無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
はかなくて、綺麗な珠玉の物語たち。
第1話 女の子がお腹を刺された状態で助けてくださいとのこと。父が襲われているというので探しにいくと、それらしい遺体があった。少女は昔のことを忘れていたので、お宮と名づける。少女は身籠っていた。その子供は不思議な子で、行ったことのない場所の景色を語ったり、習わぬ経をあげたりする。
第2話 父から逃げ、古井戸に身を潜ませる。井戸に落ちてしまったのに、なぜか布団に寝かされていた。料理が出てきて食べる。井戸に頻繁に通うようになった。しかし縁談が持ち上がった。
第3話 工場の廃液は甘い匂いがして頭が痛くなる。生命がそこに放り込まれると、黄金になる。死体ではダメだった。母はそれを町で換金してきた。
第4話 少女が仏師のもとに弟子入りしたいとやってきた。少女はこれまでに3人の旅人に毒を飲ませて金を奪ったという。
第5話 山にみんなで出かけて行ったが、川に子供の頭部が流れてきた。クマがいたのだろうと人々は言った。ある時村が鬼に襲われてみんな食べられてしまった。お侍さんが罪人を追ってやってきた。
第6話 屋根になんかカラスみたいなのが引っかかっていると父に言ったら、怪我をした黒い鳥を持ってきた。動物病院に連れて行って、治るまで飼うことにしたが、檻から出しても逃げようとしない。3年後、私が祖母の家に泊まっている時に父が誰かに撃たれて死んだ。鳥の死体は見つかっていない。
第7話 お母さんがお風呂場で手首を切った。
私は耳が悪くて、川に溺れた。そのあと入院した。
Posted by ブクログ
短編集。
表題作は肌に合わなかったが、他は全部気に入った。
特に、巨鳥と暮らす少女の話が良かったな。
助けた鳥が、少女を大切に思うあまり、行き過ぎた行動に出ているところは怖くもあり、種族を超えた愛をも感じた。
また、生き物を廃液で黄金に変えてしまう工場の話は、途中まで神秘的な気配を感じていたが、ラストは欲に塗れた人間の末路という感じで、話の急変ぶりに驚いた。工場が閉鎖する前に大きな黄金を手に入れたいと考えた母親の思考はすぐ読めたものの、彼女を駆り立てた理由には全く気づかず、これもまたびっくりした。憎い相手を消して富も得るとは…人間って強欲だな。
他にも、井戸の中で暮らす女の話や、行ったこともない土地や知らないはずのお経を唱える幼い子の話など、こういうホラーが読みたかった!となる話が多く、また追いたい作家が増えてしまった。
Posted by ブクログ
山白朝子=乙一の別名義(ちなみに中田永一も)。名前でジャンルを書き分けていて、山白朝子はホラー寄り。
充実した内容の7篇の短篇集。
けっこうしっかり怖く、けっこうしっかりグロテスクなお話も多かった。中でも「鬼物語」は巨大な鬼が村を壊滅させてゆくのだけど、描写が容赦ない。鬼の話だけど現実で昔起きた三毛別のヒグマの事件を彷彿とさせる。
全体的に「人間の因果」を感じる物語が多かった。実際生きていると、人と人は思いがけないところで繋がっていることに気づくことがある。違和感の正体に気づいたときに、妙に納得することもある。
そういう現実でもあることをホラーの衣で包んで差し出されたような感覚。
オカルト的な意味でぞっとしたあと、そのようなことが起きた意味が分かって別の意味でもう一度ぞっとする。
「鳥とファフロッキーズ現象について」は少し毛色が違って印象的だった。
山間に住む父娘が家の屋根の上で瀕死になっていた黒い大きな鳥を助けて、治療したあと家に置いているうちにいつのまにか飼い鳥になり、という物語なのだけど…ホラー版鶴の恩返しじゃないけど、とある憂き目に遭ってしまった娘に、鳥が思わぬかたちで恩返ししはじめる怖面白いお話。
「井戸を下りる」は井戸に棲みつく女の話でどことなく「番町皿屋敷」や「リング」を思わせるし、内容的には関連性はないのだけど、「ホラーの舞台」としてなじみがあるものはやっぱり薄気味悪いのだと思った。
ホラーは人の本能に訴えかける素材があるからこそ成立するのだと改めて思った。
怖く、切なく、人の業の深さを感じる。さまざまな意味での「ホラー」を楽しめる、シンプルにとても面白い短篇集でした。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。