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遠野の羚羊の片角には霊妙な伝説がある。慶長五年、根城南部氏当主直政の妻・祢々は片角の羚羊と出会う。直政と幼い嫡男・久松が立て続けに不審な死を遂げた直後から、叔父の三戸南部氏・利直の謀略が見え隠れしはじめた。次次とやってくる困難に祢々は機転と知恵だけで立ち向かう。「戦でいちばんたいせつなことは、やらないこと」を信条に波瀾万丈の一生を送った江戸時代唯一の女大名の一代記。河合隼雄物語賞(第三回)、歴史時代作家クラブ賞作品賞(第四回)、柴田錬三郎賞(第二十八回)、王様のブランチブックアワード2014大賞受賞作!!
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Posted by ブクログ
ときは江戸時代、徳川家康が天下統一を成し遂げようとする頃から2代目将軍秀忠の頃、ところは現在の青森、八戸辺りから岩手の遠野周辺を仕切っていた南部藩所縁の年代記。しかし、このお話は一風変わっています。語り手は羚羊(カモシカ)それも一本の角しか持たない鹿の角が死後も「南部の秘宝」と呼ばれて意思を持ち語りだすのです。
かたづのが出会いを語るその人は、後に女性ながら八戸の南部氏の第二十一代当主になった祢々(ねね)。まだ15歳でしたが、第二十代当主となった直政氏のご内儀となっていたのでした。祢々の波乱万丈とも表現されるその後の人生を、かたづのは当に直に側で見聞きして語ることになります。時には人の中に入って降臨し、南部に伝わる小正月の行事の「叱り角」として登場します。祢々は夫や子どもを政略の果てに殺され、叔父の政略を逃れるために尼になり、戦で大切なことはやらないこと、と無駄な血を流さないことを信条に女大名として藩を導いていきます。
遠野の民話で有名な河童の挿話があり、ペリカンや蛇が化身として登場するのも、殺伐とした争いの世の中を描きながら、ほのぼのとした味を醸しだしています。
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