作品一覧

  • 「国語」と出会いなおす
    3.8
    1巻2,299円 (税込)
    国語は得意だったけど、文学はよくわからない 文学を読むのは好きだけど、国語はつまらなかった ──どうしてわたしたちは国語を学んだのだろう? 国語と文学の歩んできたビミョウな関係をひも解きながら、ゆるやかな共同性を育む教室の可能性と、小説のもつ多様でゆたかな解釈を結びつける現役国語教師/批評家の著者による、新しい国語/文学論。 ★芥川賞作家・滝口悠生が、自作の試験問題を解きながら国語と文学について語る特別対談も収録! 「国語で文学は教えられない」という批判に見られるように、対立するものとして語られがちな「国語」と「文学」。けれど果たしてその対立はまっとうなものなのでしょうか? 新学習指導要領に伴って新設された「文学国語」と「論理国語」や、著者が教室で体験したさまざまな生徒からの反応、文学研究の成果が反映された現在の指導内容、国語の試験と小説の相性の悪さ、「文学史」のつまらなさとその必要性…… 国語と文学をめぐるさまざまなトピックから、属性や立場の違いを超えて《同じものを読んでいる》ということのみによって担保された、共同性を育むものとしての「文学」の意義を再確認する。
  • 学校するからだ
    4.3
    1巻1,980円 (税込)
    時にはラジオDJのように、時には演劇人のように語る教師。その振る舞いにそれぞれに反応する生徒。このリズムが学校するからだを踊らせる! ──ダースレイダー(ラッパー) 小中高全部大嫌いだったが行かなきゃよかったとは思わない、学校(あなた)も日々悩んで迷って動いていたんだね。 ──小山田浩子(小説家) 学校、そしてそこでの学びを、文学・音楽・お笑いを横糸に、生活に根ざした言葉で描いた一冊。読めば、つい、学びたくなる。 ──平尾剛(スポーツ教育学者) ブラックでも青春でもない! からだとことばが躍動する異色の〈学校×身体〉ノンフィクション 「shhh…」と小声を発して返事をそろえるサッカー部員、広島出身ではないのに広島弁を操るヤクザ的風貌の生活指導。旧エヴァを愛し、シン・エヴァに失望した生徒との対話、破格の走りで男子をごぼう抜きにした女子生徒、そして肝心なところで嚙んでしまう著者自身──。 現役教員の著者が、学校のなかの〈からだ〉と〈ことば〉が躍動するマジカルな瞬間を拾い集めた、異色の〈学校×身体〉ノンフィクション。 「大事なことはおうおうにして、対立するふたつのあいだに存在する。とりわけ、僕が学校現場で味わうマジカルな感触は、正論と現場のあいだに存在している。本書では、そのような学校をめぐる言説のなかで抜け落ちてしまうものを拾い集めたい。 学校とは、生徒と教員がそれぞれの身体でもって生きられる場所だ。そんな躍動的な学校の姿を活写したい。多くの問題を抱えた部活動の制度に埋め込まれつつ、自由にグラウンドでボールを追いかけるような、そんな身体の躍動とともにある姿を。」 (「はじめに」より) 【目次】 はじめに  「shhh」をしのばせているヤツがいる! 1章 部活動  サッカー部新米顧問、おおいに迷う  ダンス部の「ズレる身体」  スウィングする吹奏楽部  転向する軽音部 2章 授業 GTOに憧れて  教壇は舞台である  「走れメロス」を読解してみた  KRS・ワン流の教育を  ラップと作文 3章 教員  高踏派先生の檄  ヤクザ先生、ふたたび  アヴァンギャルド先生との別れ  無頼派先生の涙  ミーハー先生の特別授業  東京インディー先生の音楽と生活  どこまでも自由なハンドメイド先生  筋肉先生の詩的言語  K先生とマイメン先生 4章 生徒  ちっとも思い通りにならない言葉  大事なことはだいたいギャルに教わった  「本当に分からなかったです」  提出物をめぐる闘争  足りない引き出し  たたかう生徒会 5章 行事  ごぼう抜きの彼女──体育祭  演しもの顚末──文化祭  学校はうたう──合唱コンクール  アイヌの「いま」が躍る──古典芸能鑑賞  「内地」から沖縄へ──修学旅行 6章 コロナ以後の学校  一斉休校の衝撃  「境界線を作っていくということですね」  回復していく学校生活  卒業式
  • 今日よりもマシな明日 文学芸能論
    5.0
    1巻1,771円 (税込)
    「群像」誌上に発表し、話題となった傑作文芸批評をまとめた試みの作家論集。 序論 町田康論 いとうせいこう論 西加奈子論 ほか小山田圭吾、みうらじゅんにも言及。 「自分ならざる者を精一杯に生きる」   “今日よりも少しはマシな明日を迎えるために” ――《芸能》の核心は、この「ウソ/本当」の二分法を貫く、一生懸命で心を込めたいとなみに宿っている。このような意味において、小説もまた《芸能》のいち形態である、と言える。小説もまた、音楽や映画や漫画といった他の表現と同様、ここにはない喜びを、悲しみを、憎しみを、愛しさを現前化しようとする。  小説とは、わたしたちが生きる日常とはまったく異なる出来事が上演される場所だ。作中人物たちはゆたかな世界を演出すべく、小説の舞台を動きまわり、読者の気を引こうとする。そして、彼らの行動を追い、彼らに感情移入さえする読者は、ほんのつかのま、読書行為を通じて、普段の自分とは違う何者かになる。もしかしたら、読むまえと読んだあととでは、世界が一変しているかもしれない。すぐれた《芸能》とはおうおうにして、そういうものだ。  大事なことは、《芸能》の世界が少なからず、現実の世界なり社会なりと異なっている、ということだ。逆に言えば、現実の社会を追認するような《芸能》は物足りない。退屈な社会を生きるわたしたちが、ほんのひとときでも、《芸能》に触れて日常から抜け出す。その逸脱による解放的な喜びこそ、明日以降を生きるための活力となるのだ。  いち生活者の僕は、だからこそ、小説を読む。だからこそ、音楽を聴く。明日以降の生活を少しでもマシなものにするために。――(本書序論より抜粋)
  • ジャニ研!Twenty Twenty ジャニーズ研究部
    -
    1巻1,760円 (税込)
    SMAP解散、嵐活動休止宣言、ネット進出、そしてジャニー喜多川死去……激動の時代を迎えたジャニーズ事務所が生みだした偉業の歴史、文化、社会への影響を徹底考察!デビュー、コンサート、音楽、タイアップ、ミュージカル……平成・令和J年表付き
  • ジャニーズと日本
    3.6
    ジャニーズ事務所が創始されたのは一九六二年。すでに五〇年以上の年月が経っている。ジャニーズは、その長い歴史のなかで、多くの魅力的な男性アイドルを輩出してきた。戦後日本の芸能史を通じて、つねにアイドル事務所のトップとして君臨しているのがジャニーズに他ならない。なぜこれほどまでに、ジャニーズに日本人は心をつかまれてしまっているのだろうか。新たな切り口で読み解く戦後アイドル論。

ユーザーレビュー

  • 「国語」と出会いなおす

    Posted by ブクログ

    タイトルからくる内容のイメージとちょっと違った。
    文学と、国語試験の関係を、国語試験出題者自らが
    謙虚に分析している本だった。
    本の最後に、出題者と、その題材になった著者が対談をして、
    その出題を著者が答える、というのはシュール。
    御多分に漏れず著者が誤答する、、、

    文学が学校教育の国語に矮小化される。
    国威発揚、国民の洗脳に使われてきた歴史。
    そして今の試験。
    こんな試験の正解が大学選別に使われるなんて、
    違和感しかない。
    文学なんて自由に読めばいいはずなのに。
    世の中正解なんてないのに。

    著者はそれをわかってあえて出題者にもなっている。
    生徒と寄り添い、極力楽しく国語を教えながら。

    0
    2025年11月17日
  • 「国語」と出会いなおす

    Posted by ブクログ

    批評家、国語教師の二足の草鞋を履く筆者は、学校で文学を読むことの限界を見据えつつ、文学を読む意義を見出しています。その問題意識と、国語教育の未来を見据える姿勢に共感しました。

    この本の1番の読みどころは、入試問題の出題者である筆者と、問題として選んだ作品の作者(滝口悠生さん)との対談です。「作者に問題を解いてもらえるんだ。こんなこと本当に実現可能なんだ!」と興味津々で読みました。その他、最新教科書事情や文学史を学ぶことの意義についての見解も興味深かったです。

    先生の解釈を聞いている高校の現代文の授業は、正直言って退屈でした。しかし、夏目漱石の「こころ」や中島敦の「山月記」など、高校生のとき

    0
    2025年06月12日
  • 学校するからだ

    Posted by ブクログ

     刊行時に話題になっていたことは知っていたが、何となく敬遠してしまっていた。喰わず嫌いを猛省。

     評論家としての著者の主張には正直賛成できないところもあるのだが、本書で描き出された学校空間の遊動性と交響性はじつに卓抜で、「これは私の知っている学校だ」という感覚がはじめから最後まで薄れなかった。何より学校という制度、教員という職業、生徒という他者と(斜に構えているようで)正対している様子が伝わってくる。教員を目指す学生たちに薦めてみたい。
     
     「自分が生きられる場所について、しっかりと足もとから考えながら、少しずつ言葉を織り上げ」る姿勢を忘れず、とはいえ、過剰に役割や責任を背負うわけでもない

    0
    2025年05月17日
  • 学校するからだ

    Posted by ブクログ

    著者と同じ職に就いている自分にとって、とても面白いエッセイ?評論?だった。

    学校という現場は画一的な教育を施し、同じような人を増産していくような場所だと言われることも多いけれど、実際は様々な人が様々な思いを持ちながら毎日を過ごしている。「その違いも大切にしていこう」と著者の矢野さんが言っているように読んでいて思った。

    0
    2023年04月17日
  • 今日よりもマシな明日 文学芸能論

    Posted by ブクログ

    序論、町田康論、いとうせいこう論、西加奈子論とこの書籍のメイン部分を読んでいくと文学と芸能、そしてそれらと表裏一体である政治と社会の問題がスムーズに繋がっていくのがよくわかる。それが見事であり、町田康、いとうせいこう、西加奈子を読んでいない人でも問題なく読めるし、たぶん彼らの作品を読んでみたいと思うだろう。
    町田康はミュージシャンだった(現在も活動はしている)こともあり、彼の文体や言葉遣いが評価されることは多い。文体が物語を呼び、物語が文体を要請する。そして、その書き手である作家はある種「憑依」されている存在である。そのためには実は言葉を持ち、同時に持たない、という空洞さがいる。
    シャーマン的

    0
    2022年02月28日

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