深沢潮のレビュー一覧

  • 翡翠色の海へうたう
    沖縄の抱える問題と敗戦までの慰安婦、特に朝鮮の慰安婦に絞って物語のようなルポのような体裁で描かれている。難しい問題に真っ向からぶつかっていて考えさせられた。
    穴、穴と繰り返し書かれた言葉に救いのない地獄を感じた。女性である事だけで搾取されてしまう性、たくさんの問題を孕んだ小説だった。
  • 翡翠色の海へうたう
     ウクライナがロシアから侵略されている。

     街は破壊された無残なアパートや壊れた戦車が放置してあり、人々の苦しみ、うろたえ、希望のもてない姿がメディアで映し出されている。

     昭和4年生まれの母は16歳の時に終戦を迎えている。激動の戦前戦後を生き延びてきている。
    きっと、ウクライナ国民とあの頃の自...続きを読む
  • 緑と赤
    在日韓国人であることをKポップ大好きな親友に話すことが出来ずにいる知英、大好きなKポップアイドルグループのメンバーにそっくりな恋人を追いかけて韓国へ行ったら思いもかけない日本人差別にあった梓、新大久保で見かけた大規模な嫌韓デモをきっかけに差別と戦うことを誓う中年女の良美などを取り巻く今の日本人と韓国...続きを読む
  • 緑と赤
    在日のお話。全6章、様々な立場の人から物語が紡がれている。
    繊細な話をわかりやすく、でも繊細に描いていて人にも薦めたくなる一冊。
  • 翡翠色の海へうたう
    一気に2時間ほどで読めてしまった短い小説だったけれど、(そんなつもりはないけれど上から目線っぽいコメントしか思いつかない...)良く書けてる、と思った。重たいテーマと現代っ子の軽さ・浅さが上手くマッチしていて、売れたのがうなづける。今時は重たいテーマを重厚感で包むのではなくてこうやって身近に感じられ...続きを読む
  • ママたちの下剋上
    小学校、中学校のお受験のお話。タイトルの下克上はあまり感じなかった。お受験を経験させることないまま子育ても終えた身としては、他人事ではあったけど、興味深く読みました。 近所にずっと塾三昧だったお子さんのママが、受験直前に塾をやめ、お受験もやめたんだと言っていたのを、舞花と逸美のストーリーで思い出しま...続きを読む
  • 翡翠色の海へうたう
    2021/09/04予約 2

    派遣社員、彼氏なし、家族とは不仲。冴えない日々を送る葉奈は、小説家の卵として、応募作品に沖縄での慰安婦、この題材を使うことにする。

    取材先で当事者でもないあなたに書くことができるのか、と問われ、その覚悟もきちんとないと感じる。

    同じ女性として読んでいて辛い部分もた...続きを読む
  • 足りないくらし
    シェアハウスに住む、様々な事情を抱えた女性たちの物語。さらっと読める。今、私達が生きているこの社会。いつも見て見ぬ振りしている問題。登場人物たちは、フィクションではなく、何処かにいる誰かであるのだと、考えさせられる内容だった。
  • 緑と赤
    「『嫌い』に巻き込まないで」ってその通り。

    在日の友だちはいないけど韓国人の友だちはいい子だし、韓国料理好き。
    でもいまの韓国の慰安婦訴にはうーんって思っちゃう。
    国同士の付き合いなんてそんなもんか。
  • 黒い結婚 白い結婚
    結婚生活は甘いのか、辛いのか。

    私は黒の話の方が好きだったな。
    窪美澄さんの『水際の金魚』が特に。
    『かっぱーん』も、実際にありそうだなと。
    『愛の結晶』は少し不気味に思えたけど、面白い。
    一人目を妻が出産したら二人目は夫の番!
    いいじゃない!
    男性は妊娠出産育児を自分のこととして体験したほうがい...続きを読む
  • 黒い結婚 白い結婚
    色々な作家の結婚にまつわる短編集。
    黒い結婚は怖すぎるし、中でも『かっぱーん』は主人公があまりに気の毒だし、そもそもかっぱーんて何なんだw
    逆に白い結婚は甘いお話ばかり。『いつか、二人で。』がとても良かった。
  • 黒い結婚 白い結婚
    黒も白も前途多難でハッピー結婚したい!と思う話はひとつもない。
    黒に関しては完全にホラー。かっぱーんと愛の結晶なんて恐る恐る読んだ。

    白は、シュークリームが好き。いるよねこういう人。一回相手の嫌なところを見るとそれに執着しちゃうけど、自分にぴったり合った人なんていない人と人生を共にするのが結婚であ...続きを読む
  • 黒い結婚 白い結婚
    結婚にまつわるアンソロジーですが、黒と白でわけたのは面白いです。
    黒の方が他人事と割り切って楽しむには良いかもしれません。
    まあ、結婚がゴールではないので白でも黒でもお好きな話を楽しめば良いのではと思います。
    木原さんの「愛の結晶」はぜひ読むことをお勧めします。これが黒なのかは私にはわからないです。
  • 縁を結うひと
    マルセ太郎さんの「一人芝居」を
    企画させてもらった時のことを
    思い出しました。

    「記憶は弱者にあり」
    在日コリアンの話は
    ついつい重苦しい話になりがちである
    それはまぁ当事者なら
    誰でも言いたいことがあり、
    誰でも叫びたいことがある
    それをそのまま、伝えても
    今の日本では残念なことに
    うまく伝わら...続きを読む
  • 緑と赤
    タイトルの意味は序盤にわかる、
    けどそのタイトルの言葉の持つほんとの意味は
    物語の終盤に分かった。
    その重みを私は理解しきれていないし
    向き合えるのかも分からない。
    自分のアイデンティティ、
    様々な方面からの声、
    しばらくして再読したい本。
  • ひとかどの父へ
    周囲に在日の人は予想以上にいると思うし、知らず知らずにかかわることも多いが、それぞれの人生で背負っているものの重さが伝わってきて、胸が痛む。
  • 縁を結うひと
    母乳シチューが怖かった。(あのタイプで専業主婦やってると、年々モンスター化していくから、早く離婚した方がいい)
    国籍関係なく楽しめるが、大学時代の友達に在日の子がいたので(高校まで朝鮮学校)、同じ日本在住でも色々違うことは感じていた。
    この本読んで「なるほど」と思ったことも多かった。
  • ランチに行きましょう
    個人的に、「このテーマだと手に取ってしまう」という作品の傾向があるのですが、「ママ友」って、怖いもの見たさが半端ないです。
    特に幼稚園…いやだわ~

    一日中子供べったりだったのがやっと解放される、昼間の4時間くらい自由になれる!その嬉しさといったら、特に初めての子供の場合は!
    で、「ランチに行きまし...続きを読む
  • あいまい生活
    女性専用シェアハウス「ティラミスハウス」の住人ひとりひとりが主人公の連作ストーリー。住人みんなに、社会福祉士のテキストに登場しそうな事情があって、読んでて明るい気持ちになれる話ではないのに、一気に読み終えてしまった。雑然として掃除が行き届いていないハウスが描写されていて、生活に苦しい人たちのシェアハ...続きを読む
  • 縁を結うひと
    在日の人々のお見合いを斡旋する福おばさん。斡旋料で生活をする彼女は日本一のお見合いおばさんとして有名だ。その彼女が見合いをセッティングする人々の人生や、彼女自身の過去などを描いている。
    在日と呼ばれる人たちの暮らしなど、あまり知られていないことが描かれていて、興味深い。在日としての生き辛さや哀しさ、...続きを読む