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幕末の長崎、オランダの医官ポンぺから実証的な西洋医学を、日本人として初めて学んだ松本良順。幕府の西洋医学所頭取を務め、新撰組に屯所の改築を勧め、会津藩で戦傷者の治療を指南、さらに榎本武揚に蝦夷行きを誘われる。幕末、そして維新の波にもまれながらも、信念を貫いた医家を描く感動の歴史長編。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
昨日、吉村昭の「暁の旅人」を一気に読みました。 このテンポの良さは何だろう! 会話文が極端に少ないせいかもしれません。 話は幕末時代の幕臣医師・松本良順の生涯です。 幕府から派遣され、長崎でオランダの医師ポンペから本格的な近代的西洋医術を教わります。 そのためには当時としては大変珍しい刑死した遺体の...続きを読む解剖までおこなっております。 その後、幕府の西洋医学所頭取、幕府陸軍軍医なり、 戊辰戦争となり維新をむかえ、一時投獄されます。 彼の豊富な医学知識と技術をおしんだ山県有朋らは 新政府の初代軍医総監としてむかえております。 この様に書くと彼は英雄の様に思われそうですが、 吉村の筆は実子を失った不幸、近藤勇、土方歳三らを失い、 晩年を寂しくむかえた所まで書いております。 司馬遼太郎のように、フィクションを織り交ぜながら、 主人公を英雄のように仕立ててゆくといった歴史小説ではなく、 史実小説作家吉村は幕末から維新にかけて医師としてひたむきに生きた一人の医師の生涯を綴っております。 最後に、ウィキペディアから得た情報を紹介しましょう。 松本良順らが長崎で研究施設使っていた所には、 日本近代医学発祥の地として現在長崎大学医学部があり、 その中に良順会館も建てられております。 そして、当大学ではあのオランダ医師ポンペの言葉 「医師は自らの天職をよく承知していなければならぬ。ひとたびこの職務を選んだ以上、もはや医師は自分自身のものではなく、病める人のものである。もしそれを好まぬなら,他の職業を選ぶがよい」を建学の基本理念しているそうです。
この時代の吉村昭の本が一番好き。 なんと立派な人が多いことだろう。 松本良順の外国に対する認識、 先見の明があり、彼らが日本の近代化の礎になったのだと うなずける。 立派な人は奥さんも立派。
我々日本人が牛乳を飲むようになったのはこの方のお陰! 「ふぁんしいほるとの娘」を読んだらコレも読んで欲しい。
医師・松本良順を扱った司馬遼太郎氏の「胡蝶の夢」を読んでいたので、ずっと気になっていた本だった。 司馬遼太郎氏のような、人格を浮きださせるような描写はないものの、蘭方医が必然不可欠になっていくのが判る。開国に向かうにつれ、日本でコレラが流行り、対処効果が見られたのは蘭方であり、天然痘にも種痘が効...続きを読む果的となっていく。 この時代の流れは凄い。さらに松本良順の魅力は時代に乗るのでなく、本人に備わった能力から、時代が取り残さなかった、”暁”という存在出している。 幕末から明治になる中、戊辰戦争側について、会津藩、仙台藩へと進み、横浜へ戻っての投獄。才覚と実績あればこそ、日本初の私立病院の設立、初の軍医組織の編成と軍医頭にと、世に埋もれずに再び表舞台へと出てくる。 牛乳普及も良順だったのかと、驚いた。 ドクロのエピソードは、家茂崩御の口止めにオランダ医官ボードウィンに渡した(吉村昭)のか、江戸を脱出する時に医学所に置いてきたものを関寛斎が保管していた{司馬遼太郎)のか、前者は、良順らしい交渉術がでていて、後者は現実的な創造に思えた。
司馬遼太郎の「胡蝶の夢」は自分の理想を強引に推し進めるため、古い制度を破壊するエネルギッシュな良順なのに対して、吉村の描く良順は幕藩体制の組織の一員が少しづつ改革を行う、等身大で身近な人物として描いている。歴史小説と評伝の違いか。
時代小説というか歴史小説です。 今ドラマでやっている「仁」の時代のあるお医者さんが主人公です。医療の発展にかける情熱は目を見張るものがありました。 打ち込めるものがあるって素晴らしい。
史伝であるため事実が淡々と述べられていくだけなのだけどおもしろい。松本良順という人の医家としての生き方や当時の人の考え方がおもしろい。歴史の事実が分かっていくのが面白い。
幕末の医師・松本良順。 司馬遼太郎の『胡蝶の夢』が好きで、吉村昭氏の小説も好きで読んだ。 司馬氏の場合、言わずもがな、長編なので、様々な主人公が奮起しどのように近代医療を輸入したか、激動のこの時代をどのように生きたのかが具に表現されていた。 一方、吉村氏のこの作品は、淡々とではあるが、松本良順が、そ...続きを読むの仲間や親族たちとどの時期の時点でどう行動し活躍したのかをくまなく述べている。 どちらも読んだからこそ、どちらの良さも実感。 だからこそ、感銘を受けた小説こそ解説までも楽しみなのに、解説には少々ガッカリ。 本作とあとがきだけで十分。
幕末の長崎、オランダの医官ポンペから実証的な西洋医学を、日本人として初めて学んだ松本良順。幕府の西洋医学所頭取を務め、新選組に屯所の改築を勧め、会津藩で戦傷者の治療を指南、さらに榎本武揚に蝦夷行きを誘われる。幕末、そして維新の波にもまれながらも、信念を貫いた医家を描く感動の歴史長編。(親本は2005...続きを読む年刊、2008年文庫化) 吉村昭、最晩年の作品。史伝小説のせいか、淡々としている。 この本の良順にはイマイチ、共感を感じない。読んでいて、つまらないということではないが、水を飲んでいるような感じがして、コクとか旨味とか手応えを感じない。あるいは、良い酒は水に近くなるということなのだろうか。史伝小説家として著名な吉村氏ではあるが、肩透かしを喰らった気がした。
幕末から明治に掛けて医学の分野で活躍した松本良順の一生を描いた作。佐藤泰然の次男として生まれた良順は泰然が洋方医であったこともあり蘭語は少しはやれた。若かりし頃長崎でオランダの医官のポンペに師事し医学を習得する。やがて幕府の奥医者となり幕府の医者の最高位までなる。明治になると会津・庄内の新政府徹底抗...続きを読む戦藩の支援にまわる。それも敗色濃厚となり、蝦夷の支援依頼を榎本武揚から受けるがこれを断り新政府に捕われる。その後長崎での外国知人らの支援で洋方病院を設立し、これを認められて軍医の取り纏め役となる。公では成功するが、私では長男・次男共に若くて喪いあまり幸せな人生とは言えなかった。 吉村氏の表現が淡々、事実の表現になっており物足りなさを感じる。
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