深沢潮のレビュー一覧
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在日の苦しみ、細かいリアルが描かれていた。
韓国から密入国せざるを得なかった背景、敗戦国なのに支配側の意識が抜けずにいる日本で暮らす苦しみ、韓国人からは認められず日本人にもなれない在日の孤独、祖国が分断され同民族で戦う悔しさ…
自分を偽り、家族と会えず仲間とも離れて、生きることに精一杯だった人生。
自分を諦めることを受け入れて、余生は穏やかに過ごせたのだろうか。もう少し知りたかった。
諦めてからのもがき、どう生きてきたのか。
1番近くで生きてきた妻への想いは?同志の妻や娘への支援が自身の懺悔になるのだろうが、自分の妻や息子、在日としての苦しみを1番共有するべき存在への距離感に、とても違和感と憤りが残る。
自身で語る勇気はないけど、辛かった半生を日記に残したのも、自身の懺悔なんだろう。
在日1世と2世、祖国を知らない在日との心理的な隔たりも、深いと感じた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ戦前に李王朝の皇太子•李垠(り ぎん)に嫁いだ梨本宮方子(まさこ)様。
日本統治下の朝鮮で日鮮融合の象徴としての政略結婚で
方子様の婚前の不安や覚悟などが丁寧に描かれる。
級友と比べて予想もしなかった李家との縁組も
最愛の息子の不審死も
何も声を上げることもできず
運命を受け入れるしかない。
個よりも公を重んじるお立場で
複雑な想いや苦しみを決して口に出したり態度に出したりしない。
庶民には到底わからない苦悩があった。
前半に比べて後半があまりにも駆け足で
あっという間に数年経っていたり
出来事を追うだけになってしまい
少し残念。
もう一つのマサという貧しい生い立ちの女性の物語が合間に挟まれる。
方子様の物語だけでは決して知り得ない、庶民の目線での戦前戦後の日本と朝鮮の状況がわかる。
関東大震災下での朝鮮人狩りや
日本統治下での朝鮮人の扱いは
本当に恐ろしく、ひどいもので
韓国、北朝鮮の方の日本人への憎悪がいまだになくならないのも致し方ないと思ってしまった。
戦後皇族の特権がなくなり、没落していく中で
方子様は必死に金策をし、夫を支えた。
最後はようやく韓国に渡ることができ、障害者支援の学校などを作って社会貢献をしていたよう。
女性は強いっ!
そしてマサと方子様の縁がつながる。
そこはフィクションだと思うが心温まるものがあった。 -
Posted by ブクログ
戦前、大正の時代のこと、皇族である梨本宮家に生まれた方子が、朝鮮王家の李王家の妃として政略結婚され、その一生をまっとうする物語。そして、同時に、朝鮮半島から来た革命家の男とともに韓国に渡り朝鮮人として生き抜くマサ、二人の物語が交互に語られ、最後にはともに生きることになる。方子は史実をもとにした展開で、マサの方はフィクションか?
どちらも、今の時代には考えられない壮絶な体験。ただ、どんな苦労があっても、信念を持って生きれば、悔いはない。朝鮮併合のための政略結婚として何人かの皇族が政略結婚させられ、戦後に離婚となった例もあるという。夫婦関係も心がけ次第、気の持ち方次第。自分の人生をどう生きるか、に尽きる。
林真理子さんの「李王家の縁談」は、方子の母、伊津子の視点で描かれたもの。伊津子さんの描かれ方は異なる。本書はマサが描かれたことで重層的ではあるけれど、李王家の縁談の方が圧倒的におもしろい。
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「時代が」とは言え、それでは済まされない事実がある。
「そう言う時代だった」かも知れないが、「日本だけじゃあ無い」かも知れないが、それでも赦せない事実が、許してはいけない事実がある。そして、忘れてはいけない事実でもある。
隣国の朝鮮人に、中国人に、他のアジア人に行った「差別、迫害、暴行、惨殺」。
それだけでなく、同じ日本人に対しても「社会主義者」や「共産主義者」そして「自由主義者」にさえも「アカ」と言うレッテルを張って行った「拷問」とそれに伴う「殺害」。
第2次世界大戦が終結して、もうすぐ80年となり、日本ではこれ等の事実が歴史の一部として近代史、現代史の中に埋もれている。
しかし、今でも世界には先進国でさえ「人種差別」があり、紛争地域では「民族差別、迫害、暴行、そして惨殺」が日常的に行われている。
この小説のように戦前、戦中の歴史が書かれている本を読む時、改めてそう言う事実があったことを思い返してみようと思う。今、多くの日本人の生まれる前の出来事とは言え、僅か120~130年くらい前から第2次世界大戦終戦までの、長い人間の歴史から見れば、比較的新しく短い間の出来事なのだから。 -
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「人生で大切なことは、アグアを見つけ、アグアとともに自分の人生をしっかり生きること。自分が納得する道を行くこと。」
30歳にして失業し恋人にも去られた莉子は、全てをやり直すためにフラメンコを学びに単身でスペインに渡る。最初の渡航では自分の無力さを痛感し志半ばに帰国するが、自分と向き合いフラメンコに情熱を注ぐことに決める。それからは何度も渡西しフラメンコにのめり込む中で出会った、トミコからの言葉。
人の生き方はそれぞれで、どんな生き方をしようと誰に批判されるものではない。トミコのように自分に嘘をつくことなく、自分が求めるものを追求する生き方もある。
…私はどうだろう。自分と向き合い追求したところでやはりそれは自己満でしかないし、自分がいることで周りの人が幸せになるような、そんな存在でいられるような生き方をしたいと、莉子との対比で見つめ直すことができた気がする。