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海の祭礼
日米の青年が見た「鎖国から開国へ」 ペリー来航五年前、鎖国中の日本に憧れたアメリカ人青年ラナルド・マクドナルドは、ボートで北海道の利尻島に単身上陸し、アイヌたちに発見される。不法入国者として長崎に収容されたマクドナルドから、若き長崎通詞・森山栄之助は活きた英語を学ぶ。オランダ語には通じていても英語を習得する者の少なかった通詞のなかにあって、森山はペリー一行の首席通詞を務めるなど、開国を迫る諸外国との交渉のほぼ全てに関わっていく。日本とアメリカ、森山とマクドナルド、鎖国と開国、交錯する運命は時代に翻弄されてゆく――。 彼らの交流を通し、開国に至る幕末期の日本の意外な史実が描かれた、傑作歴史長篇小説。 解説・曾根博義 ※この電子書籍は、2004年12月に刊行された文春文庫版を底本にしています。 -
映画の生まれる場所で
世界的名匠の目は、現場で何をみているのか? 世界的名匠の目は、現場で何を見て、何を考えているのか? 『万引き家族』がカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞後、 主演にカトリーヌ・ドヌーヴを迎え、全編パリで撮影された映画『真実』。 日仏合作映画の製作は、予想外の困難と発見の連続だった──。 臨場感溢れる撮影日記、手紙、画コンテなど貴重な資料が満載の 単行本『こんな雨の日に~映画「真実」をめぐるいくつかのこと』を改題し、待望の文庫化。 文庫版には、監督自身による渾身の大幅加筆と、女優の橋本愛さんによる解説が新たに付され、 『真実』の後日譚とともに、韓国で撮影され、 カンヌで二冠の偉業を成し遂げた『ベイビー・ブローカー』、 総合演出を務めたNetflixの『舞妓さんちのまかないさん』、 坂元裕二、坂本龍一とタッグを組んだ話題作『怪物』(カンヌ国際映画祭コンペ部門ノミネート)の制作秘話も語られる。 海外での撮影を通して自身に起きた「確変」とは? 韓国のエンタメ隆盛の裏にある、残酷な「イカゲーム」のごとき現実。 Netflixなど配信の台頭と、消えゆくフィルム上映──。 変わりゆく映画を見つめる監督の眼差しは、あくまで透徹している。 橋本愛さんによる文庫解説「映画の暴力と救済について」に横溢する映画への愛と才能にも刮目されたし。 この本は、すべてのクリエイター、何かを生み出したい人のためのバイブルだ。 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本『こんな雨の日に 映画『真実』をめぐるいくつかのこと』を文庫化にあたり改題したものを底本としています。 -
鑑識課警察犬係
『正義の天秤』(亀梨和也主演)『婚活探偵』(向井理主演)『不協和音』(田中圭主演)など原作が数多く映像化されている大門剛明氏、文春文庫初登場の警察犬小説です。 主人公は鑑識課警察犬係に配属されたばかりの岡本都花沙。念願かなって警察犬係に配属となった岡本は、ベテランの警察犬アクセル号とコンビを組んで、捜査をすることに。岡本の「バディ」となるのは、通称「第二」と呼ばれている民間警察犬訓練施設の訓練士・野見山。野見山は元警察官で、名警察犬レニーとコンビを組んでいました。しかし、あることがきっかけになって辞職。いまは民間の立場から捜査の協力をしています。 本書は五章構成になっています。第一章は、岡本が赴任する前日譚で、主人公は野見山です。レニーに向けられた疑惑の真相と、野見山の決断を描きます。第二章から第五章は、岡本を主人公にして、野見山や先輩刑事の桐谷(第一章では新人犬係として出てきます)など魅力的な脇役を配置しつつ、日々の捜査を描きます。全て読切の短編として読めますが、全体を通じて大きな謎が隠されています。 実際、警察犬の出動依頼が多いのは、行方不明者の捜査で、近年は認知症高齢者の失踪に駆り出されることが多いそうです。当然、そこには認知症を抱える家族の辛さなどもあり、そういう「日常レベル」の捜査を扱うことで、他の警察小説とは違った人間ドラマを描けていると思います。そして捜査官と警察犬が苦労の末に「心を通わせる」ことができた瞬間のなんと愛おしいことでしょうか。 第一章「手綱を引く」は第75回日本推理作家協会賞(短編部門)の候補作になりました。 今後シリーズ化も予定しています。 -
参謀の昭和史 瀬島龍三
太平洋戦争中は大本営作戦参謀、戦後は総合商社のビジネス参謀、中曾根行革では総理の政治参謀。激動の昭和時代を常に背後からリードしてきた実力者の60年の軌跡を検証する。 陸大を優等な成績で卒業し、太平洋戦下の大本営作戦参謀を務め、戦後は高度経済成長期に商社の企業参謀、さらに中曽根行革で総理の政治参謀として活躍――激動の昭和を常に背後からリードしてきた瀬島龍三。彼の60年の軌跡を巡る数々の伝説を検証し、日本型エリートの功罪と歴史に対する指導者の責任を問うノンフィクション力作。 -
大名倒産
〈大ショックの若殿vs.逃げ切りを目指す先代〉 天下泰平260年の間に、積もり積もった藩の借金はなんと25万両! この世のものとは思えぬ巨額の負債を知った嫡男はショックで急死してしまった。 丹生山松平家12代当主は、次男三男を飛び越えて 庶子の四男・小四郎に家督を継がせて隠居すると、 ひそかに「大名倒産」の準備を進め、逃げ切りを狙う。 何も知らずに大名家の家督を継いでしまった 21歳の小四郎は、クソがつくほどの真面目さ誠実さを武器に 最大の難関・参勤交代の費用をひねり出そうと必死に奮闘するが……。 万策尽きた時、人の世を眺めていた七福神たちが動き出す!? 笑いと涙がてんこ盛りの超豪華エンターテインメント。 2023年、映画化決定! ※この電子書籍は2019年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
Iの悲劇
Iターンプロジェクト担当公務員が直面するのは、 過疎地のリアルと、風変わりな「謎」――。 無人になって6年が過ぎた山間の集落・簑石を 再生させるプロジェクトが、市長の肝いりで始動した。 市役所の「甦り課」で移住者たちの支援を担当することになった万願寺だが、 課長の西野も新人の観山もやる気なし。 しかも、公募で集まってきた定住希望者たちは、 次々とトラブルに見舞われ、 一人また一人と簑石を去って行き……。 直木賞作家・米澤穂信がおくる極上のミステリ悲喜劇。 解説・篠田節子 ※この電子書籍は2019年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
トラブル・イン・マインド
ドンデン返しの魔術師、第三短編集。ライム、ダンス、ペラム総出演の豪華上下巻、まずはI巻が降臨です! 看板シリーズの長編はもとより、短編の名手でもあるディーヴァー。「このミス」2位となった第一短編集『クリスマス・プレゼント』、第二短編集『ポーカー・レッスン』は、それぞれ「Twisted」、「More Twisted」なる原題どおりのドンデン返しの連打で読者を快感の渦に巻き込んだ。 8年ぶりの第三短編集はさらにパワーアップ。リンカーン・ライム、キャサリン・ダンス、ジョン・ペラムと、ディーヴァーの看板スターが次々登場し、長編とも趣の違う快速ぶりでまさにフルスロットルの攻防を繰り広げる! ダンスが緊迫の尋問合戦で爆弾魔に挑む表題作、ライムの科学捜査が逆手に取られる「教科書どおりの犯罪」、帰ってきた流浪のロケハンスカウト、ペラムの「パラダイス」と、ディーヴァー・オールスターに加え、NYのうらぶれた私立探偵、ポーカー勝負のリアリティ番組に再起を懸ける中年俳優など、魅力的かつ一癖あるメンバーが逆転劇に次ぐ逆転劇を猛スピードで駆け抜ける、息もつかせぬ読書体験。 この人騒がせ(トラブル・イン・マインド)な連中は、必ずやあなたの予想を裏切ることだろう――。 -
おやつが好き お土産つき
「和菓子のアン」の著者による初のおやつエッセイ! 日常の娯楽、おやつの時間。 銀座の名店から量販店のお菓子まで、甘いものもしょっぱいものも分け隔てなく食べ尽くします。 かりかりサクサク、こってりあっさり。読んだらすぐに買いに行きたくなる。 ページをめくるたびに、楽しいおやつの世界がひろがります。 単行本未収録のエッセイも掲載。さあ、召し上がれ! 少しだけ溶けてとろとろになったアイスを、生クリームと一緒に食べる。こっていとした旨味を味わったところで、 濃いめのコーヒーをひとくち(資生堂パーラー”ストロベリーパフェ) サクサクのホロホロ。口の中でかしゅっとほどけて、やさしく広がる。甘いけれど甘すぎなくて、遠くにひとつまみの塩を感じる。 奇跡のアンビバレンツスイーツ(ウエスト”ドライケーキ”) ふわんと漂う海苔の香り。臼井寒梅粉の衣で包まれたカシューナッツに醤油の味が香ばしい、香りのカーニバル。 海苔、醤油とおにぎり的な郷愁を誘う部分で攻めてからの、突然の油脂。カシューナッツという、うまい油脂の塊です。 あっさりとこってり、国産と外来種の奇跡の融合。ずっと食べ続けられるタイプです(風雅”風雅巻き”) ※この電子書籍は2019年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
穴あきエフの初恋祭り
近づいたかと思えば遠ざかり、遠ざかると近づきたくなる、意識した瞬間にするりと逃げてしまうもの――。 十年ぶりに再訪したはずの日本(「胡蝶、カリフォルニアに舞う」)、重ねたはずの手紙のやりとり(「文通」)、何千何万年も共存してきたはずの寄生虫(「鼻の虫」)、交換不可能な私とあなた(「ミス転換の不思議な赤」)。 ドイツと日本の間で国と言語の境界を行き来しながら物語を紡ぎ、『献灯使』で全米図書賞(翻訳部門賞)を受賞するなど、ますます国際的な注目が集まる言語派作家・多和田葉子さん。「移動を続けること」が創作の原動力と語る著者が、加速する時代の速度に飲み込まれるように、抗うように生まれた想像力が鮮烈なイメージを残す7つの短篇集。 ※この電子書籍は2018年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
白墨人形
スティーヴン・キング強力推薦! 少年時代の美しい思い出と、そこに隠された忌まわしい秘密。 最終ページに待ち受けるおそるべき真相。 世界36か国で刊行決定、叙情とたくらみに満ちた新鋭の傑作サスペンス。 あの日、僕たちが見つけた死体。はじまりは何だったのか。僕たちにもわからない。みんなで遊園地に出かけ、 悲惨な事故を目撃したときか。白墨のように真っ白なハローラン先生が町にやってきたときか。 それとも僕たちがチョークで描いた人形の絵で秘密のやりとりをはじめたときか――。 あの夏。僕には四人の友達がいた。太り気味のギャヴ、不良を兄に持つミッキー、シングルマザーの息子ホッポ、そして牧師の娘ニッキー。 不良たちに襲撃されることも、僕がニッキーへの恋に胸を焦がすこともあったが、この日々が終わるなんて考えもしなかった。 でも町では不和が広がりはじめていたのだ。僕の母の診療所への反対運動をニッキーの父が煽り、 ミッキーの兄に悲劇が降りかかり、少女の妊娠騒ぎが起こる。大人たちにも、僕たちのあいだにもヒビが入りはじめた。 そして、あの子が殺された。森で。バラバラになって。見つけたのは僕たちだった。でも、頭部は見つからないままだ。 30年が経った現在。白墨人形の絵とともに、あの事件が甦る。あの人が死んだことで、事件は解決したはずなのに。 20年ぶりに帰郷したミッキーは言った。「おれは真犯人を知ってる」。僕は友人たちとともに、あの夏の秘密を探りはじめる……。 第2作『アニーはどこにいった』も絶賛発売中! ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
苦汁200% ストロング
震えているのは自分の声なのに、まるで他人事だった。 悔しさも悲しみも、なかなか追いついてこない。 クリープハイプ・尾崎世界観の赤裸々日記、絶頂の第2弾。 文庫版では、『母影(おもかげ)』が芥川賞にノミネートされ、情熱大陸に密着される日々を綴った2万字の書き下ろし最新日記「芥川賞ウッキウ記」を収録。 日常から溢れたすべての記録。 2020年12月25日 とある小説を読んでいて、 色んなことを思い出した。 それまで届かなかった事、 悔しかった事、 腹が立った事、 今まであたかも自分が 被害者であるかのように 振る舞ってきた。 でも、今回思い出したのは 加害者としての記憶だ。 都合良く忘れていた記憶が 蘇ってきて、愕然とした。 何気なく、確信的に、 自分は人を傷つけてきた。 ※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
キングレオ
京都を舞台にスター探偵が駆ける! ロジックとキャラクターの魅力を兼ね備えた新たな名探偵小説の誕生だ。 京都の街で相次いで起きた殺人事件。 なぜかすべて、シャーロック・ホームズ譚を模していた。 解決に乗り出したのは、日本探偵公社の若きスター・天親獅子丸と、助手の大河。 大河は獅子丸をモデルにした『キングレオ』シリーズのスクリプトライターでもあった。 無関係に思われた事件を追っていくと、謎の天才犯罪者の存在が浮かびあがってくる。 エスカレートする犯人の挑発。 獅子丸はついに、師である老獪な名探偵と対決することに! 有栖川有栖さんも「なるほど、これは名探偵だ。その推理は、速い、鋭い、面白い」と推薦。 京大ミステリ研出身の俊英がすべてのミステリファンに贈る自信作! 解説・円堂都司昭 -
グレイス・ペイリー短篇集
村上春樹翻訳・至高の女性作家の第一作品集。アメリカ文学の伝説はここから始まった! 村上春樹と、アメリカ文学の生きた伝説、グレイス・ペイリーのコラボレーション。 「ペイリーさんの小説は、とにかくひとつ残らず自分の手で訳してみたい」と村上氏は語る。キッチン・テーブルでこつことと書き継がれた、とてつもなくタフでシャープで、しかも温かく、滋味豊かな短篇集。巻末にデビュー当時を語ったエッセイと訳者による詳細な解題付き。世紀を超えて輝く傑作10篇収録。 ※この電子書籍は2005年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
架空の球を追う
「自由ホンポウな女になりたい!」「その方、カツラですの」「やっぱり罠にはまった。そんな気がする」 あなたの心を揺るがす物語がきっとある。ようこそ魅惑の〈森絵都ワールド〉へ! 何気ない言葉に傷ついたり、理想と現実のギャップに嫌気がさしたり、いきなり頭をもたげてくる過剰な自意識にとまどったり……。 生きているかぎり面倒は起こるのだけれど、それも案外わるくないと思える瞬間がある。 ふとした光景から“静かな苦笑いのひととき”を抽出した、読むとちょっと元気になる小説集。 解説・白石公子 ※この電子書籍は2009年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
注文の多い料理小説集
小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだ とびきり美味しいアンソロジー。 うまいものは、本気で作ってあるものだよ―― 最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス…… おやつに金平糖はいかがですか? 物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。 「エルゴと不倫鮨」柚木麻子 「夏も近づく」伊吹有喜 「好好軒の犬」井上荒野 「色にいでにけり」坂井希久子 「味のわからない男」中村航 「福神漬」深緑野分 「どっしりふわふわ」柴田よしき 【本書登場の逸品たち】 塩むすびと冷たい緑茶 ハルピンのイチゴ水 全粒粉のカンパーニュに具を挟んだサンドイッチ きときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁 生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー 食堂のカレーライスと福神漬 星屑のような白い金平糖 -
銭湯の女神
いとしい香港から戻ってみれば、違和感のなかに生きる私がいた。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。銭湯とファミレスから透視した「東京」をめぐる39の名エッセイが、電子版で登場! 「銭湯に通っている。酔狂ではなく、切実に。三十を過ぎてから銭湯通いをするという将来を十年前には想定していなかった――」(本文より) 2年間にわたり香港に滞在していた著者は、1997年の中国への返還を体験した後、東京に戻り、中央線沿線でひとり暮らしを始める。 切なくも騒々しく、温かい街から戻ってみれば、違和感のなかに生きる私がいた。自分の存在そのものが異物になってしまったようだった――。 銭湯とファミリーレストランを周遊する暮らしから芽生えた思いを、鋭い観察眼と端正な文体で描いた39の名エッセイ。 解説・中野翠 ※電子書籍化にあたり、新章「地中に埋まっている部分」を収録。 -
死体は語る
偽装殺人、他殺を装った自殺、猟奇的殺人と見誤る奇妙な死体……。どんなに誤魔化そうとしても、もの言わぬ死体は、背後に潜む人間の憎しみや苦悩を雄弁に語りだす。法医学は死体と語り合い、死をとおして人間の生き方を考える学問である。浅沼稲次郎刺殺事件、日航機羽田沖墜落事故、三河島駅列車事故等の現場に立会い、変死体を扱って三十余年の元監察医が綴る、ミステリアスな事件の数々とそれにまつわる人間ドラマ。映像化もされた法医学入門の大ベストセラー。 -
番犬は庭を守る
とてつもなく過激で痛快、そして悲惨――とにかく無類に面白い。 ページをめくる手が止まらない傑作長篇! 原子力発電所が爆発し、臨界事故が続発するようになった世界。そこでは、放射能汚染による精子の減少と劣悪化が深刻な問題となっていた。 優良精子保有者である「種馬」の精子は民間の精子バンクが高額で買い上げ、その一家には一生遊んで暮らせる大金が転がり込んでくる。 一方で、第二次性徴期を迎えても、生殖器が大きくならず、セックスのできない不幸な子どもたちは「小便小僧」と呼ばれていた。 「小便小僧」として生まれたウマソーは高校を卒業後、警備保障会社に就職をするが、 市長の娘に恋をした罰として、使用済みの核燃料や放射性廃棄物で溢れる、廃炉になった原発を警備することになる。 やがてウマソーの性器は徐々に失われ……。 超格差社会の最底辺を生きるウマソーは、次々と襲いかかる悪夢にどう立ち向かっていくのか。 岩井俊二が全身全霊を込めて書ききった、壮大で豊饒なエンタテインメント。 解説・金原瑞人 ※この電子書籍は2012年1月に幻冬舎より刊行され、文藝春秋より2020年1月に刊行した文庫版を底本としています。 -
ひさしぶりの海苔弁
新幹線で食べる海苔弁の美味さ、油揚げが人格者である理由、そしてかまぼこ板の美学とは――。 食を愉しみ、食を哲学する。週刊文春の人気食エッセイが電子版で登場! 春の終わり、にょきにょき伸びるアスパラガス。真夏に囓るきゅうりの爽快さ。 目にしみるさんまの煙に秋の到来を感じ、酉の市で手に入れる切山椒は歳末の風物詩。 おつな味、いまの味が記憶の扉を開く。 惜しくも急逝された安西水丸画伯のイラストレーションも、単行本版から大増量して、計60点収録。 食を楽しみ、食を哲学する絶品エッセイ特盛83篇をご賞味ください。 【主な内容】 すいか相手にぶつかり稽古 どうする、目玉焼き れんこん讃歌 パセリを丼いっぱい パパパパパインはいかがです ニッカボッカの男めし 南国おでんの宇宙 「うみねこパン」を盗み喰い かまぼこ板の美学 さよなら、ホットケーキ 二十五年めのハンバーグ ……など。 -
まんまこと
ふうわり心が温まる畠中恵ワールド。ドラマ化もされた大人気「まんまこと」シリーズ第1弾! 江戸は神田、玄関で揉め事の裁定をする町名主の跡取りに生まれた麻之助。このお気楽ものが、町の難問奇問に立ち向かう。 ある日、女好きの悪友・清十郎が「念者のふりをしてくれ」と言ってきた。嫁入り前の娘にできた子供の父親にされそうだという。本当の父親は一体誰なのか!? 「まんまこと(=真真事・ほんとうのこと)」を麻之助が解き明かす短編連作シリーズ。 解説・吉田伸子 ※この電子書籍は2007年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
だから荒野
“家族”という荒野を生きる――。そこにある、孤独と希望。 新聞連載時、大反響を呼んだ話題作。 こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。 会社員の夫と、大学生と高校生の息子たちとともに東京の郊外で暮らす主婦・朋美。 日々家庭を支えてきた苦労を理解しようともせず、夫はその場しのぎの言葉ばかり、息子たちは「キモいおばさん」扱い。 46歳の誕生日、朋美はついに反乱をおこす。自分を軽んじる、身勝手でわがままな家族たちとの決別。レストランの席を立って、夫の愛車で高速道路をひた走る――。家出した妻より、車とゴルフバックが気になる夫をよそに、朋美はかつてない解放感を味わうが……。 解説・速水健朗 ※この電子書籍は2013年10月に毎日新聞社より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
水の眠り 灰の夢
オリンピック前夜の熱を孕んだ昭和38年、東京。連続爆弾魔を追う週刊誌記者・村野は、女子高生殺しの容疑者にされてしまい、やがてとある疑惑へと辿り着く――。 地下鉄爆破に遭遇した村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材していた。村野は女子高生・タキとの出会いを通じ、殺人事件に巻き込まれていく。高度成長の歪みを抱えたまま変貌する東京を舞台に、炙り出されたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描いた傑作ミステリー。 解説・武田砂鉄 ※この電子書籍は1995年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を新装版として刊行したものを底本としています。 -
僕のなかの壊れていない部分
「どうして自分はあのことを忘れることができないんだろう?」 剥きだしの叫ぶが響く、著者の初期傑作。 美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。 それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。 東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。 その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。 彼の特異な過去を知った枝里子は。 「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」 切実な言葉たちが読む者の胸を貫いてロングセラーとなった傑作が文春文庫に登場。 解説・窪美澄 -
上機嫌な言葉 366日
人生で一番すてきなものは、上機嫌! 生きること、恋、人間の面白さ――田辺聖子が生んだ数々の作品から、珠玉の言葉たちをぎゅっと凝縮。 人生を面白く愉しむ達人・お聖さんのチャーミングな366の〝上機嫌な言葉〟。 「コセつかず、咎めだてせず、目を三角にしないこと」 「相手の知らぬことを言うときは、羞じらいをもっていうべき」 「男は犬に似ている」 「人間を洞察すると、ゆるすほか、なくなる」 「一月 人生をおいしくする」など、月ごとのテーマと、1日ひとことの言葉は、日々の暮らしを豊かなものに見せてくれます。 白黒つけない曖昧な部分にこそ宿るオトナの智恵が、硬い頭と心を解きほぐしてくれる、常に傍らに置きたい一冊。 ※この電子書籍は2009年4月に海竜社より刊行された単行本を、文春文庫より2019年10月に文庫化したものを底本としています。 -
2週間で人生を取り戻す! 勝間式 汚部屋脱出プログラム
自宅を片付けたら、幸せな毎日がやってきた! 勝間和代の人生を変えた、一生リバウンドしない片付け術 気付けば我が家は収納破産状態。使わないもので溢れかえった自宅から目を背け、片付けを放棄していた著者が一念発起して、「断捨離」を敢行する。 すると、睡眠、仕事、料理など生活全般の質が向上し、さらにはダイエットにも成功、恋人もゲット! ビジネスで培った目標達成のための「仕組み」作りの力を存分に発揮して構築した、勝間式片付けメソッドを大公開します。 汚部屋脱出プログラム書き込み式付き。 ※この電子書籍は2016年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
まほろ駅前番外地
映画化もされた第135回直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』の多田と行天が帰ってきた!相変わらず、汚部屋清掃、老人の見舞い、庭掃除に遺品整理、子守も料理も引き受ける多田便利軒。ルルとハイシー、星良一、岡老人、田村由良ら、お馴染みの愉快な奴らも健在。多田・行天の物語とともに、曾根田のばあちゃんの若き日のロマンス「思い出の銀幕」や岡老人の細君の視点で描く「岡夫人は観察する」など、脇役たちが主人公となるスピンアウトストーリーを収録。 ※この電子書籍は、2012年10月に文藝春秋より刊行された電子書籍の表紙を変更したもので、内容に変更はありません -
十代に共感する奴はみんな嘘つき
「絶対めんどくさい女になってやると思ったけれど、それもめんどくさい」 いじめも自殺も恋愛もセックスもすべて日常――17歳の濃密な二日間 「感情はサブカル。現象はエンタメ。 つまり、愛はサブカルで、セックスはエンタメ。私は生きているけれど、女子高生であることのほうが意味があって、自殺したどっかの同い年がニュースに流れて、ちょっと羨ましい……。」(冒頭部分) 女子高生の唐坂和葉は17歳。 隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。 いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。 いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。 十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。 -
火と汐
八月十六日、京都“大文字”の夜。興奮にざわめく人混みのなかを、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。 同じ時、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして男の家のすぐ近所で人妻の遺体発見。鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。 ほかに「証言の森」、「種族同盟」(映像作品「黒の奔流」原作)、「山」の計四篇を収録。 ※この本は1976年2月に刊行された文春文庫の新装版です。 解説・大矢博子 -
ママがやった
或る家族の半世紀を描いた、愛をめぐる8つの物語。 小料理屋の女主人・百々子(79歳)と、若いころから女が切れない奇妙な魅力をもった夫・拓人(72歳)。半世紀連れ添った男を、ある日水で濡らしたタオルを顔にかぶせ、その上に枕をおき全体重で押さえ、殺した。 急きょ集まった三人の子供たちに向かって「あんたたち、お昼食べていくんでしょう」と、百々子は米をとぎはじめる。 「ママはいいわよ。べつに、刑務所に入ったって」警察に連絡するしないでもめている三人に、のんびりした口調で話す。 死体処理の相談をする姉たちは弟・創太にブルーシートを買ってくるよう命じるが、創太の足は父親との思い出の店・小鳥屋へ向いていた―― 表題作ほか、「五、六回」「ミック・ジャガーごっこ」「コネティカットの分譲霊園」「恥」「はやくうちに帰りたい」「自転車」「縦覧謝絶」の全八篇。 解説:池上冬樹 -
強父論
「俺が死んでも讃える追悼記など書くな」という父・阿川弘之の遺言に、「お父ちゃんがいかに無茶苦茶な人であったか。周囲がどれほどひどい目に遭わされたか。思い出すかぎり、精根込めて書いてみる」とエッセイストの娘が綴る、前代未聞の追悼記。 94歳で大往生した破天荒な父の「強父語録」を挙げてみると──。 ・老人ホームに入れたら自殺してやる! ・のたれ死のうが女郎屋に行こうが勝手にしろ ・勉強なんかするな。学校へ行くな ・結論から言え、結論から ・今後、誕生日会を禁止する! ・大学でサムシングを学んでこい ・戦後教育が悪いからバカが育つ ・お前の名前はお墓から取った ・知ったかぶりをした文章を書くな ・朝日の手先になりやがって ・お前は俺にそっくりだ あまりの暴言に震え、時折のユーモアに笑いつつ、いつしか父と娘の不思議な情愛に胸が熱くなる。 解説・倉本聰 -
ガンルージュ
「あたしたち、最強の相棒。」 韓国最凶の特殊部隊が日本に潜入。迎え撃つは、元公安のシングルマザー&女性体育教師!? ・あらすじ 韓国の大物工作員キル・ホグン率いる最精鋭特殊部隊が日本で韓国要人の拉致作戦を実行した。 事件に巻き込まれ、人質となってしまった中学1年生の祐太朗。 日本政府と警察は事件の隠蔽を決定した。 祐太朗の母親で、かつて最愛の夫をキルに殺された元公安の秋来律子は、ワケあり担任教師の渋矢美晴とバディを組み、息子の救出に挑む。 因縁の関係にある律子とキルの死闘の行方は。そして絶体絶命の母子の運命は――。 ・著者コメント 「(アクションorサスペンスor興奮に)手に汗を握りつつ、泣いて笑ってしんみりと。 私の持てる技術をありったけ投入した、あなたのためのエンターテインメントです」 解説・大矢博子 -
捏造の科学者 STAP細胞事件
iPS細胞を超える夢の万能細胞として、華々しく発表されたSTAP細胞。そのニュースに日本中が熱狂したのも束の間、論文には次々と疑義が浮上する。一流科学者が揃いながら、なぜ捏造が起きたのか。そしてSTAP細胞の正体とは。独自取材を重ねた記者が掴んだ全貌。大宅賞受賞作に新章を追加した完全版。解説・緑慎也 -
千石社シリーズ
入社2年目の女性編集者が週刊誌に配属された! 殺人事件に、アイドルのスキャンダルに、東奔西走のお仕事小説。 老舗出版社・千石社の入社2年目社員、信田日向子24歳。 体調を崩した同期社員のかわりに、急遽「週刊千石」編集部へ異動が決まる。 「絶対無理!」 怯える気持ちを押し隠し、未解決の殺人事件やアイドルのスキャンダル写真のたれ込みなど、ハードな取材に挑戦する日向子。 日向子は毀誉褒貶かまびすしい週刊誌の仕事に、自分なりの意義を見出していくことができるのか? 週刊文春編集部に徹底取材! 同じ千石社の女性誌編集部を舞台にした『プリティが多すぎる』が2018年10月からドラマ化! 話題のお仕事小説です。 解説・大矢博子 -
名画の謎
「この絵のメインテーマは『電撃的一目惚れ』だ。びびび、ときた瞬間が描かれている」――歓喜と絶望、嫉妬に自己愛、同性愛! 人間臭く、凶暴なエネルギーが渦巻くギリシャ神話はまさに物語の宝庫。エロスに振り回される身勝手な神々の姿を描いた名画を、深い人間解釈と魅惑の文章で読み解いた極上のエッセイ! 人気の『名画の謎』シリーズ文庫化第一弾! -
億男
佐藤健×高橋一生×大友啓史監督で2018年10月映画公開決定! 本屋大賞にもノミネートされた新感覚マネーエンタテインメント小説がついに文庫化 「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。 川村元気さんはこの相容れない、お金と幸せをこの本で混ぜ合わせ、答えを導き出していく。それはさながら錬金術だ。(中略) 知っていたはずの事の違う側面を知り、知らなかった事を深く掘り下げ知っていくその体験を通して、自分だけの答えに辿り着く方法が「億男」には散りばめられている。――解説・高橋一生 著者プロフィール 川村元気(かわむら・げんき) 1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。「電車男」「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「君の名は。」「怒り」などの映画を製作。11年、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年『世界から猫が消えたなら』で作家デビュー。140万部の大ベストセラーとなり、映画化もされる。他著に『四月になれば彼女は』、対話集『仕事。』『理系に学ぶ。』など。 -
長いお別れ
認知症を患い、正常な記憶が失われていく父。日々発生する不測の事態のなかでも、ときには笑いが、ときにはあたたかな感動が訪れる。 「十年か。長いね。長いお別れ(ロング・グッドバイ)だね」 「なに?」 「ロング・グッドバイと呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」 東家の大黒柱、父・昇平はかつて区立中学校長や公立図書館の館長をつとめ、十年ほど前から認知症を患っている。 長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし。 娘が三人、長女の茉莉は夫の転勤で米国西海岸暮らし。次女の奈菜は菓子メーカー勤務の夫と小さな子供を抱える主婦、三女の芙美は独身でフードコーディネーター。 ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう。 迷子になって遊園地へまぎれこむ。 入れ歯の頻繁な紛失と出現。 記憶の混濁により日々起こる不測の事態――しかし、そこには日常のユーモアが見出され、昇平自身の記憶がうしなわれても、自分たちに向けられる信頼と愛情を発見する家族がいつもそばにいる。 認知症の実父を介護した経験を踏まえて書かれた短編連作。 暗くなりがちなテーマをユーモラスに、あたたかなまなざしで描いた作品は、単行本発表時から大きな話題になり、中央公論文芸賞や日本医療小説大賞にも選ばれた。 映画化決定! 解説・川本三郎 -
葉桜の季節に君を想うということ
ミステリー文学賞&年末ランキング4冠! 本格ミステリーの新時代を告げた記念碑的傑作! かつては探偵事務所で働き、いまは「何でもやってやろう屋」を自称して気ままな生活を送る「俺」成瀬将虎。 ある日、高校の後輩のキヨシの頼みで、彼が密かに惚れている久高愛子の祖父の不審死と、高額で布団や健康食品を売りつける蓬莱倶楽部の調査を引き受ける。 そして同日、駅のホームで飛び込み自殺しようとした女・麻宮さくらを助けたことで、運命の歯車が回り始める――。 蓬莱倶楽部の悪徳商法を調査する将虎の軽妙なハードボイルド探偵の活躍を楽しむあなたに、ラストで襲い掛かる大どんでん返し!? 日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞ダブル受賞&「このミステリーがすごい!」「本格ミステリベスト10」で第1位! 中居正広さんほか、たくさんの著名人も激賞! 二度読み必至の究極の徹夜本です。 -
お笑い 男の星座
この一冊を偉大なる梶原一騎に捧げる 小川直也の暴走ぶりからガッツ石松の鉄拳まで。格闘技の裏の裏まで知っている人気お笑いコンビによる抱腹絶倒の“活字漫才”! 【目次】 序章 猪木イズム 第1章 バッタ屋稼業 第2章 芸能界最強決定戦 和田アキ子vs.YOSHIKI 第3章 ラスト・マッチ 前田日明 第4章 たけしと洋七 第5章 ロールス・ロイス戦争 第6章 爆笑問題問題 第7章 知ってるつもり!? ジャイアント馬場 第8章 さそり座の男 第9章 岸部のアルバム 第10章 泣いたターザン 第11章 ホモじゃない! 水野晴郎 第12章 幻の右 ガッツ石松 第13章 四角いジャングル 第14章 四百戦無敗の男 第15章 たけしイズム 解説 坪内祐三 -
復活祭
〈失われた10年後、あの男たちが帰ってきた! そのとき裏切られた女は……〉 80年代後半、土地と株の高騰に沸いた東京。 バブルの絶頂期の都会を舞台に、若き「持たざるもの」の青春の暴走と破滅を描いた名作『生誕祭』。 ボリュームを感じさせない疾走感と、入り乱れる男女の愛憎、最後まで敵味方のわからないコンゲームは、北方謙三氏からは「バブルという、現実に社会や人を狂わせた時代を、象徴的に描ききっている。時代の狂気を背景にすることによって、ノワールとも呼ぶべき新しいジャンルを主張」と評された。 そして10年後、再び主人公の彰洋と彼の敬愛する美千隆が動き出した。 バブルが崩壊して10年、彼らが運命を狂わした女たち――麻美と早紀がすべてを失ってから10年の歳月を経て、どん底だった日本の経済は一部の産業の復活の兆しがみえている。 インターネットという実態のないものに金が集まる、いわゆる“ITバブル”時代が到来したのだ。 「失われた10年」の雌伏後も彼らの夢は変わらない。 マンハッタンにでかいビルを建ててやる――そのために選んだのが、IT産業だ。 関連企業を立ち上げて目指すのは株式公開、その株の価値を上げて売買を行うだけで、実態を伴わない億単位の金が動く。 バブル時代と同じように、彰洋と美千隆は新会社メディアビジョンを興すと休息もないままに動き回り、上昇は成功していくかに見える。 しかし二人がかつて裏切り、現在はしがないクラブの雇われママの麻美はそれを許すはずがない。 自分のパトロンであり詐欺師の桜田、そして彰洋の恋人だった早紀にも誘いをかけ、ふたりの儲けを掠め取る計画を開始する。 IT時代の寵児たちをも連想させる重要人物と、複雑な心情をお互いに抱く男女たち。 いずれ土地バブルと同じようにはじける運命の時代の中で、勝ち抜くのはいったい誰か? 馳星周王道の裏切りと哀しみが躍動する、一級のエンタテイメント作品。 -
ロシアについて 北方の原形
「ともかくも、日本とこの隣国は、交渉がはじまってわずか二百年ばかりのあいだに、作用と反作用がかさなりあい、累積しすぎた。国家にも心理学が適用できるとすれば(げんにできるが)、このふたつの国の関係ほど心理学的なものはない。つまりは、堅牢な理性とおだやかな国家儀礼・慣習だけでたがいをみることができる(たとえば、デンマークとスウェーデンの関係のようになる)には、よほどの歳月が必要かと思われる。」(あとがきより) おもに日露関係史の中から鮮やかなロシア像を抽出し、将来への道を模索した、読売文学賞随筆・紀行受賞の示唆に富む好著。 -
モモンガの件はおまかせを
お馴染みの楓ヶ丘動物園の飼育員たち――大型哺乳類担当の僕(桃本)、げっ歯類担当の七森さん、ツンデレ獣医の鴇先生、そしてカルト的人気、爬虫類担当の変態・服部くん――が、動物にまつわる謎を解き明かす、人気ミステリーシリーズ最新刊! ・楓ヶ丘動物園飼育員たちが休日にバーベキュー、僕と服部くんは買出しに出かける。犬の散歩をしている男に道を訪ねたのだが、連れていた柴犬の様子に僕は不審を抱く。(「いつもと違うお散歩コース」) ・七森さんに憧れるボランティア少年長谷井君の友人・今成君の家猫スコティッシュフォールドのトビーが男に連れ去られたという。トビーは夜帰ってきたのだが、オートロックで密室の家に男はどうやって侵入し、トビーを連れ出したのか?(「密室のニャー」) ・飼育員メンバーの面々が警察署から連れ立っての帰り道、僕の頭部にフクロモモンガが飛来してきた。どうも古いアパートの二階から逃げたらしいのだが、部屋の様子がおかしい。ドアを開けたところ、そこには部分的にミイラ化した死体が……。ケージもあり、ここで飼われていたことは間違いないのだが、いったい誰が何の目的で死体のある部屋でモモンガの世話をしていたのか?(「証人ただいま滑空中」) ・体長は最低でも1メートル、体重も最低50キロという謎の大型生物が山の集落に出現。その「怪物」を閉じ込めたと聞いて向かった廃屋はもぬけのからだった。「怪物」はどうやって抜け出したのか?考え込んでいた鴇先生の顔が蒼ざめる……。(「愛玩怪物」) 【目次】 第一話 いつもと違うお散歩コース 第二話 密室のニャー 第三話 証人ただいま滑空中 第四話 愛玩怪物 -
ホリデー・イン
「初めまして、お父さん」。 元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の登場で一変! 思いもよらず突然現れた息子と暮らすことになった大和は、宅配便会社「ハニー・ビー・エクスプレス」のドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続。 宅配便会社の仲間や、ホストクラブ経営者のおかま・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜らも巻き込んでの、大騒動を描いた『ワーキング・ホリデー』が刊行されたのは2007年。その後の大和と進の物語を書いた『ウィンター・ホリデー』が2012年、同年には『ワーキング・ホリデー』が映画化され、文庫も含め「ホリデー」は人気シリーズへと成長。 本書には親子の物語ではなく、彼らを取り巻く人々の物語、いわば「ホリデー」シリーズの外伝ともいえる6つの短編が収録。 1 「ジャスミンの部屋」 …… ジャスミンが拾った謎の中年男の正体は? 2 「大東の彼女」 …… お気楽フリーターの大東の家族には実は重い過去があった 3 「雪夜の朝」 …… 完璧すぎるホストの雪夜にだってムカつく相手はいるんだ! 4 「ナナの好きなくちびる」 …… お嬢さまナナがクラブ・ジャスミンにはまった理由 5 「前へ、進」 …… まだ見ぬ父を探し当てた小学生の進の目の前には―― 6 「ジャスミンの残像」 …… ヤンキーだった大和とジャスミンの出逢いの瞬間 ハートウォーミングな6つの物語。 解説・藤田香織 -
「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで
鬼平犯科帳は永遠に!! 昨年、遂に幕を閉じたTV「鬼平犯科帳」シリーズ。 その長い歴史を振り返り、製作スタッフの貴重な証言を聞き取るファン必読の書。 28年間に渡り放送された「鬼平犯科帳」。 その人気の秘密を番組スタッフのプロデューサーから殺陣師や録音技師、美術監督などに直接インタビュー。 今の世で正統的時代劇を放送する上での、苦労話、ここだけの話、内緒の話がテンコ盛り。 さらに「オール讀物」に掲載された「鬼平」関連の記事も収録。 目次 序章 鬼平、京都へ行く 第一章 スタッフインタビュー 第二章 ドラマ『鬼平』の魅力を検証する 終章 鬼平、京都を去る -
バンド臨終図巻 ビートルズからSMAPまで
ゴールデンボンバー 鬼龍院翔、絶賛! あなたが好きだったあのバンドはなぜ解散したのか? 金の分配、ドラッグ、メンバーの死、お馴染みの音楽性の不一致。ときにはマネージャーが暴走し、メンバーが殴り合い、美しい解散宣言もあれば、泥沼の裁判沙汰に至ることも。ビートルズからSMAPまで、古今東西のバンド200組の解散事情を網羅する、音楽ファン悶絶必至の大著。 -
蒼ざめた馬を見よ
ソ連の老作家が書いた痛烈な体制批判の小説。原稿の入手を命じられた 外信部記者の鷹野は、新聞社を離れ、身分を偽ってソ連に潜入する。 運よく手に入った小説は全世界でベストセラーとなり、ソ連は窮地に立つ。 ところが、その裏には驚くべき陰謀があった! ――「蒼ざめた馬を見よ」 東京で神経をすり減らした男は、休暇をとり、友人を頼ってモスクワへ飛んだ。 そこで出会ったウクライナ出身の美女の過去とは。――「赤い広場の女」 バカンスのためブルガリアの首都ソフィアを訪れた商社のパリ駐在員は、 妙な雰囲気を漂わせる日本人夫妻と知り合う。その妻に手を出した男が 寝物語で聞いた二人の関係。――「バルカンの星の下に」 愛する妻、良縁の決まった娘、大学進学を控えた息子に囲まれ、幸せな 生活を送る地方大学の助教授、慎吾。教授昇進も目前に控えていた、 ある日、不気味な電話がかかってきた。 「エラブカから何を持って帰ってきた?」 記憶の深部にきざまれた二十年前の約束がよみがえる。――「夜の斧」 Q商業高校山岳部のパーティー6人は北陸二県の県境で墜落事故を 目撃する。その直後、吹雪で立往生したため、顧問の黒木は救助を求めて 一人、近くの集落を目指すが・・・。――「天使の墓場」 直木賞受賞作の表題作をはじめ、いまなお魅力を失わない初期の5編を おさめた代表的作品集。 -
蜷川実花になるまで
写真家としてのみならず、「さくらん」「ヘルタースケルター」といった映画の監督、AKB48「ヘビーローテーション」のMV監督など、多方面で活躍している著者が、プロの写真家になって10周年という区切りに人生を振り返った。 子どものころ、美大生のころ、初仕事、「木村伊兵衛写真賞」を受賞したころ、仕事が急増したころ、出産後・・・人生の節目において、クリエイターとして、女性として、何を考え、どんな行動を起こしたのか。そして、父である演出家・蜷川幸雄氏のことも語った。 人生を豊かにするヒントがつまった一冊。 ※この本は『ラッキースターの探し方』(2006年、DAI-X出版刊)を改題、加筆したものです。 -
色の秘密 色彩学入門
色彩学のバイブル的著書、文春文庫で再登場 人はピンクで若返り白い部屋が美人を作る。赤は血圧を上げ不眠症には青が効く。商品学の草分け的存在の著者が解明した快適色彩生活。
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