深沢潮のレビュー一覧
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ネタバレ最悪な結婚について書かれた短編が4つと、最高な結婚について書かれた短編3つ。
黒い結婚の方は、「かっぱーん」と「愛の結晶」はイマイチ。あとは黒も白もとても良かった。黒い結婚の「水際の金魚」と「家猫」は、わかりやすく結婚に向かない人を描いている。自分が一番可愛い、みたいな。
白い結婚の方は、「シュークリーム」は婚約者の彼に不信感を抱き始めるけど、大どんでん返しで安心する素敵な話。こういう人いるよね、と思った。周りからは「要領のいい奴」とちょと誤解されるんだけど、実は見えないところでけっこう努力している。けな気というか。「あいつは要領がいい、ずるい」などと妬む人は、そういうことに想像が及ばず、自分では何の努力もしない人だ。
「ダーリンは女装家」は、15歳の頃の純粋な初恋もうまく描かれているし、40歳の大人の愛も素敵だ。女装が趣味の彼を愛し、理解し、お互いに理解しあい、ボーダーを超えて行く。
「いつか、二人で。」も、愛しあい、支えあって生きた老夫婦の物語で涙が出ます。
結婚って、いいよね、と黒から読んで白で終わったから思えた。逆に読んだらそうは思わなかったのかも!? -
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グアム旅行を前にパスポートを申請した知英の手元にあるのは緑色のハングル文字の書かれたパスポートだった。…
在日韓国人の知英、韓流アイドル好きの梓、新大久保のカフェで働くジュンミン、ヘイトスピーチに嫌悪する良美、帰化し日本国籍を取得したものの韓国へ留学した龍平。
それぞれの立場から見た日韓問題が描かれます。
日本国籍を持ち日本で暮らし、韓国にあまり興味を持っていなかった自分には、今回この作品に出会うまで、身近な話ではなかったです。
今まさに複雑になっている日韓関係を思うと、当事者達には更に思うことは多々あるのでしょう。
フラットにものを見ることの出来る龍平の友達佐藤のような人達ばかりだったら問題になることは少ないのかもしれません。
とは言っても、それぞれの国の歴史もあり、仕方のない部分もあるのかもとも思います。
これを機に、アイデンティティをテーマにした作品を、もっと手にしてみたいと思いました。
良い出会いでした。 -
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ものすごく読みやすくて、新たな気付きをたくさんもらった。
読んでよかった。
私は純粋な日本人。生まれてこのかた特に親しく付き合う外国人または在日はいない。
若い頃主に英語圏の国々に憧れはいっぱしにあったけど、やはり身近にいないせいか朝鮮、中国には顔も近いが文化的に遅れていそうというイメージだけで下にみていたか?
特に韓流が流行り出した頃も無関心だけど、スポーツにおいて、または反日、反韓がニュースになるにつけ、段々と自分の中の日本愛が目覚めていったと思う。
自分のアイデンティティーは確立してあることの安心感をこの本でもって確認できた。
でも!やはり個人なのだ。その個人が集まって国ができるのだから。
私にできることはカウンターになることではない。一人一人の人間を尊重すること。それしかできないけど、それも難しいことだけど、自分自身が幸せに暮らせることがその国の価値になる。
自国が満足していれば、他国をこき下ろすこともしないでいられるのに。
政治や経済、文化、宗教と限りなく違うことがある。みんなちがってみんないい。
登場人物の在日韓国人の思いはそれぞれ読み取った。みんな幸せになればいい。 -
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深沢潮。
私は鷺沢萌と空目してしまう。
なので彼女が韓国ルーツにあることを知ってびっくり。
楽天電子でセールしてたのでたまたま手に取った。
寝る前に読もうと思って。
一気に読んでしまい、寝たのが4時w
あらすじで重い話であることは覚悟していたけど、やはり辛い。
一番の衝撃は子どもが被害に遭ったところ。
人って、男ってなんでこうなるのか。
人間にクズが一定数いるように、軍人にクズが一定数いるのは理論上はしょうがないというのは頭ではわかるけど、平時ではそれなりにある壁が、戦争になると途端にクズとの接点の堺があやふやになるのが恐怖。
それからこちらの作家さんについてはもう一つあって、新潮社との問題。
ニュースでは知っていたけど、読み終わった後にその作家さんだと知った。
ネトウヨに絡まれると人生本当に疲弊すると思う。
どの集団にも一定数いるクズとそうじゃない人を一緒くたにしないで欲しいし、自分もステレオタイプの罠にハマらないように注意したいし、そうならないための読書であるとも思う。
巻末の参考文献が圧倒的。
いくつか読んでみたい。 -
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前半から中盤までは一種の青春小説のようでテンポよく進み、ワクワクした。後半、韓国の民主化運動に熱心に参加する姿や在日韓国団体同士の対立など描写されるが、日本人だと感覚的に理解出来ない部分もある。
しかし在日の近現代史を知れ、難しい複雑な立場に置かれていることも知ることができ、学びが多い。日本で生活しながらも母国を思い続け、韓国人としての名前やアイデンティティを誇りにする姿は何ともいえず、韓国との複雑な歴史や関係についても考えさせられる。在日という主題だけでなく、ひとりの人生の歴史という視点からも面白かった。
父親の手記を辿り、家族さえ知らなかった本当の父親の姿を知るという構成はすごく良く、この小説に合っていた。
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ほのぼの系かと思って読んだらとんでもない。
留学先で出会った男性に貢ぎ、資金が底をついて帰国した樹。地元に帰れず東京の女性専用シェアハウス「ティラミスハウス」で共同生活を始めます。惚れた男に都合良く扱われボロボロになる樹に苛立ちを感じながら読み進めましたが、章が変わるごとにティラミスハウスの住人たちの背景を知ることになり、なんなら一番恵まれている樹の存在感は霞んでいきます。
特に外国人技能実習制度で来日したワンと、セクハラとDVから逃げてきた中国人女性の不法滞在での共同生活が壮絶で、旧時代のことのように思えた外国人差別が現代の日本でも行われていることにショックを受けました。そして日本人の中でも、ティラミスハウスという生活困窮者が暮らす空間で、弱い者同士が見下し合う現象を目の当たりにしました。
>「でもねえ。さくらちゃんが生活保護って、なんかね。その割には偉そうだし、感じ悪いし。生活保護を受けてるなら、もっと謙虚にするべきじゃない?」
人の闇の部分を煮詰めたような風香の発言です。
「生活保護」受給者というだけで相手を見る目がガラリと変わり、上下関係が一転してしまう。見た目が弱そう、貧乏そう、おどおどしていて怒らなさそう——相手の見た目から情報を受け取り、瞬時に自分の立ち位置を計算してしまう。私も含め、人間の本能の恐ろしさを感じずにはいられませんでした。 -
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ネタバレどうして伝わらないのだろう、こんなに近くにいるのに……
パスポートを取得してみたら、韓国人だったでござる。
「はぁっ?」ってなるくらい、韓国人であることを意識しないよう育てられてきたヒロイン、知英(ちえ・ジヨン)。
自分がいわゆる在日韓国人であることを知ってしまってからの知英の葛藤を軸に、日本の中での韓国の扱われ方、というか嫌われ具合を嘆く内容です。以下、ネタバレを含みます。
韓国人も日本人も単なるイメージで互いに嫌いあっている。実際の韓国人あるいは日本人に触れることなく。
その狭間で板ばさみになってる在日韓国人の苦悩と再生を描いているのですが、全編に日本での嫌韓ブームに対する非難を強く感じます。
主人公の知英は、新大久保の嫌韓デモや嫌韓本がヒットする日本の現状、あと関東大震災時の朝鮮人虐殺に触れた本などを読んで軽く精神を病んでしまいます。
なんかね、在日ってバレたら殺されるかも、くらいに思いつめるんですな。が、親友で韓流オタクの梓や帰化日本人の龍平に励まされ、自分に自信を取り戻していくところで、物語は終わります。
作者も在日の方なのかどうか知りませんが。
なぜ、嫌韓がブームになったのか、全く触れられていない。嫌韓デモは起こっても嫌中国デモは起こっていない、なぜなのか?嫌韓本と称される本の中身を読んだことがあるのか?
などと疑問を感じる点は多々あるのですが、物語としては、大井町線沿線という舞台に親しみが持てて楽しく読めました。
在日韓国人ではなく、韓国系日本人に、なぜなれないんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
全編が自己紹介のような本。環境や立場は違うけれど、わが家の食事風景や時代の記憶まで呼び起こされ‥懐かしさ誇らしさに恥ずかしさと申し訳なさ‥わたし自身にも身に覚えがあり過ぎて胸の奥がチクリと痛い。
以前、経歴もなにもまったく予備知識のないまま『乳房のくにで』を読んだ時の、物語全体から受けたどんよりとした閉塞感がどこから来るのか謎だったのだが‥ようやくその理由が少しわかったような気がした。web連載だったそうで文章はとても読みやすいが、なかなかハードな人生。書くことで自分を保ち生き延びてきた人なのかも。本書で紹介されたほかの作品も読まなくては。