さに支配し得る、唯一無常の快い刹那は、今しも眼前数秒の裡に迫っている。此快い刹那を捕えるのは、私が持っている最後の権利である」(p281)。「こうして私の死は永久に無意義に葬られるであろう」(p284)。

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    2020年01月01日
  • 電信柱と妙な男

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    小川未明の幻想・怪異系の作品を集めた1冊。
    未明の作品は純日本を舞台にした作品の一方で、どことも判然としないエキゾチックな国を舞台にした無国籍風の作品がありますが、私はその無国籍風の作品の方にとても心惹かれるのです。
    本書の解説でゴシック・ロマンスやスラヴ浪漫派文学などの影響について触れてて、ああなるほどと思う気付きがあり。西洋風の城や墓場が出てくる訳ではないけれど、そのかわりの工場だったり一軒の小屋なわけで、要は抱えてるテイストがそっち方面と地続きなんですね。
    恩師であるハーンの書く怪談話はあくまで説話的な印象なんですが、未明の作品はロマンチックでかつ童話的でありながら、読んでる最中ずっと読者の心の中をぞわぞわと不安にさせる薄気味悪さがついてきてて面白いですねぇ…。

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    2019年10月24日
  • 稲生物怪録

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    名高い「稲生物怪録」だが、近寄るのは初めて。
    京極さんが手広くお仕事されてるお陰です。
    絵巻は確かに、独特の味が出ていてユニーク。
    京極さんの現代語訳は読みやすく、微かに京極さんの匂いがするところが良きかな。
    「仕方ないので寝た」「(怪異が)使えるかなと思ったが役に立たなかった」という淡々とした感じが、加門七海の実話怪談の様で面白かった。
    最後、魔王が出てくるのね‥知らなかった‥。
    これ以上近寄らないとは思うけど、手に取らせてもらったことには感謝。

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    2019年09月02日
  • 稲生物怪録

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    十年以上前、稲垣足穂「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」を読んで知った。
    その後、妖怪や幽霊の本を収集しているにもかかわらずなかなか本腰入れることができずにいる。
    鬼太郎6期にはまったり、水木しげるをぽつぽつと読んだり、今度松江に行くことになったり、と妖怪づいている。
    だもんだからまず三次の商工会議所でDVD「伝承としての稲生物怪録」を頂いてばっちり予習してから、よきタイミングでこの本に向かったのである。

    面白い!
    まずは絵巻の味。
    主に屋内における怪異が、これでもかと怖可愛く。
    そして京極夏彦による訳も。
    「たいしたことなかったから寝た」のテンドンに吹き出してしまう。
    そして東雅夫の訳も。
    どういうことかというと、

    ・稲生物怪録絵巻(堀田家本)
    ・武太夫槌を得る――三次実録物語 本人の書き残したものを京極夏彦が訳したもの。
    ・稲生物怪録 同僚の柏正甫がインタビューして書き残したものを東雅夫が訳したもの。

    の三つが収録されている。
    どれも同じ筋なので繰り返しなのだが、それぞれの味がまたよし、なのだ。

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    2019年08月07日
  • 山怪実話大全 岳人奇談傑作選

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    実話という表記にあまりいい読後感を持っていないので、どーかなーと思っていたら、今様の読者投稿という体ではなく、明治から昭和にかけてのアンソロジーだった。そういやサブタイトルに『~傑作選』ってあるな。
    爆発的ヒットで知られる『山怪』を読んだ時にも感じたけれど、山の話は多分に主観的で、基本的に話者がイコール体験者という話も少なくなく、結果として、怖くない。少なくとも、山を体験したことのない私は。
    とは言え、現象やキャラクターには興味津々なので、いわゆる『怪談実話』のなかでは読みごたえがあった。

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    2019年04月21日
  • 怪獣文藝の逆襲

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    東雅夫さん編集ということで手に取ってみたら、有栖川有栖さんや山本弘さんといったミステリ畑やSF畑の方も書いていて驚いた。
    んだけど、アンソロジーの傾向として、「怪獣はあるもの/対峙するもの」として描かれていて、絶対的に抗えない存在という畏怖感には欠けていて残念だった。前作がそういったものらしいので、気にしておこうと思う。

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    2019年03月04日
  • 江戸東京怪談文学散歩

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    鴎外「百物語」、荷風「来訪者」、芥川「妖婆」、鏡花「怪談会」「恋女房」等…怪談物語ゆかりの地の解説と聖地巡礼レポがセットになった一冊。
    その中でも綺堂「青蛙堂」と圓朝「怪談乳房榎」が個人的に好きなお話って事もあり、面白かったですね。坂に憑かれた綺堂。
    主に東京の東半分が舞台になっているのが多いのも土地柄でしょうが興味深い。谷中や浅草、深川界隈を実際に回ってみたくなります。

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    2018年12月22日
  • ドラコニアの夢 アニメカバー版

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    目次
    編者序言

    三つの髑髏
    髑髏
    夢のコレクション
    豪華な白
    林檎
    秘密結社の輪廓
    犯罪的結社 その他
    横浜で見つけた鏡
       
    ランプの廻転
    地震と病気 谷崎文学の本質
    『亂菊物語』と室津のこと
    江戸川乱歩『パノラマ島奇談』解説
    『夢野久作全集』第一巻
    小栗虫太郎『黒死館殺人事件』解説
    『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著
    石川淳と坂口安吾 あるいは道化の宿命について
    三島由紀夫とデカダンス 個人的な思い出を中心に
    『変身のロマン』編集後記
    潜在意識の虎 『動物の謝肉祭』序
    毒草園から近代化学へ
    デカダンス再生の“毒” サドの現代性
    優雅な屍体について
    恐怖の詩 ラヴクラフト傑作集『暗黒の秘儀』 
    メルヴィル頌
    避雷針屋
       
    鏡花の魅力 対談 三島由紀夫×澁澤龍彦

    編者解説

    @

    角川文庫は文スト表紙で揃えて本屋に並べたいんだろうな、そこでフットワークの軽い東氏に頼んだんだろうな、なんて軽薄な企画、きっとうっすいんだろうな、と正直印象はよくなかった。
    というより澁澤の検索候補がアニメキャラに浸食されるのが鬱陶しいなあと思っていた。
    が、実際に読んでみると、さすがは東氏。納得のアンソロジー。
    というより澁澤自身が、アンソロジストであると同時に、アンソロジーに適した作家性を備えていたんだな、と感想を新たにした。

    とはいえ澁澤初読者に合っているとは言えない、中級者向けのセレクト。
    だがそんな事情などどこ吹く風でキャラ萌え(関係性萌え)した女子たちがシブサワを×の前後にどのキャラとの組み合わせて置いて妄想を繰り広げるのか、それを観察するという愉しみを、ちょっと取っておこう。

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    2018年11月19日
  • 山怪実話大全 岳人奇談傑作選

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    柳田國男翁始め、岡本綺堂、夢枕獏、深田久彌、西丸震哉といった、その筋以外でも広く知られたビッグネームが並ぶ小品集。
    収められている多くはズバリ分かりやすい怪談というよりも、山という異界を舞台にしたほんのり不思議で薄ら寂しい、そんな話になっている。
    そしてインターネットやGPSなどに代表されるテクノロジーが急速に普及した現在とはまた趣を異にする、いかにも昭和という、特有のあの匂いに満ちた各掌編が醸し出す空気がしっくり漂い過ぎている。
    巻末の編者解説でも触れられているが、「深夜の客」の類型は私もこれまでに何度か目にしたことがあり、やはり山の怪異話の古典、クラシックなんだなあと腑に落ちたりもした。

    家の近所のちょっとした山でも、少し日が暮れかかってくるだけで訳もなく怖いもんなあ、何かが起きても決しておかしくない時空なのだろう、山は。

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    2018年10月25日
  • 夢Q夢魔物語

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    ネタバレ

    夢野久作らしくも読み易い小品集。
    「瓶詰地獄」以外は初めて読んだのですが、不気味で不可思議な輪廻転生を綴った「魔の章」から始まり怪奇あり幻想ありでバラエティに富んだ作品集でした。
    「空中」は恐らくバミューダトライアングルを題材としており、これが現実に起きている怪事件と思うと夢野久作の描く不思議な物語たちも強ちフィクションではないのかもしれない..と感じました。
    「病院」は「ドグラ・マグラ」に繋がる部分があり、論文の為に自分自身を追込みキチガイ地獄へと放ったもう1人の自分とは一体誰なのか?という謎が非常に面白かったです。
    本当に短く読み易い作品ばかりですが、個人的には他の夢野久作作品を読んでからのほうが色々な発見があり楽しめるのでは、と思いました。

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    2018年10月16日
  • 百物語の怪談史

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    アンソロジー、エッセイ、ブックガイドの三部構成により、百物語と本朝怪談文学史との関りを多角的に展望しようとする一冊。語り継がれる中に、警告や民俗学的な暗喩の含まれた古典の方が好みです。個人的に。

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    2018年02月14日
  • 可愛い黒い幽霊

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    普段の賢治のイメージより、暗い詩や幻視的、土着の民話に息づく生き物が登場するような物語達。一般的な「怪異」というカテゴリで想像する幽霊譚などとはちょっと違う、賢治らしい作品集でした。

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    2017年12月18日