西川美和のレビュー一覧

  • 映画にまつわるXについて
    西川美和は、公開されたならば無条件に万難を排して観に行く監督の1人です。「ゆれる」を観た時のショックはちょっと言葉では言い表せられない。その西川美和が冒頭、朝青龍というヒールならぬヒーローの話を書いた後に、するすると30年ほど昔の『恐怖の24時間』というテレビドラマの話を書いています。

    連続殺人犯...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて2
    今回も面白かった。
    主に『永い言い訳』を執筆、撮影している期間にまつわるエッセイ。監督ご自身の煩悶や撮影現場のドタバタも楽しみつつ何よりそんなメール、晒していいんですか?!という感じの本だった(読んでのお楽しみ)裏側の覗き見はいつも楽しい。


    西川美和氏、小説はたぶん全作読んでてとても好きな作家な...続きを読む
  • 夜更けのおつまみ
    ブレイディみかこさんのイカのお話めっちゃわかる…透明じゃないとイカの刺身じゃない。
    下戸なのですがおつまみは好きなので楽しく読みました。
    簡単なレシピもちょいちょい書かれているのもいいです。森まゆみさんのと水生大海さんの…やってみよう。
    なとりの一度は食べていただきたいシリーズはほんと美味しいです。...続きを読む
  • 夜更けのおつまみ
    知ってる作家、知らない作家が目に浮かぶようなおつまみレシピを紹介。
    ほぼ5ページにその時の情景と共に出されるおつまみは、ささっと作られたもの、買ってきたものと様々。呑める人も呑めない人も共通してるのは「おつまみが好き」。
    たまらず途中からビールを開けました。
    さて、おつまみ何にしよう?
  • ゆれる
    6人の視点で語られる内容は饒舌で内容を理解するには集中が必要だった。人間の色々な思いが交錯して理解するのが難しい。2人の父親もまた兄弟で弟という立場。兄と弟の幼少時期からの複雑な関係性。そしてへ互いの本当の気持ちが裁判の法廷で明らかになっていく。
  • 遠きにありて
    numberの連載エッセイらしい。
    ピンとくるものと、そうでないものと。
    締め切りが周期的にくる連載って大変だろうな、と思う。
    中には、締め切りと、大イベントに引きずられたようなものもあったりするが、それでもやはり心の中を覗き込むようにして丁寧に書かれたものがあって、流石と思う。
  • 遠きにありて
    この監督の文ってやっぱ好きだわ。
    なんかきっぱりしていて的を得ていて、読んでいて気持ちがいい。
    しかも、こんなにスポーツに造詣が深いとは知らなかった。
    特に野球。出身地の広島カープの大ファンなんだね。
    何かひとつ夢中になれるスポーツの球団なりチームなり、選手なりがいるときっとそのスポーツのシーズンは...続きを読む
  • ゆれる
    映画を何回か観ているにも関わらず結末を思い出せないのだが確実に面白かった記憶があったので原作本を読む。

    →要検討な余韻を残すオチであった。そうそう確か映画もそうだったことを思い出す。個人的には兄は冤罪だったと思うが兄自身はもう虫も殺さぬような平凡で退屈な自分自身に嫌気がさしており、弟に対する愛憎も...続きを読む
  • その日東京駅五時二十五分発
    その日とは太平洋戦争終戦の日だった。昭和20年に通信兵として軍務についた「ぼく」と同期の益岡と、一般国民より少しだけ早く日本の敗戦を知り、0525東京発の東海道本線に乗って故郷へ帰る。夜行列車が兵役の回想の舞台として良く合っている。「何一つ、自分でしようと思ったことじゃない。だからといって何一つ、抗...続きを読む
  • ゆれる
    人は内にどんなものを秘めているのか。
    それは誰にもわからない。もしかしたら自分自身でさえわかっていないのかもしれない。
    同じものを見ても人それぞれ捉え方は違ってくる。
    隣の芝生は青いとは言うけれど、どんなに近い存在でも同じなのだろう。
    いや、近い存在だからこそ羨む気持ちはもっともっと大きくなってしま...続きを読む
  • その日東京駅五時二十五分発
    1974年広島県生まれの著者の伯父の体験記を基にした小説~昭和二十年春に召集され東京清瀬の陸軍特種情報部の通信兵として過ごし,アメリカの短波放送でポツダム宣言の内容を聞き,上官の命令で資料を焼き,階級章を剥がして焼き,軍人手帳も燃やして,故郷に帰るために,東海道線始発列車を東京駅で待ち,切符無しで大...続きを読む
  • ゆれる
    自身が脚本・監督をした映画のノベライズ作品。
    語り手を替え、時系列も多少前後する八つの章でできています。映画は見ていないのですが、この構成では映像化は難しいと思うので、おそらく描き方が違うのでしょうね。
    読み始めてすぐに「うまいな」と思わせます。語り尽くすことなく、虚ろな部分を残し、それがかえって読...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    産業としての映画、芸術としての映画、その間で揺れ動きながら制作に臨む監督の生き様がすごくかっこいい。普段から、ノイズ(いい意味で)をたくさん吸収して、咀嚼して、映画に詰め込んでいる人なんだなあと思った。
    いろいろなノイズが溢れてて、そこから人間の深い深いところを読み取れるのが映画の面白いとこだし、そ...続きを読む
  • ゆれる
    一人称が変わりながら時系列が進んでいく作品なので、それぞれの場面について語る時の距離感が皆違うのが面白かった。
    お互いや自分自身についての認識にも、微妙に差があるのが絶妙だった。
    外から見た人の印象と内実がまるで違ったり、実は正反対だったりする、という事が、違う視点からのアプローチで判明するという作...続きを読む
  • その日東京駅五時二十五分発
    悲壮感のない戦争小説。とてもよかったです。
    青年の無垢な視点から語られる様子は、阿川弘之の「雲の墓標」を彷彿とさせました。
    淡々としているがゆえにリアリティを感じさせられます。
  • 映画にまつわるXについて
    たった数秒のワンシーンのために注ぐ膨大な時間と努力をこの人は「自分には才能がない、天才でないから」と言う。それこそが才能なのに。ゆれる、も夢売るふたり、も。観返したくなった。この人のこだわりの詰まった苦しみの時間を想いながら。

    『一度、何らかの深いところに潜ったのだな、』なんていう、人の胸の奥底に...続きを読む
  • 映画にまつわるXについて
    「夢売るふたり」を撮り終えた後に纏められたエッセイ集。
    ゆれるは小説を読んで、まだ映画は観れてないけど、香川照之、オダギリジョーに真木よう子の3人の役者について、この本で描かれていて、より一層観たくなった。
    夢売るふたりのオーディション、免許取得の裏話は面白かった。
    映画はスクリーンに映し出された向...続きを読む
  • その日東京駅五時二十五分発
    終戦の日(になった日)、東京駅から故郷の広島へと帰る少年兵のロードムービー。

    「あの戦争」を語るには穏やかすぎるくらいの文章で、そこには怒号も慟哭もない。
    主人公は「終戦」という未来を知るには早すぎて、すでに焦土と化した故郷に辿り着くには遅すぎた。あるのは、そうした宙ぶらりんの虚無感と喪失感。「中...続きを読む
  • ゆれる
    二日に分けて読んだ。どうなるかは大体わかっているのだけれど、兄の動向がまったく読めず、不気味で早く読みたいと手が進んだ。人間の誰しもがもっているような汚い部分、生身の部分がむき出しになっていく恐怖を感じる。ふたつの兄弟が出てくるが、血の繋がりって逃げられないし見て見ぬふりもできないし、肯定的に受け取...続きを読む
  • ゆれる
    映画を見たくて、読みました。
    映画を見る前に読んでよかった。
    今の自分の環境によって感じる事は変わるような気がしました。