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16年ぶりに刑務所の外を歩いた無期刑の囚人。死を間近にして故郷への執念に憑かれた重病人など、人生の重大場面に直面した人々の心理をこまやかに描いた滋味溢れる短編集。
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Posted by ブクログ
短編集なんですが、心にぐっと来るような話ばかりでとてもよいです。 自分が年取ったときに読んだら、また違うんだろうなと思います。
比較的初期に書かれた吉村昭の短編小説集。怜悧だけど静かな熱を帯びている筆致は、やはりさすがの一言に尽きる。これなんだよなぁ、吉村昭の小説のかっこよさは。『秋の街』『雲母の柵』『さそり座』がオススメ。
吉村昭作品を読む時は緊張する。一文字も読み落としてはならないと思うからだ。「秋の街」は7つの短編だが、どれも短編ながら長編を読み終えた後のような疲労感がある。死と向き合う人間の心理描写は隙がなく読後の虚しさと悲しさを伴う。 『秋の街』は、死は出てこないが、仮釈放の受刑者を見る刑務官の視点から描かれて...続きを読むいる。逃亡というドラマが起こる不安感を読者も共有する。 我々が日常生活の中で見ないようにしている死と向き合う職業や、大人の闇の部分を垣間見た少年の心理など、顔を覆いながら指の隙間から覗くようなドキドキ感がある。
「秋の街」吉村昭 ヒューマンドラマ短編集。無彩色。 昭和の時代の、職業人としての市井の人々の姿を描くオムニバス。 切々と過ごす日常を、今風に言えば「リアルに」描き出しながら、 全体に漂う退廃的な色合いに吉村昭の世界観を感じます。 監察医助手の卵の短編が、若いにも関わらず、むしろ若いが故に“死”に...続きを読む淡々と向かう姿を鮮やかに描き、印象深かった。 昭和の生活を感じられるという点でもおすすめ。(3)
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