西川美和のレビュー一覧
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生まれ故郷を飛び出し写真家として成功をおさめる弟。実家のガソリンスタンドを父親に望まれるまま引き継いだ兄。自分の感情を表現する弟。鈍いふりを続けた兄。
二人に関わる幼馴染の女性は、若い頃、弟と関係を持ち、現在は、兄に望まれている。二人の関係は、その女性の死の真相をめぐり逆転していく。家族の支配者が変わった時、そして不在となった時、ギリギリの家庭は、崩壊を迎えてしまう。
兄弟の支配と嫉妬は、終わりを迎えても、次の関係を築く事ができなかった。
ご自身の映画のノベライズとのことで、田舎を行く道、法事の親戚の集まり、ひなびた渓谷と、読み始めから、知っているような情景のイメージに入り込めました。兄弟の隠 -
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ネタバレこの本も、前作に続いて映画作りにまつわる色々なことと、プラスアルファ短編小説と全く別な形のエッセイ。時期的には「永い言い訳」を着想し、制作している時期が多いようだ。「永い言い訳」は本木雅弘さんが主演で、モッくんはNHKの「坂の上の雲」で秋山真之を演じてめちゃくちゃ好きになったのだけど、意外にめんどくさい性格で、この映画の主人公幸夫と本当に同じみたい。でも、このエッセイを読んで、西川監督のこだわりも思った以上に凄くて、なかなかご一緒するのは難しそうな感じがしました。それは仕事の面でも、仮にプライベートな知り合いであっても・・・そういうこだわりがあるから、着想が生まれて、こだわりのある作品が作れる
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西川美和は、公開されたならば無条件に万難を排して観に行く監督の1人です。「ゆれる」を観た時のショックはちょっと言葉では言い表せられない。その西川美和が冒頭、朝青龍というヒールならぬヒーローの話を書いた後に、するすると30年ほど昔の『恐怖の24時間』というテレビドラマの話を書いています。
連続殺人犯が弁護士になりすまして教誨師の家を隠れ家とする話で、その逮捕劇の顛末です。西川美和解説に耳を傾けると、その殺人犯は、若い頃の役所広司が演じていて、グレて親不孝を働いていた長男を捕まえて説教をしたり、布団を羽交い締めにして咽び泣いたり、逮捕された後も家族に屈託なく笑って去ってゆくそうです。西川美和は、 -
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人は内にどんなものを秘めているのか。
それは誰にもわからない。もしかしたら自分自身でさえわかっていないのかもしれない。
同じものを見ても人それぞれ捉え方は違ってくる。
隣の芝生は青いとは言うけれど、どんなに近い存在でも同じなのだろう。
いや、近い存在だからこそ羨む気持ちはもっともっと大きくなってしまうのかも。
人とは多面体で出来ている。
一方から見ただけでは理解することは出来ないし、ときには他者から見た自分に身動きがとれなくなってしまうこともある。
傷つけられた心は、どうすれば癒されるのだろう。
傷つけ返したとしても何も得るものはないような気がするのだけれど。
心理描写が素晴らしかった。
繊細