竜泉家の一族シリーズで探偵というと、1作目の加茂冬馬、2作目の竜泉佑樹だが、さていかに。
どっちも出てきた。そしてマイスター・ホラも案内役として登場。前2作同様挑戦状もある。
今回はVRゲームの中でのルールだが、実際はどうなのかも想像できた。現実世界では名前は漢字で書かれているが、VR世界ではカタ
...続きを読むカナで書かれている。他にも違いがある。これらが謎を解く鍵になるのか?それともミスリードか?
このシリーズはSFミステリーというか特殊設定ミステリーというジャンルになるのだろうか?そして今回もクローズドサークルである。
解答フェーズに入って、加茂の記憶力が大きな力を発揮する。加茂の気持ちを考えると応援したい気持ちが膨らんできた。
ミステリーとしては王道で面白かった。加茂と佑樹がどうなるのかを推測すると、先が見えてくるが・・・その推測が正しければ。私の推測はしばしば外れるので、外れることを楽しみにしながら、読み進める。そして外れた。
意外な結論が待っていた。イヤ、意外ではない。三部作を順に読むことで、増幅される悲しくも儚い結論が。
三部作と言いながら、続編があることを匂わせている。もしそうなら楽しみである。
私は題名にこだわる。最初から「甘美なる」という表現に引っかかっていた。エピローグを迎えた時に、その答えが見つけられるだろうかという点も楽しみであった。もし私が題名をつけるなら、「名探偵に儚い別れを」とするとしっくりくる。
学生時代に自分で作った問題を「あれっ、どうやって解くんだったっけ?」と作っておきながらわからなくなった経験がある。策士策に溺れるというか、そんな時期を思い出させてくれる作品でもあった。