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日米の青年が見た「鎖国から開国へ」
ペリー来航五年前、鎖国中の日本に憧れたアメリカ人青年ラナルド・マクドナルドは、ボートで北海道の利尻島に単身上陸し、アイヌたちに発見される。不法入国者として長崎に収容されたマクドナルドから、若き長崎通詞・森山栄之助は活きた英語を学ぶ。オランダ語には通じていても英語を習得する者の少なかった通詞のなかにあって、森山はペリー一行の首席通詞を務めるなど、開国を迫る諸外国との交渉のほぼ全てに関わっていく。日本とアメリカ、森山とマクドナルド、鎖国と開国、交錯する運命は時代に翻弄されてゆく――。
彼らの交流を通し、開国に至る幕末期の日本の意外な史実が描かれた、傑作歴史長篇小説。
解説・曾根博義
※この電子書籍は、2004年12月に刊行された文春文庫版を底本にしています。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
幕末時に幕府側の通訳として活躍した森山栄之助を主人公とした歴史小説。
森山は、日本に憧れ利尻島に上陸し長崎で抑留されていた米国人より英語を学び、当時は珍しかった英語を使える通詞としてペリーやハリスの来航時にも活躍する。
森山は条約の整備等、外交官的な働きもし、当時の欧米列国の外交官にも名が知れ渡った第一人者であったが、討幕後は引退し、燃え尽きるように死去する。
当時、米国が日本に開港を求めた大きな理由は捕鯨船の寄港を目的としていたのだが、そのビジネスの重要性、ペリー来航に至るまでの諸事情・背景、米国の国家戦略等も触れられており興味深い。
吉村昭の作品である「高野長英」もそうだが、当時の外国語を習得する熱意には驚かされるものがあるし、その重要性を知ることができる。
森山のような通詞がいたからこそ、欧米列強と渡り合えたのかもしれない。
歴史上、余り知られていないが魅力に溢れる人物、森山栄之助を小説の題材に選んだことも吉村昭らしいといえる。
以下引用~
・もしも、会話力の不足からまちがった通訳をすれば、異国船との間に紛争をひき起こすことも十分に予想され、国益に重大な支障をまねく。かれ(森山)は、一刻も早く会話に習熟しなければならぬ、と自らをはげましていた。
・日本にアメリカの眼がむけられたのは、捕鯨業と、中国との貿易を有利なものとしようとする太平洋横断航路計画によるものであった。
・・・蒸気船の動力である石炭を補給する地が必要であった。計画の研究者たちは、それに適した場所を、小笠原諸島、琉球と日本列島である、と断定した。
・(米国は)日本との貿易などは眼中になく、ただ、中国への航路の中継基地としての意味しかなかったのである。
Posted by ブクログ
開国史にはいつも出てくる「森山栄之助」。
彼はどこでどのように外国語を学んだのか、
どんな人だったのか気になっていた。
ラナルドマクドナルドと彼の交流は
自分の経験と重なり、とても心に残った。
ラナルドにとって日本はどんな風に映ったのか、
その記述があまりなかったのが残念。
彼の生い立ちから、日本に憧れを抱く経緯、
漂流者を装って単身日本に上陸するという情熱を持って来日。
日本人に警戒されながら、日本の暮らしになじもうとする謙虚な姿勢が
認められ、森山は彼を師と仰ぎ、彼から英語を学んだ。
森山栄之助は開国を迫られた日本を背負って
国の運命を握っていた。重大な役目を終え、
引退すると同時に一気に老け込んで亡くなった。
何度も読みたくなる本に久しぶりに出会った。
Posted by ブクログ
先日、「ブラタモリ•利尻島」を見ていたら、ラナルド•マクドナルド(1824〜1894)というアメリカ人の記念碑があるということが紹介されていた。何処かで聞いたような…と思っていたら、この作品でした。
ネイティブアメリカンの血を受けた彼は、日本に興味を持って幕末の1848年に利尻島に単身密入国します。長崎で幽囚の身となりますが、長崎通詞だった森山栄之助(1820〜1871)らに英語を教授します。物語は、森山栄之助がその後関わっていく幕末の外交交渉史を俯瞰的に描いていきます。一般的に、薩摩•長州ら新政府側からの視点で描かれる事が多い『幕末史』を、幕府側の外交下役だった一通詞の視点で見ることはとても新鮮に感じました。
…それにしても、パレスチナでの戦闘やウクライナ侵略戦争が続いている次節柄、"アの国"の傲岸不遜ぶりがどうしても鼻につきます。昔からずっとこうだったんだなぁ。
マクドナルドのような人物がいたという事が、何か奇跡のようにも思えます。
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