深沢潮のレビュー一覧
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ネタバレ木原音瀬先生のお話を目当てに購入したので、お目当ての話だけ読んでもいいかと思って最初から順番に読み始めましたが、全部読んでしまいました。
全部読んだあとに思ったことは、やっぱり木原音瀬先生は癖が強い。笑 男性が妊娠できる世界という設定はおもしろかったし、男性も苦しんでほしいと思ってしまいます。
お気に入りは白い結婚の「ダーリンは女装家」、「いつか、二人で。」
今年は黒い結婚寄りの、暗めのお話を読むことが多かったので、白い結婚で心が洗われました。ハッピーエンドもいいですね。
ダーリン〜
15歳の時に大好きだった人と結婚するなんて素敵。男であり女でもある旦那さん、いいですね。認知症になったお母さんが「結婚はいいものよ」と言ってくる場面が沁みました。
いつか、〜
老後の夫婦が旅行に行く話だと思って読み始めたら、まさかの死んだ後に一緒に天国に向かうお話だったとは。これもとてもロマンチックでした。山あり谷ありの人生だったけど、お互いが大好きのまま、一緒に天国に行けるなんて…借金取りが来て鬱病になる以外は本当に羨ましい人生だなと。(借金取りが来るのはさすがにこわすぎる。)幸せな気持ちになりました。 -
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幼稚園のママ友の話は今までいくつか読んできたけれど自分が当事者だった時と今とでは捉え方が違ってきている。今どきのママ友事情はこんな感じなのかという思いと懐かしい思いで一気に読み終えた。登場する5人の中では自分は誰に近いかとかこの人とは仲良くなれそうにないな、など勝手に考えたりもしていた。スピリチュアルな千鶴にはどうしても自分だったら敬遠してしまう。当たり前だけれどそれぞれに色んな事情を抱えていて誰が一番幸せがは分からない。そして子供の成長に伴ってママ友の関係も終わったり、友情が芽生えて生涯の友となることもあるかもしれない。女性にとってはとても貴重な体験ができる時間であるように今は思える。
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梨本宮方子(まさこ)は新聞に載った李王朝の世子である李垠(이은)との婚約の記事を見てその場に座り込んでしまった。何も知らせられずに報道で自分の婚約のことを知るとは。政府は日朝融和のために方子に白羽の矢を立てたのだった。周りから決められ、父母でさえもうそれを拒絶することもできないような立場に立たされてしまっていた。李朝の世子である李垠は十歳から日本に連れてこられ、学習院に入学し、その後陸軍幼年学校、士官学校と職業軍人の道を歩んだ。李垠の父の高宗が亡くなって、二人の結婚式は延期となった。朝鮮側は伝統の三年の喪を要求したが、政府は一年の喪しか認めなかった。そして李垠と結婚した方子は、名実ともに李朝王妃としての立場になった。日本と朝鮮・韓国の間で苦しいこともたくさんあっただろうし…。戦争が終わってからは、日本政府からは掌を返したように支援がなくなり、土地や宝石を売って生活費に充てたという。韓国は当時は李承晩の時代で、李朝の元王を韓国に帰国させることは許されなかった。二つの国の間でどちらにも帰属できない立場に追いやられ、韓国からようやく帰国が認められ、元李王として金銭的支援もされたのは朴正熙の時であったという。そして方子は李垠が亡くなっても日本に帰らず、韓国で孤児や障碍者のための施設を営む事業に邁進したという。この本では、方子の話とは別にマサという名前の日本人の女性が出てくる。マサは方子と同世代で、朝鮮解放運動に従事していた男性を好きになり、朝鮮に渡って苦労をした。方子とマサの二人の女性で当時の日本と朝鮮での出来事を描くことでお話が重層的になった。
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梨本宮方子(なしのもとのみやまさこ)は後の昭和天皇のお妃候補と言われながら、朝鮮李王朝最後の後継者、李垠(イ・ウン)のもとに政略で嫁ぐことになった。
折しも時代は、戦前、戦中、戦後と大激動の中、日朝関係、皇室や朝鮮王朝の在り方の変化の中、自身も跡継ぎの男子を亡くしたり、時代が時代であり、日本と朝鮮と国籍の違いからくる微妙な関係の皇太子を側で支えるという苦悩の毎日である。
最後には、王位もはく奪され何もかも無くしても、力強く、逞しく生きていく。
この話どこかで読んだような・・・?
林真理子の「李王家の縁談」でした。
史実に基づいているので同じ話になるのですが、本編の方は「まさ」というもう一人の女性が出てきて、そちらからも語られるのですが、このまさは、皇太子妃の腹違いの姉妹という設定です。このあたりの事実はわかりませんが、もうひとつ別の展開が繰り広げられます。 -
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ネタバレ「乳房のくにで」が面白かったので、この著者の作品を調べて、本作は在日コリアンが題材になっているようだったので興味がわいて読みました。物語は父親不在で母子家庭で育った朋美の子供時代から、壮年に至るまでまでを描いている。素直になれない性格や、友達、いとことの関係、母との確執などは、父親のルーツがどこであっても関係なく、思春期の物語として読める。孤独で知的だが素直ではない朋美と、勉強はできないけど素直で明るい幸子との関係も読みごたえがあった。
屈折した子供時代を経て、それなりに魅力的な女性になったらしい朋美の姿を思い浮かべながら読むと楽しい。あくまで「それなり」で、劇的に美しくなった、とかじゃないところがまた良い。
自分の父親が朝鮮人かもしれないと知ったときの嫌悪感や、母清子の回想に出てくる、1960年代のわかりやすい在日への差別感情など、日本社会に存在する(した)差別をストレートに、ありのままに描いていると思った。自分は差別なんてしない、今の時代にはありえない、と思っている人も、この部分を読んだら、その時代に自分が生きていたらやはり同じように差別していたのではないか、と考えさせられる。
教科書にはよく、「差別をうけながらも力強く生きた」というような例や記述が出てくるが、清子が若かった時代、困っている同胞を家族同然に助けたことなどが、それにあたるのだろう。そうしなければ、生きていけなかったのだろうと思う。また、このままではダメだと考え、北朝鮮帰国事業によって北に渡った人たちも多い。
プロローグに出てくる朋美の娘のエピソードが、明るい未来を予感させて、構成もすごくいいな、と思った。 -
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父の文山徳允は表立っては在日という事実を隠し、日本名で人生を送っていた。
小さい頃から父は長男の鐘明には優しく、何故か娘の梨愛(りえ)には理不尽ともいえる厳しい躾を果たしてきた。
長女の梨愛は、そんな父親に反感を抱き、お互いに理解し合える親子関係ではなかったと考えている。
兄は、母国に対する愛国精神に長けた父親の頑固なまでの考え方とは相反し、結婚と同時に日本国籍を取得する。
そんな兄とも梨愛は距離を置いた関係が続いていた。
その在日韓国人一世だった父が亡くなった。
傲慢とも云えた父の葬儀に、老いた白髪の老人が人の目も憚らず、棺に縋り泣き悲しんでいる。
その傍に美人の若き婦人が涙を流し、父の死を悼み悲しんでいる。
身内の誰もがその二人が何者なのか、全く知らなかった。
後日、兄と二人で父の一人住まいであったマンションで遺品整理を行なう。
数少ない遺品の中に、数冊の古いノートが遺されていた。
日帝支配の戦前、戦中、そして戦後と、混乱の真っ只中で苦境を強いられた朝鮮半島の人たちの生き様の物語だ。
在日の人々の戦後の歴史が、李相周(文山徳允)が残したノートに、文山の人生が綴られていた。
慟哭ともいえるノートから聞こえる声を通して、梨愛と鐘明は父親の真の姿を知ることになる。 -
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在日韓国人であることをKポップ大好きな親友に話すことが出来ずにいる知英、大好きなKポップアイドルグループのメンバーにそっくりな恋人を追いかけて韓国へ行ったら思いもかけない日本人差別にあった梓、新大久保で見かけた大規模な嫌韓デモをきっかけに差別と戦うことを誓う中年女の良美などを取り巻く今の日本人と韓国人、そして在日韓国人の関係性や苦悩を描いたお話。
先日読んだ「海を抱いて月に眠る」よりも心の動きが理解しやすいかな。日本人からも韓国人からも中途半端と疎まれるなんて、そこに悪意をぶつけられるなんて、いたたまれない気持ちになる。何故そこに悪意や嫌悪感が生まれるのか、国籍の少しの違いで人の優劣が決められるわけなんてないのに。
かなり考えさせられる、今まで在日韓国人がそんな苦悩を抱えているなんて考えたこともなかった。私のなかでは差別のない人でありたい、佐藤のような人でありたい。