西川美和のレビュー一覧

  • ゆれる
    原作を読んで映像化されたものを観ると物足りなさと自分の中で描いていた俳優と違うこともありなかなか満足できる作品に出逢えていないという話を同級生としていたらこの本と映画を薦められた。原作、脚本、監督を作者一人が作り込むと一体感が生まれるのが納得てきました。shukawabestありがとう。
  • 永い言い訳
    事故をきっかけに仲良くなった子供を通じて、愛について学んでいく物語。
    人は人を通じて学んでいく。
    主人公の変化していく気持ちが悲しくて愛おしい。
  • 永い言い訳
    自分にしては珍しく、本のタイトルをよく思い出す小説だった。そしてそれは、この物語全てを締めくくる言葉だ、と考えることが容易だったからだろう。
    この話は幸夫の永い言い訳そのものだ。だから、結局これら全てが言い訳になる、という結末が見えていた。つまり、読みながらこの感情はいつか言い切ることができるように...続きを読む
  • 永い言い訳
    何の気無しに手に取った一冊にしてはとてもパンチ力のある一冊だった。

    小説の魅力の一つに文章から、この先自分では体験しないであろう人生を追体験できるというのがあるように私は思うが、この本は登場人物の心境が事細かに描かれておりリアリティに舌を巻いた。
    衣笠幸夫のように非常になれたり、大宮陽一のように家...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    有名な映画監督の西川美和さんの著作。先日観た『ゆれる』についてのことも書かれており興味深く読んだ。オダギリジョーさんのこと、香川照之さんのこと、松たか子さんとフォークリフトの免許を取った時のことなどなど、俳優さんや女優さんとの関わりや助監督時代の動物を使うことの難しさ、音を作り出す仕事をしている人の...続きを読む
  • 永い言い訳
    本当にめちゃくちゃながかった。
    でも人間の弱いところや狡いところ、それをやっと認めるところが描かれていて良かった。
  • 永い言い訳
    言い訳と小さな嘘は、自分の気持ちを隠す盾みたいなものかなと思っている。
    突然の観光バス事故で、妻を失った作家。彼は、自己愛が強く自尊心が高く自己中心的な男。妻との関係も事故が起きる随分前から壊れ気味だった。
    突然の事故で何を失ったかも気付いていない。
    この作家は、涙を見せず感情に流されず冷静冷淡に描...続きを読む
  • 永い言い訳
    主人公のクズさ加減とか傲慢な様子とか共感を得られない部分は多いだろう。しかしフィクションでないと出会えない人もいて、その人に対してどう思うかはフィクションでしか養えない感情だ。批判を恐れずに言えば主人公に少し共感してしまった。不倫相手との情事中に奥さんが亡くなった男性の物語。言葉にするとチープだが感...続きを読む
  • 夜更けのおつまみ
    少しずつそれぞれの作家さんのお話がいただける、まさに「おつまみ」な本。
    読み進めていると、缶ビールが2本、空の状態で目の前にありました。
  • 映画にまつわるXについて2
    前作も素晴らしかったですが、こちらもやはり、紛れもなく素晴らしいですね。前作が、映画で言うと「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」の時期のエッセイだとしたら、こっちは「永い言い訳」の時期のエッセイ。

    「あの映画を撮っていた時、西川さんはこんなことを考えていたのか!」という思いが感じられます...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    ベラボーに面白いです。こりゃ凄い。こりゃお見事です。

    西川美和、という人は、自分の思っていること、考えていることを、自分以外の他人に伝えることが、めちゃくちゃ上手いなあ、ってね、思いました。

    映画監督としては、自分の思いを、映像情報として他者に伝えることが、ベラボーに上手い。

    小説家、エッセイ...続きを読む
  • 遠きにありて
    めちゃくちゃ面白いです。西川美和、やはり凄すぎる。超一流の映画監督であり、超一流の小説家であり、まさか。エッセイストとしても超一流だったのか。驚愕である。この人、ホンマにとんでもねえなあ。

    スポーツ雑誌「Nunber」での連載エッセイをまとめたものでして、2015年6月25日号~2018年9月21...続きを読む
  • 夜更けのおつまみ
    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。...続きを読む
  • ゆれる
    2020年現在の、この小説の、刊行されているバージョンを調べましたところ。

    2006年 ポプラ社単行本刊行
    2008年 ポプラ文庫刊行
    2012年 文春文庫刊行

    という感じでして、2020年現在、3バージョンが、流通している感じ?みたいですね。

    凄い不思議なのが、2008年にポプラ文庫から文庫...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    読めば読むほど、なぜだろう目が潤んでくるのを止められなかった。寂しさ、諦めにも似た文章からは西川さんの不器用だけど真っ直ぐな性格がにじみ出ているのだが、そのことはどうでもよくなるほど、なんだろう…悲しみなのかな…そんな感情を感じるというか。読んでると動揺してしまう。
  • その日東京駅五時二十五分発
    あとがきにも書かれているが、本作は著者の伯父の戦争体験が基になっている。陸軍特殊情報部に配属になった広島出身の19歳青年の目に戦争はどう映ったのか…。あまりにも淡々と語られるので、かえって重い印象を受ける。
  • その日東京駅五時二十五分発
    あとがきにも書いてあるが、著者の伯父の体験が基になっている。陸軍特殊情報部に配属になった広島出身の19歳青年が経験した戦争とは…。淡々と語られる中にも戦争への思いが滲み出している。
  • 遠きにありて
    阪神ファンをやめたのはもう3年ぐらい前だろうか。というか、一つの球団やチームにしぼって、そこを応援するというのが性に合わなくなった。

    俺みたいな鈍足ランナー、ヘタレボルダー、ビビリハイカーであっても、自分で体を動かせば分かる。いわゆるアスリートと呼ばれている人たちが、いかに凄いか。どれだけの天分を...続きを読む
  • その日東京駅五時二十五分発
    「ぼく」は飛行機乗りになりたかった。でも、飛行機乗りになる
    には体が小さかった。中学を卒業し、家業の農業を手伝っていた
    「ぼく」に召集令状が来た。

    陸軍情報部の通信兵としての訓練が、東京・清瀬市で始まった。
    飛行機乗りにはなれなかったけれど、通信兵として戦争に係わる
    ことになった。

    通信兵として...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    自分の中にある、醜さ、いやらしさ、至らなさを露悪的に描く人なんだろうか。
    書き物に共感を覚えるけれど、実物の西川さんは、すらりと立っていて、同世代の冴えないおっさんの共感など峻拒するんだろうな。
    なんだか、太宰治の恥、みたいな感想になってしまった。
    また、この本の「足りない女」というエッセイに書かれ...続きを読む