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最近部屋で、おかしなものを見るようになった夫婦。妻は彼らの視界に入り込むそれを「幽霊ではないか」と考え、考察し始める。なぜ自分たちなのか、幽霊はどこにとりついているのか、理系の妻とともに謎を追い始めた主人公は、思わぬ真相に辿りつく。その真相は、おそろしく哀しい反面、子どもを失って日が浅い彼らにとって救いをもたらすものだった――「世界で一番、みじかい小説」。その他、表題作の「私の頭が正常であったなら」や、「トランシーバー」「首なし鶏、夜をゆく」「酩酊SF」など全8篇。それぞれ何かを失った主人公たちが、この世ならざるものとの出会いや交流を通じて、日常から少しずつずれていく……。そのままこちらに帰ってこられなくなる者や、新たな日常に幸せを感じる者、哀しみを受け止め乗り越えていく者など、彼らの視点を通じて様々な悲哀が描かれる、おそろしくも美しい”喪失”の物語。【解説:宮部みゆき】
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Posted by ブクログ
ちょっとホラー味とおかしみのある小編集。かなりよかった。
第1話 家内ではない3人目の人影がマンション内にいる。彼女にも見えているらしい。物理的な攻撃はできない。会社にまでついてくる。
第2話 風子は首なしの鶏を飼っている。両親が交通事故で死んでしまい、おばさんと住んでいる。
第3話 酔っ払うと時間を少し遡ることができる女性を主人公に後輩が小説を書きたいという。競馬を当てさせたらどうかと私はアイデアをだす。
第4話 小説家には一行も書けないスランプが訪れることがある。Tさんのスランプは深刻だった。妻に離縁までされた。
第5話 クラスメイトの3人が自分の子を殺した。彼らや、私がいじめていた生田目頼子は自殺している。
第6話 息子のクリスマスプレゼントにトランシーバーを買う。東日本大震災でひかるは妻とともに亡くなった。津波だ。俺の自殺は失敗した。
第7話 結婚して娘が産まれて、夫の中の男尊女卑に気がつく。しつけと称してたたく。離婚することにした。面会時に夫が娘を連れ去ろうとして、車に二人ともはねられた。
第8話 船が座礁して、アナは死んだ。人生が終わったというのに、走馬灯が入れ違っている。
Posted by ブクログ
山白朝子と乙一と中田永一は同一人物だという知識を得て、その3人のアンソロジー本で山白朝子を知ってすごく好みのタイプだと思っていた。
そう思ってから初めて読んだ彼女(と呼んでもいいのか)の短篇集は、やはりとても好みだった。
乙一はホラー系で中田永一は恋愛系で山白朝子はミステリ系…みたいなざっくりとしたジャンル分けのイメージだったのだけど、この短篇集は全体を通して、微ホラー+微ミステリ+人間ドラマみたいな印象。ハートフルではないけれど考えさせられたり、浮世離れした設定なのに妙に現実味があったり。
8篇収録されているけれど、どれも同じくらい面白くて印象にも残った。
一番ぞっとしたのは「子どもを沈める」。学生時代にいじめに加担した過去を持つ女性が主人公。同じくいじめをしていた同級生3人が次々自分の子どもを殺してしまうという事件を起こし、そのうちの1人から「殺してしまった自分の娘の顔が生田目頼子そのものだった」という手紙が主人公の元に届く。生田目頼子とは、自分達がいじめて亡くなってしまった同級生で、そしてその手紙を受け取った時、主人公は身籠っていた。
呪いというものは本当にあるのか、それともそれぞれの中にある罪悪感が呪いを生むのか。
表題作はとても辛くて悲しい物語だけど、主人公の生きる力も同時に感じる。
1冊で色んな要素を感じられたし、読み物としてシンプルにとても面白くて、あっという間に読み切ってしまった。装丁も好み。
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