作品一覧

  • 歌のわかれ・五勺の酒
    3.7
    1巻1,100円 (税込)
    金沢を舞台に旧制四高生・片口安吉の青春の光と影を描く「歌のわかれ」、敗戦直後、天皇感情を問うた「五勺の酒」。この二篇のほか、「村の家」「萩のもんかきや」など著者の代表的な短篇七篇を収める。詩篇「歌」、自作をめぐる随筆を併録。文庫オリジナル。 〈巻末エッセイ〉石井桃子・安岡章太郎・北杜夫・野坂昭如 ■目次 歌(詩) 【Ⅰ】 歌のわかれ/春さきの風/村の家/広重/米配給所は残るか/第三班長と木島一等兵/軍楽/五勺の酒/萩のもんかきや 【Ⅱ】 「春さきの風」「五勺の酒」の線/「春さきの風」のとき/「第三班長と木島一等兵」おぼえがき/五十年まえと三十年まえ 【中野重治をめぐって】 ある機縁(石井桃子)/我慢と律義と剽軽と(安岡章太郎)/「茂吉ノート」など(北杜夫)/青春の書(野坂昭如)
  • 空想家とシナリオ
    -
    1巻396円 (税込)
    まだ少しも文学青年の志を失わない一区役所の中年戸籍係・車善六。創造の苦痛の伴わない仕事に縛られながら、善六がもらしたユーモラスな、そしてある時は苦笑にも似たつぶやき。執筆禁止、発禁処分などの暗い谷間に生きた作者の、時代に対する精いっぱいの抵抗が、多彩な知識や感想の中に輝いている。
  • 汽車の罐焚き
    -
    1巻396円 (税込)
    余儀ない「転向」によって労働者運動に加わるべき勇気と実践的基礎を奪われながらも、罐焚き達の尊い存在や、それを取り巻く卑劣な人間的な機構、あやつる人間たち、その中に身を置きながら失われない働く人々の健康な美しい姿を謳い上げた叙事詩。弾圧下の日本文学の退廃を捨身をもって支えたヒューマンな佳作。
  • 梨の花
    -
    1巻682円 (税込)
    「歌のわかれ」「むらぎも」と並ぶ著者の主な自伝小説のひとつ。孤独で、はにかみやで、非社交的な少年・良平を主人公に小学1年から中学1年までの若き日の自己をふりかえる。福井の農村に過ごす少年の感受性、少年の行動を大人の思考を意識的に抑えてつづる。それでいて鮮度を失わない日本文学の特異作。
  • 中野重治書簡集
    -
    1巻16,500円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1923年の北村喜八宛てから晩年の知友に宛てた書簡まで、半世紀を超えて綴られた765通の書簡集。
  • 室生犀星
    -
    1巻1,540円 (税込)
    つねに歴史の最前線で社会と格闘してきた著者が、文学の父と慕い、人生の師と仰いだ室生犀星について綴った文章の集成。「犀星観はあるがままの、あつたがままの犀星に即しなければならない」。四十年におよぶ親交に裏打ちされたその語り口が、人生的でありながら幻想的で唯美的、天衣無縫な前人未到の境地に達しえた文学者の生涯と人物像をあざやかに描きだす。
  • 五勺の酒・萩のもんかきや
    3.0
    1巻1,353円 (税込)
    たった5勺の酒に酔う老教師の口舌の裡に、天皇制を批判する勢力の既にして硬直し始めた在り方を、痛罵し、昭和20年代の良心としての存在を確立した名篇「五勺の酒」をはじめ、萩の街の中で、見出した戦争の傷跡を鮮烈に描き出した「萩のもんかきや」など12の名篇。中野重治の詩魂と精神の結晶とも呼ぶべき中短篇集。
  • むらぎも
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    金沢の旧制高校から東京帝大に入学した片口安吉の〈新人会〉での活動を核に、豊潤な感性で描く精神の軌跡。時代の終焉を告げる天皇の死。合同印刷ストライキ。激動の予感を孕みながら展かれてゆくプロレタリア運動。流されるままに流れる〈心〉の襞の光と影。『梨の花』『歌のわかれ』に続く自伝的長篇小説。毎日出版文化賞受賞。
  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ

    「歌」
    リアリズムこそが文学の至上目的であり
    その実現のためには
    センチメンタルやメランコリーを排除しなければならないという
    若き作者の決意表明をしたためたポエム
    「おまえは歌うな」という衝撃的な出だしが印象に残る
    まあイキってますね
    堀辰雄も参加していた「驢馬」という同人誌に発表されたもの

    「歌のわかれ」
    落第生でありながら、どこかお気楽で
    未成年のくせに酒ばかり飲み歩いている主人公は
    文学で身を立てる自分を漠然と夢に見ながら
    モラトリアムな日々を送っていた
    金沢の高校をなんとか卒業し
    東京の大学に潜り込むのだけど
    そこであるとき贔屓の作家を訪問した際に幻滅を感じた
    作家といっても自堕落に

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    2022年07月11日
  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ


    1945年敗戦後、共産党から参議院選に立候補している頃の短篇作品
    天皇と戦争責任についてなどを発表していた著者だが、この作品を読むと、天皇に対してひとりの人間としての切なさや辛さを背負い込ませる、日本国民としての憐憫の情が伝わってくる

    なぜ、ひとりの人間が 私は神ではない などと言わせられなきゃならないんだ

    菊の御紋の入った五勺の酒を飲みながら、未練の言葉に埋もれてゆく
    敗戦と、アメリカの言いなりになっている悔しさ、それに甘んじている情けなさ
    酒でも飲まなきゃ口にすることさえできないとばかりに、天皇についても語る

    国が負けたという、この時期のなまなましい言葉を聞く機会に出会わない

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    2022年06月20日
  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ

    「民主と愛国」に中野重治が大分出て来たのでそこから。

    戦前の作品は発禁や伏せ字にならなかったのかな、と。
    「五勺の酒」は戦後すぐの共産党員でもそういう感情になるのか、と。

    ただ一番面白かったのは野坂昭如の巻末エッセイの一節、野坂の本を友人に託して中野に渡した後の友人とのやり取り。

    友人:御本人が直接お出になった
    野坂:へえ
    友人:野坂の使いの者ですといったら、ずい分おどろいていらしたね
    野坂:そりゃそうだろうな、手紙でいいところなんだから
    友人:あのおどろきようは、どうも野坂参三とまちがえたんじゃないだろうか

    作り話かも知れないが、同じく安岡章太郎の巻末エッセイのポンヒキの下りを読むと

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    2022年02月10日
  • 五勺の酒・萩のもんかきや

    Posted by ブクログ

    あまり憶えていないが、骨董などを扱ったり、頑固おやじが出てくる上での、ほのぼの劇だったような。とにかくこの作家の作風は濃い。コテコテでんがなー。

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    2011年05月08日
  • むらぎも

    Posted by ブクログ

    政治色が強すぎて、逆に好き。登場人物の無駄な多さにごっちゃになる。でも冒頭からの流れは好きだ。少し前、古き良き日本の、ちょい悪学生たちの何気ない日々だと感じている。

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    2011年05月08日

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