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Posted by ブクログ
須賀敦子さんが『ミラノ 霧の風景』で女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞したのが1991年と知り「なるほど、あの頃か‥」と強烈に思い出した。平成3年。昭和から平成へ変わってまもない頃。
世界では湾岸戦争が起こり日本では雲仙・普賢岳の火砕流で多くの方々が亡くなった年。(個人的事情で忘れられない年でもある。)
本書はその翌年、1963年に著者がミラノを去ってから二十余年、63歳の時出版されたもの。須賀敦子さんの美しく無駄のない文章からは彼女が住んでいた1960年代頃のミラノの景色、時代の移り変わりがリアルに伝わってくる。
須賀敦子さん入門本としてはずせない一冊。
Posted by ブクログ
六十年代のミラノ、サン・カルロ教会の中の小さな書店。
1950年代の半ばに大学を卒業し、イタリアへ留学した著者は、詩人のタヴィデ・マリア・トゥロルド司祭を中心にしたミラノのコルシア・ディ・セルヴィ書店の仲間として迎え入れられる。理想の共同体を夢みる三十代の友人たち、かいま見た貴族の世界、ユダヤ系一家の物語、友達の恋の落ちつき先など書店の人々をめぐる情景を流麗に描いたエッセイ。
入口のそばの椅子 ツィア・テレーサ
銀の夜
街
夜の会話
大通りの夢芝居
家族
小さい妹
女ともだち
オリーヴ林のなかの家
不運
ふつうの重荷
タヴィデに ──── あとがきにかえて
Posted by ブクログ
イタリアはミラノの教会の一部を改造して設けた書店。そこに集った仲間たちとの思い出や書店が辿った運命を綴ったエッセイ集。
著者は1929年生まれ。まず、この年代に生まれた女性で、日本から遠く離れた異国に留学していた方がいたことに驚きます。
私にとって本屋は、まだ見ぬ面白い物語を探しに行く場所ですが、彼女がいたコルシア書店は、理想的な共同体や自分たちがどう生きるべきかの意見を交換したり詩や書物にまとめたりして出版する重要な活動拠点であり、政府や教会側から監視され活動を制限されるほど、存在感のある場所だったようです。
当時の思想や国を取り巻く環境、理想とされた共同体について、私は正直「難しいことは全然わからんな……」状態ですが、登場人物たちの本に対する情熱や人から忘れられることの寂しさ、わかり合えずにすれ違ってしまうことや変わっていくこと、居場所があることのありがたみなどの描写がとても好き。
ページをめくれば、生きている彼らに出会えます。例えるなら、当時の書店に、本の外側から飛び込んでいけそうな程に。美しくて強度のある文章。色褪せることの無い、素晴らしいエッセイだと思います。
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