中野重治のレビュー一覧

  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ

    「歌」
    リアリズムこそが文学の至上目的であり
    その実現のためには
    センチメンタルやメランコリーを排除しなければならないという
    若き作者の決意表明をしたためたポエム
    「おまえは歌うな」という衝撃的な出だしが印象に残る
    まあイキってますね
    堀辰雄も参加していた「驢馬」という同人誌に発表されたもの

    「歌のわかれ」
    落第生でありながら、どこかお気楽で
    未成年のくせに酒ばかり飲み歩いている主人公は
    文学で身を立てる自分を漠然と夢に見ながら
    モラトリアムな日々を送っていた
    金沢の高校をなんとか卒業し
    東京の大学に潜り込むのだけど
    そこであるとき贔屓の作家を訪問した際に幻滅を感じた
    作家といっても自堕落に

    0
    2022年07月11日
  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ


    1945年敗戦後、共産党から参議院選に立候補している頃の短篇作品
    天皇と戦争責任についてなどを発表していた著者だが、この作品を読むと、天皇に対してひとりの人間としての切なさや辛さを背負い込ませる、日本国民としての憐憫の情が伝わってくる

    なぜ、ひとりの人間が 私は神ではない などと言わせられなきゃならないんだ

    菊の御紋の入った五勺の酒を飲みながら、未練の言葉に埋もれてゆく
    敗戦と、アメリカの言いなりになっている悔しさ、それに甘んじている情けなさ
    酒でも飲まなきゃ口にすることさえできないとばかりに、天皇についても語る

    国が負けたという、この時期のなまなましい言葉を聞く機会に出会わない

    0
    2022年06月20日
  • 歌のわかれ・五勺の酒

    Posted by ブクログ

    「民主と愛国」に中野重治が大分出て来たのでそこから。

    戦前の作品は発禁や伏せ字にならなかったのかな、と。
    「五勺の酒」は戦後すぐの共産党員でもそういう感情になるのか、と。

    ただ一番面白かったのは野坂昭如の巻末エッセイの一節、野坂の本を友人に託して中野に渡した後の友人とのやり取り。

    友人:御本人が直接お出になった
    野坂:へえ
    友人:野坂の使いの者ですといったら、ずい分おどろいていらしたね
    野坂:そりゃそうだろうな、手紙でいいところなんだから
    友人:あのおどろきようは、どうも野坂参三とまちがえたんじゃないだろうか

    作り話かも知れないが、同じく安岡章太郎の巻末エッセイのポンヒキの下りを読むと

    0
    2022年02月10日
  • 五勺の酒・萩のもんかきや

    Posted by ブクログ

    あまり憶えていないが、骨董などを扱ったり、頑固おやじが出てくる上での、ほのぼの劇だったような。とにかくこの作家の作風は濃い。コテコテでんがなー。

    0
    2011年05月08日
  • むらぎも

    Posted by ブクログ

    政治色が強すぎて、逆に好き。登場人物の無駄な多さにごっちゃになる。でも冒頭からの流れは好きだ。少し前、古き良き日本の、ちょい悪学生たちの何気ない日々だと感じている。

    0
    2011年05月08日