西川美和のレビュー一覧

  • 遠きにありて

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白いです。西川美和、やはり凄すぎる。超一流の映画監督であり、超一流の小説家であり、まさか。エッセイストとしても超一流だったのか。驚愕である。この人、ホンマにとんでもねえなあ。

    スポーツ雑誌「Nunber」での連載エッセイをまとめたものでして、2015年6月25日号~2018年9月21日号までの記事が載っています。

    ちなみにこの連載は、2020年の8月で、終了している模様でして。ネット情報ですが。ホンマか?そうなのか?それは誠に残念である、、、勿体ない。是非とも、この本に収録されたまでの後に発表され続けていたエッセイも、一冊の本に纏めてほしいなあ~。文藝春秋さん、マジでお願いし

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    2021年05月17日
  • 夜更けのおつまみ

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    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
    人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
    さらに、一編ずつが短いのもポイント。
    ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰

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    2020年07月14日
  • ゆれる

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    ネタバレ

    2020年現在の、この小説の、刊行されているバージョンを調べましたところ。

    2006年 ポプラ社単行本刊行
    2008年 ポプラ文庫刊行
    2012年 文春文庫刊行

    という感じでして、2020年現在、3バージョンが、流通している感じ?みたいですね。

    凄い不思議なのが、2008年にポプラ文庫から文庫本が刊行されていて、何故に、2012年に、出版元を変えて、文春文庫からも、文庫版が刊行されているの?ってのが、凄い不思議。なんで?

    ポプラ文庫版が、絶版になっている?訳でもないようなのですが、、、凄く不思議だ。何故、ポプラ文庫で文庫化されている作品が、更に、文春文庫で文庫化?ホンマ不思議。どんな理

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    2020年07月07日
  • 映画にまつわるXについて

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    読めば読むほど、なぜだろう目が潤んでくるのを止められなかった。寂しさ、諦めにも似た文章からは西川さんの不器用だけど真っ直ぐな性格がにじみ出ているのだが、そのことはどうでもよくなるほど、なんだろう…悲しみなのかな…そんな感情を感じるというか。読んでると動揺してしまう。

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    2019年11月07日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    あとがきにも書かれているが、本作は著者の伯父の戦争体験が基になっている。陸軍特殊情報部に配属になった広島出身の19歳青年の目に戦争はどう映ったのか…。あまりにも淡々と語られるので、かえって重い印象を受ける。

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    2019年08月29日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    あとがきにも書いてあるが、著者の伯父の体験が基になっている。陸軍特殊情報部に配属になった広島出身の19歳青年が経験した戦争とは…。淡々と語られる中にも戦争への思いが滲み出している。

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    2019年08月16日
  • 遠きにありて

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    ネタバレ

    阪神ファンをやめたのはもう3年ぐらい前だろうか。というか、一つの球団やチームにしぼって、そこを応援するというのが性に合わなくなった。

    俺みたいな鈍足ランナー、ヘタレボルダー、ビビリハイカーであっても、自分で体を動かせば分かる。いわゆるアスリートと呼ばれている人たちが、いかに凄いか。どれだけの天分を持って生まれ、その天分を存分に発揮するために、どれだけのトレーニングをこなし、その孤高ともいえる位置を保つためにどれだけのエネルギーを使っているか。ストイックであるのは日常で、結果を出すのが当然。

    そんな過酷な日々を生き抜いていくために、彼らにしか見えないものを掴むために、想像を絶する日々を積み重

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    2019年05月28日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    「ぼく」は飛行機乗りになりたかった。でも、飛行機乗りになる
    には体が小さかった。中学を卒業し、家業の農業を手伝っていた
    「ぼく」に召集令状が来た。

    陸軍情報部の通信兵としての訓練が、東京・清瀬市で始まった。
    飛行機乗りにはなれなかったけれど、通信兵として戦争に係わる
    ことになった。

    通信兵としての訓練を始めて3か月後のある日。暗号表や通信
    機器を燃やせとの命令を受ける。そして、襟章や軍人手帳も。

    隊の解散だった。各自、幾ばくかの現金を与えられ、故郷へ
    戻るよう言われた。

    そして、その日、東京駅5時25分発の汽車に乗り、「ぼく」は
    隊で一緒だった益岡と共に西を目指した。

    戦時中、著者の

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    2017年08月20日
  • 映画にまつわるXについて

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    自分の中にある、醜さ、いやらしさ、至らなさを露悪的に描く人なんだろうか。
    書き物に共感を覚えるけれど、実物の西川さんは、すらりと立っていて、同世代の冴えないおっさんの共感など峻拒するんだろうな。
    なんだか、太宰治の恥、みたいな感想になってしまった。
    また、この本の「足りない女」というエッセイに書かれた、西川さんが向田邦子さんに向ける思いと、自分が西川さんに感じる思いは、驚くほど相似形のものだった。
    まぁ、なんとかやってくしかないんだと思う。

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    2017年04月07日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    「みんなこれまで後生大事に抱えてきた色んなもの、燃やしてんねや」
    「自分の心が一番ひかれるものには、何となく罪のにおいがする。何か自分が守ってきたものを壊してしまいそうな、低いとどろきを感じる」
    「あんな陰気な森の中に、陛下が暮らしているのかと思うと、気の毒なように思えた」
    「ーーぼくの赤ちゃん。
    中尉は写真を見下ろしながら甘い声でそう言って、自分でくすりと笑った」
    「『でも可愛いんだ』
    中尉は、子供を寝かすような口調でそう言った」
    夢は覚めて初めて夢になる。覚めない悪夢は、現実だ
    遅れて帰ってきた来たお前になど、何もわからないし、何もわかってもらいたくない、と、街から完全に背を向けられている

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    2017年01月16日
  • ゆれる

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    大学生の時に観て、邦画の面白さを教えてくれた作品。小説が原作ではなく、映画を小説化したものです。
    田舎に残った兄と自由奔放な弟。その兄が吊り橋から女性を突き落としてしまう。目撃者は弟とだけ。
    果たして本当に兄が突き落としたのか、それとも事故か。
    まさしくタイトルの通り、弟を始め登場人物の感情が揺れている。映画よりも小説の方がその変化が饒舌に語られていて、貪るように読んでしまった。
    また映画をやるようで楽しみです。

    #読書 #読書倶楽部 #読書記録
    #ゆれる
    #西川美和
    #ノベライズ
    #2016年88冊目

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    2016年09月29日
  • 映画にまつわるXについて

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    『蛇イチゴ』『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』
    をDVD で見た。監督が 西川美和だった。

    濃密な人間関係をえぐり出す西川美和が、書いたエッセイ。
    どんな感じの文を書くか と思って読み始めたら、
    朝青龍の ヒールについて、なんで ヒールにされるの?
    ヒールがヒールと思っていないけど、ヒールにされてしまう。
    そのことについて、愛着を持って、濃密に綴る。
    なるほど、この感性は、どこかで、ねじ曲げられて、
    屈折して、自分の体内に、なにものかを押さえ込んでいる と思わせた。
    その得体の知れないものに、いらだったり、ひりひりしたり、
    独特の こころの中の揺らぎが、「ヒール」や「女子重量挙げ

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    2016年08月17日
  • 映画にまつわるXについて

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    西川美和さんのエッセイを読んだ。論理的でスピード感があり、力強い文章。映画制作の過酷な現場や監督の苦悩が垣間見れる貴重な一冊だと思う。「ゆれる」を見返したくなった。

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    2016年08月10日
  • ゆれる

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    やはり西川美和はただ者ではなかった。
    あの邦画史上に輝く名作『ゆれる』の小説版である。小説では映画では描かれなかった背景事情や心理が精緻に描写され、他方映画では小説よりも読者に考えさせる余地を多く残し、お互いに補完して一つの世界を作りながら、それぞれ一つの作品として屹立している。
    多くは語るまい。が、どちらかと問われれば(彼女の本業である)映画の方に軍配が上がること、映画を先に観ることを勧めることを記しておく。

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    2016年01月20日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    終戦直前に通信兵になり特殊情報部に配属された主人公。その任務ゆえ一早く終戦を知った部隊は、終戦前日に解散し、隊員は各自故郷を目指す。
    著者の伯父の体験をもとに書かれた小説です。
    物語としての面白さと言うより、記録文学的な興味があります。終戦という激動にもかかわらず、更には故郷・広島が原爆によって壊滅状態であることを知りつつも、何処かサラリと受け流してしまう、或いは実感の乏しいままそれを受け入れてしまう主人公達。終戦の物語といえば、どうしてもパラダイムシフトを受けた人間像が描かれる事が多いのですが、現実レベルではこの主人公の様に淡々と受け入れた人も意外に多かったのかもしれません。
    とても大きな字

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    2016年05月15日
  • その日東京駅五時二十五分発

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    叔父の体験談をもとに書かれたということで、リアルな描写が入っていた。陸軍の特殊情報部というのはとても貴重な体験であまり聞いたことがなかった。無駄な部分をそぎ落として余計な脚色をせず、変に感動させようとしない全く欲のない文体に好感が持てた。

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    2015年01月12日
  • ゆれる

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    家族内の不和は、それまで上手くいってた均衡がひょんなことで崩れることで起きるということを実感した。この話の場合は、誰からも認められるいい人であった稔の変化。話が進むに連れ、登場人物達の独白が問題の核心に触れ始め、見ているこちらまで揺さぶられるものがある。

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    2012年11月07日
  • 永い言い訳

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    2016年本屋大賞第4位作品。

    不慮の事故により妻と母を喪った二組の家族が、ひょんなことから交流して再生していく話し

    最初は少しつまらない感じがしましたが、二組の家族が交流するところから俄然惹き込まれて、最後は優しく読み終えることができました❗️

    愛する人を喪った悲しみは簡単に癒えることはありませんが、瘡蓋のように時間を掛けて日常に溶け込んでいくのだと感じました❗️

    心にジンワリと染み込むオススメのラブストーリーです❗️

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    2025年11月15日
  • ゆれる

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    古い作品だけど、映画を観て本を読んだ。
    映画だけでは分からない登場人物の心理描写が本を読んだら良く分かるから、映画を観ても本を読むことをお勧めします。
    地味でいい人のお兄さんと、派手で好きに生きている弟。お兄さんはいろんなことを我慢していい人になっていた。
    でも、1回のきっかけで爆発してしまった。
    お兄さんは自由に生きるために行ってしまったんだと思いたい。

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    2025年09月08日
  • 永い言い訳

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    ネタバレ

    愛するべき時に愛することを怠った代償。
    気づくの遅すぎ!と思いながら、
    少しづつ幸夫の気持ちがほぐれていくのを
    見てた。
    真平とあーちゃんとの交流は、不器用ながらも
    微笑ましくて、幸夫のダメさもいつのまにか、
    憎めなくなった。

    生きていくためには思うことができる存在が
    必要と気付いた幸夫が、自分自身の納得できる
    言い訳を見つけられて、良かったと思う。
    この先は、永い言い訳をしながら、自分と
    向き合っていくのかな?
    映画も見てみたい。

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    2025年09月01日