東雅夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
テーマと、澤村伊智さん松原タニシさんの対談に惹かれて、過去号をお迎えしました。
タニシさんの事故物件が13件目の時に対談されたらしく、先日聞いたラジオでの状況(その時は27件目とか言ってた、うろ覚え)との違いに感慨深くもなったり。
タニシさんをいくつかの媒体で追っていても、全然知らなかったことがこの対談でいくつも明かされていて、お迎えしてほんとに良かったなぁってなってます(事故物件価格設定とその裏事情とか)
あと、タニシさん、お話を引き出すのが相変わらず上手いですよね~ 澤村さんの黒い部分(笑)が引き出されてて、興味深く読ませてもらいました(笑)
そして、2025年現在、ピンピンしておられますし。なんてことはなくてほんとに良かった(^^)
他に、辻村深月さんと大島てるさんの対談、押切蓮介さんと泉朝樹さんのオンライン対談も掲載されてて、「闇祓」「見える子ちゃん」を読んでる自分にはどちらも興味深い内容でありがたかった(「見える子ちゃん」は電子で途中までだけど)です。
対談以外にも、連載やら読み切りの小説や漫画、色々盛り沢山で、お値段はそこそこの設定(私は中古をお迎え、すみません)だけど、この号をタイムリーに知っていたら定価でお迎えしていたと思う。それくらい個人的にはハマる内容でした。
中でも、とびきり怪談実話3編の印象が強め。
特に最後の岡利昌さんの「呪いの矛先」の読後感が…(泣)
4ページ分の内容だけど、衝撃が強すぎて… ホラー読んでる方々に読んでもらいたい、普段そんなことあんまり思わないけど、これはちょっと読んでもらいたい、そんな気持ちに駆られてます。
ただ一つ、巻頭のイラストが怖い〜(泣)
初めに開いていきなり怖いのが目に入って来るのは辛い(泣)
掲載漫画もそっち系なら読むのやめようかって思ってしまうくらいだった…大丈夫だったけど。。
小説とか映画は積極的になれるけど、アニメとかコミックとかの怖いのはほんと苦手(「見える子ちゃん」も実はキツイ)なんで、星4にしました(泣) すみません -
Posted by ブクログ
鏡花の幻想系戯曲の代表的な作品がほぼ読むことのできるお得な一冊。
冒頭には、登張竹風と共訳したハウプトマンの『沈鐘』が収録。最初の舞台は樅の大森林。山姫ラウランデライン(朗姫)、池の精ニッケルマン(肉蝦魔)、森の精ワルドシュラアト(虞修羅)と登場人物の和訳名も面白い。
名人鋳鐘師ハインリヒは自ら作った鐘を山上に運ぼうとしていたところ谷底へ落下してしまい大怪我を負うが、命を助けてくれた山姫に惹かれてしまう。妻子を捨てて顧みず、彼はまた鐘を作ろうとするが…。終盤の展開がなぜそうなるのか良く分からないまま結末になってしまったのだが、異界の世界と人間界との交わりならぬ交わりを描いた本作を、鏡花が気に入ったというのも納得できる作品だった。
そして『夜叉ケ池』『海神別荘』『天守物語』の傑作3編。中でもやはり天守物語。白鷺上の天守夫人富姫と亀の城の亀姫という異界の住人同士の残酷でいて可愛い遊ぶ姿が一方にあれば、天守夫人と城内の家臣姫川図書之助との恋情が急展開に進む対比の妙が鮮やかな一品。
さらに鏡花晩年の作品『山吹』『多神教』『お忍び』。この中では解説にも触れられているが、三島由紀夫と澁澤龍彦が高く評価したという『山吹』が実に不思議な一品。嫁ぎ先が嫌で逃げてきた奥さんが、お金でも何でもお前の望みを叶えてあげようと捨て鉢になって、たまたま出会った人形使に声をかける。するとその人形使いは、「雨傘を使って体を思い切り打ってくれ」と頼むのだった。何だ、この展開は、と驚いてしまった。奥さんが本当は好きだった人との出会いもあるのだが、思いがけぬ形で幕を閉じる、というもの。
一見古臭くいと思われる鏡花だが、今読んでもとても面白い。また、初めのうちは読みづらく感じるかもしれないが、読み進めていくと、文章のリズムに酔いしれてくる。 -
Posted by ブクログ
本年2023年は泉鏡花の生誕150年とのこと。ちくま文庫の種村季弘編『泉鏡花集成』が品切れになって久しく、『高野聖』等の代表作を除いては、文庫本で手軽に読むことが難しくなっていたが、近年、アンソロジスト東雅夫氏により鏡花の必ずしも有名でない作品まで読むことができるようになり、嬉しい限り。
本書は、生誕150年に合わせて、鏡花作品を特色づける<幻想と怪奇>の物語を、膨大な小品群の中から新たに拾い蒐めることを編纂の眼目としたとのことで、初めて読む作品が多く、大変ありがたい。
解説でも引用されているが、鏡花の魅力を伝えるには三島由紀夫の評が何よりであろう。「日本語のもっとも奔放な、もっとも高い可能性を開拓し、講談や人情話などの民衆の話法を採用しながら、海のように豊富な語彙で金石の文を成し、高度な神秘主義と象徴主義の密林へほとんど素手で分け入った」
本書には、あたかも異界のような世界で、魅力ある女に巡り会う少年を描いた「龍潭譚」を始め、隠れ里幻想や魔界の女を描いた作品などが収められている。
ついつい文章の流れや語彙の気持ち良さに紛れて、ときどき何を語っているのか意味が分からなくなってしまうこともあるが、そこがまた鏡花の魅力かと思われる。大体の作品にルビが付いているので、今となっては使われない漢字や単語でもよどみなく読むことができる。
鏡花メモリアルイアーの記念として、お勧めしたい一冊です。 -
Posted by ブクログ
文庫化されていない作品を本の形で読めるのはよかったが、注釈がないスタイルはよくないのではないかと思いました。鏡花好きな人だとしても、全部の単語がわかっているわけでもないだろうし、鏡花はじめあの時代の本・文化は初めて手に取りますといった人にはだいぶ分かりづらい本になっている。
作品の内容自体は、鳥肌が立つような怖い話から、ゾワゾワ不気味な話までより取り見取りで、美しさより怖さが勝る鏡花集として新鮮でした。
収録作品は、
・高桟敷
・浅茅生
・幻往来
・紫障子
・尼ヶ紅
・菊あわせ
・霰ふる
・甲乙
・黒壁
・遺稿
・幼い頃の記憶
タイトルからして美しいものも多いですね。特に好きだったのは、
『高桟敷』:ホラーのビジュアル全面出し
『幻往来』:医学生の話…こわい…
『尼ヶ紅』:蝮…殺して飲むから…イケメンっぽいけど…
『霰ふる』:可愛いし、美しい
『黒壁』:こういう文体の鏡花、久しぶりに見ました。美少年じゃないと成り立ちません
『幼い頃の記憶』好き…
「私は、その時、その光景や、女の姿など、ハッキリとした記憶をまざまざと目に浮べて見ながら、それが本当にあったことか、また、生れぬ先にでも見たことか、或は幼い時分に見た夢を、何かの拍子に偶と思い出したのか、どうにも判断が付かなかった。今でも矢張り分らない。或は夢かも知れぬ。けれども、私は実際に見たような気がしている。その場の光景でも、その女の姿でも、実際に見た記憶のように、ハッキリと今でも目に見えるから本当だと思っている。
夢に見たのか、生れぬ前に見たのか、或は本当に見たのか、若し、人間に前世の約束と云うようなことがあり、仏説などに云う深い因縁があるものなれば、私は、その女と切るに切り難い何等かの因縁の下に生れて来たような気がする。
それで、道を歩いていても、偶と私の記憶に残ったそう云う姿、そう云う顔立ちの女を見ると、若しや、と思って胸を躍らすことがある。
若し、その女を本当に私が見たものとすれば、私は十年後か、二十年後か、それは分らないけれども、兎とに角かくその女にもう一度、何所かで会うような気がしている。確かに会えると信じている。」
本短編集に収録されている作品のいくつもで、二人組の女性たちが出てきたけれど、最後にこのエッセイを読んで、そういうことなのだと繋がりました。この配置はよい笑