西川美和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
冷め切った夫婦生活のなかで、突然訪れた妻の死。
主人公が妻と死別後に初めて他者を通じて向き合う家族愛。その心情の変化が繊細に描かれていて面白い。
人間はどうしてこうも失ってからでないと気付けない、生き物なんだろう。
どれだけ月日を重ねて、当たり前の存在になったとしても対話し続けることが夫婦関係を良好に保つ秘訣なんだ。だけど、長い夫婦生活の中で、価値観をすり合わせ続ける行為は果てしないし、対立を避けて相手と向き合わないほうがその時だけだったら楽なのも分かる。
死者とは対話ができない。過去を、自分を、正当化するために、残された主人公は一方的な言い訳をし続けるしかないのだなと思った。
すぐに忘れ -
Posted by ブクログ
映画『ゆれる』の監督、西川美和による小説。 こちらも映画化され、脚本・監督も手がけている。 多才。
この本は賛否が分かれる内容らしく、 ほとんど期待せずに読んだけれど、 すごく面白かった。
主人公は、冷め切った関係の妻が突然事故死したとき、 自分が何を感じるのかを見つめる男。
しかし彼は、 妻を失った悲しみに沈むというより、 自分のことばかり考えている、かなりのダメ男。
彼を取り巻く人たち(妻を含め)の心情や、 それぞれの思いが静かに描かれていく。
主人公・衣笠サチオの物語は、悔恨の物語でもなく、再生の物語でもない。
ただ、自己憐憫と自己愛が、延々と語られていく。 (なんせクソ夫なので。 -
Posted by ブクログ
この本は買おう。そして何度も読み返そう。余白が多い作品だから読む度に新しい発見がありそう。書かれている文章とあえて書かれなかったであろう言葉のチョイスが本当に巧み。心の機敏が丁寧に描かれていて何度も心が揺さぶられ、幾度か手を止めていろいろ考えた。
大人になったから、親になったからって立派になれている訳ではない。
愛する人には愛していると伝え続けないと後悔することは百も承知でも、できない。
人を平気で傷つけるくせに、自分が傷つけられるのは我慢ならない。
そういう誰もが思い当たるような人間のままならないダメな部分をしょうがないなぁと苦笑いしながら許してもらえたような気持ちになれる素敵な小説で -
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Posted by ブクログ
映画『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売る二人』『永い言い訳』はそれぞれ複数回何らかの方法で視聴、、
『素晴らしきこの世界』はコロナ対策万全に映画館に足を運んだことを懐かしく思い出しました。
映画の素晴らしさはもちろんのこと、小説家・エッセイストとしても一流の西川先生、一生ついていきます!
===本の紹介===
血の味がしたランニング、幻のオリンピック・チケット、宣伝地獄からの東京脱出、替え玉受験疑惑……。
数々の賞に輝く映画監督が初めて明かす等身大の素顔
「またオリンピックか。困るんだ、こうしょっちゅうやられては」
にもかかわらず、始まってしまえば猫にマタタビ。手に汗握り、自律神経が -
Posted by ブクログ
現代日本社会はコンプライアンス遵守へ向かうべく様々な試行、改善が課題となって動き出している。バックラッシュが少なからずありながらも、弱者やマイノリティへの救済は人道的に優先される時勢にある。"昔は…" と自身の愚行を肯定しがちなのは、戸惑いや理解不足からくるもので、そこを謙虚に受け止めて自省し変えていく勇気こそ、社会を変えていく源流になる。筆者・西川美和もまた旧態依然から進まない日本映画界に嘆き、自らを変えていくことの大切さを語っていく朴訥さに感嘆する。劇的な変革を望まなくてもいい、その方向性の持続こそ次世代に受け継ぐべき務めなのだ、そしてその姿勢は映画界に限らず社会に生き