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Posted by ブクログ
「知らなければならないことだ」と思う自分が、そのまま主人公の葉奈に重なる。
小説家としてデビューするためのテーマを求め、慰安婦問題に出会って「これを知らなければ、書いて伝えなければ」と思う主人公の、自分自身としては必然でこれしかない!と思う心の動きと、客観的に見れば浅薄、浅慮に過ぎず、立場や視点が当事者性を欠き「どこの目線からそれを言ってるの」と言いたくなるようなあり方。私たち読者は、主人公の旅程を辿りながら、その主観と、「そんな甘いわけがない、そんな覚悟で書いていいものではない」という外側からの目線を同時に体験する。我々は主人公を客観的に見られる立場でありながら、そこに内在する危うさや甘さはそのまま自分自身にあるものだと否応なく自覚させられる。主人公に向ける咎めたい気持ちが、矛盾せず自分自身に向かう、すごい構造だと思う。
まずはきちんと知ることから始めなければならないと気づいていく主人公、その思考をなぞりながら、自分もせめてそうであらなければならない、と思う。
Posted by ブクログ
読み進めるのにとてつもない痛みを伴う作品でした。繊細で重い「慰安婦」と「沖縄」をテーマとし、過酷で悲惨な内容は衝撃的ですが、目を背けずに読み切る覚悟も必要と思いました。それでも、久々に強く心揺さぶられる一冊との出会いでした。
物語は、現在パートで作家を目指してもがく契約社員の「私」と、戦時中パートで朝鮮半島から連れて来られ、沖縄本島や離島で"慰安婦"として軍に搾取された「わたし」の2人が語り手です。交互に視点が変わり、時代を越えて交差します。
深沢さんの、2人の女性に込めた想いがひしひしと伝わります。とりわけ、慰安婦について表面的にしか理解していなかった作家志望の「私」を通して、読み手にも有無を言わせずその無自覚さを強烈に突き付けます。
尊厳が奪われ心が壊れるような描写が多いのですが、民族や当時の立場を超えた人の温もりや優しさも垣間見られ、救いもありました。
深沢潮さんは、在日韓国人の両親をもち、後に日本国籍を取得している女性作家です。もがきながら取材する作家志望の「私」は、自ずと深沢さんと重なります。
直接の当事者ではないにせよ、巻末の膨大な量の参考文献・映像の一覧を見ると、記述の精度へのこだわりと入念な考証がうかがえます。
読後、当時確かにいた彼女たちに向けて、美しい海の光景、韓国の望郷の歌・アリランを想いながら、せめてその魂の安寧を祈りたい気持ちでいっぱいでした。深く胸に刻み込まれるような感銘を受けました。もう少し深沢潮作品を読んでみたいと思いました。
※ 以下は最近の気になった報道です。世の中の風潮への不安と危惧が拭えません。スルーしていただいて構いません。
つい先日、週刊新潮のコラムで、深沢潮さんが名指しで「日本名を使うな」などと差別的論調の被害を受けたようです。深沢さんは会見で、謝罪と誌上批判・反論する場を要求するも、コラムは打ち切りになり、根本的な解決に至っていないと…。
先の参議院選挙でも大きな社会問題となった「日本社会の外国人への排外的空気」…。悲しいし、人権感覚を疑います。とても居心地悪いです。
セクハラやパワハラなどの暴力、差別や搾取は現在も無くならず、普遍的な問題ですね。
Posted by ブクログ
深沢潮。
私は鷺沢萌と空目してしまう。
なので彼女が韓国ルーツにあることを知ってびっくり。
楽天電子でセールしてたのでたまたま手に取った。
寝る前に読もうと思って。
一気に読んでしまい、寝たのが4時w
あらすじで重い話であることは覚悟していたけど、やはり辛い。
一番の衝撃は子どもが被害に遭ったところ。
人って、男ってなんでこうなるのか。
人間にクズが一定数いるように、軍人にクズが一定数いるのは理論上はしょうがないというのは頭ではわかるけど、平時ではそれなりにある壁が、戦争になると途端にクズとの接点の堺があやふやになるのが恐怖。
それからこちらの作家さんについてはもう一つあって、新潮社との問題。
ニュースでは知っていたけど、読み終わった後にその作家さんだと知った。
ネトウヨに絡まれると人生本当に疲弊すると思う。
どの集団にも一定数いるクズとそうじゃない人を一緒くたにしないで欲しいし、自分もステレオタイプの罠にハマらないように注意したいし、そうならないための読書であるとも思う。
巻末の参考文献が圧倒的。
いくつか読んでみたい。
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