何の気無しに手に取った一冊にしてはとてもパンチ力のある一冊だった。
小説の魅力の一つに文章から、この先自分では体験しないであろう人生を追体験できるというのがあるように私は思うが、この本は登場人物の心境が事細かに描かれておりリアリティに舌を巻いた。
衣笠幸夫のように非常になれたり、大宮陽一のように家
...続きを読む族の悲しみにやるせ無くなり少し荒れたり、大宮真平のように自分の境遇に対する不平不満に押しつぶされそうになったり…。
読者自身は妻、家族をバス事故で亡くした訳でもないけどその心情がヒシヒシ伝わってくるような、鬼気迫る一作でした。
本当にながいながい言い訳でした。