作品一覧
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3.9『影牢 現代ホラー小説傑作集』に続く2010年代を中心に発表された傑作ホラー短編7選。小野不由美の“営繕かるかや怪異譚”シリーズからは死霊に魅入られた主人公の心理に慄然とさせられる「芙蓉忌」。土俗的作品で知られる岩井志麻子による怨霊の圧倒的恐怖を描いた海の怪談「あまぞわい」。怪談の存在意義を問う辻村深月の「七つのカップ」など。作家たちの巧みな想像力により紡がれた悪夢の数々がここに。解説・朝宮運河 【収録作】 小野不由美「芙蓉忌」(『営繕かるかや怪異譚 その弐』角川文庫 山白朝子「子どもを沈める」(『私の頭が正常であったなら』角川文庫 恒川光太郎「死神と旅する女」(『無貌の神』角川文庫 小林泰三「お祖父ちゃんの絵(『家に棲むもの』)角川ホラー文庫 澤村伊智「シュマシラ」(『ひとんち』光文社文庫 岩井志麻子「あまぞわい」(『ぼっけえ、きょうてえ』角川ホラー文庫 辻村深月「七つのカップ」(『きのうの影踏み』角川文庫
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4.1最近部屋で、おかしなものを見るようになった夫婦。妻は彼らの視界に入り込むそれを「幽霊ではないか」と考え、考察し始める。なぜ自分たちなのか、幽霊はどこにとりついているのか、理系の妻とともに謎を追い始めた主人公は、思わぬ真相に辿りつく。その真相は、おそろしく哀しい反面、子どもを失って日が浅い彼らにとって救いをもたらすものだった――「世界で一番、みじかい小説」。その他、表題作の「私の頭が正常であったなら」や、「トランシーバー」「首なし鶏、夜をゆく」「酩酊SF」など全8篇。それぞれ何かを失った主人公たちが、この世ならざるものとの出会いや交流を通じて、日常から少しずつずれていく……。そのままこちらに帰ってこられなくなる者や、新たな日常に幸せを感じる者、哀しみを受け止め乗り越えていく者など、彼らの視点を通じて様々な悲哀が描かれる、おそろしくも美しい”喪失”の物語。【解説:宮部みゆき】
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭3章はグロめ。作品を生み出すことへの並々ならぬ執着や執念を描いている。時には呪いのようでもあり、幸とも不幸とも取れる。登場人物達の心情が気持ち悪くもあり、でもわかる部分も少しありつつ…。
書くためにはあらゆる物を捨て、形振りなど構ってはいられない。そんな気持ちをルーペで拡大して、まとめたような一冊。
しかし昔の黒さはやはり健在なのだと思わされる仕上がり。山白朝子先生の作品はいずれも好きだけれど、今回は特にバラエティに富んでいた印象。
個人的には後半4章が好きだった。小説の怪人は主人公自身が事件に巻き込まれていくところが面白かったし、脳内アクターは消滅させたタルパの影響が気になる終わり方。精 -
Posted by ブクログ
現代ホラー小説傑作集。これまた全部再読なのだけれど、傑作揃いというほかのないセレクションです。
かるかやシリーズの「芙蓉忌」、実はシリーズ他の作品に較べると印象が薄かったのですが。再読してみると、なかなかに怖いしひっそりとした切なさも感じる名作でした。なによりこのアンソロジーがこの一編で幕を開け、そしてラストが「七つのカップ」で優しく終わるという構成も素敵なのですよね(ラスト一歩手前が「あまぞわい」でとことんどんよりしたあとだというのもまた)。
小林泰三さんの「お祖父ちゃんの絵」をセレクトするというのもまたなんとも。これ、最初に読んでいるうちは「お祖母ちゃんの絵」の間違いじゃないの? って思う -
Posted by ブクログ
小説家には奇人変人が多い。その奇行ゆえに、トラブルに巻き込まれることも少なくない。そしてトラブルの中には、奇譚としか言えないできごとがあったりもする。
そんな小説家の経験した奇譚を集めた連作サスペンスホラー短編集。
物語は、奇譚を蒐集・記録した「私」の視点で描かれる。
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O氏という小説家がいた。
20代で小説を書きはじめたO氏は、新人賞への応募作が審査員特別賞を受賞してミステリー作家としてデビューした。
O氏の作品の魅力は、その描写の高いリアリティにある。例えば舞台となる学校の持つ空気、生徒たちの息遣いなど、瑞々しさや存在感が感じられるほどの表現力なの