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「ディア・ドクター」「夢売るふたり」「永い言い訳」など、
濃密な人間関係を題材に作品を生み出し続けてきた映画監督・西川美和氏の小説処女作
田舎を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と、田舎に残り実家を継いだ実直な兄。
対照的な二人の関係が、幼馴染みの女性の死をきっかけに、大きく揺らぎはじめる……。
2006年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。
文学の世界でも第20回三島由紀夫賞の候補になるなど、大きな評価を受けた。解説・梯久美子
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Posted by ブクログ
生まれ故郷を飛び出し写真家として成功をおさめる弟。実家のガソリンスタンドを父親に望まれるまま引き継いだ兄。自分の感情を表現する弟。鈍いふりを続けた兄。
二人に関わる幼馴染の女性は、若い頃、弟と関係を持ち、現在は、兄に望まれている。二人の関係は、その女性の死の真相をめぐり逆転していく。家族の支配者が変わった時、そして不在となった時、ギリギリの家庭は、崩壊を迎えてしまう。
兄弟の支配と嫉妬は、終わりを迎えても、次の関係を築く事ができなかった。
ご自身の映画のノベライズとのことで、田舎を行く道、法事の親戚の集まり、ひなびた渓谷と、読み始めから、知っているような情景のイメージに入り込めました。兄弟の隠していた感情の描写が印象的で、苦しさが伝わってきました。
Posted by ブクログ
人は内にどんなものを秘めているのか。
それは誰にもわからない。もしかしたら自分自身でさえわかっていないのかもしれない。
同じものを見ても人それぞれ捉え方は違ってくる。
隣の芝生は青いとは言うけれど、どんなに近い存在でも同じなのだろう。
いや、近い存在だからこそ羨む気持ちはもっともっと大きくなってしまうのかも。
人とは多面体で出来ている。
一方から見ただけでは理解することは出来ないし、ときには他者から見た自分に身動きがとれなくなってしまうこともある。
傷つけられた心は、どうすれば癒されるのだろう。
傷つけ返したとしても何も得るものはないような気がするのだけれど。
心理描写が素晴らしかった。
繊細に、丁寧に、物語に乗せて痛みが伝わってくる。
読んでよかった。素直にそう思える物語だった。
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