深沢潮の一覧
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ユーザーレビュー
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本作品は、時代背景として元号では大正時代、西暦では1910年に朝鮮併合を行ったあとの日本と朝鮮の歴史について世界史を俯瞰しつつ2人の女性の生涯を丁寧に描く。一人の女性は、朝鮮王朝に嫁いだ日本の皇族の方子。日朝融和の象徴としての政略結婚に五里霧中する気持ちの揺れ、何とか夫である李垠を支え、子孫繁栄と
...続きを読む家族の安寧を願う生活を丁寧に描写する。一方、もう一人に生活困窮した日本人の少女マサは、基督教信者で朝鮮独立運動を続け、厳しい拷問にも耐えながらも祖国の独立運動に身を投じる男性に恋心を寄せ、夫婦になる。世情や日常生活を丁寧に描きつつ、忍び寄る軍靴、そして帝国日本の敗戦による占領政策により、日本国内で没落していく垠と方子は一子の成長に一縷の望みを託し、生きがいを見いだそうとする。一方のマサは、日本人であることをひた隠しにしながら朝鮮で生き続ける決意を固め、帰らぬ夫を待ち続ける。2人の女性の全く異なる境遇が、最後に一つの線、そして縁としてつながる様は、さすがに著者の真骨頂と言えるだろう。
Posted by ブクログ
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沖縄戦時の朝鮮人慰安婦をテーマに据えた小説と知り、さっそく入手。「推し」のK-POPアイドルから朝鮮人慰安婦問題のことを知り、小説の新人賞に応募するための作品を書こうと沖縄に取材に出掛ける、というかなり危うい設定を逆手にとって、視点人物・葉奈の学習過程自体が小説化されている。そのような彼女の姿と、
...続きを読む沖縄戦を生き残り、名も知られずに女性たちを守ろうとし続けた元朝鮮人慰安婦の姿が交互に描かれる。
リアリズム的に戦場を直接描くのではなく、間にメディアとなる聞き手=取材者をさしはさむ構成は近年よく見られる形式だが、小説を書く以外に社会的な場所を見つけられずにいる聞き手=取材者のキャラクターを詳しく書き込むことで、戦時から現在まで続く沖縄の女性たちの苦しみを受け止めることのできる感性を持たせることに成功している。巻末に掲げられた参考文献も興味深く、取材の質の高さを確認できた。
Posted by ブクログ
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やはり、何事も白い方がいい
様々な結婚の形を色で表現した短編集。黒組は、あまり気分のいいものではなかった。結婚の意義って、そこにあるの?疑問に思ってしまった。白組も様々ではあるが、心癒されるモノばかりであった。
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著者「深沢潮」さんの作品との出会いは、「翡翠色の海へうたう」であった。その後、SNSで情報を得て「かけらのかたち」を購読し、「深沢潮」さんより短編集なら本書とご紹介を受け、「縁を結うひと」を読んだ。
在日コリアンの縁談を精力的に取り組み、生計を立ててきた「金江のおばさん」。数々の縁談のとりまとめ
...続きを読むと自信の家族の苦難。そして、縁を結ぶ過程での、旧来からの朝鮮の文化やしきたりと最近の若者の意識の変化、総連と民団の軋轢。婚活、嫁姑対決や介護の問題など短編ならではの多彩なテーマが続くも「金江のおばさん」が「縁を結うひと」として短編を編み込んでいく。在日コリアンであることを隠し、身を潜める人々。あえて在日コリアンとしてのアイデンティティに目覚める人々。縁談に関する文化やしきたりは、隣国であり同じ儒教国である日本においても鏡像としてとらえられるのではないか?
閑話休題 韓日関係
日露戦争で勝利し、朝鮮半島を植民地化した大日本帝国。大日本帝国に虐げられ、仕事や生活のために日本に渡った朝鮮の人々。男性は徴用工、女性は従軍・産業「慰安婦」として、日本に無理矢理連れてこられた朝鮮の人々。日本の敗戦と同時に、朝鮮の人々はちりぢりとなり、帰国がかなわず日本で生活を続けなければならなかった在日コリアンの歴史や苦難をもっと学ぶべきだろう。かつて、百済や新羅からの文化を強く受けた日本。豊臣秀吉の朝鮮征伐の後、江戸時代では定期的な交易行われ、幾度かの韓流ブームが起きたとのことだが、今現在の韓流ブームにも重なる。SNSなどでは嫌韓・嫌中の誹謗中傷が問題となっているが、隣国として文化交流を通した良好な国際関係が続くことを願ってやまない。
Posted by ブクログ
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40歳~50歳代の熟年期の男女が、大学生時代のテニスサークル同総会に集まる主役に、そのパートナーもぎこちなく参加する。学生時代に共に過ごした仲間内の人間関係や恋愛関係に、パートナーの過去を知らない同伴者の心の揺れや嫉妬。短編の展開の中で、徐々に明かされていくテニスサークルメンバー達の社会人としての価
...続きを読む値観の多様性。結婚して家庭に入るか、独身で仕事を続けるか、共働きとイクメン。妊娠に苦しむ男女の葛藤。SNSに一喜一憂して自分を見失いはしないか。母親の価値観にがんじがらめになった娘の葛藤と人生の選択。女子会の「アドバンテージ フォー」では、4人で囲むランチを巡って家庭の経済力や子ども自慢など、マウンティング合戦が繰り広げられます。隣の芝は青いのか、自分の本当の幸せの価値観を再確認していきます。読み進めると、同世代だから分かる「あるある」が随所に出て来て、リアル追体験に。自分をどの登場人物に映すか、ハラハラ・ドキドキと共にモヤモヤも続きますが、最終話ですっきり晴れ晴れします。
Posted by ブクログ
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