長いお別れ

長いお別れ

723円 (税込)

3pt

認知症を患い、正常な記憶が失われていく父。日々発生する不測の事態のなかでも、ときには笑いが、ときにはあたたかな感動が訪れる。

「十年か。長いね。長いお別れ(ロング・グッドバイ)だね」
「なに?」
「ロング・グッドバイと呼ぶんだよ、その病気をね。少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行くから」

東家の大黒柱、父・昇平はかつて区立中学校長や公立図書館の館長をつとめ、十年ほど前から認知症を患っている。
長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし。
娘が三人、長女の茉莉は夫の転勤で米国西海岸暮らし。次女の奈菜は菓子メーカー勤務の夫と小さな子供を抱える主婦、三女の芙美は独身でフードコーディネーター。

ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう。
迷子になって遊園地へまぎれこむ。
入れ歯の頻繁な紛失と出現。
記憶の混濁により日々起こる不測の事態――しかし、そこには日常のユーモアが見出され、昇平自身の記憶がうしなわれても、自分たちに向けられる信頼と愛情を発見する家族がいつもそばにいる。

認知症の実父を介護した経験を踏まえて書かれた短編連作。
暗くなりがちなテーマをユーモラスに、あたたかなまなざしで描いた作品は、単行本発表時から大きな話題になり、中央公論文芸賞や日本医療小説大賞にも選ばれた。

映画化決定!

解説・川本三郎

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  • 映画化

    「長いお別れ」

    2019年5月31日公開
    出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子

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長いお別れ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     ある人物がどういう人だったかという「評価」は、その人が生涯を終えた後にしかできません。
    なぜなら、生き続けている限り、評価すべきその人の「全体」が決まらないからです。

     人は「一生」という単位が定まった後に「あの人は〇〇な人だったねえ。」と評価されます。

     では、この小説のように、ばりばりと活

    0
    2025年05月27日

    Posted by ブクログ

    認知症になった昇平と家族の話。
    夫昇平を支える妻の曜子。
    そしてその娘たちとそれぞれの家族。

    徐々に記憶を無くしていき体力も無くしていく昇平。
    老老介護を心配する娘たち。

    しかし深刻すぎず重くなりすぎないタッチで描かれていました。

    0
    2025年02月24日

    Posted by ブクログ

    ブク友さんのどなたかのレビューを拝見して知った本ですが、どなただったのかわからなくなってしまいました。ごめんなさい。


    中央公論文芸賞
    日本医療小説大賞
    W受賞作


    沁みました。
    タイトルの『長いお別れ』の意味がわかるとつらくて涙が出そうになりました。
    この小説の主人公は元中学校の教師で校長も務

    0
    2025年02月01日

    Posted by ブクログ

    これは今年1番読んでよかった小説になりそうです。(6月時点)そのくらい、素晴らしかった。
    介護士をしておりますが、認知症の方の変わりゆく様子や発言などがすごくリアルでした。ご本人を取り巻く家族や周囲の人々の感情も、やはり当事者(中島さん)の方ならではのリアルな表現で惹き込まれました。
    最後も、とても

    0
    2024年06月27日

    Posted by ブクログ

    いい話しでした。
    ボケていく中学の校長だったお父さん
    いいひとだったんだなあ!
    と思いました。
    必死で世話するお母さんは 私と近い
    私も何人も同時に介護して必死だった時は こんな風でした。
    娘たち3人も孫も みんないいこですね。
    最後に学校に行かなくなったタカシという孫に
    アメリカの校長先生が
    どん

    0
    2024年03月08日

    Posted by ブクログ

    よく聞く、「帰りたい」という言葉
    それは物理的な場所だけでなく、時間環境状況心情色々あるんだろうな、どこなのだろう、とその度に思う。

    生まれた家。育んだ家。家族。人生の長い時間を占めた教師という仕事

    認知症によって緩やかに、そして取り巻く人達には時に突然に、そこから離されていく。

    ラストシーン

    0
    2023年12月14日

    Posted by ブクログ

    元中学の校長だった東昇平が認知症になり、かれこれ10年に渡り、家族で支えていく話。
    読んでいて自分の父親の介護を思い出した。時にはワガママを言う父に腹を立て、弱っていく父を見て何とも言えない気持ちになった。そしてこの話は私が経験したことであった。いつまで続くのかと思っていた介護もある日、突然父が旅立

    0
    2025年04月04日

    Posted by ブクログ

    妻である曜子さんが明るく強いので、そこまで深刻な雰囲気でなくたまにクスッとしながら読めましたが、、、実際の介護はもっと大変なんだろうなと思いつつ。
    記憶がどんどんなくなって、体力も知力も衰えていく。
    親が、または自分がそうなるかもしれないと思うとなんだかとても重く考え始めてしまう。
    曜子さんの飄々と

    0
    2025年04月03日

    Posted by ブクログ

    介護サービスのあれこれ、自宅介護の大変さ、医療との関わりなど家族それぞれの立場からの思いが縦横に書き込まれています。タイトルは認知症のことを英語でロンググッドバイと言うことからつけられたそうです。胸に迫ってきました。人ごとではないです。

    0
    2025年02月25日

    Posted by ブクログ

    外じゃなかったら泣いていた
    文体は好みというわけじゃないけど、物語として好き。10年間の変化が切ない。認知症の近しい人がいるので、私の周りを見る目が変わった。登場人物それぞれに真摯に向き合って心境が綴られているのがよかった

    妻が椎茸だったころを読んで他に読みたいと思っていた作者さん。独立した短編集

    0
    2025年01月08日

長いお別れ の詳細情報

  • 映画化

    「長いお別れ」

    2019年5月31日公開
    出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子

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