西川美和のレビュー一覧
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ネタバレシニカルで偏屈な幸夫くんの喪失との向き合い方があまりにも人間らしくて、大宮家の鍋パーティーで鏑木先生が気に食わなくて爆発してしまうあたりとかもう見てられなくて。だからこそ読み手が前のめりになってしまう。喪失を経験したすべての人が、その人間らしさに共感して苦しくなって一緒に生きていくための糧を培う。
帯にもあった「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくはない。」そして「色んな人との出会いや共生は、喪失を癒し、用事を増やし、新たな希望や、再生への力を与えてくれる。喪失の克服はしかし、多忙や、笑いのうちには決して完遂されない。」のフレーズはこの小説の真髄だなあとおもう。
「妻(きみ -
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読んで、主人公・衣笠幸夫の姿に、父を亡くして以降の自分自身を重ねてしまった。
喪失は劇的な出来事として訪れるのに、その後の人生は驚くほど平然と、何事もなかったかのように続いていく。悲しみはあるのに、泣き続けるわけでもなく、かといって前向きになれるわけでもない。その宙づりの状態こそが、この作品の核心なのだと思う。
幸夫は、他者の痛みを理解できない冷淡な人間として描かれがちだが、それは「わからなさ」の問題なのだと感じた。人の死がもたらす空白や、その後に残される感情の処理の仕方を、彼は知らないし、学んでもいない。ただ、取り返しがつかないという事実だけが遅れて重くのしかかってくる。その鈍さや遅さは -
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雑誌連載をまとめたもので、同じ文字数のコラムが続き、とても読みやすい。肩の力を抜いて読めるが、ウィットに富んだ歯切れいい文章の中に、筆者の聡明で透明な眼差しを感じる。バランスよく地頭のいい方なのがよくわかり、お人柄も素敵だなぁと思った。特に印象的だったタイトル。男子校の膝上の友とのまぶしい青春を描いた「あおばのみち」、籠の鳥のようなゆきちゃんの解答すり替え工作を疑う「ゆきのしわざ」、認知症の伯母の大人っぽさについて書いた「ついのふうけい」、差別表現に緩かった過去への思慕を断ち切る「ぼくらのキャンバス」、敵ながらあっぱれのホークスのホスピタリティに感じ入った「みるはたのし」、おじいちゃんがムカデ
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ネタバレ前作も素晴らしかったですが、こちらもやはり、紛れもなく素晴らしいですね。前作が、映画で言うと「ゆれる」「ディア・ドクター」「夢売るふたり」の時期のエッセイだとしたら、こっちは「永い言い訳」の時期のエッセイ。
「あの映画を撮っていた時、西川さんはこんなことを考えていたのか!」という思いが感じられますし、映画に関しての裏話的な話も沢山聞けますし、ましてや西川さんご自身の「映画とは、なんなんだろうなあ?」という様々な気持ちを垣間見ることができる。うーむ。まさに、映画人としての西川美和に興味があるかたなら、抜群に楽しめると思います。で、ワタクシは、映画人・西川美和に途轍もなく興味がある。ということは -
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ネタバレベラボーに面白いです。こりゃ凄い。こりゃお見事です。
西川美和、という人は、自分の思っていること、考えていることを、自分以外の他人に伝えることが、めちゃくちゃ上手いなあ、ってね、思いました。
映画監督としては、自分の思いを、映像情報として他者に伝えることが、ベラボーに上手い。
小説家、エッセイストとしては、文字情報として他者に伝えることが、ベラボーに上手い。
ということなのかな?と思うのですが、うーむ。なにしろ「わたしはこう思っています」ということを、これほどに見事に他者に伝えることができるものなのかね?と、驚嘆。つまるところ、西川美和さんは、コミュニケーション能力が途轍もなく高い人な -
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ネタバレめちゃくちゃ面白いです。西川美和、やはり凄すぎる。超一流の映画監督であり、超一流の小説家であり、まさか。エッセイストとしても超一流だったのか。驚愕である。この人、ホンマにとんでもねえなあ。
スポーツ雑誌「Nunber」での連載エッセイをまとめたものでして、2015年6月25日号~2018年9月21日号までの記事が載っています。
ちなみにこの連載は、2020年の8月で、終了している模様でして。ネット情報ですが。ホンマか?そうなのか?それは誠に残念である、、、勿体ない。是非とも、この本に収録されたまでの後に発表され続けていたエッセイも、一冊の本に纏めてほしいなあ~。文藝春秋さん、マジでお願いし