深沢潮のレビュー一覧

  • 翡翠色の海へうたう

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    プロの小説家デビューを目指す女性と朝鮮慰安婦の二つの物語が同時進行する。自分の存在価値を認めさせたい小説家の卵と一方は死ぬことも出来ずにただ「あな」として生かされる女性。場所が移動するたびに日本名が与えられて、決して本名は誰にも言わない。小説家の卵が内面的に成長していく中で、やがて二つの物語は…。慰安所の表現はかなりキツく心を抉られそうだった。深沢潮さんの本はこれで4冊目だが、読むたびにハマっていく。

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    2024年08月10日
  • 海を抱いて月に眠る

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    ずしんと心が揺さぶられる物語だった。密航して日本にたどり着いた在日1世の物語。祖国の統一や民主化を願って運動に関わっていくが、家族にはなぜかコミュニュケーション障害のように、うまく気持ちや愛情、行動の意味を伝えることができず、つい怒鳴ってしまう。亡くなってから日記を読むことで息子や娘たちは初めて理解できる過程が悲しいけれど感動的だった。

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    2024年07月28日
  • 李の花は散っても

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    "自分で道を選べない"の重さが桁違いだった方々…
    皇族という、国を背負う一員だったはずが、数々の戦争によってかわってしまう。
    ただ最後は自分の道をしっかりと掴まれた。
    史実が元のお話故に、救いがない箇所も多いが、だからこそ没入して読んでしまった。
    フィクション部分も上手く絡んで、よりいろんな立場の人から見たその時代を感じられた。

    この間パレスチナ問題について学んだばかりで、韓国との関係は余計に考えてしまった。
    島根県出身の自分としては竹島問題が気になるところではあるが、過去に韓国にした仕打ちはなかなか…
    正直日本を嫌う人の事も否定できないなと思ってしまう。
    戦争で得たもの

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    2024年07月18日
  • 緑と赤

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    最後涙が止まらなくなった。

    韓国と日本の溝は想像より遥かに根深いものだというのことを知った。
    また、自分は差別する側ではないと思っていたが、本当か?韓国人と日本人というだけでなく、日本人でないことや日本人であっても属性、出自の差という違いで無意識に差別するような思いや言動をしていなかったか?自信がない。
    良美のようにヘイトスピーチを反対するような運動に直接関わることができなくても、自分の周りで起きていることや人たちに思いを寄せていくことが、せめての第一歩なのではないかと思った。

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    2024年02月10日
  • 海を抱いて月に眠る

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    読書記録68.
    #海を抱いて月に眠る

    本好き友が紹介してくれた作品
    海を越え日本に来た父と
    日本で生まれた息子、娘
    更にはその子らにも繋がる
    家族の物語

    父親の不器用な姿の奥にある真実が一つ一つ見えていく毎に涙が溢れた

    彼らの背負ってきた時代の苦労を、何も知らないでいる自分が
    恥ずかしい

    知ろうとする事、伝え残す事の大切さ

    友よ、ありがとう

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    2024年02月07日
  • 李の花は散っても

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     本作品は、時代背景として元号では大正時代、西暦では1910年に朝鮮併合を行ったあとの日本と朝鮮の歴史について世界史を俯瞰しつつ2人の女性の生涯を丁寧に描く。一人の女性は、朝鮮王朝に嫁いだ日本の皇族の方子。日朝融和の象徴としての政略結婚に五里霧中する気持ちの揺れ、何とか夫である李垠を支え、子孫繁栄と家族の安寧を願う生活を丁寧に描写する。一方、もう一人に生活困窮した日本人の少女マサは、基督教信者で朝鮮独立運動を続け、厳しい拷問にも耐えながらも祖国の独立運動に身を投じる男性に恋心を寄せ、夫婦になる。世情や日常生活を丁寧に描きつつ、忍び寄る軍靴、そして帝国日本の敗戦による占領政策により、日本国内で没

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    2023年10月28日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    やはり、何事も白い方がいい

    様々な結婚の形を色で表現した短編集。黒組は、あまり気分のいいものではなかった。結婚の意義って、そこにあるの?疑問に思ってしまった。白組も様々ではあるが、心癒されるモノばかりであった。

    #感動する #泣ける #切ない

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    2023年08月13日
  • 縁を結うひと

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     著者「深沢潮」さんの作品との出会いは、「翡翠色の海へうたう」であった。その後、SNSで情報を得て「かけらのかたち」を購読し、「深沢潮」さんより短編集なら本書とご紹介を受け、「縁を結うひと」を読んだ。
     在日コリアンの縁談を精力的に取り組み、生計を立ててきた「金江のおばさん」。数々の縁談のとりまとめと自信の家族の苦難。そして、縁を結ぶ過程での、旧来からの朝鮮の文化やしきたりと最近の若者の意識の変化、総連と民団の軋轢。婚活、嫁姑対決や介護の問題など短編ならではの多彩なテーマが続くも「金江のおばさん」が「縁を結うひと」として短編を編み込んでいく。在日コリアンであることを隠し、身を潜める人々。あえて

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    2023年01月10日
  • かけらのかたち(新潮文庫)

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    40歳~50歳代の熟年期の男女が、大学生時代のテニスサークル同総会に集まる主役に、そのパートナーもぎこちなく参加する。学生時代に共に過ごした仲間内の人間関係や恋愛関係に、パートナーの過去を知らない同伴者の心の揺れや嫉妬。短編の展開の中で、徐々に明かされていくテニスサークルメンバー達の社会人としての価値観の多様性。結婚して家庭に入るか、独身で仕事を続けるか、共働きとイクメン。妊娠に苦しむ男女の葛藤。SNSに一喜一憂して自分を見失いはしないか。母親の価値観にがんじがらめになった娘の葛藤と人生の選択。女子会の「アドバンテージ フォー」では、4人で囲むランチを巡って家庭の経済力や子ども自慢など、マウン

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    2022年10月16日
  • かけらのかたち(新潮文庫)

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    アラサー以降の女性は思わず共感してしまう内容の連作短編集。
    かく言う私もアラサーなので何度頷きながら読んだことか…
    こういう人いるよね、こういう場面あるよね、なんなら私がこういう人になっちゃってるかも(ゾッ)なんて思いながら読みました。

    女性独特の和やかな雰囲気を装いつつピリピリとした探り合いをするランチタイムを描いた「アドバンテージ フォー」や華やかな母親と自分の生き方の違いに葛藤する留学中の娘を主人公とした「マミィ」など設定は様々。
    「マミィ」が特に好きでした。

    連作短編なのでさっきのこの人この物語ではこんな人として出てきてる!なんて思ってページを捲る手が止まらなかったです。
    カラフ

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    2022年10月02日
  • 緑と赤

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    オムニバスで展開しつつ、それぞれの人物がつながり合っている、という構成。緑と赤はパスポートの表紙の色(大韓民国/日本)の違い。その違いが分かつもの、埋め切れない溝、壊せない壁・・・切ない小説です

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    2020年10月14日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    最悪な結婚について書かれた短編が4つと、最高な結婚について書かれた短編3つ。
    黒い結婚の方は、「かっぱーん」と「愛の結晶」はイマイチ。あとは黒も白もとても良かった。黒い結婚の「水際の金魚」と「家猫」は、わかりやすく結婚に向かない人を描いている。自分が一番可愛い、みたいな。
    白い結婚の方は、「シュークリーム」は婚約者の彼に不信感を抱き始めるけど、大どんでん返しで安心する素敵な話。こういう人いるよね、と思った。周りからは「要領のいい奴」とちょと誤解されるんだけど、実は見えないところでけっこう努力している。けな気というか。「あいつは要領がいい、ずるい」などと妬む人は、そういうことに想像が及ばず、自分

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    2020年08月16日
  • 黒い結婚 白い結婚

    購入済み

    楽しく読めました

    いろいろな 結婚、夫婦のストーリーが面白いです。

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    2020年08月08日
  • 緑と赤

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    ネタバレ

    ありのままの自分を認めてほしい。理解してほしい。けれども中途半端な理解や同情はしてほしくない。それくらいならば、何もないふりをして暮らしていく方がマシだ。と主人公たちの気持ちは揺れ動きます。

    私には、一見するだけではわかりにくい障害がありますが、重なる部分があるのではないかと思いました。

    重く根の深いテーマですが、文体はソフトでわかりやすく、抵抗なく読み進めることができました。

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    2020年05月09日
  • 緑と赤

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    「正義」をふりかざしてはいけない。でも、無関心でもいけない。どう向き合えばいいのかをひたひた考えたい。

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    2020年02月13日
  • 緑と赤

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    グアム旅行を前にパスポートを申請した知英の手元にあるのは緑色のハングル文字の書かれたパスポートだった。…

    在日韓国人の知英、韓流アイドル好きの梓、新大久保のカフェで働くジュンミン、ヘイトスピーチに嫌悪する良美、帰化し日本国籍を取得したものの韓国へ留学した龍平。
    それぞれの立場から見た日韓問題が描かれます。

    日本国籍を持ち日本で暮らし、韓国にあまり興味を持っていなかった自分には、今回この作品に出会うまで、身近な話ではなかったです。
    今まさに複雑になっている日韓関係を思うと、当事者達には更に思うことは多々あるのでしょう。

    フラットにものを見ることの出来る龍平の友達佐藤のような人達ばかりだった

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    2019年11月18日
  • 縁を結うひと

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    在日コリアンは、なんとなくイメージで、全員韓国籍なんやと思ってたけど、当然朝鮮籍の人もいるということを知った。

    在日コリアンと日本人(特に女性が日本人の場合)の結婚が、差別問題が無くとも、難しい理由がよく分かった。法事が大変というのは良く聞く話で、大変なんやったら簡素化したらええやん、と軽々しく言うのは、在日コリアンの文化を否定することになるから、「日本人」の姑さんのように、めたくそな努力や大変な思いをして、文化を継承する覚悟でなければならないというのは納得。

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    2017年12月01日
  • 伴侶の偏差値

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    ネタバレ

    20160715リクエスト

    真紀、35歳独身、父の他界後に弟が家出、 母親と暮らしているが、母親も再婚。
    学生時代からの友人である二人、
    佳乃(かつて合コンで自分が相手にしなかった男性と結婚し堅実に生きている)
    未央(自由奔放に生きている)をつい意識してしまう。

    無責任男な新宮との関係をぐずぐず続けていて…
    そんな生活から抜け出せない真紀の焦りや迷いもわかる。

    3.11の震災がきっかけでいろんなことが変化、
    新宮のできちゃった婚(あ~最低!)
    弟の恋愛の後始末、母の再婚、
    ヒロトとの出逢いと別れ。

    P248
    達也、新宮、ヒロト。だれといても不満、不安。彼らと一緒に居る自分を好きになった

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    2016年08月06日
  • 緑と赤

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    ものすごく読みやすくて、新たな気付きをたくさんもらった。
    読んでよかった。
    私は純粋な日本人。生まれてこのかた特に親しく付き合う外国人または在日はいない。
    若い頃主に英語圏の国々に憧れはいっぱしにあったけど、やはり身近にいないせいか朝鮮、中国には顔も近いが文化的に遅れていそうというイメージだけで下にみていたか?
    特に韓流が流行り出した頃も無関心だけど、スポーツにおいて、または反日、反韓がニュースになるにつけ、段々と自分の中の日本愛が目覚めていったと思う。
    自分のアイデンティティーは確立してあることの安心感をこの本でもって確認できた。
    でも!やはり個人なのだ。その個人が集まって国ができるのだから

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    2016年01月07日
  • 翡翠色の海へうたう

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    悲しくて辛い話。
    苦しさが長く続いて最後の数行でどうにか希望を見出す事が出来る。
    女性として生まれたことの意味と男性として生まれることの責任とかを考えさせられる。
    時代背景によって男女の性の扱い方がこんなにも違ってしまうのかと、わかっていたようで本当の苦しみは全く理解していなかったんだとこの作品を読んで痛感。それぐらい具体的な描写に目を背けたくなるような表現も多いですが、反日、反韓とか関係なく、1人の女性の強く行きた生き様を多くの人に読んでみて欲しいと思いました。

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    2024年11月13日