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遠野の羚羊の片角には霊妙な伝説がある。慶長五年、根城南部氏当主直政の妻・祢々は片角の羚羊と出会う。直政と幼い嫡男・久松が立て続けに不審な死を遂げた直後から、叔父の三戸南部氏・利直の謀略が見え隠れしはじめた。次次とやってくる困難に祢々は機転と知恵だけで立ち向かう。「戦でいちばんたいせつなことは、やらないこと」を信条に波瀾万丈の一生を送った江戸時代唯一の女大名の一代記。河合隼雄物語賞(第三回)、歴史時代作家クラブ賞作品賞(第四回)、柴田錬三郎賞(第二十八回)、王様のブランチブックアワード2014大賞受賞作!!
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年02月14日
時代小説棚にあるのがわかっていて、どんどん時間が過ぎてしまった。ようやく読めた。読み応え半端ねえ、その分満足感がある。直虎を見ていたので、でも寧々さんは知らなかった、悔し涙。歴史に翻弄されたんだけど、性格そのままで器でした。羚羊の字も良いし、語り口も500年以上生きている筈の伝説ですね。遠野に行った...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年07月12日
祢々と羚羊の出会いから始まる。祢々は不思議な魅力に溢れる女性で羚羊はじめ、河童、猿など生きとし生けるものから愛され、加護を受ける。祢々は何事にも冷静で、ずっと先を見て判断を下す。(時々、毒も吐くが)そして人間だから動物だからなど差別せず、心と眼差しを傾ける。夫、息子、娘、最後には故郷を捨てざるを得ず...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年03月21日
いきなりの羚羊目線である。
そして歴史話というものに対して、「あれがあっちについた、これがこっちについたとわかりにくい」と主人公祢々に言わしめてしまう。
「私には、胃袋並みに三つか四つ、脳みそが必要…」とは羚羊の言葉。
時代物が苦手な身としては、ちょっと体をほぐしてもらったような気持ちになった。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年01月20日
遠野の羚羊の片角が語る江戸時代唯一の女大名の一代記。
夫と幼い嫡男を立て続けに失う。二度と大切な人たちを失いたくないと、戦わず困難に知恵と勇気で立ち向かう。
しかし、謀略と武士を気取る男どもに何度も窮地に陥り、身を削りながら、最後にようやく短いけれど静かな時を迎える。
河童や、絵か抜け出たペリカンも...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年07月30日
ときは江戸時代、徳川家康が天下統一を成し遂げようとする頃から2代目将軍秀忠の頃、ところは現在の青森、八戸辺りから岩手の遠野周辺を仕切っていた南部藩所縁の年代記。しかし、このお話は一風変わっています。語り手は羚羊(カモシカ)それも一本の角しか持たない鹿の角が死後も「南部の秘宝」と呼ばれて意思を持ち語り...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年09月22日
南部氏が治めていた青森、岩手、秋田にまたがる地。
その地で生まれ育った袮々は、女大名として手腕を振るう。
しかしそこに至るには、悲しみと、怒りと、忍があった。
物語の語り部はアオシシ、羚羊である。
しかも一本角の!
彼もまた美しき白い羚羊と出会い、悲しみの別れを経験している。
死後は霊となり、物語...続きを読む
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